06.6
                                   林 正幸

 モル単位(物質量)の世界

     目 次
  
1.原子量を測る
  2.原子量と式量
  3.モル単位(物質量)
  4.モル量
  5.現代の化学量論
  6.物質量と電気量

  実 験

  参 考

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1.原子量を測る

[1]物質は目には見えない小さい原子からできている。原子量とは、その原子の質量を
表す数値である。19世紀の始めにドルトンは、その原子量を次のように発表した。
   水素    1    窒素    5    炭素    5
   酸素    7    リン    9    硫黄   13
   マグネシウム   20
彼は原子量を、一番小さい水素原子の質量を1とし、これに比べてその原子は何倍の質量
かという数値として示した。
 その後、酸素が他の原子と化合物をつくりやすいということで、酸素原子を基準にする
原子量が使われた。通常は
  「酸素原子の質量を16とすると、その原子の質量はいくつかという数値」

が用いられた。その利点のひとつは、そうすると水素の原子量が1になることであった。
 すぐに触れるように、原子量を測るには物質の化学式が必要になるが、それがあいまい
であったため、ドルトンの原子量は不正確であった。
 原子量の基準は時代と共にさらに変化していく。現在の基準については後で紹介するが、
酸素原子の質量を16とする基準は、それと0.005%以下の違いしかなく実質的には同
じ基準と見なせる。そしてこの基準は、化学実験を通して原子量を測ることができるとい
う教育的利点がある。もちろんこの基準では、酸素の原子量は16である。なお原子量に
は単位を付けないことに注意しよう。
[2]それではどのようにして原子量は測ることができるのだろうか。現在の私たちは、
正しい化学式を使ってそれを測ってみよう。
 実験1では、銀色のマグネシウムの小粒を空気中の酸素と化合させて、白色の酸化マグ
ネシウムにした。あるデータでは、0.253gのマグネシウムから0.419gの酸化マ
グネシウムが生成した。酸化マグネシウムの化学式は MgO であり、マグネシウム原子
と酸素原子の個数比は1:1であることを示す。
 まずマグネシウム0.253gと化合した酸素は
    0.419−0.253 = 0.166[g]
である。したがってマグネシウム原子は酸素原子の
    0.253/0.166 = 1.524 倍

                  - 1 -

の質量である。酸素原子の質量を16とすると、マグネシウムの原子量は
    16×1.524 = 24.4
となる。
 ちなみに正確な数値は24.305である(通常は24あるいは24.3を使う)。
問1 自分のデータから、マグネシウムの原子量を求めてみよ。



[3]実験2では、十分な量の希塩酸にマグネシウムリボンを投入して発生する水素をメ
スシリンダーに捕集した。あるデータでは、0.158gのマグネシウムから、室温14℃
の下で(大気圧は1atm(気圧)=1013hPa(ヘクトパスカル)と見なす)、
158mL=0.158L(リットル)の水素が発生した。反応式は次のようである。
    Mg + 2HCl ―→ H2 + MgCl2
         塩酸       塩化マグネシウム
発生する水素の化学式(より細かくは分子式)は H2 であり、これは水素が、水素原子2
個が結合した水素分子からできていることを示す。反応式は、マグネシウム原子1個が反
応して水素分子1個が生成することを示す。つまりマグネシウム原子1個から水素原子2
個ができる。
 したがって発生する水素の質量と反応するマグネシウムの質量の比は、水素原子の質量
がマグネシウム原子の質量の何倍かという数値の2倍になる・・・。
備考:体積の正式な単位は[dm3 ](立方デシメートル)や「cm3 ](立方センチメ
   ートル)などである。しかし[dm3 ]と同じ意味の[L](リットル)は許容さ
   れており、それと絡んで[mL](ミリリットル)も許されている。やがて正式な
   単位に移行するであろうが、化学の現状から後者も使うことにする。
[4]密 度
 ちょっと待て! 水素の量は体積で計測した。密度を使って質量に換算する必要がある。
 通常は気体の密度は
    「体積1Lあたり、質量は何gか」
を表す。その単位はg/L(グラム毎リットル)である。
 しかし気体は温度や圧力によって体積が大きく変化してしまう。そこで圧力は1atm
(=1013hPa)の下としよう。次にいくつかの温度における水素の密度のデータを
上げる。
          水素の密度(1atmの下)
   0℃    5℃    10℃    15℃   20℃   25℃
 0.0900 0.0884 0.0868 0.0853 0.0839 0.0825

                  - 2 -

これから14℃における密度は0.0856g/Lである。
 と言うことは、2倍、3倍して考えると
    1Lなら、          0.0856g
    2Lなら、0.0856×2 = 0.1712g
    3Lなら、0.0856×3 = 0.2568g
したがって質量は次の関係式で計算できる!
    質量 = 密度×体積
だから発生した水素の質量は
    0.0856×0.158 = 0.0135[g]
となる。
 ここで忠告! 計算するための「公式」を記憶して切り抜けることが流行っている。し
かし、密度の意味から上のように考えて、必ず自分でどのように計算すべきかを見つける
ように努力せよ。意味は単位に注目すると分かりやすいことが多い。
[5]水蒸気の補正
 今回は深入りできないが、メスシリンダー中の気体には水蒸気が含まれ、本当の水素は
いくらか少ない。それには温度に応じて次の数値を掛ければよい。
   0℃    5℃    10℃   15℃   20℃   25℃
  0.994 0.991 0.988 0.983 0.977 0.969
14℃では0.984である。
    0.0135×0.984 = 0.0133[g]
[6][4]項の続きである。発生する水素の質量と反応するマグネシウムの質量の比は
    0.0133/0.158 = 0.0842
となるので、水素の原子量は(得られたマグネシウムの原子量を使って)
    24.4(0.0842/2)= 1.03
となる。
 ちなみに正確な数値は1.0079である(通常は1あるいは1.01を使う)。
問3 自分のデータから、水素の原子量を求めてみよ。



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2.原子量と式量

[a]原子量を測る(その2)
[1]もうすこしチャレンジを続ける。実験3では、ある質量の硫酸を含む水溶液にマグ

                  - 3 -

ネシウムリボンが何gまで反応するかを計測した。あるデータでは、98%の濃硫酸
0.905gを含む水溶液が、0.220gのマグネシウムと反応した。反応式は次のよう
である。
    Mg + H2SO4 ―→ H2 + MgSO4
         硫酸      硫酸マグネシウム
硫酸の化学式(分子式)H2SO4 から、硫酸分子は水素原子2個、硫黄原子1個、酸素原
子4個からできている。反応式から、マグネシウム原子1個が硫酸分子1個と反応する。
 求めたいのは硫黄 S の原子量である。
[2]パーセント濃度
 ここで、反応した硫酸自身の質量を計算するためにパーセント濃度を勉強する。正確に
は質量パーセント濃度と言い
  「溶液100gあたり、溶質が何g含まれるか」
を表す。その単位は%(パーセント)である。ここで溶質とは溶けている物質、溶媒とは
それを溶かしている物質、そして溶液はその全体を指す用語であることに注意する。ちな
みにパーセント( per-cent )とは「100あたり」という意味である。
 98%の濃硫酸は(2倍、3倍して考えると)
    溶液100gなら、硫酸が       98g
    溶液200gなら、硫酸が98×2 = 196g
    溶液300gなら、硫酸が98×3 = 294g
したがって硫酸の質量は次の関係式で計算できる。
    硫酸の質量 = パーセント濃度×(溶液の質量/100)
だから濃硫酸0.905gに含まれる硫酸の質量は
    98×(0.905/100)= 0.887[g]
となる。
[3]分子量と化学式量
 分子量の定義にも触れよう。それは
  「酸素原子の質量を16とすると、その分子の質量はいくつかという数値」
である。つまり原子量と同じ基準で、分子の質量を表すのである。それなら原子量を足し
合わせればよい。水素 H2 の分子量は、正確な原子量を使って2である。
 分子にならない物質もあるので、考えを化学式量あるいは単に「式量」と呼ばれるもの
に進めよう。これは
  「酸素原子の質量を16とすると、その化学式1個の質量はいくつかという数値」
である。考え方は同じである。たとえば酸化マグネシウムは分子にならない。そして
MgO 1個の式量は(正確な原子量を使って)
    24.3+16 = 40.3

                  - 4 -

である。
[問題1]次の物質の式量を計算せよ。原子量は次の数値を使え。
  H=1 C=12 N=14 O=16 Na=23 Cl=35.5
  Ca=40 Ag=108
(1)水 H2
(2)窒素 N2
(3)ブドウ糖 C6126
(4)塩化ナトリウム NaCl
(5)硝酸銀 AgNO3
(6)水酸化カルシウム Ca(OH)2

[4][1]項の続きである。データから、0.887gの硫酸が0.220gのマグネシ
ウムと反応したのである。すでに勉強したように、Mg 1個が H2SO4 1個と反応する。
したがって硫酸の質量とマグネシウムの質量の比は
    0.887/0.220
となる。したがって硫酸の分子量は(得られたマグネシウムの原子量を使って)
    24.4×(0.887/0.220) = 98.4
となる。硫黄の原子量を x とすると(酸素の原子量と得られた水素の原子量を使って)
    1.0×2 + x + 16×4 = 98.4
    x = 32.4
となる。
 ちなみに正確な数値は32.06である(通常は32あるいは32.1を使う)。
問4 自分のデータから、硫黄の原子量を求めてみよ。




[b]化学反応式
 ここで、すでに一部出てきているが化学反応式について整理しておこう。化学反応式は
反応物質と生成物質を化学式で表し、プラス + と 矢印 ―→ で結んだものである。これ
は単に反応式とも呼ばれ、物質の化学式が書ける、そして化学式の成り立ちや命名法が分
かることが前提である。
 反応式では、関係するすべての原子の個数が増減しないように書く。それは化学反応で
は原子は不滅であることに基づいている。原子の不滅はドルトンの原子説の重要な内容で
あり、ラボアジェの質量保存の法則を裏付けている。たとえば水素と酸素が化合して水が

                  - 5 -

生成する反応式を、化学式に置き換えるだけで次のように書いたとする。
    H2 + O2 ―→ H2
しかしこのままでは、反応前には2個あった酸素原子が、反応後には1個になってしまう。
そこで化学式の個数(「係数」と呼ばれ化学式の前に大きい数字で書く)を次のように変
える。
    2H2 + O2 ―→ 2H2
これなら反応の前後で、水素原子が4個のまま、酸素原子が2個のままになる。なおすべ
ての係数を2倍、3倍しても原子の不滅は成り立つが、もっとも簡単なものを書くことに
なっている。
問5 次の反応式に係数を付けて完成せよ(1は書かない)。
@( )Al +( )O2 ―→( )Al23
A( )Na +( )H2O ―→( )NaOH +( )H2
B( )HCl +( )Ca(OH)2 ―→( )CaCl2 +( )H2


 このように係数を付けることは、ほとんどの場合に原子の不滅に基づけばできてしまう。
それは反応する物質どうしや生成する物質の個数関係を示す。たとえば水素 H2 2個と反
応するのは酸素 O2 1個であり、そのとき水 H2O 2個が生成する。このように反応に
係わる物質の個数関係が導けるのは、原子説の大きな成果である。

[c]反応量(その1)
 それでは視点を変えた簡単な例題を解いておこう。
[例題1]酸化銀1.500gを加熱すると、何gの銀が生成するか。(原子量:O=16
 Ag=108) 反応式は次のようである。
    2Ag2O ―→ 4Ag + O2
     酸化銀

 反応式から、Ag2O が2個反応すると、Ag が4個生成する。つまりAg2O 1個か
ら、Ag 2個できる。その質量の比は式量を使って
    (108×2 + 16)/(108×2)
 他方で生成する銀を y[g]とすると、酸化銀の質量と銀の質量の比は
    1.500/y
となり、次の方程式が成り立つ。
    232/216 = 1.500/y
これを解いて
    y= 1.397

                  - 6 -

つまり 1.397gの銀が生成する。
 このように原子量があれば、反応によって生成する銀の質量まで計算によって予測でき
る。
備考:これは古い化学量論の紹介である。上の計算は他ほど詳しくは説明していない。

[d]現代の原子量
[1]ドルトンはそれぞれの元素はただ1種の原子からできていると考えた。しかし現在
では数種の同位体の混合物であることが分かっている。たとえば炭素では
    炭素12    98.89%
    炭素13     1.11%
となっている。そしてまた質量分析器という装置が発達して、同位体の質量とその自然の
存在率などが正確に計測できるようになった。
 そこで現在では、原子量の基準は
  「炭素12の質量を12とすると、他の原子の質量がいくつかという数値」
として定義されることになった。そして同位体の混合物であるそれぞれの元素の原子量は、
同位体の原子量をその存在率を考慮して平均して定められることになった。たとえば炭素
          講座で使う原子量
  水素 H       1.01(1)  ヘリウム He    4
  ホウ素 B     10.8(11)  炭素 C      12
  窒素 N      14       酸素 O      16
  ナトリウム Na  23       マグネシウム Mg 24.3(24)
  アルミニウム Al 27       硫黄 S      32.1(32)
  塩素 Cl     35.5      カルシウム Ca  40.1(40)
  鉄 Fe      55.8(56)  銅 Cu      63.5(64)
  亜鉛 Zn     65.4(65)  銀 Ag     107.9(108)
  鉛 Pb     207.2(207)
             (  )内はより簡略な数値
の原子量は12.011である(通常は12を使う)。
 しかしほとんどの場合に同じ元素の同位体は化学的には差がないと言えるので、このこ
とに深入りするよりは、ドルトンのように考えて昔の基準のまま進めるのが賢明と思われ
る。

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3.モル単位(物質量)

 1,2節の内容をさらに発展させ、より理解しやすくするように、新しい量である「物

                  - 7 -

質量」が考えられた。その単位であるmol(モル)から話を始めよう。

[a]モル単位
[1]酸素の原子量は16である。それなら、酸素16gにはいくつの酸素原子が含まれ
るだろうか。原子は光学顕微鏡でも観察できないので、それはさぞかし大きな数値であろ
う。これはアボガドロ定数と呼ばれるが、後で実験により計測してみよう。
 さてそれなら、酸素16gに含まれる酸素原子の個数と、炭素12.011gに含まれる
炭素原子の個数には、どんな関係があるだろうか。
    @酸素原子の個数の方が大きい
    A炭素原子の個数の方が大きい
    B両方の個数は等しい

    

正解はBである。
 水 H2O の式量(分子量)は18である(簡単のため厳密な数値は使わない)。それで
は酸素16gに含まれる酸素原子 O の個数と、水18gに含まれる H2O の個数すなわ
ち水分子の個数についてはどうだろうか。あるいは酸化マグネシウム MgO の式量は
40.3である。酸化マグネシウム40.3gに含まれる MgO の個数についてはどうだ
ろうか。
 正解は「すべての個数は等しい」である。
[2]それなら、物質の量を測るのに「この個数」を単位にしてどうだろうか。物質は原
子や分子などの粒からできているので、同じ個数を同じ量であると捉えるのである。その
単位がmol(モル)である。1molとはアボガドロ定数だけの個数の物質である。よ
り厳密には現代の原子量の定義を踏まえて、1molとは
  「炭素12という同位体12gに含まれる原子数に等しい個数の物質の量」
であるとする。そしてこの単位で表される量を物質量と呼ぶのである。それはgやkgと
いう単位で表される量が質量、mLやLという単位で表される量が体積というのと同じで
言い方である。
 物質量は、国際単位系(SI)で選ばれた7種の基本単位のひとつである。
[3]ここでひとつ注意をする。酸素原子1molと酸素分子1molの質量は同じであ

                  - 8 -

ろうか。否である。酸素16gには酸素原子 O は1mol含まれる。しかし酸素分子
2 は0.5molしか含まれない。酸素分子の個数を問題にするなら、その式量(分子
量)である32を元に考え、32gが酸素分子1molになるのである。「どの粒に注目
しているか」これをあいまいにすると、とんでもない間違いを犯す。だから、考えるとき
は、名称より化学式を使った方がよい。

[b]モル質量
[1]モル質量とは
  「1molあたり、質量が何gか」
を表す。その単位はg/mol(グラム毎モル)である。これはもう簡単である。その数値
は原子量や式量である。関係式としてまとめると次のようである。
  モル質量 =(原子量や式量)[g/mol]    (1)
言うまでもなくモル質量は、原子量や式量と同じように、それぞれの物質1粒の質量の大
小関係を正確に表している。
 実験4では、1molの、硫黄原子 S 、水分子 H2O 、ブドウ糖分子 C6126
塩化ナトリウム NaCl を、モル質量を頼りに測り取った。

[c]アボガドロ定数
[1]実験5では、わずかなステアリン酸を水面に広げて、その面積を計測した。あるデ
ータでは、溶液0.5mLが25滴であり、膜の面積が482cm2 になった。ステアリン
酸分子は立方体でありそれが水面に並ぶと仮定して、考えを進めてみよう。
 まずステアリン酸分子の大きさ(立方体の1辺)である。実験の説明のようにステアリ
ン酸自身の質量と体積は
    0.5×(20/25)×(1/3300) = 0.00012
                     = 1.2×10-4[g]or[mL]
ステアリン酸の正確な密度は0.94g/cm3 であるが、ここでは大まかに考える。
 薄い膜の厚みは、体積を面積で割って
    0.00012/482 = 0.00000025
               = 2.5×10-7[cm]
つまりこれが分子の大きさである。
[2]次に本題のアボガドロ定数である。分子の断面積(立方体の面)は
    (2.5×10-7 )2 cm2
溶液20滴に含まれるステアリン酸の分子数は、膜の面積を分子の断面積で割って
    482/(2.5×10-7 )2 = 7.7×1015
である。

                  - 9 -

 ステアリン酸1molつまり284gに含まれる分子数は
    7.7×1015 ×(284/1.2×10-4 ) = 1.8×1022
つまりこの数値こそ、求めるアボガドロ定数である。
備考:実験6と同じように、1molの体積と分子1個の体積からも計算できる。
 この数値は「どでかい」。しかし残念ながら正確なものではない。この実験は後でもう
一度吟味する。
参考:指数の計算例
    1000 = 103
    0.01 = 1/100 = 1/102 = 10-2
    1/10-8 = 108
    102 ×103 = 105
    103 ×10-4 = 10-1
    (102 )3 = 106
    (10-8 )3 = 10-24
[3]実験6では、まず結晶モデルを使って、単位格子に含まれる原子や分子(正確には
化学式)の個数を調べた。それは次のようであった。
    鉄 Fe          2個
    アルミニウム Al     4個
    塩化ナトリウム NaCl  4個
 次に体積と質量を計測して、1molの体積を求めた。あるデータでは
    鉄        125cm3 が982g
    アルミニウム   125cm3 が335g
    塩化ナトリウム  0.350cm3 が0.746g
であった。したがって
  鉄1mol
    125×(55.9/982) = 7.12[cm3
  アルミニウム1mol
    125×(27.0/335) = 10.07[cm3
  塩化ナトリウム1mol
    0.350×58.5/0.746 = 27.4[cm3
ちなみに、このような計算では、2つの量の大小関係を吟味するとよい。たとえば鉄では、
982gが125cm3 である。だから55.9gは125より小さい数値のはずである。
したがって125に掛けるべき数値は1より小さい(55.9/982)であって、その逆
数(982/55.9)ではあり得ない。
[4]さて単位格子の体積は、1辺を3乗すればよい。後はそれぞれの物質1molに単

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位格子がいくつ含まれるかを計算し、それに単位格子に含まれる原子や分子(正確には化
学式)の個数を掛ければ、アボガドロ定数が求められる。
  鉄の場合
    {7.12/(2.867×10-8 )3 }×2 = 6.04×1023
  アルミニウムの場合
    {10.07/(4.050×10-8 )3 }×4 = 6.06×1023
  塩化ナトリウムの場合
    {10.07/(4.050×10-8 )3 }×4 = 6.06×1023
 この実験ではかなり正確な数値が得られた。より正確なアボガドロ定数は次のようであ
る。
    6.022×1023
通常は6×1023 を使う。この数値は普通に書くと次のようである。
    600000000000000000000000
これは1億の1億倍のさらに1億倍、に近い数値である。
[5]実験6では、単位格子の1辺の長さというミクロな情報を活用した。実験5でも、
そうすれば結果は改善される。
 ステアリン酸分子の構造式は左図のようであり、立方体にはほど遠く、細長い円筒と見
なすべきであり、単分子膜はそれが右図のように並んでいる。



つまり実験から求めた分子の大きさは円筒の長さであり、この2乗が分子の断面積とする
のは無理がある。そこで断面積に2.2×10-15 cm2 という数値を使ってみよう。
すると溶液20滴に含まれるステアリン酸の分子数は
    482/2.2×10-15 = 2.2×1017
ステアリン酸1molつまり284gに含まれる分子数は
    2.2×1017 ×(284/1.2×10-4 ) = 5.2×1023
となる。
 ちなに、通常の分子の大きさは、ステアリン酸分子の長さより1桁小さい。たとえはメ
タン CH4 の大きさは
    4.6×10-8 cm あるいは 0.46nm(ナノメートル)
である。

                  - 11 -

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4.モル量

[a]モル体積
[1]一般にモル量とは「1molあたり、どれだけの量か」という数値のことである。
すでにモル質量を勉強した。
 そしてモル体積とは
  「1molあたり、体積が何Lか」
を表す。その単位はL/mol(リットル毎モル)である。すでに実験6でも扱った量であ
る。
参考:「1molあたり、体積が何cm3 か」を表すこともある。そのときの単位は
   cm3/mol(立方センチメートル毎モル)である。
 まず気体を取り上げよう。これは気体の密度から計算できる。1節の[4]項では、
0℃、1atmの下で水素の密度が0.0899g/Lであることを示した。私たちは
1molつまり2.016gの水素の体積を計算したいわけである(実際の水素は分子とし
て存在する)。今度は視点を変えて密度を捉える。
    0.0899gなら、         1L
    0.0899×2=0.1798gなら、2L
    0.0899×3=0.2697gなら、3L
[2]これは次の2つの理解ができる。
 ひとつは、2L、3Lという数値が、左を見てどのように計算できるかを見抜くのであ
る。それは
    体積 = 質量/密度
である。したがって2gの体積は
    2.016/0.0899 = 22.4
つまり水素のモル体積は22.4L/mol(0℃、1atmの下)となる。
 ふたつは、質量と体積の比が一定であることに注目する。その数値(比の値)は
        0.0899
である。これは密度そのものであり、密度という量の意味である。そして2.016gが
x[L]とすれば、次の方程式が成り立つ。
    2.016/x = 0.0899
したがって
    x = 2.016/0.0899 = 22.4
となる。
[問題2]次はいくつかの気体の0℃、1atmの下での密度である。
    窒素 N2        1.25[g/L]

                  - 12 -

    ヘリウム He     5.60
    二酸化炭素 CO2    1.96
このデータを使って、それぞれの気体の0℃、1atmの下でのモル体積を計算せよ。



[3][問題2]の結果は、どれも水素のモル体積と同じになる。これはアボガドロの法
則、つまり
  「気体は、同温、同圧の下で、同体積中に同数の分子を含む」
ことを、0℃、1atmの場合で確認したのである。ちなみにこの法則は「同数の分子は
同体積を占める」とも言える。またヘリウムは1原子分子である。
  気体のモル体積 = 22.4L/mol(0℃、1atmの下)    (2)
ちなみに化学では、0℃、1atmは「標準状態」と呼ばれてよく使われる。

[問題3]次は原子からできているいくつかの固体の密度である。
    ナトリウム Na          0.971[g/cm3
    マグネシウム Mg         1.74
    アルミニウム Al         2.70
    炭素(ダイヤモンドの場合)C    3.3(3.15〜3.53)
それぞれのモル体積[cm3/mol]を計算せよ。



[4]今度は単位がcm3/molのモル体積である。[問題3]の結果は、固体の中で原
子1個が占めている空間の大きさ、あるいは原子そのものの大きさ(にほぼ等しい)を比
較できる。このようなモル体積はかつて「原子容」と呼ばれ、周期律の発見にも貢献した。

[b]モル比熱
[1]単に比熱と言うと、それはその物質1gの温度を1℃上げるのに必要とする熱エネ
ルギーの量を表す。物質の質量が大きいほど、また上げる温度幅が大きいほど、必要とす
る熱エネルギーの量が大きいのである。つまり比熱は
  「1gあたり、1℃あたり、熱エネルギーの量が何J(ジュール)か」
を表す。エネルギーの単位はJ(ジュール)である。したがって比熱の単位はJ/g・℃(ジ
ュール毎グラム毎度)になる。
参考:温度の単位を絶対温度のK(ケルビン)にして、比熱の単位をJ/g・K(ジュール

                  - 13 -

   毎グラム毎ケルビン)とすることがある。両方の温度幅は同じであるので、数値は
   同じになる。
   同じ物質でも、比熱の数値は温度が大きく異なると変化する。
 「モル比熱」は、その物質1molの温度を1℃上げるのに必要とする熱エネルギーの
量を表す。つまり
  「1molあたり、1℃あたり、熱エネルギーの量が何Jか」
を表す。その単位はJ/mol・℃(ジュール毎モル毎度)である。
参考:化学ではこれをモル熱容量と言うことが多い。
[2]実験7では、常温の水100mlつまり100gに、100℃の1円玉(アルミニ
ウム)100gを投入した。あるデータでは、20.3℃の水の温度が35.0℃まで上昇
した。
 まずアルミニウムの比熱(モル比熱ではない!)を求めよう。水の比熱は4.2
J/g・℃である。
    1gを1℃上げるなら、       4.2J
    2gを1℃上げるなら、4.2×2= 8.4J
    2gを3℃上げるなら、8.4×3=25.2J
したがって必要な熱エネルギーの量は次の関係式で計算できる。
    熱エネルギーの量 = 比熱×質量×温度幅
比熱に質量と温度幅の両方をかけ算することを理解するのがポイントである。だから水が
必要とした熱エネルギーの量は
    4.2×100×14.7 = 6174[J]
となる。
 他方でアルミニウムが放出した熱エネルギーの量は、アルミニウムの比熱を x
[J/g・℃]として、同じように計算できる。
    x×100×65.0 = 6500x[J]
エネルギー保存の法則から両者は等しいので、次の方程式が成り立つ。
    6500x = 6174
これを解いて
    x = 0.950[J/g・℃]
となる。
[3]もうひと頑張り! アルミニウムのモル比熱は、1molつまり27gの温度を1
℃上げるのに必要とする熱エネルギーの量であるから
    0.950×27 = 25.7[J/mol・℃]
となる。
 あるデータは、10円玉(銅)180gは、19.8℃から32.2℃まで上昇した。お

                  - 14 -

もり(鉛)390gは、19.6℃から27.6℃まで上昇した。これから同じように計算
すると
          比熱[J/g・℃] モル比熱[J/mol・℃]
  アルミニウム   0.950      25.7
  銅        0.427      27.2
  鉛        0.119      24.6
となる(アルミニウムも含めて)。
問6 自分のデータから、アルミニウム 、銅、鉛のモル比熱を計算せよ。



[4]問6の結果から、金属のモル比熱はほぼ等しいと推測される。これはデュロン・プ
ティの法則と呼ばれる。より正確な数値は次のようである。
    アルミニウム   23.7[J/mol・℃]
    銅        24.1
    鉛        26.1
 以上のように、物質の量をモル単位(物質量)で測ることは意味がある。

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5.現代の化学量論

 化学量論とは、化学に関係する量をどのように扱うかという考え方である。

[a]反応量(その2)
[1]何と言っても物質量(モル単位)を使う最大の利点は、反応量の計算に関係してい
る。化学式や反応式を見れば、それはすぐに読み取れる。そのとき特に、3,4節で勉強
したモル質量とモル体積に関する次の関係式が役に立つ。
  モル質量 =(原子量や式量)[g/mol]    (1)
  気体のモル体積 = 22.4L/mol(0℃、1atmの下)    (2)
[例題2]メタン(天然ガスの主成分)は酸素と次のように反応して二酸化炭素と水を生
成する。
    CH4 + 2O2 ―→ CO2 + 2H2
    メタン
(1)メタン0.2molと反応する酸素は何molか。またそのとき何molの二酸化炭
素と水が生成するか。
(2)メタン6gが燃焼すると何gの二酸化炭素が生成するか。またそのとき必要な酸素
は0℃、1atmの下で何Lか。(原子量:H=1 C=12 O=16)
(1)について

                  - 15 -

 反応式から、CH4 1molと反応する O2 は2molであり、そのとき CO2
molと H2O 2molが生成すると分かる。このことは、物質1molがすべて同じ個
数であることを踏まえている。
 したがって直ちに
    反応する酸素       0.4mol
    生成する二酸化炭素    0.2mol
    生成する水        0.4mol
となる。
(2)について
 前半は CH4 1molから CO2 1molができることを利用する。それではメタン
6gは何molか。関係式(1)から
    16gなら、     1mol
    16×2=32gなら、2mol
    16×3=48gなら、3mol
つまり
    物質量 = 質量/モル質量
あるいは
    質量と物質量の比は一定であり、方程式を立てる
のどちらかである(4節[2]項を参照)。
 前者では
    6/16 = 0.375[mol]
となる。
 それなら二酸化炭素も0.375molできる。それは何gだろうか。また関係式(1)
から
    1molなら、      44g
    2molなら、44×2= 88g
    3molなら、44×3=132g
だから質量は
    44×0.375 = 16.5[g]
となる。
 後半は CH4 1molと O2 2molが反応することを利用する。メタンが0.375
molであることはすでに分かっているので、酸素は
    0.375×2 = 0.75[mol]
が必要である。

                  - 16 -

 その体積は何Lか。関係式(2)から、すぐ上と同様に考えて
    22.4×0.75 = 16.8[L]
となる。
[2][例題2]を踏まえて、現代の化学量論の基本をまとめておこう。
 化学式や反応式から、注目する(2つの)物質の物質量(モル単位)の関係を確認して
    @スタート物質を物質量に換算する。
    Aゴール物質の物質量を見い出す
    Bゴール物質を必要とする量に換算する
この3段階である。
 慣れてくれば問題に応じてもっと要領よく解ける場合もあるだろう。計算を最後にまと
めて行うこともできるし、方程式を活用することもできる。
 そしてくり返し注意する。関係してこれまでに、モル質量、モル体積を始め、密度、パ
ーセント濃度、比熱、モル比熱などの量が出てきた。それを計算するための「公式」を覚
えることは止めよ。その都度くどいように説明してきたが、その量の意味について単位も
参考に検討し、それからどのように計算すべきかを考えよ。それはやがて頭の中でできる
ようになる。
 このような地道な訓練を続けてこそ脳が発達し、本当の意味で関係式を活用する能力も
生まれるだろう。次節のモル濃度も同じである。
[3]原子量を測る実験は、見方を変えると、上の化学量論の確認実験になっている。例
えば実験1では、引用したあるデータ(1節を参照)に基づけば、マグネシウム0.253
gが酸素と化合すると何gの酸化マグネシウムが生成するか、という実験になる。
 原子量は2節の最後の正確な数値を使おう。(原子量:O=16 Mg=24.3) 反
応式は次のようである。
    2Mg + O2 ―→ 2MgO
したがって Mg 1molから MgO 1molができる。反応する Mg は
    0.253/24.3[mol]
であり、生成する MgO も同molである。その質量は
    40.3×(0.253/24.3) = 0.420[g]
になるはずである。この計算値は実際の0.419gとよく一致している。
 実験2,3についても、自分で考えて、確認してみよう。

[b]演習問題
[1]亜鉛1gに十分な量の希硫酸を加えると、0℃、1atmの下で何Lの水素が発生
するか。またそのとき反応する硫酸は何gか(答は小数2位で)。(原子量:H=1
 O=16 S=32 Zn=65) 反応式は次のようである。

                  - 17 -

    Zn + H2SO4 ―→ H2 + ZnSO4
         硫酸        硫酸亜鉛



               (答:水素=0.34L 硫酸=1.51g)
[2]1kgの酸化鉄 Fe23 を製錬する(還元する)と、最大で何gの鉄が得られる
か(答は整数で)。(原子量:O=16 Fe=56)
ヒント:Fe23 1molから、Fe 2molができる。



                    (答:700g)
[3]純度不明の炭酸カルシウム(石灰岩)1.22gに十分な量の希塩酸を加えたら、0
℃、1atmの下で185mLの気体(二酸化炭素)が発生した。炭酸カルシウムのパー
セント濃度を求めよ(答は整数で)。不純物は塩酸と反応しないものとする。(原子量:
C=12 O=16 Ca=40) 反応式は次のようである。
    CaCO3 + 2HCl ―→ CaCl2 + H2O + CO2
   炭酸カルシウム 塩酸    塩化カルシウム   二酸化炭素
ヒント:含まれる炭酸カルシウムが x[g]であるとして方程式を立てよ。純度は最後に
    計算する。



                    (答:68%)
[4]空気中で無声放電すると、次の反応で酸素の一部がオゾンに変化する。
      3O2 ―→ 2O3
空気1000mLが、無声放電によって全体の体積が970mLになった。このとき生成
したオゾンは何mLか。体積の計測はオゾンを含めすべて同温同圧の下で行うとする。
ヒント:その温度、圧力の下では1molの気体はV[L]であるとする(アボガドロの
    法則から、酸素 O2 とオゾン O3 のモル体積は等しい)。すると3V[L]の
    酸素から2V[L]のオゾンができ、したがってそのときV[L]の体積減少が
    ある。


                  - 18 -


                    (答:60mL)
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6.物質量と電気量

[1]電池や電気分解では、反応する物質の量と流れる電気量の間の関係を知りたい。硫
酸銅 CuSO4 水溶液を電気分解すると、

    

陽極では酸素が発生し、陰極では銅が生成する。陰極での反応は次のようである。
    2e- + Cu2+ ―→ Cu
        銅イオン
ここで e- は電子を表す記号である。電池から流出する電気の正体は電子であり、負極か
ら流出する。電気分解では、陰極には電子が流入し、化学反応が起きるのである。そして
正極からは電子が流出し、それを補って化学反応が起きて電子が生成する。硫酸銅水溶液
では、その反応は次のようである。
    2H2O ―→ 4H+ + O2 + 4e-
          水素イオン 
こちらの反応式は後で利用する。
参考:電池や電気分解については、講座プラン「電子やり取り反応の世界」を参照する。
[2]ここで電流の意味に触れておく。これは
    「1sあたり、電気量が何C流れるか」
である。[s]は時間の秒を表し、[C](クーロン)は電気量の単位である。そして電
流の単位は[A](アンペア)である。つまり[A]の中身は[C/s](クーロン毎秒)
である。
 練習してみよう。0.2Aの電流を10分間通す。流れる電気量は
    0.2×10×60 = 120[C]
となる。この数値は実験8で登場する。
[3]さて流れる電気量と生成する銅の質量の関係を考える。陰極の反応式から、電子2
molが流れると銅1molが生成する。つまり電子1molが持つ電気量を知りたい。
それは電子1個が持つ電気量(電気素量)

                  - 19 -

    1.602×10-19[C]
に、アボガドロ定数を掛ければよい。
    1.602×10-19 ×6.022×1023 = 96472
より正確な数値は
    96480[C/mol]
であり、通常は
  電子1molの電気量 = 96500[C/mol]    (3)
を使う。これはファラデー定数と呼ばれる。5節の化学量論の関係式に加えて記憶しよう。
 ここまで来れば簡単! 実験8では120Cの電気量を流すつもりであるから、流れる
電子は
    120/96500[mol]
生成する銅は
    (120/96500)/2[mol]
モル質量を使って
    63.5×(120/96500)/2 = 0.0395[g]
と予測される。
[4]実験8では、硫酸銅水溶液をクッキングペーパーに浸み込ませ、炭素板(陽極)と
銅板(陰極)でサンドイッチして、電気分解した。そしてあるデータでは、39mgの銅
が生成した。これで学習内容に確信が持てたであろう。
 さて、実験8では同時に、陽極では酸素が発生する。その体積は0℃、1atmの下で
何mLだろうか。
 陽極の反応式から、電子4molが流れると酸素1molが発生する。流れる電子は上
と同じであるので、生成する酸素は
    (120/96500)/4[mol]
気体のモル体積(0℃、1atmの下)を使って
    22.4×(120/96500)/4 = 0.0070[L]
つまり7.0mLの酸素が発生する。実際には酸素は電極などと反応するので、理論値に近
い結果を得るのは難しい。
[演習問題]アルミニウムを利用して電池をつくると、負極では次の反応が起きる。
    Al ―→ Al3+ + 3e-
20gの500mLアルミ缶では、理論的に何Cの電気量が流せるか。また電流を1Aに
保つとどれだけの時間流せるか。



                  - 20 -

                    (答 214000C,59時間)

 化学では「物質量」でつまずく生徒が多いと言われる。その原因のひとつは、本文でも
触れたように、比例概念の訓練が不足しているためであろう。これを克服すれば、化学だ
けでなく自然科学全体の基礎を身につけることになる。



実 験

        目 次
  
実験1 マグネシウムの原子量
  実験2 水素の原子量
  実験3 硫黄の原子量
  実験4 1molの物質
  実験5 単分子膜の面積(アボガドロ定数)
  実験6 結晶構造と1molの体積(アボガドロ定数)
  実験7 金属の比熱
  実験8 銅が生成する量

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テキストの関連部分(その1)へ
テキストの関連部分(その2)へ
実験1 マグネシウムの原子量
(1)空の「鉄製るつぼ」の質量を化学天びんで測る。
    るつぼの質量 (      )g
(2)るつぼを容器にして、マグネシウム粉末(か粒)0.25gほどを正確に測り取る。
    マグネシウムの質量 (     )g
(3)マグネシウムが底全体に広がるようにし、三脚に乗せた三角架にるつぼを置き、バ
ーナーの中火で数分間加熱し、様子を観察する。
参考:強火にすると激しく燃焼して、酸化マグネシウムが白煙になって失われる。
(4)冷めたら、るつぼ全体の質量を測る。
    酸化マグネシウムの質量 (     )g
(5)酸化マグネシウムの化学式は MgO である。マグネシウムの原子量を計算してみ
よ。
<準備などのメモ>
・「鉄製るつぼ」
  甘露ひしゃく(底面の外径が30mm)の柄を切断してつくる。
・化学天びん
  mgまで測れるもの

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テキストの関連部分へ
実験2 水素の原子量
(1)200mLメスシリンダーに水を満たし、空気を入れないようにラップで包み、半
分ほど水を入れた水そうに倒立させ、ラップを外す。
(2)「導管部」の元をピンチコックで締め、ゴム管の先に水が入らないようにスチロー
ル球(φ5mm)で軽くせんをし、「捕集台」を通してメスシリンダーの最上部に差し入
れる。
(3)100mL三角フラスコに2mol/L塩酸15mLを入れる。

                  - 21 -

(4)マグネシウムリボン約13cmを、サンドペーパーで磨き、その質量を正確に測る。
    マグネシウムの質量 (     )g
参考:リボンは0.16gくらいにする。
(5)リボンを巻いてゴムせんの下の銅線に引っかけ、落とさないようにゴムせんを三角
フラスコに締め、ピンチコックをガラス管の位置にもどす。
(6)リボンを落として水素を発生させる。
注意:スチロール球が外れる反動でメスシリンダーが倒れる可能性があるので、手で軽く
支える。
(7)数分放置し、その間に室温を測る。
    室温 (  )℃
参考:三角フラスコを水そうに浸けて冷やすとよい。
(8)ゴム管中の気体がメスシリンダーに入らないように指で押さえて手早く引き出し、
メスシリンダーの気体の体積を測る。
    水素の体積 (     )mL
(9)フラスコの廃液は中和処理にまわす。
(10)水素の密度と水蒸気圧を使って、水素の質量を計算する(1節の[4]項と
[5]項を参照)。
    水素の質量 (     )g
 反応式は次のようである。
    Mg + 2HCl ―→ H2 + MgCl2
水素の原子量を、マグネシウムの原子量を使って計算してみよ。
<準備などのメモ>
・「導管部」
 5号ゴムせん、銅線、ガラス管(φ6、8cm)、ピンチコック、ゴム管(80cm)
・「捕集台」
 ポリコップの底部を利用して作成

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テキストの関連部分へ
実験3 硫黄の原子量
(1)100mLビーカーに約20mLの水を入れ、全体の質量を化学天びんで測る。
    水の入ったビーカーの質量 (      )g
(2)濃硫酸(98%)を5mLピペットで20滴ほど加え、再び質量を測る。
    濃硫酸の質量 (     )g
参考:濃硫酸は0.90gくらいにする。
(3)マグネシウムリボン約25cmを、サンドペーパーで磨き、その質量を測る。
    マグネシウムの質量 (     )g

                  - 22 -

参考:リボンは0.28gくらいにする。
(4)リボンを4つに切り、始めに3つを投入する。反応がゆっくりになったら、温度計
で調べながら70℃まで加熱する。
(5)反応が終わったら4つ目のリボンを投入し、振り混ぜたりして反応が終わるのを待
つ。
(6)ほとんど気体が発生しなくなったら、リボンをピンセットで取り出し、水洗いして
ヘアドライヤーで乾燥し、その質量を測る。
    反応したマグネシウムの質量 (     )g
(7)パーセント濃度から、硫酸自身の質量を計算する。
    硫酸自身の質量 (     )g
 反応式は次のようである。
    Mg + H2SO ―→ H2 + MgSO4
できれば硫黄の原子量を、マグネシウム、水素、酸素の原子量を使って計算してみよう。

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テキストの関連部分へ
実験4 1molの物質
 正確な原子量を利用して、1molの
    硫黄原子 S
    水分子 H2
    ブドウ糖分子 C6126
    塩化ナトリウム NaCl
を測り取れ。容器はポリコップを使う。

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テキストの関連部分へ
実験5 単分子膜の面積(アボガドロ定数)
 ステアリン酸は水面に薄い膜をつくって広がる。単純に考えて、ステアリン酸分子は立
方体でありそれが図のように水面に並んで「単分子膜」をつくると仮定して、アボガドロ
定数を求めてみよう。

    

(1)バットを洗剤でよく洗い、水でよくすすぐ。
(2)50mLビーカーに、目盛りを利用してヘキサン50mLを注ぐ。
(3)ステアリン酸0.015gを化学天びんで測り、ガラス棒でかき混ぜてヘキサンに溶
かす。

                  - 23 -

参考:ステアリン酸の質量[g]の数値は、溶液の体積[mL]の(0.015/50=)
   1/3300である。また密度を1g/cm3 とするとステアリン酸の体積[mL]
   も、溶液の体積[mL]の1/3300である。
(4)2mLピペットで、上の溶液0.5mLを採り、滴下して何滴かを調べる。
    0.5mL (  )滴
(5)バットに水を張り、マーブリング液1滴だけをフロートを使って水面に広げる。
(6)中央に上の溶液を20滴だけ滴下し、できる単分子膜の広がりを確認する。
参考:ヘキサンは揮発して失われる。
(7)方眼紙を被せて写し取り、新聞紙に挟んで水を吸い取り、1cm2 のます目がいく
つあるか数えて面積を求める。
    単分子膜の面積 (   )cm2
参考:半分以上が白います目を数える。
(8)バットを再び洗剤で洗う。
(9)残ったヘキサン溶液は、燃焼処理にまわす。
(10)まず単分子膜の厚み、つまりステアリン酸分子の大きさ(立方体の1辺)を計算
せよ。
 次にその2乗を分子の断面積(立方体の面)として、溶液20滴に含まれるステアリン
酸分子の個数を計算せよ。
 そしてステアリン酸 C1735COOH の分子量は284である。アボガドロ定数を計
算してみよう。
<準備などのメモ>
・バット
  特大 325×445×70mm
・マーブリング液
  マーブリングセット(墨雲堂)

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テキストの関連部分へ
実験6 結晶構造と1molの体積(アボガドロ定数)
(a)結晶構造
(1)結晶は、単位格子と呼ばれる立体が積み重なったものとして表現される。単位格子
が立方体である次の物質の結晶モデルを詰め直すことで、いくつの原子や分子(正確には
化学式)が含まれるかを調べる。
・鉄 Fe
  これは体心立方格子と呼ばれる。鉄の場合は1辺が2.87×10-8 cmである。
  含まれる鉄原子 (  )個
・アルミニウム Al

                  - 24 -

  これは面心立方格子と呼ばれる。
  アルミニウムの場合は1辺が4.05×10-8 cmである。
  含まれるアルミニウム原子 (  )個
・塩化ナトリウム NaCl
  文字通り塩化ナトリウム型と呼ばれる。
  塩化ナトリウムの場合は1辺が5.64×10-8 cmである。
  含まれる NaCl  (  )個
参考:1辺は、エックス線解析で計測される(数値は化学便覧より)。
備考:結晶モデルのつくり方は、「結晶模型の作成」(HPの「私が好きな実験
   (〜03.1)」の中)を参照する。
(b)1molの体積
 1molの物質の質量は、原子量や式量にg(グラム)を付けた量であるから
    鉄        55.9g
    アルミニウム   27.0g
    塩化ナトリウム  58.5g
である。次の計測から、それぞれの1molの体積を求める。
(1)鉄とアルミニウムは、定規と台ばかりでブロックの体積と質量を測る。
    鉄ブロックの体積 (    )cm3
          質量 (   )g
    鉄1molの体積 (    )cm3
    アルミニウムブロックの体積 (    )cm3
               質量 (   )g
    アルミニウム1molの体積 (     )cm3
(2)塩化ナトリウムは、B4用紙の上でカッターの刃と金づちを使って、天日塩をへき
開して直方体を切り出し、ノギスと化学天びんでその体積と質量を測る。
参考:天日塩の中に直方体が隠れている。直方体は直交する2つのへき開面が分かれば切
   り出せる(3つ目のへき開面は両者に直交する)。へき開面では結晶は容易に割れ
   る。天日塩を注意深く観察し、見つからない場合は端近くを割ってみる。直方体は
   3辺の合計が1.5cm以上になるようにする。
    直方体の辺の長さ
      (    )cm (    )cm (    )cm
参考:ノギスは0.05cm単位で計測する。そして2回計測して、確認する。
    塩化ナトリウムの体積 (     )cm3
            質量 (     )g
    塩化ナトリウム1molの体積 (    )cm3

                  - 25 -

注意:天日塩の残がいは汚さないように回収する(飽和食塩水にする)。
備考:これは大阪教育センターの山本さんの方法である。
(c)アボガドロ定数
(1)それぞれの物質1molに単位格子がいくつ含まれるか、そして単位格子に含まれ
る原子や分子(正確には化学式)の個数を考慮して、アボガドロ定数を計算してみよう。
<準備などのメモ>
・鉄とアルミニウム
  5cm角のブロック
・天日塩
  ジャパンソルト(株)東京支社(電話03−3538−1112)

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テキストの関連部分へ
実験7 金属の比熱
(1)1円玉100枚の質量を台はかりで測り、水切りネットに入れる。
    アルミニウム (   )g
10円玉40枚、魚釣りのおもり10個も、同じように操作する。
    銅 (   )g
    鉛 (   )g
(2)300mLビーカーに水200〜250mLを入れて、バーナーで加熱する。
(3)275mLポリコップを二重にし、メスシリンダーで水100mLを入れる。これ
を3セット準備し、ひとつめにデジタル温度計を入れ、温度を測る。
    常温 (    )℃
(4)水が沸とうしたら、1円玉ネットを沈め、3分ほど沸とう状態にする。
(5)手早くネットを取り出し、机の上で数回トントンと水を切り、すぐにコップに沈め、
上下させて最高温度を測る。
    最高温度 (    )℃
注意:コップの水をこぼさない。
(6)10円玉ネット、おもりネットも、同じように操作する。
    銅: 常温 (    )℃  最高温度(    )℃
    鉛: 常温 (    )℃  最高温度(    )℃
(7)終わったら、コインやおもりはバットに広げて、乾燥する。
(8)水の比熱4.2J/g・℃を使って、それぞれの比熱を計算せよ。
 また次のモル質量を使って
    アルミニウム   27.0[g/mol]
    銅        63.6
    鉛       207

                  - 26 -

1mol当たりの比熱[J/mol・℃](モル比熱)を計算せよ。
<準備などのメモ>
・おもり
  釣り鐘状 10号
  糸を通す真ちゅう部は無視する。
・水切りネット
  再生PETがメインの質量が無視できるストッキング状のネット(17×20cm)
  (大日産業 商品名「水切革命」)
・デジタル温度計
  ナカムラ NT−390
備考:飯田さんの実験を参考にした。

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テキストの関連部分へ
実験8 銅が生成する量
(1)銅板をナイロンたわしで磨いて水洗いし、ヘアドライヤーで乾燥し、常温にもどっ
たらその質量を化学天びんで測る。
    銅板の質量 (  .   )g
(2)トレイの底を上にして銅板をおき、1枚のクッキングペーパーを被せて5%硫酸銅
水溶液7mlを浸み込ます。
(3)セロハンを被せてもう1枚のペーパーを乗せ、さらに水溶液7mlを浸み込ます。
(4)これに炭素板を被せ、電流計とすべり抵抗器を直列に加えて乾電池(3V)につな
ぎ、時刻を確認する。
    スタート (  )分(  )秒
(5)すぐに抵抗器を加減して電流を0.2Aになるように調節を続ける。
参考:やがて電流は安定する。
(6)10分(600s)経ったら電気を切り、銅板を水洗いし、ドライヤーで乾燥し、
常温にもどったらもう一度その質量を測る。
   できた銅の質量  (  )mg
<準備などのメモ>
・銅板(45×150mm)、炭素板
・時計(秒まで読めるもの あるいはストップウオッチ)
・クッキングペーパー(5×14cm)、セロハン(10×19cm)
・乾電池(単1を2本)とクリップコード
・小型すべり抵抗器(5Ω 2W以上)
・電流計(フルスケール500mA)
・ヘアドライヤー

                  - 27 -




参 考

        目 次
  
実験の計測例など
  応用実験1 銀の原子量
  応用実験2 ナトリウムの原子量
  応用実験3 窒素、炭素の原子量
  応用実験4 水の電解(アボガドロ定数)

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実験の計測例など
<実験1 マグネシウムの原子量>
・マグネシウムの含有量  60.4%(60.4%と60.5%)
・マグネシウムの原子量
  16×(60.4/39.6) = 24.4
<実験2 水素の原子量>
・マグネシウム0.158gから、14℃で158mLの水素が発生
<実験3 硫黄の原子量>
・硫酸の質量 0.989[g]×0.98 = 0.969[g]
 反応したマグネシウム  0.298−0.060 = 0.238[g]
・硫酸の分子量
    24.3×(0.969/0.238) = 98.9
 硫黄の原子量
    98.9−66 = 32.9
<実験5 単分子膜>
・0.5mlが25滴  面積は482cm2
・メタンの大きさ(化学便覧より)
(a)メタンのC−H  1.10A(2種の計測法の平均)
   水素のファンデルワールス半径  1.2A
   メタンの大きさ  2.3×2 = 4.6[A]
(b)面心立方格子  a=5.98A(139K)
   メタンの大きさ  5.98×1.414/2 = 4.23[A]
<実験6 結晶構造と1molの体積>
・鉄  5cm角で125cm3 で、982g
 アルミニウム  5cm角で125cm3 で、335g
 塩化ナトリウム
  体積  0.670cm、0.735cm、0.710cm  0.350cm3
  質量  0.746g
<実験7 金属の比熱>
・アルミニウム  100gで、20.3 ―→ 35.0℃

                  - 28 -

 銅  180gで、19.8 ―→ 32.2℃
 鉛  390gで、19.6 ―→ 27.6℃
<実験9 銅が生成する量>
・生成した銅  30.565−30.525 = 0.039[g]

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応用実験1 銀の原子量
 これは講座プラン「元素と原子の発見」の実験4「酸素の発見」を、銀の原子量の計測
に利用しようとするものである。
<計測例>
・銀の含有量  93.1%(93.1%と92.9%)
・銀の原子量
  16×(93.1/6.9)/2 = 107.9

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応用実験2 ナトリウムの原子量
(1)100mLメスシリンダーに水を満たし、空気を入れないようにラップで包み、
2/3ほど水を入れた1Lビーカーに倒立させ、ラップを外す。
(2)ろ紙の上で、ナトリウムをピンセットとカッターで切って灯油を拭い、表面を薄く
切り除き、化学天びんでその質量を測る。
    ナトリウムの質量 (     )g
参考:ナトリウムは0.16〜0.17gくらいにする。
(3)ナトリウムを3等分し、それぞれを小さく切った薬包紙でおひねりにし、ひとつず
つピンセットでメスシリンダーの中に入れ、ゆすって反応させ、水素を発生させる。
注意:水で濡れたピンセットはすぐにティッシュで拭く。
   ナトリウムが小さく爆発することがある。
(4)室温を測り、しばらくしてメスシリンダーの気体の体積を測る。
    室温 (  )℃
    水素の体積 (     )mL
(5)水溶液はホウ酸で中和する。
(6)水素の密度と水蒸気圧を参考にして(1節の[4]項と[5]項を参照)、水素の
質量を計算する。そしてナトリウムの原子量を、水素の原子量を使って計算してみよ。
<計測例>
・ナトリウム0.158gから、21℃で78.0mLの水素が発生
 水素の質量
  0.0780×0.0828×0.976 = 0.00630[g]
・ナトリウムの原子量

                  - 29 -

  1.00×(0.158/0.00630) = 25.1

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応用実験3 窒素、炭素の原子量
(1)「注射器」の穴にゴムせんを締め、リングをスタンドの「はさみ」にひっかけて引
いて内部を真空にし、ビスを差し込んで固定し、化学天びんで全体の質量を測る。
    真空 (      )g
(2)注射器を元に戻し、連結チューブを使って、簡易ボンベの酸素を注射器に詰め、ビ
ス、ゴムせんを付けて、全体の質量を測る。
    酸素 (      )g
注意:ビスを差し込み、ピストンを押してゴムせんをする。
(3)同様に、窒素を詰めたとき、二酸化炭素を詰めたときの質量を測る。
    窒素    (      )g
    二酸化炭素 (      )g
(4)アボガドロの法則を活用して、窒素の原子量を求めよ。また二酸化炭素の分子量か
ら炭素の原子量を求めよ。
参考:体積を確認し室温を測れば、気体の状態方程式を利用した計算もできる。
<準備などのメモ>
・「注射器」
 50mLディスポーザブル注射器に、50mmのビス(φ3)で約50mLで固定でき
るようにシリンダーとピストンを貫通する穴を空け、またカードリング(φ40mm)を
通せるようにピストンに穴を空ける。また針をさす穴を塞ぐための2号ゴムせんに途中ま
で穴を空ける。ドリルはすべて4mmを使う。
・化学天びん
  注射器を計量するための風よけ円筒を工作用紙でつくる。
・スタンド
  「はさみ」の棒にクッションを巻き付ける。
・連結チューブ
  耐寒透明チューブ(内径3mm、外径6mm)  8cm
<計測例>
・注射器の質量
  真空(50mL) 36.205g
  酸素       36.267
  窒素       36.259
  二酸化炭素    36.291
    室温  22℃

                  - 30 -

・窒素の原子量
  2x = 32×(0.054/0.062)
  x = 13.9
 炭素の原子量
  (y+32)= 32×(0.086/0.062)
  y = 12.4
・状態方程式からの分子量
  酸素      30.0
  窒素      26.2
  二酸化炭素   41.7
備考:小さめの結果は、真空時の質量が、注射器が圧しつぶされて浮力が小さくなり、大
   きめになるためか?

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応用実験4 水の電解(アボガドロ定数)
(1)「電解装置」の炭素電極の1cm上まで、1mol/L硫酸を注ぐ。
(2)乾電池(6V)を電源に、10Ωすべり抵抗器、「電解装置」、電流計を直列につ
なぐ。ただし電池の正極のみは接続しないでおく。
(3)30mLの位置にビニールテープを貼った試験管に1mol/L硫酸を満たし、細長
く切ったラップの端で、空気が入らないように包み、倒立して電解装置に立て、静かにラ
ップをとり、陰極の電極がすこし入るようにスタンドに固定する。
注意:2方向から、発生する気体が捕集される位置になっているか確認する。
(4)時刻を確認して正極を接続し、すぐに抵抗を加減して電流が0.3Aになるように調
節を続ける。
参考:すぐに電流は安定する。
    スタート (  )分(  )秒
(5)気温を計測しておく。
    気温 (  )℃
(6)発生した水素が30mLになったら時刻を確認し、電気を切る。
    電気を流した時間 (   )秒
(7)硫酸はもとのびんに戻し、器具を水洗いする。
(8)流れた電気量と、水素の物質量
    n = PV/RT
       (圧力[atm]×体積[L]/0.0821(気体定数)×絶対温度[K])
を計算する(圧力は水蒸気圧を考慮するとよい)。
 反応式
    2e- + 2H+ ―→ H2

                  - 31 -

を参考に電子1molの電気量を求め、電気素量
    1.602×10-19[C]
を使って、アボガドロ定数を計算せよ。
<準備などのメモ>
・「電解装置」
 100mlJPボトルのふたに01号ゴムせんの穴を2つあける(ゴムせんはふたの内
側から差し込む)。容器は底を切り落とす。ゴムせんには炭素棒(φ4mm)を通し、電
極の長さ(ゴムせんの上)は2.5cmにする。ふたを受ける穴のあいたコの字の台をつく
る。
・1mol/L硫酸
  くり返し使用する。
参考:陽極の炭素棒は傷むので、数回で取り替える。
<計測例>
・電気を流した時間  734秒
  電気量  0.3×734 = 220[C]
 室温  21℃(21℃の水蒸気圧は19mmHg)
  水素の物質量
    (741/760)×0.03/0.0821×294 = 0.00121[mol]
・アボガドロ定数
  {220/(0.00121×2)}/1.602×10-19 = 5.67×1023



                  - 32 -


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