- 1 -
<記録>
(b)33円電池
(1)ろ紙を2回折り、はさみで10円玉の形に12枚切り取り、10円、ろ紙4枚、1
円、さらに10円、ろ紙4枚、1円・・・と三重にし、大きい洗濯ばさみで挟む。
(2)50mLビーカーに食酢約10mLを採り、すこし食塩を加えて振り混ぜる。
(3)これに(1)のセットを浸ける。
(4)取り出してメロディテスターにつないでみる。正極・負極が正しければ音楽を楽し
むことができる。また電卓が使えるか試してみる。
<記録>
<準備>
・銅板、亜鉛板 4.5×15cm
端1cmをサンドペーパーで磨く。
・クッキングペーパー 4.5×12cm
・セロハン 10×19cm
・クリップコード、豆電球、(ソーラー)モーター
・メロディテスター、電卓
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実験2 電子やり取りの化学反応
(a)金属の反応
(1)4枚のチャック付きポリ袋にそれぞれ次の@〜Cの水溶液約30mL(試験管で9
分目)を入れ、指定した金属を差し入れて、500mLビーカーに立て掛けて様子を観察
する(時間をかけて変化していく)。
@1%硝酸銀水溶液 に 銅板
A2%酢酸鉛水溶液 に 亜鉛板
B2%硫酸銅水溶液 に 鉄くぎ
C2%硫酸鉄(U)水溶液 に 銅板
参考:鉄くぎは3本を頭から差し入れる。
(2)100mLビーカーに6mol/L塩酸約10mLを入れ、アルミホイルをかるく丸
めて投入する(しばらくしてから反応が起こる)。
- 2 -
(3)10分経ったら@で銅板に付着したものを薬さじでろ紙の上に移し、薬さじでこす
り付けてみる。またBで鉄くぎに付着したものをろ紙で拭って、薬さじでこすり付けてみ
る。
(4)ポリ袋の反応混合物のうち、@とAは廃棄用ビーカーAに入れ、残りは水を流しな
がら流しに捨てる。ポリ袋は「不燃物」に捨てる。
100mLビーカーの反応混合物は廃棄用ビーカーBに入れる。
参考:本来は廃棄物の処理まで自分でするべきである。
<記録>
@銅と硝酸銀
A亜鉛と酢酸鉛
B鉄と硫酸銅
C銅と硫酸鉄(U)
アルミホイル
<準備>
・チャック付きポリ袋 85×60mm
・鉄くぎ 125mm
・アルミ箔 10cm四角
(b)非金属などの反応
[ヨウ化カリウムと塩素]
(1)試験管に2%ヨウ化カリウム水溶液5mLを入れる。
D(2)ドラフトにある試験管中の塩素を乾いたピペットで吸い取り、(1)の試験管の
水面に近くに吹き込み、ゴムせんをして振り混ぜて様子を観察する。
注意:塩素は毒性がある。塩素は緑黄色であるが見えにくい。
参考:塩素は空気より重い。まるで液体を扱うように操作するとよい。
(3)別の試験管に0.1%デンプン水溶液5mlを採り、(2)の反応溶液を数滴加えて、
その変色を調べる。
<記録>
- 3 -
[亜鉛とヨウ素](演示実験)
(1)乾いた蒸発皿に、亜鉛粉末薬さじ1杯と粉末にしたヨウ素1杯(やや少なめ)を採
って、ガラス棒で混ぜる。
D(2)ピペットで少しずつ水をかけていき、様子を観察する。
注意:煙は毒性がある。煙が出なくなるまで水をかける。
<記録>
[塩化鉄(V)と硫化水素]
(1)50mL三角フラスコに2%塩化鉄(V)水溶液約15mL(試験管で半分弱)を採
る。
D(2)Y字管の中で硫化ナトリウムに塩酸を少しずつ混合し、発生する硫化水素を水溶
液中に吹き込み、様子を観察する。
注意:硫化水素は毒性がある。
<記録>
[銅と硫酸および過酸化水素]
(1)試験管に3mol/L硫酸3mLを入れ、丸めた銅線を投入してしばらく様子を観察
する。
(2)続いて35%過酸化水素水3mLを加え、様子を観察する。
注意:過酸化水素水が手についたら、すぐに水で洗う。
参考:銅線に過酸化水素のみを加えても変化しない。
<記録>
<準備>
・塩素
試験管にさらし粉数粒を入れ、6mol/L塩酸1mLを加えて塩素を発生させ、ゴム
せんをしておく。
・硫化水素
- 4 -
Y字試験管に硫化ナトリウム2gそして6mol/L塩酸5mLを入れ、導管を付けて
おく(グループ数)。
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実験3 電池になるか(演示実験)
(1)実験1(a)ダニエル型電池において、セロハンの代わりに透明塩ビ板を使うと、
豆電球やモーターはどうなるか。
(2)また、セロハンの上のクッキングペーパーに、塩化ナトリウム水溶液の代わりに水
を浸み込ませると、豆電球やモーターはどうなるか。
<記録>
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実験4 いろいろな電池
(a)非金属だけの電池
(1)木板に炭素板を置いてクッキングペーパー2枚を載せ、10%硫化ナトリウム水溶
液12mLを浸み込ませ、セロハンを被せる。
(2)さらにクッキングペーパー2枚を載せ、2%ヨウ化カリウム水溶液12mLを浸み
込ます。
(3)粉末のヨウ素を薬さじで振りかけてもう1枚の炭素板を被せる。
(4)豆電球やモーターをつないでみる。電圧計(マルチメーター)で正極・負極を確認
する。
(5)終わったら、上の炭素板を取り除いて、残ったヨウ素に10%チオ硫酸ナトリウム
水溶液数mLをかけ、脱色したらペーパー類は廃棄用ビーカーCに入れる。
<記録>
<準備>
・炭素板(170×40×5mm ターミナル付き)
・10%硫化ナトリウム水溶液
九水和物10gを水90mLに溶解する。
・セロハン 10×19cm
・粉末のヨウ素
乳鉢で擦ったもの
- 5 -
(b)組み立て式燃料電池
注意:金網自身に手で触れないようにする。
(1)1人がラテックス・グローブをして、塩ビ板の「支え」を入れたプラスチック容器
に「パラジウムめっきしたステンレス金網」をセットしたふたをはめ、クッキングペーパ
ー2枚に1mol/L水酸化カリウム9mLを浸み込ませて被せる。
注意:電極は容器の穴と反対に出るようにする(次も同じ)。
(2)さらに「塩ビ枠」にセットした同じ「金網」(金網面が下側)、発泡スチロールの
「固定枠」を順に載せ、輪ゴム2つを掛ける。
(3)もう1人がソーラーモーターをつなぎ、容器の穴から簡易ボンベを使って水素を注
入してビニールテープでふさぎ、様子を観察する。
注意:水溶液が吹き上がるようになるので、目に入らないようにする。
水素は節約して使う。
(4)そしてどちらの金網が正極か、電圧計(マルチメーター)で調べる。
(5)終わったら、クリップコードを外して、そのまま返却する。
<記録>
<準備>
・プラスチック容器
小出し容器(100円均一)
・パラジウムめっきしたステンレス金網
ビタミンCを加えた塩酸で処理したステンレス金網に、塩酸を加えた塩化パラジウム
(U)水溶液で電気めっきする。
・クッキングペーパー 7×8cm
・塩ビ枠
厚み0.5mm 6.4×7.4cm
以上の詳細はホームページの「組み立て式燃料電池」を参照する。
http://www.water.sannet.ne.jp/masasuma/masa/ne88.htm
(c)鉛蓄電池
(1)木板に鉛板を置いてクッキングペーパー4枚を載せ、1mol/L硫酸20mLをし
み込ませ、もう1枚の鉛板を被せる。
(2)手まわし発電機をつないで2,3分ハンドルを回す。上の鉛板を発電機の正極につ
- 6 -
なぐことにする。
注意:2つのクリップは反対側にかませる。
参考:発電機は右回しするとコンセントの上側が正極になる。
(3)そしてハンドルを放す。ハンドルが回っているとき、鉛板のクリップを外したり、
かませたりしてみる。また電圧計(マルチメーター)で正極・負極を確認する。
(4)ハンドルが止まったら、再びしばらく発電機を回し、クリップを外して上の鉛板の
裏側を観察する。そしてクリップをかませてハンドルが回るようにする・・・。
(5)終わったら、ピンセットでペーパーを廃棄用ビーカーDに入れる。
<記録>
<準備>
・手まわし発電機
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実験5 塩化鉛(U)の電気分解(演示実験)
(1)短い試験管に塩化鉛(U)10gを入れる。
注意:塩化鉛(U)は毒性がある。
D(2)図のようにレトルト台に器具ばさみで45°に固定し、バーナーで強く加熱する。
注意:試験管の上部が炎から離れるように固定し、ガスバーナーとの高さを調節する。

D(3)炭素電極をクリップコードで直流電源に接続して、スイッチを入れて電圧を6V
にして待つ。
注意:図のように下に長い方の炭素棒が下側に来るようにして、必ずこちらを陰極にする。
クリップがショートしないようにする(ヒューズ付きコードを使う)。
D(4)融解したら炭素電極を差し込み、泡がほどよく発生するように電圧を調節する
(電流を約2.5Aにする)。
D(5)陽極から塩素が発生していることをチェックしつつ、10分間電気分解する。
- 7 -
D(6)試験管の底に銀色の玉が生成していることを確認して、まず炭素電極を取り出し、
それからバーナーの火を消す。
注意:先に火を消して放置すると、炭素電極が固着して外れなくなる。
(7)冷めたら試験管ごとわら半紙に包んで金づちで砕いて鉛を取り出し、板の上で金づ
ちでたたいてその展性を調べる。
参考:鉛は水洗いして記念にする。
(8)未反応の塩化鉛(U)やガラスの破片は廃棄用ビーカーに入れる。
備考:塩化鉛(U)はガラス片をとり除いて、次の機会に利用する。
<記録>
<準備>
・短い試験管(13cmにカット)
・炭素電極
炭素棒(φ5×20cm)2本を紙を挟んで束ねたもの
・クリップコード ×2(一方はヒューズ(3A)付き)
・直流電源
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実験6 水の電気分解
(a)硫酸ナトリウム水溶液
(1)トレイの底を上にしてステンレス板を置き、その上にろ紙4枚を載せる。
参考:底からすこしはみ出させるとクリップを接続しやすい。
(2)これに次のどちらかの液15mlをまんべんなく浸み込ませる。
@硫酸ナトリウム水溶液にBTBを加えたもの
A硫酸ナトリウム水溶液にフェノールフタレインを加えたもの
(3)もう1枚のステンレス板を、下とすこしずらして被せて動かないように指で軽く押
さえ、上のステンレス板が陽極になるようにつないで手まわし発電機を2分以上まわす。
注意:ステンレス板のそりに注目して、上下が接触しないようにする。
(4)上のステンレス板を取り外し、ピンセットでろ紙を1枚ずつはがして色を調べる。
<記録>
(b)希硫酸
- 8 -
(1)試験管に1mol/L硫酸を一杯に入れ、「電解用ゴムせん」をしっかりして逆さに
する。
注意:希硫酸が付いた手はすぐに洗う。((4)も同じ)
(2)ステンレスくぎにクリップコードを接続して、300mLビーカーの中に立て掛け
る。
(3)単1乾電池4本のホルダーに接続して電気分解をする。
(4)水溶液がほぼ出尽くしたら、ゴムせんを外して手早く指でふたをして試験管の口を
上にし、マッチで点火する。
(5)ビーカーの希硫酸は廃棄用ビーカーBに入れる。
<記録>
<準備>
・ステンレス板(0.5mm 15cm角)
・ろ紙(φ110mm)
・硫酸ナトリウム水溶液にBTBを加えたもの
2%硫酸ナトリウム水溶液に、その体積の10%のBTB溶液を加える。
・硫酸ナトリウム水溶液にフェノールフタレインを加えたもの
2%硫酸ナトリウム水溶液に、その体積の1%のフェノールフタレイン溶液を加る。
・電解用ゴムせん

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実験8 いろいろな電気分解
(a)金属が生成する
(1)木板にステンレス板を置いてクッキングペーパー4枚を載せ、2%硫酸亜鉛水溶液
10mLを浸み込ます。
(2)もう1枚のステンレス板を被せて動かないように軽く指で押さえ、乾電池(6V)
につないで約2分電気分解し、様子を観察する。
注意:上の金属板が陽極になるようにする(以下同じ)。
- 9 -
2枚の金属板をずらすと、ショートしにくい。
(3)上のステンレス板とペーパーを取り除き、下のステンレス板の表面を観察し、1
mol/L硫酸をピペットで少しずつかける。
(4)ペーパーは廃棄用ビーカーEに入れ、ステンレス板はナイロンたわしで水洗いして
次の実験にまわす。板も水洗いして次にまわす。
<記録>
(b)非金属が生成する
(1)木板にステンレス板を置いてクッキングペーパー4枚を載せ、2%ヨウ化ナトリウ
ム水溶液10mLを浸みこます。
(2)もう1枚のステンレス板を被せて動かないように軽く指で押さえ、乾電池(6V)
につないで約2分電気分解し、様子を観察する。
(3)試験管に0.1%デンプン水溶液5mLをとり、上のステンレス板を取り外し、変色
した上側のペーパー3mm四角くらいを試験管に投入して振り混ぜる。
(4)ペーパーに10%チオ硫酸ナトリウム水溶液数mLをかけて脱色する。
<記録>
(c)電極が反応する
(1)木板にステンレス板を置いてクッキングペーパー2枚を載せ、1mol/L硫酸銅水
溶液5mLを浸み込ませ、セロハンを被せる。
(2)さらにクッキングペーパー2枚を載せ、1mol/L硫酸5mLを浸み込ませる。
(3)銅板を被せて動かないように軽く指で押さえ、乾電池(6V)につないで約2分電
気分解し、様子を観察する。
(4)銅板を取り外し、銅板と上側のペーパーを観察する。下側のペーパーを取り除き、
ステンレス板を観察する。
(5)上側のペーパー2枚は廃棄用ビーカーD入れる。
<記録>
<準備>
- 10 -
・ステンレス板 0.3×45×150mm
・クッキングペーパー 4.5×6cm
・セロハン 10×9cm
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実験9 ニッケルめっき
(1)各自が、銅のプレートをわら半紙の上に載せ、皮脂が付いたりミスをしたりしない
ように、油性マジックペンで名前やイラストなどを描く。
注意:プレートはエッジを持つようにする。
(2)ヘアドライヤーでインクを乾燥する。
(3)炭素棒の先に、4つ折りしたさらしを被せて輪ゴムで止める。
(4)クリップコードで、炭素棒を乾電池(6V)の正極に、ステンレス線を負極に接続
する。
(5)ステンレス線でプレート(陰極になる)を押さえながら、炭素棒(陽極になる)の
さらしにニッケルめっき液を浸み込ませてプレートの表面に塗っていく。
参考:めっき液はひんぱんに付け続け、また強くこすらないようにする。
くり返し塗ると、めっきがきれいになっていく。
1つの電池から2人が電気を取ってよい(並列にする)。
(6)水洗いしたら、ティッシュにエタノールを染み込ませてインクを拭き取る。
<記録>
<準備>
・銅のプレート(0.5×65×40)
・油性マジックペン(細)
・ヘアドライヤー
・ステンレス線
2重にしてひねったもの
・ニッケルめっき液(100mlビーカー)
水1Lに次の薬品を溶解する。
結晶硫酸ニッケル 150g
硫酸アンモニウム 18g
ホウ酸 15g
・炭素棒(φ5×200)
・さらし
- 11 -
のりを落としたもの 10cm角
(今回は省略する)
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実験10 銅が生成する量
(1)銅板をナイロンたわしで磨いて水洗いし、ヘアドライヤーで乾燥し、常温にもどっ
たらその質量を化学天びんで測る。
銅板の質量 ( . )g
(2)木板に銅板を置き、1枚のクッキングペーパーを被せて5%硫酸銅水溶液7mlを
浸み込ます。
(3)セロハンを被せてもう1枚のペーパーを乗せ、さらに水溶液7mlを浸み込ませる。
(4)これに炭素板を被せ、電流計とすべり抵抗器を直列に加えて乾電池(3V)につな
ぎ、時刻を確認する。
スタート ( )分( )秒
(5)すぐに抵抗器を加減して電流が0.2Aになるように調節を続ける。
参考:やがて電流は安定する。
(6)10分(600秒)経ったら電気を切り、銅板を水洗いし、ドライヤーで乾燥し、
常温にもどったらもう一度その質量を測る。
電解後の銅板の質量 ( . )g
できた銅の質量 ( )mg
<記録>
<準備>
・時計(秒まで読めるもの あるいはストップウオッチ)
・すべり抵抗器(5Ω 2W以上)
・電流計(フルスケール500mA)
- 12 -
- 13 -

ここで疑問が生まれる。銅は銅イオンにならないのだろうか。塩化ナトリウムは何のた
めに加えるのだろうか。
[4]実験1(b)33円電池では、10円と1円の間にろ紙を挟んで3つ直列にし、食
塩を溶かした食酢に浸けた。これにメロディテスターをつなぐと音楽が流れ、電卓で計算
もできた。そしてそのつなぎ方から、10円が正極、1円が負極であることが分かった。
なお11円電池では力不足であった。
負極の1円玉はアルミニウムであり
負極 Al ―→ Al3+ + 3e- (4)
アルミニウムイオン
という反応が起こる。食酢に含まれる酢酸 CH3COOH は(その一部が)次のように電
離している。
CH3COOH ―→ CH3COO- + H+
酢酸イオン 水素イオン
正極の10円玉は銅であり
正極 2e- + 2H+ ―→ H2 (5)
という反応が起こる。水素イオンという陽イオンも電子を奪って中性の水素になることが
できる。
参考:この講座では、負極と正極の電子数を合わせることにこだわらない。
ここで疑問が生まれる。酢酸水溶液は1円にも接している。それなら1円に貯まった電
子は、どうしてその場で水素イオンと反応しないのだろうか。食塩は何のために加えるの
だろうか。10円がきれいになるのはどうしてか。中には黒くなるものもある・・・。
備考:水素過電圧についてはこれ以上は触れない。
目次へ
- 14 -
光沢がある銀が付着した。また水溶液がすこし緑色になった。
これは銅が銅イオンになって電子を与える。緑色は銅イオンである。
Cu ―→ Cu2+ + 2e- (6)
そして銅板に貯まる電子を奪って銀イオンが銀になるのである。
e- + Ag+ ―→ Ag (7)
銀イオン
この場合は実験1(a)と違って、銅は銅イオンになり電子を与える。
この実験は銅が銀より電子を与える「傾向」が大きいことを示す。銀が生成しても銅が
電子を与え続けるからである。
Cu > Ag (電子を与える傾向)
教科書では陽イオンになることに目を向けて、銅のイオン化傾向が銀より大きいと表現す
るが、この講座では電子に注目していく。なお「傾向」とは、素朴には「変化しようとす
る勢い」と捉えられる。
備考:「傾向」とは自由エネルギーないし化学ポテンシャルのことである。
そして一般に化学反応は逆向きに進行することもできるので、銀イオンは銅イオンより
電子を奪う傾向が大きいとも捉えることができる。銅イオンが生成しても銀イオンが電子
を奪い続けるからである。
[2]酢酸鉛 (CH3COO)2Pb 水溶液に亜鉛板を浸けると、表面に黒色の、ところど
ころに金属光沢のある鉛が付着した。
亜鉛が亜鉛イオンになって電子を与え
Zn ―→ Zn2+ + 2e- (1')
その電子を奪って鉛(U)イオンが鉛になる。
2e- + Pb2+ ―→ Pb (8)
鉛(U)イオン
鉛のイオンには鉛(T)イオンもあるので、区別しよう。
これは亜鉛は鉛より電子を与える傾向が大きいことを示す。
Zn > Pb (電子を与える傾向)
そして鉛(U)イオンは亜鉛イオンより電子を奪う傾向が大きい。
[3]硫酸銅 CuSO4 水溶液に鉄くぎを浸けると、表面に褐色のヘドロのような、そし
てろ紙にこすり付けると金属光沢がある銅が付着した。
鉄が鉄(U)イオンになって電子を与え
Fe ―→ Fe2+ + 2e- (9)
鉄(U)イオン
その電子を奪って銅イオンが銅になる。
2e- + Cu2+ ―→ Cu (3')
- 15 -
鉄は銅より電子を与える傾向が大きい。
Fe > Cu (電子を与える傾向)
そして銅イオンは鉄(U)イオンより電子を奪う傾向が大きい。
これに対して、硫酸鉄(U) FeSO4 水溶液に銅板を浸けても、何の変化も見られなか
った。
× Cu ―→ Cu2+ + 2e-
× 2e- + Fe2+ ―→ Fe
鉄より電子を与えにくい銅と、銅イオンより電子を奪いにくい鉄(U)イオンのセットであ
るから、納得がいくだろう。
[4]塩酸 HCl にアルミホイルを投入すると、しばらくして気体の水素が発生した。
アルミニウムがアルミニウムイオンになって電子を与え
Al ―→ Al3+ + 3e- (4')
その電子を奪って水素イオンが水素になる。
2e- + 2H+ ―→ H2 (5')
水素は金属ではないが、電子を与えれば陽イオンになるので仲間に入れて考えよう。ア
ルミニウムは水素より電子を与える傾向が大きい。
Al > H2 (電子を与える傾向)
そして水素イオンはアルミニウムイオンより電子を奪う傾向が大きい。
[5]上のような実験を積み上げれば、水素を含めて金属が「電子を与える傾向」の大き
い順に、その反応式を上から並べることができる。反応(6)、(7)の逆反応、(1')、
(8)の逆反応、(9)、(4')、(5')の逆反応では
Al ←→ Al3+ + 3e-
Zn ←→ Zn2+ + 2e-
Fe ←→ Fe2+ + 2e-
Pb ←→ Pb2+ + 2e-
H2 ←→ 2H+ + 2e-
Cu ←→ Cu2+ + 2e-
Ag ←→ Ag+ + e-
となる。ここで両辺を両矢で結んだのは、条件によって化学反応がどちら向きにも進行で
きることを示す(なおこの記号は本来は2本の矢印で示すべきである)。たとえば実験2
(a)では銅が銅イオンになり、実験1(a)では銅イオンが銅になっている。ちなみに
この電子を与える傾向の順番は、実験からも納得できるように正確には「水中において」
のことである。
この表を改めて見ると左辺は水素を含めて金属が、上から電子を与える傾向が大きい順
に並んでいる。そして右辺(電子でない部分)は下から陽イオンが電子を奪う傾向が大き
- 16 -
い順に並んでいる。
さらに、左辺のひとつと右辺のひとつのセットは電子をやり取りして反応する可能性が
あるが、実験に基づいて調べると、そのセットが「右下がりの斜線」で結ばれると実際に
反応することが分かる。
問1 「右下がりのセット」が反応する理由を、実験2(a)Aの亜鉛板と酢酸鉛水溶液
を例にして説明してみよ。また「右上がりのセット」になるCの銅板と硫酸鉄(U)水溶液
では反応が起こらない理由を説明してみよ。
(A:亜鉛と鉛イオンから亜鉛イオンと鉛ができる。亜鉛と鉛を比べると亜鉛の方が電子
を与える傾向が大きい。また鉛イオンと亜鉛イオンを比べると鉛イオンの方が電子を奪う
傾向が大きい。だから反応はどんどん進行する。
B:反応が起これば、銅と鉄(U)イオンから銅イオンと鉄ができるはずである。そこで
銅と鉄を比べると鉄の方が電子を与える傾向が大きい。また鉄(U)イオンと銅イオンを比
べると銅イオンの方が電子を奪う傾向が大きい。したがって逆向きの反応が起こり、この
反応は進行しない。)
参考:理論的には、「右下がりのセット」は反応が「起こりやすい」と、そして「右上が
りのセット」は反応が「起こりにくい」と表現すべきである。
[b]陰イオンなどが電子を与える傾向
[1]電子を与える傾向を持つのは金属だけではない。
実験2「電子やり取りの化学反応」(b)は次のようであった。ヨウ化カリウム KI
水溶液に塩素を吹き込むと、水溶液が赤褐色に変化した。これをデンプン水溶液に加える
と青色に変化した。
これはヨウ化物イオンがヨウ素になって電子を与え
2I- ―→ I2 + 2e- (10)
ヨウ化物イオン
その電子を奪って塩素が塩化物イオンになるのである。
2e- + Cl2 ―→ 2Cl- (11)
塩化物イオン
一般に多くの非金属は陰イオンになりやすく、できる陰イオンは元の非金属にもどること
ができる。
ヨウ化物イオンは塩化物イオンより電子を与える傾向が大きい。
I- > Cl- (電子を与える傾向)
そして塩素はヨウ素より電子を奪う傾向が大きい。
- 17 -
ちなみにこの反応は、ヨウ化物イオンを含む「かん水」から工業的にヨウ素を生産する
のに応用される。
[2]亜鉛とヨウ素を混ぜて水をかけると、赤紫色の気体が発生した。これは気体のヨウ
素である。つまり反応熱によって、まだ反応していないヨウ素が昇華するのである。
反応自身は、既に学習したように、亜鉛が亜鉛イオンになって電子を与え、
Zn ―→ Zn2+ + 2e- (1')
その電子を奪ってヨウ素がヨウ化物イオンになる。
2e- + I2 ―→ 2I- (12)
亜鉛はヨウ化物イオンより電子を与える傾向が大きい。
Zn > I- (電子を与える傾向)
そしてヨウ素は亜鉛イオンより電子を奪う傾向が大きい。
なおこの反応では水が反応を促進している。水中ではイオンは生成しやすい。
問2 ヨウ化物イオン、塩化物イオン、亜鉛について、電子を与える傾向の大きい順に、
その反応式を上から並べよ。
( Zn ―→ Zn2+ + 2e-
2I- ―→ I2 + 2e-
2Cl- ←→ Cl2 + 2e- )
[3]塩化鉄(V) FeCl3 水溶液に硫化水素 H2S を吹き込むと水溶液が脱色され、
かつ黄白色に濁った。鉄イオンは2種あり、塩化鉄(V)に含まれる鉄(V)イオン Fe3+
は黄褐色であるが、変化して鉄(U)イオン Fe2+ になるとほぼ無色(薄い緑色)である。
また黄白色の濁りは生成する硫黄の微粒子がけん濁するためである。
硫化物イオンが硫黄になって電子を与え
S2- ―→ S + 2e- (13)
硫化物イオン
備考:正確には次の反応である。
H2S ―→ 2H+ + S + 2e-
その電子を奪って鉄(V)イオンが鉄(U)イオンになる。
e- + Fe3+ ―→ Fe2+ (14)
鉄(V)イオン 鉄(U)イオン
硫化物イオンは鉄(U)イオンより電子を与える傾向が大きい。
S2- > Fe2+ (電子を与える傾向)
そして鉄(V)イオンは硫黄より電子を奪う傾向が大きい。
[4]硫酸 H2SO4 に銅線を加えても反応は起こらなかったが、それに過酸化水素水を
- 18 -
追加すると、反応して水溶液が青緑色になった。銅と水素イオンのセットでは上の表(こ
の節の[a][5])で右上がりの斜線で結ばれるので、反応しないことは納得できる。
しかし過酸化水素を加えると銅は電子を与えるようになる。
Cu ←→ Cu2+ + 2e- (6')
青緑色は銅イオンのためである。この反応が起こるのは水素イオンと過酸化水素が共同で
電子を奪うからである。その反応式は
2e- + 2H+ + H2O2 ―→ 2H2O (15)
過酸化水素
となる。つまり電子を奪う傾向が水素イオン単独より大きくなる。上の表で言うと右辺の
中で、水素イオンと過酸化水素の組は銅イオンより下に来るのである。
ちなみに反応が起こったときに気体が発生した。これは上の反応と共に、生成する銅イ
オンが触媒としてはたらいて、過酸化水素が分解して酸素が発生するためである。
[5]上の表をこれらの実験の結果も踏まえてより充実させると次のようになる。
電子与奪表
@ Na ←→ Na+ + e- 2.714[V]
A Al ←→ Al3+ + 3e- 1.662
B H2 + 2OH- ←→ 2H2O + 2e- 0.828
C Zn ←→ Zn2+ + 2e- 0.763
D S2- ←→ S + 2e- 0.447
E Fe ←→ Fe2+ + 2e- 0.440
F Ni ←→ Ni2+ + 2e- 0.250
G Pb ←→ Pb2+ + 2e- 0.126
H H2 ←→ 2H+ + 2e- 0.000
I Cu ←→ Cu2+ + 2e- −0.337
J 4OH- ←→ 2H2O + O2 + 4e- −0.401
K 2I- ←→ I2 + 2e- −0.536
L Fe2+ ←→ Fe3+ + e- −0.771
M Ag ←→ Ag+ + e- −0.799
N 2Br- ←→ Br2 + 2e- −1.087
O 2H2O ←→ 4H+ + O2 + 4e- −1.229
P 2Cl- ←→ Cl2 + 2e- −1.360
Q 2H2O ←→ 2H+ + H2O2 + 2e- −1.776
酸化還元電位
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この表は電子を与える反応と電子を奪う反応が整理されているので、「電子与奪表」と呼
ぶことにする。この表を記憶する必要はないが、活用できるようになろう。そして
電子を与えるもの(左辺で上ほど傾向が大きい):金属、陰イオン、水素、水など
電子を奪うもの(右辺で下ほど傾向が大きい) :陽イオン、非金属、水など
となる。水はどちらにも登場するが、その反応の仕方が異なっている。
問3 実験2(b)のそれぞれは、電子与奪表のどのセットになるか、またその斜線の傾
きを確認せよ。
( [ヨウ化カリウムと塩素] Kの左辺とPの右辺 右下がり
[亜鉛とヨウ素] Cの左辺とKの右辺 右下がり
[塩化鉄(V)と硫化水素] Dの左辺とLの右辺 右下がり
[銅と塩酸および過酸化水素]前半 Iの左辺とHの右辺 右上がり
後半 Iの左辺とQの右辺 右下がり )
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ばれる)。このままでは亜鉛板の電子は外の導線を流れて銅板まで行くことができない。
参考:金属は原子が金属結合しており、規則的に配列した陽イオンと、その間を運動して
いる自由電子から成り立つ。
[2]ダニエル型電池自身では図のようになっている。

塩化ナトリウム水溶液中ではナトリウムイオンがあるので、生成する亜鉛イオンはそのナ
トリウムイオンを玉突き式に次々と押して正電気をすぐに遠くへ送り出せる(個々のイオ
ンは少しずつ移動すればよい)。さらにセロハンの穴を抜けて硫酸銅水溶液中では、銅イ
オンがあるので玉突きをくり返すことができる。したがって亜鉛板のそばの水中の正電気
はすぐに銅板のそばの水中まで送られて、そこにある負電気(相手を失った硫酸イオンが
持つ)と中和できる。相手を失った硫酸イオンの方も玉突き式に次々に硫酸イオンを押し、
セロハンの穴を抜けてからは塩化物イオンがあるので玉突きをくり返すことができる。し
たがって銅板のそばの水中の負電気はすぐに亜鉛板のそばの水中まで送られて、そこにあ
る正電気(亜鉛イオンが持つ)と中和できる。このようにイオンが溶解している水溶液は
電導性を持つので、水中の正電気と負電気は中和されるため、亜鉛板の電子は流れ出て銅
板の不足した自由電子の穴を埋めることができるのである。
それでは亜鉛イオンはどうして一気に銅板まで移動できないのか。それは、そばの亜鉛
板の電子に引き付けられていることに加えて、液体という状態のためである。液体では水
分子やイオンなどの粒子がほぼ接触して乱雑に集合している。そして分子やイオンは互い
に押し合い、すき間をすり抜けるようにわずかずつしか移動できないのである。
このように電池では
電極間に電導性がある
ことが必要である。ちなみに水そのものにはほとんどイオンは存在しない。つまり電導性
がほとんどない。
ここまでくれば、塩ビ板を差し入れると電池としてはたらかない理由も分かるだろう。
[3]実験1では、亜鉛と銅を使うダニエル型電池の電圧を計測すると、ほぼ1.1Vであ
った。これは「電子与奪表」の亜鉛と銅の酸化還元電位の差に等しくなっている。
0.763 − (−0.337) = 1.100[V]
電池が示す電圧は、亜鉛が電子を与える傾向と銅が電子を与える傾向の差を定量的に表し
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ている。電子与奪表の酸化還元電位は、亜鉛や銅などの電子を与える傾向を定量的に表し
ている。電池が示す電圧は、このように理論的に重要である。
しかしこの講座ではこれ以上は踏み込まない。と言うのは、電池の電圧はいくつかの要
因によって左右されるからである。酸化還元電位はすべての物質を「標準状態」にし、そ
してほぼ化学平衡の状態で計測される。
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2H2 + 4OH- ―→ 4H2O + 4e-
+)4e- + 2H2O + O2 ―→ 4OH-
2H2 + O2 ―→ 2H2O (16)
となり、水素の燃焼の場合と同じになる。
電気エネルギーは熱エネルギーに比べて利用効率が高く、そのまま高温燃焼する場合に
伴う汚染物質の発生もないため、環境にやさしい燃料の利用になる。このように燃料の燃
焼と同じ反応式で電気を起こす電池は燃料電池と呼ばれる。しかし燃料電池の大きな課題
は、電子やり取りの化学反応を起こす触媒として希少な白金やパラジウムを必要とするこ
とである。
[3]実験4(c)鉛蓄電池では、鉛板にクッキングペーパーを載せ、希硫酸を浸み込ま
せてもう1枚の鉛板を被せた。始めに手まわし発電機をつないでしばらく回し、そのまま
手を放すとハンドルが同じ向きに回り続けた。途中でクリップを外すと回転は止まるが、
クリップをかませると再び回った。また電圧計で調べると、発電機の正極につないだ鉛板
(上の板)が正極であった。ハンドルが止まったら再び回してから、手を放すとまた回り
続けた。これはくり返すことができた。そして上の鉛板の希硫酸の側(内側)が褐色にな
っていた。
始めに手まわし発電機を回すときには電気分解が起こり、発電機の負極につないだ方の
電極では水素が発生して鉛はそのまま変化せず、反対の電極ではやや複雑な反応が起こっ
て鉛の表面は褐色の酸化鉛(W) PbO2 に変化し、鉛蓄電池が完成する。この電池は図の
ように、酸化鉛(W)が生成した鉛板と鉛板そのものが希硫酸 H2SO4 を挟む構造になっ
ている。

[4]電池としてはたらく(放電)ときの反応式は次のようである。
負極 Pb ―→ Pb2+ + 2e- (Gの反応)
鉛(U)イオン
正極 2e- + 2H+ + PbO2 ―→ H2O + PbO (17)
酸化鉛(W) 酸化鉛(U)
正極の反応式は電子与奪表のQ番の逆反応に似ている。
[5](この項の記述はすこし煩雑になるので読み飛ばしてもよい。)鉛蓄電池の反応は
実際にはこれで終わらず、負極では鉛(U)イオンが硫酸イオンと反応して水に溶けにくい
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硫酸鉛 PbSO4 が生成し、鉛板に付着する。
Pb2+ + SO42- ―→ PbSO4 (18)
硫酸イオン 硫酸鉛
したがって負極の全体としての反応式は
Pb + SO42- ―→ PbSO4 + 2e- (19)
になる。また正極では酸化鉛(U)が水素イオンおよび硫酸イオンと反応して同じく硫酸鉛
が生成して鉛板に付着する。
PbO + 2H+ + SO42- ―→ H2O + PbSO4 (20)
したがって正極の全体としての反応式は
2e- + 4H+ + SO42- + PbO2 ―→ 2H2O + PbSO4 (21)
になる。(19)や(21)の反応式も電子与奪表に組み入れることができるが、煩雑にしな
いために省いている。
[6]ハンドルが止まってから発電機を再び回す(充電)と、鉛蓄電池が復活してまた放
電することができる(このときの反応は次節で学習する電気分解になるので、ここでは踏
み込まない)。鉛蓄電池(バッテリー)は通常の自動車の電源として広く利用されている。
電圧は2.0Vである。
環境問題を解決するのに、電気を蓄える装置の開発改良が切に求められる。くり返し充
電できる電池(二次電池と呼ばれる)はその重要候補である。
問4 実用電池について調べてみよう。
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陽極では「電子を失う反応」が起こり、陰極では「電子を得る反応」が起こる
ことが強制される。そしてその強制力は電圧が高いほど大きくなる。
ここで注意しよう。電池(および直流電源)の正極と電気分解の陽極は、同じプラス極
でありながら異なる用語を使う。負極と陰極もそうである。電池では次のようであった。
「負極では『電子を与える反応』が起き、正極では『電子を奪う反応』が起きる」
「失う」と「与える」は、受動的と能動的の違いはあるが、中身は同じある。「得る」と
「奪う」も同様である。その意味で陽極と正極ではまったく逆の反応が起こる。そして陰
極と負極もまったく逆の反応が起こる。ちなみ受動的表現と能動的表現にも意味がある。
電池では物質が能動的に電子を与え、電子を奪う。しかし電気分解では物質は受動的に電
子を失い、電子を得る。

[2]具体的に実験5で確認してみよう。塩化鉛(U) PbCl2 には、鉛(U)イオン
Pb2+ と塩化物イオン Cl- が含まれる。電子与奪表において電子を失う(与える)も
のは左辺に並んでいる。だから陽極では塩化物イオンが次のように反応する。
陽極 2Cl- ―→ Cl2 + 2e- (Pの反応)
塩化物イオン
そして与奪表において電子を得る(奪う)ものは右辺に並んでいる。だから陰極では鉛
(U)イオンが次のように反応する。
陰極 2e- + Pb2+ ―→ Pb (Gの逆反応)
鉛(U)イオン
このように電気分解の反応も与奪表から理解することができる。ここで注目したいのは、
鉛(U)イオンと塩化物イオンの組は右上がりであり、自発的には反応が起こらない。電気
分解はそのような反応を引き起こすことができることである。なお電気分解においては
「電子得失表」と呼んだ方が良さそうである。ただしこの得失表は正確には水中において
のこと(2節[5]を参照)であるので、そうでない場合にはつじつまが合わないことも
生じると留意しておこう。
この実験では塩化鉛(U)を融解した。これは固体のままではイオンの移動が起こらず、
電導性が確保できないためである(3節を参照)。
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[3]実験6「水の電気分解」(a)硫酸ナトリウム水溶液では、BTBを加えた硫酸ナ
トリウム水溶液をろ紙4枚に浸み込ませ、2枚のステンレス板で挟み手まわし発電機につ
ないて電気分解すると、陽極側のろ紙2枚が黄色に、陰極側のろ紙2枚が青色になった。
またフェノールフタレインを加えた場合は、陽極側が無色のまま、陰極側が赤色になった。
実験結果は、陽極側が酸性になるつまり水素イオン H+ が生成すること、陰極側が塩基性
になるつまり水酸化物イオン OH- が生成することを示す。
硫酸ナトリウム Na2SO4 水溶液には、ナトリウムイオン Na+ と硫酸イオン
SO42- と水が含まれる。電子得失表で電子を失うものを探すと2カ所で水が見つかる。
そして陽極では気体も発生するので、反応式は次のようである。
陽極 2H2O ―→ 4H+ + O2 + 4e- (Oの反応)
水素イオン
硫酸イオンも陰イオンであるので電子を失う可能性があり、得失表では左辺のもっと下の
方に登場するが、複雑にしないために省略している。
得失表で電子を得るものを探すとナトリウムイオンと水が見つかる。水は2カ所で見つ
かるが、酸素と組になる方は除かれる。それではどちらが反応しやすいだろうか。右辺で
は下ほど電子を得やすい(奪いやすい)ことを思い出そう。
陰極 2e- + 2H2O ―→ H2 + 2OH- (Bの逆反応)
水酸化物イオン
全体としての反応式は、陰極の反応式を2倍して積み算すると
2H2O ―→ 4H+ + O2 + 4e-
+)4e- + 4H2O ―→ 2H2 + 4OH-
6H2O ―→ 4H+ + O2 + 2H2 + 4OH- (22)
← 陽極 → ← 陰極 →
となる。この反応式は硫酸ナトリウム水溶液の電気分解が、実際には水の電気分解である
ことを示す。水素イオンと水酸化物イオンは同数ずつ生成する。そして酸素と水素はステ
ンレス板に隠れて確認できなかったが、分子数で1:2の割合で発生する。
[4]実験6(b)希硫酸では、試験管中の希硫酸にステンレス釘の電極を差し入れて乾
電池につなぐと、両方の電極から気体が発生し、その量は陰極の方が多かった。そして得
られた混合気体にマッチで点火すると爆発した。
希硫酸 H2SO4 には、水素イオン H+ と硫酸イオン SO42- と水が含まれる。電子
得失表で電子を失うものを探すと2カ所で水が見つかる。そして陽極では気体が発生する
ことも分かっているので、次の反応が起こる。
陽極 2H2O ―→ 4H+ + O2 + 4e- (Oの反応)
得失表で電子を得るものを探すと水素イオン(酸素と組になる方、および過酸化水素と
組になる方は除かれる)と水(酸素と組になる方は除かれる)が見つかる。このうち水素
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イオンの方が反応しやすい。
陰極 2e- + 2H+ ―→ H2 (Hの逆反応)
全体としての反応式は、陽極と陰極の生成物質を分けると次のようになる。
2H2O + 4H+ ―→ 4H+ + O2 + 2H2 (23)
← 陽極 → 陰極
しかしこの実験では水溶液は混合され、消費される水素イオンと生成する水素イオンは同
数であるので、反応式から外して考えてよい。
2H2O ―→ O2 + 2H2 (23')
希硫酸の電気分解も水の電気分解になり、理論的には陰極の水素は陽極の酸素の2倍の体
積になる。しかし発生する酸素の一部はステンレス釘などと反応して消費される。そのた
め水溶液は褐色になった。
参考:電極に白金を使えばこのようなことはないが、白金は高価である。
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ないことに気付いたであろう。それには実験5のように、物質を融解して電気分解する必
要がある。18世紀初頭にデービーはそれを実現して、ナトリウム、マグネシウムなどを
発見した。また現代の化学工業においてアルミニウムは、融解した氷晶石
Na3[AlF6] に酸化アルミニウム Al2O3 を溶解して、電気分解によって大量に生産
される。
[2]実験7(c)「電極が反応する」では、ステンレス板にクッキングペーパーを載せ
て硫酸銅水溶液を浸み込ませ、セロハンを被せてクッキングペーパーを載せた。これに希
硫酸を浸み込ませて銅板を被せ、銅板の方を陽極にして電気分解した。すると銅板側のペ
ーパーが青色になり、銅イオンが生成した。またステンレス板(陰極)にあかがね色の銅
が生成した。
陽極側には銅と水素イオン H+ と硫酸イオン SO42- と水がある。この中で水素イオ
ンは電子を失えない。残り3種の中では、銅がもっとも電子を失いやすい。
陽極 Cu ―→ Cu2+ + 2e- (Iの反応)
陰極側には銅イオン Cu2+ と硫酸イオン SO42- と水がある(ステンレスは反応しに
くいので省く)。この中で硫酸イオンは電子を得られない。残り2種では銅イオンの方が
電子を得やすい。
陰極 2e- + Cu2+ ―→ Cu (Iの逆反応)
このように電極も反応する可能性があることに留意しておこう。
問6 アルミニウムの製錬、銅の電解精錬などについて調べてみよう。
[3]ここで鉛蓄電池(4節[3]〜)の積み残しを見てみよう。始めに手まわし発電機
で電気分解するときは、希硫酸の電気分解になりすでに5節[4]で学習した。ただし陽
極では、発生する酸素が電極の鉛と次のように反応する。
Pb + O2 ―→ PbO2 (24)
酸化鉛(W)
鉛蓄電池が完成して放電して消耗した後に、発電機を回して充電するときの電気分解は
どうなるだろうか。結局放電では次の反応が起こる。
負極 Pb + SO42- ―→ PbSO4 + 2e- (19')
正極 2e- + 4H+ + SO42- + PbO2 ―→ 2H2O + PbSO4 (21')
充電するときには負極を陰極にする、つまり「電子を得る反応」が起こるように強制する。
そして正極を陽極にする、つまり「電子を失う反応」が起こるように強制する。こうして
どちらの電極でも放電と逆向きの反応が起こり、鉛蓄電池が復活するのである。
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どの電池でも放電した後に、このように充電によってうまく元にもどせるわけではない。
たとえば実験1(b)の「33円電池」の場合は、陽極にする10円玉では銅が銅イオン
になり(水素は残っていない)、陰極にする1円玉では水が水素と水酸化物イオンになっ
てしまう。
[4]実験8「ニッケルめっき」では、電池の負極につないだステンレス線で銅板を抑え、
正極につないだ炭素棒の先を包んださらしに硫酸ニッケルを主成分とするめっき液を浸み
込ませる。これで銅板の表面をこすると、こすった部分が銀色になった。実験では油性マ
ジックで名前やイラストなどを描いたので、その部分は電気が通らずしたがってニッケル
めっきがされず、マジックを拭き取るとその跡が銅のあかがね色になった。
これは炭素棒を陽極、銅板を陰極にする硫酸ニッケル NiSO4 水溶液の電気分解であ
る。水溶液はニッケルイオン Ni2+ と硫酸イオン SO42- と水を含む。陽極では水が次
のように反応する。
陽極 2H2O ―→ 4H+ + O2 + 4e- (Oの反応)
陰極ではニッケルイオンが反応する。
陰極 2e- + Ni2+ ―→ Ni (Fの逆反応)
ニッケルイオン
ニッケルイオンが消費されるので、実験ではさらしをひんぱんにめっき液に浸けた。も
し炭素棒をニッケル棒に代えれば、陽極の反応は次のようになり
陽極 Ni ―→ Ni2+ + 2e- (Fの反応)
めっき液の補給は必要なくなる。工業的なニッケルめっきではこのような方法が採られる。
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(今回は省略する)
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電気量はどれだけだろうか。電子1個が持つ電気量は分かっているので、それにアボガド
ロ定数をかけ算すればよい。
1.6022×10-19 ×6.022×1023 = 96484[C/mol]
通常は
電子1molの電気量 = 96500[C/mol]
を使う。
実験10では120Cの電気を流したので反応した電子は
120/96500[mol]
であり、生成する銅の物質量はその1/2である。その質量は
63.5×(120/96500)/2 = 0.0395[g]
と予測される。実験10の計測例は39mgであり、それが裏付けられた。
[2]それでは陽極で発生する酸素は0℃,1atmでは何mLであろうか。反応式から
4molの電子が流れると、1molの酸素が発生する。したがって
22.4×(120/96500)/4 = 0.0070「L]
つまり7.0mLの酸素が発生すると予測できる。
問7 アルミニウムを利用して電池をつくると、負極では次の反応が起きる。
Al ―→ Al3+ + 3e- (Aの反応)
20gの500mLアルミ缶では、理論的に何Cの電気量が流せるか。また電流を1Aに
保つと何時間流せるか。
(答 214000C,59時間)
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