05.10
                               事務局:林 正幸

  環境問題通信05−10号

 今回は岩田、飯田、鈴木ひさし、富田、林まさ、林ひろの6名でした。参加はできませ
んでしたが塚田さんが
  Let’s try 4R No.10
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を届けてくれました。それには松河戸の産廃処理場建設(「環境問題通信5−1号」を参
照)をめぐる春日井での活動の様子も紹介されています。また鈴木ひさしさんが「ダイオ
キシン討論会」(「環境問題通信4−2号」を参照)の記録冊子を取り寄せてくれます。
 皆さんの協力でこのサークルも8回目となりましたが、環境問題はまさに人間そのもの
の問題(飯田さんの発言)、生き方の問題であり、教育に是非とも反映させるべき問題で
あると、改めて強く感じた例会でした。

アジアの子供たちを巡る

       講述録の紹介(飯田)

 NGO「沖縄アジアチャイルドサポート」の池間さんが、愛知県の北方中学校で講演し
た記録「閉ざされた世界の中で懸命に生きる子供たち〜アジアの子供たちは今」の紹介で
す。
 アジアの子供たちを支援する活動をしています。世界には63億人が住んでいますが、
6億の人々が飢えています。1日1食が普通です。毎日4万人が死んでいます。その90
%以上が子供たちです。栄養状態が非常悪く、風邪を引いても死にます。
 日本を含め世界人口の20%の先進国が、食糧の70%以上を消費してしまいます。そ
して日本では2〜3割の残飯を捨てています。だから、世界的に食糧が不足しているので
はありません。
 フィリピンのスモーキーマウンテンでは子供たちがゴミ拾いをして働いています。10
時間働いてやっと50円程度。15歳まで生きるのは3人に1人。モンゴルでは寒さを避
けてマンホールチルドレンがいます。大人の暴力におびえ、ねずみに唇をかじられながら
寝ています。12歳の少年が「早く人間を終わりたい」と言いました。「僕は次に生まれ
る時には、人間ではなくて犬になって生まれたい。」 タイの北方山岳地帯では、少女の
半分以上が17歳までに売られます。売春させられ、エイズに感染し、村に帰るのは発病
して死ぬとき。少女は「お父さん、お母さんのためだからしょうがないよね。」と笑うん

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です。それほどまでに貧しいのです。カンボジアは1970年代から内戦が続き、ポルポ
トは国民の1/4の200万人を虐殺しました。プノンペンでは子供たちがやはりゴミ捨
て場で働いています。中に4歳の女子がいました。母親は一人食べる分さえ稼げないと言
います。この女の子はまもなく亡くなったと聞きました。靴がなくて、けがをして破傷風
で死ぬ子も多いのです。
 しかし貧しいことと、心が貧しいことは違います。たまたま子供たちをピクニックに連
れて行き、弁当をおごりました。叫び声を上げ飛び上がって喜んだ後、全員がふたを閉じ
てしまいました。「こんなご馳走は私一人で食べることはできません。だから、家に持っ
て帰ってお父さん、お母さんと一緒に食べていいですか?」 マンホールに住む子供の一
人に1枚しかなかったガムを上げました。すると5つにちぎって仲間5人と分け合ってい
るのです。
 私たちは豊かです。でも、人間を愛するとか、人間の生きる力、こんな大事なことをど
こか遠くに置いてきたような気がします。3つ、お願いがあります。まず事実を知って理
解してください。次に100%の愛は要りません。0.1%だけでいいから分けてください。
そして何よりも、あなたたちが一生懸命生きてください。真剣に生きる人でないと人の苦
しみや悲しみは分かりません。
(私たちはこの講述録を飯田さんから分けてもらいましたが、取り寄せることもできま
す。)

「日本と米国で世界の食糧の半分近くを消費しているとは、信じ難いことだ。」
「コンビニでアルバイトしていた卒業生によると、賞味期限が切れたおにぎりなどを恐ろ
しくなるほど捨てている。」
「肉を食べることは、飼料になる大量の穀物を消費することだ。」
「ペットフードも貧しい人々から食糧を奪っている。」
「日本の食糧自給率25%は、世界的に見て異常だ。」
「前回の富田報告によると、エネルギーも世界人口の1/4の工業文明諸国が全体の80
%を消費している。」
「その意味では原油高騰もよいかもしれない。なにせオイルショック以来、日本は省エネ
を心掛け、日本が1消費することに、米国は1.5を、中国は4を消費している。」
「それでも、アジアの貧しい子供たちの目は輝いているとよく言われる。それに比べて日
本では、小学校に向かう生徒の顔は朝から疲れている。」
「昨年のノーベル平和賞のマータイさんが書いている。『もったいない』というすばらし
い言葉がありながら、大量の食糧を食べずに捨てている。風呂敷というすばらしいものが
ありながら、大量のレジ袋を浪費している。」
「環境問題は、人間そのものの問題である。」

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 なお「世界国勢図会(2004/05)」を調べてみましたが、食糧消費に関するデー
タはありませんでした。

超深地層研究所を見学して(林まさ)

 去る9月14日、愛高教退職者の会の例会の、瑞浪市にある超深地層研究所の見学とそ
の後の学習会に参加し、いくつかの資料も入手しました。
 核燃料サイクル開発機構(10月から日本原子力研究所と統合して日本原子力研究開発
機構)は、昭和48年に土岐市の東濃(ウラン)鉱山の試掘を始めたが、その後は放射性
廃棄物の「地層処分」のための研究をし、平成16年に終了した(現在は第2立坑が無重
力研究所になっている)。そして処分地として密かに東濃・下伊那地域の伊奈川花崗岩帯
を選んでいた(資料の存在に気付いた兼松さんが、裁判闘争の上で公開させた。そればか
りか瑞浪市内の正馬様(ショウマサマ)には「用地」を取得している。
 そこから2キロほどにできた超深地層研究所は、平成16年から6.5mの主立坑と
4.5mの換気立坑の掘削を開始し、現時点でそれぞれ約160mに達している(17年度
中に300mまで)。計画では1000mまで掘削し、そこや中間ステージ(深度500
m)で水平坑道も掘削する。ねらいは深地層では地下水がほとんど拡散していない(予備
調査では「滞留時間50000年以上」と推定)という「データ」を手に入れるためであ
る。しかし地下には月吉断層が斜めに走っている(そして木曽川、庄内川、矢作川の上流
である)。
 高レベル放射性廃棄物の処分実施主体として、平成12年に設立された原子力発電環境
整備機構(NUMO(ニューモ)と呼ばれる なんとあいまいな名称!)は
  平成20年代前半:「精密調査地区の選定」
    30年代後半:「最終処分地の選定と施設の建設」
    40年代後半:「最終処分の開始」
というスケジュールを立てている。そして平成14年からは電源3法を改正して、この研
究所を100万kW以下の原子力発電所と見なし、周辺10市町村に年間総額13億円以
上が20年にわたって交付されている。
  瑞浪市 4億3千万円
  土岐市 3億6千万円
  恵那市 2億5千万円 など
 研究所のパンフは、「この地域を放射性廃棄物の処分場とするための研究でもありませ
ん。」と書いているが、その魂胆は精密調査地区および最終処分地にしてしまうことでは
ないか(そもそも東濃研究学園都市とは何もの?)。現在、岐阜県議会に向けて「『高レ
ベル放射性廃棄物処分場をつくらない条例』の制定を要望します」という署名活動が行わ
れている。

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 高レベル放射性廃棄物はガラス固化して、直径40cm、高さ130cm、厚さ5mm
のステンレス製のキャニスターに収められる。このガラス固化体の表面温度は300℃以
上で、1本当たり広島型原爆30個分の放射能(120万キュリー)があり、そばによる
と10秒でショック死する強さである。これを30〜50年放置すると100℃ほどにな
る(現在はフランス帰りのキャニスターが六ヶ所村の高レベル貯蔵管理センターにある)。
これを鉄のオーバーパックに入れ、それを粘土でかためて300m以深に埋設するという
のである(漏れだしても最早手の施しようがないという責任放棄)。ガラス固化体は
2010年で2万5千本、2020年で4万本になる計算である。

「瑞浪市もさることながら、木曽川流域の私たちや伊勢湾などの方が危険だね。」
「原爆より原発の方が大量の死の灰をつくっているんだ。」
「チェルノブイリ原発事故では世界中が汚染された。」
「かつては日本海溝に沈める案もあった。」
「米国では砂漠に放置しているが、日本にはそんな人里離れた場所はない。」
「まず原発を止めることだ。」
「それでもすでに生じた膨大な放射能の問題が残る。」
「電力会社はいまや原発が重荷になってきている。原発だけ切り離して国に面倒を見させ
ようという動きがある。」

「高速増殖炉もんじゅ」まとめ(富田)

 今では絶版になっている小林著「高速増殖炉もんじゅ」(七つ森書館)の、1〜9章・
終章のうち、3章までのまとめです。
 1951年に実現した最初の原発は高速増殖炉であった。以後軽水炉が開発され、
2004年現在、世界で434基になっている。しかし商用高速増殖炉は0基であること
が、その性格を象徴している。
 日本の「もんじゅ」は、1991年に建設されたが、設計ミスやトラブルでやっと94
年に臨界に達した。そして95年に発電を始めるや、その年の暮れにはナトリウム漏れ事
故を起こして停止した。しかし今年になって高裁の差し止めを最高裁が覆し、福井県も改
造を受け入れてしまった。
 当初の目標では1990年代には実用化されているはずが、見直しの度に先に伸び、現
在では2050年も危ぶまれている。
 高速増殖炉は発電しながら燃料も増殖できると夢のように宣伝されているが、理論的に
はそんなに単純ではない。高速の中性子は核分裂を起こしにくいので、20%ものプルト
ニウム239を含む燃料を必要とする(臨界を超えて暴走しやすい。核兵器の場合は99

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%)。そして炉心をウラン238が99.7%の劣化ウランのブランケットで囲み、核分裂
を起こさずに飛び出してきた中性子によってプルトニウム239にする。その増殖比は公
称でも1.2倍に過ぎない(もんじゅの場合)。増殖比を上げようとすると核分裂が起こり
にくくなるという二律背反になっている。
 そしてプルトニウムを取り出して再度燃料にするには、軽水炉よりはるかに難しい再処
理が必要であり、時間も掛かり損失も伴う。こうして燃料の倍増時間は50年とか、NH
Kスペシャルでの電力会社の計算では90年とかいう数字が出ている。いったいそんなに
時間が掛かって、その前にウラン235が枯渇するのではないか。
 もうひとつの問題は、こうして蓄積されるプルトニウム239が核兵器になることであ
る。もし六ヶ所村の再処理工場が稼働すれば2010年で100トンにもなる(米国、旧
ソ連並)。それは非核3原則の国是に反し、世界が許さないはずのことである。最近プル
・サーマルが導入されようとしているが、性質の異なる2種の燃料の制御は困難を伴い、
原子炉が不安定になり暴走しやすくなる。
 現在再処理を行っているのはイギリスとフランスのみであり、フランスの高速増殖炉ス
ーパーフェニックスも増殖させることは中止した。世界のすう勢は、むしろ原発そのもの
からの撤退である。

「私も若いときには原子力の平和利用を信じたが・・・。」
「高速増殖炉が、増殖と発電が矛盾するなんて、聞いたことが無かった。」
「原子力は科学を装ったごまかしで塗り固められてきた。研究者を目指した若者はどんな
に情けなかったことだろう。」
「米国やIAEAが、北朝鮮やイランの核開発には目くじらを立てるが、日本には何も言
わないのはおかしい。」
「一般に核分裂は遅い中性子(熱中性子)でないと起こりにくい。それは原子核が一度中
性子を捕捉吸収する必要があるから。また核分裂で発生する中性子はいずれも高速である。
軽水炉も軽水がエネルギーを受け取ると共に、減速剤のはたらきをしている。」
「原子力資料室の原子力年鑑(七つ森書館)も役に立つ資料だ。」
「スリーマイル島原発事故はどのように起こったのか。」
 次は林まさが後で調べた、日本科学者会議編「原子力発電」(合同出版)の詳しい説明
の簡単なまとめです。
「事故で給水ポンプが止まったことから始まった。原子炉は核分裂を停止し、緊急炉心冷
却系も作動した。しかしさらにミスや事故が重なり(制御室では100以上の警報が鳴り
大混乱していた)、格納容器から放射能を持つ大量の水が漏れ出した。また1時間後には
炉心が冷却水から露出し、崩壊熱によって2000℃に達した。10時間後には水素爆発
が起こり、1000万キュリーの放射性ガスが放出され続け、3日後には妊婦と幼児に避
難勧告が出された。」

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