05.1
                               事務局:林 正幸

  環境問題通信05−1号

 今回は飯田、臼井、鈴木ひさし、富田、林まさの5名の参加でした。

松河戸の産廃問題(鈴木ひさし)

 平成13年5月に名成産業は愛知県知事に、春日井市松河戸に産廃施設の設置許可を申
請した。これに対して春日井市、名古屋市北区、守山区の3地区の住民が反対運動を開始
した。県審議会は21回の説明会を開いたとし、社長も出席せず、安全対策についての質
問に答えることもないままであった。平成14年1月の守山区での松葉によるダイオキシ
ン調査は大気中濃度に換算して0.64〜0.83TEQ/gで、環境基準0.6TEQ/gを
既に超過していた(他の調査でも名古屋市平均の2倍を示した)。住民3団体はくり返し
要請行動を行い、知事に13万4千筆の反対署名を提出した。にも係わらず平成16年4
月に知事は許可を与えてしまった。
 計画の傾斜回転床炉は全国でも2例しかなく、しかも1例はトラブルで解体修理をする
ことになった。炉の設計も、一次燃焼室(ガス化)に比べて二次燃焼室の容量がはるかに
小さく、集塵機(サイクロン)もなく、煤塵はいきなり小さなバグフィルターに掛けられ
る(しかもその前に開放弁があり、そこから排出可能である)。また提出資料のデータか
らすると、想定通りに燃焼させる技術能力を持っているとは思えない。そして持ち込まれ
る産廃を分別する場所は無いに等しく、かつ1日あたり45トンをわずか2人で処理する
ことになっている。
 これでは破砕過程を含めて、ダイオキシンを始め、SOx 、NOx 、重金属などが発生
して、住民の健康が損なわれる危険性がある。そこで平成16年12月に名古屋地裁に差
し止め仮処分申請書を提出した。
 住民が使っているビデオ「松河戸に産廃はいらない」を見せてもらいました。
 それによると、排煙の拡散シミュレーションも、建物によるダウンウォールやダウンド
ラフトを無視したものになっている。また窒素酸化物などの対策はゼロである。

 臼井さんは、不要になった戸棚や自転車は自分で解体して、近くの銭湯や金属処理業者
に届けるそうです。また家電製品は保管しておいて、入り用になったパーツを採るそうで
す。各種リサイクル法も発効しています。リサイクルに関しても勉強して行きたいです。

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授業への思い(飯田)

 高校や大学(いずれも非常勤)での授業のプリントをもらい、それに掛ける思いを聞き
ました。
 宇宙が誕生して現在までの時間を面積で示すと、人類の時代はごく小さい升目である。
言い換えると、人類は極めて長い時間を掛けて誕生した。そのことを忘れて日常の時間ス
ケールでのみ見ることは間違いを起こす。生命は海で誕生し、その環境を採り入れて進化
してきた。赤子は胎内で生命の進化を辿りながら誕生する。そして光合成でつくられた現
代の大気の例のように、生命は長い時間を掛けて地球環境を変えてきた。このように人類
は他の生物と一体の存在である。このことを無視しては人類の未来は危うい。
 「沈黙の春」や「奪われし未来」が告発した合成化学物質の危険は、ごく微量(分子数
としては巨大)でも作用する可能性があることと、生体への蓄積性である。特に有機塩素
化合物は天然に存在することはまれで、生物にとって毒になることが多い。
 胎児期に影響が大きい環境ホルモンに対しては、マスコミが騒ぎ過ぎで、根拠が不十分
であると、西川洋三らが反論している。両方の主張を勉強して、どちらの視点が正しいか
自分で判断しよう。「化学はきらいだ。学びたくない」と思っていても「科学をしらない
と殺される」現実がある。科学の本質は「身近なところ」にあり、楽しみながら市民とし
て学んで行こう。

 以上は私の勝手なまとめです。

酸性化する大気(林まさ)

 これはアルケミストの山本さんがまとめた資料です。
 二酸化炭素が雨水に溶け込むと、計算ではpHが5.6になる。しかし火山の噴煙中の二
酸化硫黄でも酸性化するので、環境汚染としての酸性雨はpHだけでは定義できない。
 雨水に含まれるイオンは次の9種である。
    H+  NH4 +  Ca2+  K+  Mg2+  Na+
    NO3 -  SO4 2-  Cl-
海水のしぶきが混入しているが、硝酸イオンと硫酸イオンは人間の活動によるので、中和
される前の入力酸性度はこれらのイオンから計算できる。そのpHは日本では4.0〜
4.5、欧州では3.5〜5.1、北米では4.0〜5.3である。なお中和前のアンモニアは
生物由来が多い。
 硫酸や硝酸の生成には空気中の OH ラジカルや O2H ラジカルが重要な役割を果たし
ている。前者の生成機構は次のようである。
    O3*(紫外線で活性化したオゾン) ―→ O2 + O
    O +H2O ―→ 2OH

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硫酸は液相(水滴)では、二酸化硫黄が溶けてできる亜硫酸が過酸化水素やオゾンで酸化
されてできる。
    H2SO3 + (O) ―→ H2SO4
気相では次の反応が起こる。
    SO2 + OH + M(微粒子媒体) ―→ HOSO2 + M
    HOSO2 + O2 ―→ HO2 + SO3
    SO3 + H2O ―→ H2SO4
硝酸は気相が中心で次のように反応する。
    NO + O3 ―→ NO2 + O2
    NO2 + OH + M ―→ HNO3 + M(二酸化窒素はこの反応のみ)
 酸性雨や酸性霧、酸性雪ばかりでなく、気相の酸性物質(SOx NOx を含む)による
乾性沈着の影響も大きい。その被害は、慢性気管支炎や光化学スモッグとして健康を蝕む。
大理石の彫刻は硫黄酸化物の乾性沈着で、より水に溶けやすい硫酸カルシウムに変わる影
響も大きい。日本では樹木への影響はまだわずかであるが、いつか土壌の中和能力が限界
になる可能性がある。また酸性霧はpHが小さく、浮遊して人体や建物により大きな影響
を与える。

「ソーラー地球経済」まとめ3(富田)

 今回は次の範囲の報告でした。
第2部「化石資源政策の病理」の4章「化石資源の連鎖が社会と文化を後退させる」
 化石資源の連鎖の影響は、二極分化した「工業社会の大都市」と「第三世界の農村地
帯」にはっきりと示される。
 都市はエネルギーと食糧のために、かつては周辺に40〜100倍の畑と森林を必要と
した。化石エネルギーを利用し、輸送手段が船、鉄道、送電線、自動車となるにつれて、
都市は急速に巨大化した。1800年にはわずか1つであった100万都市は、1900
年には13、1990年には300になった。そして集中化されたエネルギーシステムに
よって、地域に合った多様性が失われ、画一化した。それは生活空間のつながりを遮断し、
各種機能センター、交通のための広い空間を産み出した。しかし産業のグローバル化はこ
の都市を空洞化する。目指すべきは、エネルギーと食糧を自給するソーラー都市である。
現に都市での食物生産(「アーバン・ファーミング」)が成長している。
 第三世界は化石資源の落とし穴にいる。先進国をモデルにした急速な工業化は、農村を
放置し、都市はそこから流入し続けるスラムにあえいでいる。開発援助融資は化石資源コ
ンチェルンの利益に合わせ、その支配を実現している。その最たるがアフリカ南部の高圧
送電線網と大発電所プロジェクトである。こうして資源が豊富にあるのに、他国の資源に
依存するしくみがつくられる。結果として農村は荒廃する。目指すべきは、独立して稼働

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する地域分散型のエネルギーシステムである。小規模農業を支えることなしに、低開発や
暴動を無くすことはできないだろう。

追記1 太陽電池の現状
 現状を調べようとしましたが、予想に反して私の日刊工業新聞のスクラップは1つでし
た。インターネットで検索すると、シャープと「太陽光発電協会」のホームページが役に
立ちました。
 2002年時点での導入状況は
   日本:637[MW]  ドイツ:277  米国:212
全世界で1328MWである。
 住宅用1kWシステムあたりで、日本では1000kWh/年の発電力があり、価格は現
在70万円(かつての1/10)、補助金は4.5万円(以前より減った)、耐用年数はお
よそ20年である。発電コストで見ると60円/1kWh(電気料金は25円/1kWh)
である。
 変換効率は今では20%に近づいている。日本では生産量は年1.5倍の伸びを示す(シ
ャープが世界1)。現在はシリコン結晶型が主力だが(アモルファス型は低コスト)、化
合物半導体系や色素増感型が研究されている。

追記2 NAS(ナス)蓄電池
 林ひろさんが別の機会に提供してくれた資料です。
 夜間の電力をためる大電力蓄電池が実現した。電解質は多硫化ナトリウム Na2x
充電するとナトリウムと硫黄になる。300〜350℃に保つとすべて液体である。放電
の反応は次のようである。
    2Na ―→ 2Na+ + 2e-
     2e- + S ―→ S2-
セパレータにはβ−アルミナを使う。電位差は2.1Vで、数100本を組み合わせる。



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