04.2
事務局:林 正幸
環境問題通信04−2号
今回は飯田、富田、長瀬、林まさ、林ひろ、宮崎の6名の参加で勉強しました。宮崎脩
一さんには日光川の汚染について報告してもらいました。また林まさが、大阪で開かれた
「ダイオキシン討論会」のホットな情報を提供しました。今回予定が重なってしまった篠
原さんには、道路公害について、次回に報告をお願いすることができました。
環境問題は理科を始め教育にも大きく係わる課題です。皆さんの気軽な参加を呼びかけ
ます。
オウム事件の教訓(林ひろ)
毎日新聞の記事の紹介。オウム事件からどんな教訓を引き出すべきか。何故に理系の一
流の頭脳が教祖にからめとられ、いとも簡単に凶悪事件に関与してしまったのか。広瀬被
告の指導教官は「今の理科系の学生は無駄なことをしない。人生の意味について考えたり、
文学書を読んだりしていないのではないか。」と証言している。
専門一本槍で、人生や社会について考える時間と雰囲気を奪われている。自治会活動も
低調である。そこには人間らしい渇きがあるはずである。
これは高校や中学教育についても言える。思春期の真っ只中にあって、受験教育のみが
大手を振る。学問とは何か、何のために学ぶのかなどについて考えることが切望される。
立場の異なる教師の意見が刺激になって批判精神が生まれる。
これは社会でも言える。本来自主的であるべき福祉組織などにおいてさえ、「綱領」な
るものが支配し、もの言う職員の首切りが行われ、うつ病が多発している。
エネルギー政策の転換(林まさ)
日刊工業の記事。経済産業省は、原子力を基幹とする従来のエネルギー政策を大幅に修
正する方針を固め、燃料電池などの水素エネルギーを従来の補完的役割から2030年に
は基幹になるように重点開発することを打ち出す。そのために産業構造審査会と総合資源
エネルギー調査会の合同会議を立ち上げ、12月には最終答申を得る。
これは各地の原発反対運動や環境を守る国民世論の勝利と言える。にもかかわらず政府
は他方で、核燃料サイクルをどうのこうのと言っている・・・。
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中電の原発依存度は9%と小さい。今となっては反対運動に助けられたか! 東海市の
最新火力は天然ガス燃料で、効率なんと52%、燃焼ガスと水蒸気の複合発電である。ご
み固形化燃料(RDF)による発電効率は20%が限界。核融合はヘリウム3を使うと放
射性廃棄物を避けられる可能性がある。
本の推薦
林まさ
「理科年表」に環境編が出た。長期間の総合的なデータがまとめられていて参考になる。
飯田
森千里著「胎児の複合汚染」(中公新書)。へその緒を分析するとさまざまな汚染物質が
見つかる。生まれる前から複合汚染を受ける現実から考える。
きれいな日光川をとりもどすために(宮崎)
支流の目比(むくい)川洪水などをきっかけに、日光川に集中豪雨時のために3ケ所の
木曽川に向けた放水路が建設されている。そのひとつの放水口が馬飼ダム内であるいうこ
とで、1997年から日光川の汚染について調べ始めた。そのわずか1キロ上流には名古
屋市の取水口がある。
尾張平野には日光川を始め7つの川があり、かつては木曽川につながっていた。それを
尾張徳川家が「お囲い堤」をつくって切断した。以来これらの川は犬山扇状地の湧水を集
めて流れるようになった。1955年からの尾西地方の繊維産業の隆盛(いわゆる「ガチ
ャ万景気」)は豊富な地下水を利用し、その結果中流域の自噴井戸は姿を消し、下流の海
部地方に広大な0メートル地帯を生み出し、7つの川の水源は工場や農業や家庭の排水に
代わった。
専門家の助けも借りて調査すると、木曽川に比べて、化学的酸素消費量(COD)が4
倍、総窒素5倍、アンモニア性窒素40倍、電導度による汚染度が4倍、ニッケル・鉛は
20〜50倍などという測定になった。かつて日光川は日本一汚い川の「称号」を受けた
こともある。
とくに汚染がひどくなるのは、一宮市萩原町の下水処理場からである。ここでは工場排
水の処理もしており、排出基準は守っているが、とくに染色工場のため黒い色が抜け切ら
ない。オゾン処理などが考えられるが、コストの問題があり、世論の高揚が待たれている。
昔は日光川は魚やしじみが採れ、夏には泳げた。こうした川に対する過去の価値観を復
活し、きれいな日光川をよみがえらせることは夢ではない。すでに尾西市南部では一部の
護岸が垂直なコンクリートから芝生の斜面に改修されている。佐屋町でも親水公園の計画
がある。県もそういう姿勢を持っている。
人々の協力によって、ホタルが舞う、釣った魚が食べられる日光川をとりもどしたい。
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日光川がきれいになって、出水時にはたんぼが遊水池にできるとよい。
ダイオキシン討論会に参加して(林まさ)
2月14日、大阪工大で開かれた
「ダイオキシン 神話の終焉」(日本評論社)をめぐって
の討論会に参加しました。パネリストは著者の渡辺、林両氏と、宮田氏(摂南大)、藤原
氏(ダイオキシン関東ネット)で、主催はダイオキシン関西ネットです。
会場は200名定員の教室が300名で埋まり、始まる前から熱気に包まれていました。
私は著書の主張「ダイオキシンは食品を通して体内に入るのが大部分で、ごみ焼却で発
生するダイオキシンを規制するのは無駄である」に納得していたのですが、これにかなり
疑問が伴いました。塩ビ焼却実験や底質の汚染の農薬由来割合については一部のデータの
みを利用しており、焼却施設の大気データが使用停止後のものであり、何よりも環境省の
調査で焼却炉対策が始まった1997年からの4年間で大気中の濃度が全国平均で0.55
から0.15pg−TEQ/m3 に減少しているデータを無視しています。
同時に本を読んだとき、環境問題を捉える重要な視点の欠落も感じました。彼はさかん
に「ダイオキシンで死んだ人はいない」と書いています。彼のリスク評価は半数致死量と
いう急性毒性のデータに依っています。環境問題では、公害問題のときから、基本的に慢
性毒性が問題です。この点は討論会でも確認できました。
環境問題の難しさは「予防の原則に立つ」点です。これには科学的なデータは不可欠で
すが、それだけでは結論が出にくい問題です。
牧野氏:公害問題は「被害が出てから」対策を考えた。環境問題は「被害が出る前に」手
を打とうとする。前者では事実が先にあり、後者では推定による行動になる。推
定に誤りがあると、社会に少なからぬ打撃を与える。
科学的であろうとのみすると、ついつい事実やデータがないかぎり否定的になります。そ
して自分が知らないことがあるという自覚を忘れたり、先入観やこだわりがあったり、多
面的な視点を持たずにいると間違いを犯します。著者のグループは化学人として塩ビなど
が目のかたきにされるのが許せないのだという印象を受けました。
これをカバーできるのは、すでに70年代はじめに確認された「人間優先」(それまで
産業協和)の思想です。これは思想であって、科学ではありません。
発言A:小児科医として1989年からベトナムの枯れ葉剤被害に関心を持ち、調査する
ほどにその恐ろしさを感じている。そういうこと無視して、コストとリスクのバ
ランスで考えるのは、本当にそれでよいのか。
発言B:油症患者にとって単に塩素挫創がどうこうという問題ではない。患者は人生そも
ののが破壊されていることに気付かないのか。もっと実態を調査すべきである。
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もうひとつは率直な討論です。その点で今回は私にとっても素晴らしい勉強の場になった
のです。
なお3月に報告書が作成されるます。次のホームページで確認してください。
http://kyoto.cool.ne.jp/daiokansai/
ちなみに西川著「環境ホルモン」(日本評論社)をめぐっても討論会が企画される気配で、
とても楽しみです。
これから
長瀬:ゼロ・エミッションの全体像を知りたい。また食糧自給の方向を探りたい。
富田:ヘルマン・シェーア著「ソーラー地球経済」(岩波)のまとめをしたい。
林まさ:「物質とエネルギー」という講座プランをつくった。エネルギー問題を組み込ん
だので検討してほしい。
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