09.7
                               事務局:林 正幸

  環境問題通信09−7号

 今回は岩田、多々見、林ひろ、林まさの4名でした。折しも一宮七夕まつりの賑わいの
中での勉強会になりました。

でき過ぎた自然(林ひろ)

 地球は生命誕生の条件が整い過ぎているとも言える。物理定数も、例えば万有引力定数
が1桁大きかったら、現在の宇宙は成り立たないし、生物の大きさも昆虫レベルに留まる。
 このことをどう捉えるか。ひとつは創造主を想定することであり、もうひとつは多様な
宇宙があり、私たちの宇宙はその特別のひとつであると考えることであろう。

 とてつもない問題提起に、多々見さんが語りました。「たとえば、すべての文字を1回
ずつ使った『いろは唄』や意味深淵な般若心経のような文が存在することは、人智の及ば
ない領域に思え、それを越えた存在やその『啓示』を想起させる。私はこの分野にも大き
な関心がある。」
 「科学が何もかも分かっているように振る舞っているわけではない。むしろ未知の領域
の大きさを改めて受け止めている。また科学ですべてが決められるわけでもない。思想・
宗教(あるいは哲学)が人間には必要である。」とは、両林の意見でした。

 環境との関係では、でき過ぎた自然の「でき過ぎ加減」をしっかりと把握しないと、横
着な考えでは人類は取り返しのつかない結果を招いてしまうと言えるのではないでしょう
か。
 林ひろさんは次の本などを紹介してくれました。
シュタイナー「宇宙生物学入門」(シュプリンガー・ジャパン)
セグレ「温度から見た宇宙・物質・生命」(オーム社)

「エコ村」があった!(多々見)

 前回提起した「どっとこむ村構想」によく似た「エコ村」(NPO法人)が、実際に存
在し、活動していることが分かった。
 「あなたのまわりの空気、水、土は健康ですか?
あなたのまわりの草や木、土の中の微生物、昆虫、鳥、動物は元気ですか?

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そして、その全体としての生態系は健康ですか?
人を疑うことなく、互いに支え合える、安心して暮らせる社会ですか?
人々の暮らしを豊かで充実したものにするために仕事が役立っていますか?
そして、健全な人間関係の発展と経済の発展は結びついていますか?
未来が現在よりも良くなるという希望を持っていますか?
未来を良くすることを担う喜びを知っていますか?
これらの問に「はい」と答えられる社会が「持続可能な社会」であり、エコ村づくりを通
じて実現しようとしている社会です。(後略)」(ホームページより)

 参加者は土日に農業中心の共同生活をして意見交換をしており、村の数が増えている。

 これを反文明と捉えるのか、生活を見直す視点と捉えるのか。現代社会は「便利」の呪
縛から逃れられない。
 岩田さんの弁「確かに環境問題は価値観の変更無しには解決できないと思う。」 そし
て多々見さんは「人工照明の農業工場なんて、もっての他。『自然に帰れ』だよね。」

「地球の化学像と環境問題」(林まさ)

 北野 康著「地球の化学像と環境問題」(裳華房)を読んだ。著者は名大理水圏研究所
で教授、所長などを歴任し、他方で環境省の地球温暖化問題検討委の委員長として科学者
の役割を果たした。
 地球環境の理解は、その歴史を辿ることで深められる。そしていつか「地球の歴史と環
境」という講座プランをつくってみたい。そんな思いからこの本を読んだ。さらに田近著
「地球環境46億年の大変動史」(化学同人)も、入手して読むつもりである。
p66〜
現地球の大気・水圏・生物圏の事実上の材料は二次原始大気
 微惑星の衝突で形成された地球の表面は融けて「マグマの海」となり、一次原始大気が
分厚く覆っていた。しかし生成間もない太陽が現在の1000倍の高輝度期を迎え、その
強烈な太陽風が、一次大気を重力圏から宇宙空間に吹き飛ばしてしまった。
 その後マグマの海から脱ガスが起こり、二次原始大気が形成された。そのうち水素やヘ
リウムは分子量が小さいので飛行速度が大きく、逃失してしまった。二次原始大気はかつ
ては還元的と考えられたが、現在では酸化型であるという考えが支持されている。そして
その組成は、現地球上に存在している、なんらかの形で気体になり易い元素の推定量から
求められる。
  水蒸気(H2O)      16300(×1020g)
  二酸化炭素(CO2)     2000

                  - 2 -

  塩化水素など(HCl)    330
  二酸化硫黄(SO2)       50
  窒素(N2)           45
  酸素(O2)            0
地球表面が冷えて水蒸気は凝縮して海を形成した(40億年前)。そして塩化水素などは
岩石で中和された。二酸化炭素は水に溶け、さらに岩石から溶出したカルシウムイオンと
炭酸カルシウムを形成して沈でんし、大気からほぼ取り除かれた。
p82〜
氷および貝殻化石の安定同位体比や微量・少量元素含有量からの古代大気や古代海水の温
度や化学組成の推定

 安定同位対比とは次のように定義される。
  酸素の場合:δ18O ={(18O/16O資料)/(18O/16O標準) −1}×1000
 降水や氷床コアの氷資料のδ18Oは、気温が低いほどマイナスの方に向かう。
 貝殻化石のCaCO3のδ18Oは、水温が4.3℃上がる毎に1ずつ小さくなる。
 炭酸カルシウムの結晶には方解石形とあられ石形の2種がある。サンゴの炭酸殻はあら
れ石形であり、これに取り込まれたマグネシウム含有量は表面海水温度に正の、ストロン
チウム含有量は負の相関を持つ。
 海水に溶存するBa2+濃度は、海水のアルカリ度と比例関係にある。海水のアルカリ度
は大気中の二酸化炭素がどれくらい溶け込むかに関係する。
p118〜
地球温暖化
 温暖化係数(CO2を1とする)
  CH4  20    N2O  310  O3  1000
  フロン類  約10000  SF6  23900
 寄与率(1992年)
  CO2  63.7%   CH4  19.2   フロン  10.2
  N2O  5.7
 (水蒸気は二酸化炭素の2倍強)
 CO2の季節変動は赤道、さらに南に向かうにつれて小さくなり、南極では見られない。
 氷床資料によると、過去16万年間で気温には10℃、大気のCO2濃度には80ppm
Vもの差があった。氷期と間氷期の出現は、ミランコビッチサイクルに関係していること
は明白である。しかしその太陽熱の変動では、地表の温度の1℃くらいまでの変動しか説
明できない。CO2の変動が注目されるが、気温が上がれば植生の増加が起こり、CO2
度は小さくなるはずである。こうして海水からのCO2の放出が注目されている。
p143〜

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Missing sink of CO2
      排出               行方
  化石燃料消費  200億トン    大気に残存  130億トン
  森林伐採     70       海洋に吸収   90
  人間の呼吸    18
  火山・温泉     1
    ∴ 70億トンの行方が不明
p148〜
地球上における炭素の分布
      (CO2として ×1020g 1980年)
  大気            0.025
  海水と陸水         1.30
  生物とその遺骸       0.145
  石灰岩        1800
  堆積岩中の有機物    250
  石油・石炭         0.2
 現地球上に存在する石灰岩と有機物を焼くと出てくるCO2を大気に放出させると30気
圧で97%がCO2になり、金星に似てくる。
 現在の大気のCO2は0.03%であるが、仮にこれが取り除かれると水蒸気も水や氷に
なって、地球の気温は−18℃になってしまう。
 CO2が0.06%のなったら温暖化が大変だと心配される。よくぞ地球生物が地球大気
を1気圧下CO20.03%に安定化させてくれたものである。

 どうして温度が低いと重水は蒸発しにくくなるのだろうか。重水も軽水も分子の平均運
動エネルギーは同じはずである(位置エネルギーも)。
 二酸化炭素の行方では、どうして人間の呼吸を計算に入れるのか、よく分からない。



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