07.1
事務局:林 正幸
環境問題通信07−1号
今回は飯田、岩田、臼井、鈴木久、長瀬、林ひろ、林まさの7名でした。環境問題は複
眼的に捉える必要があり、科学を越える視点もあり、簡単に結論の出せる課題ではありま
せんね。その意味でみんなで議論しながら学ぶのが本来と思います。その積み上げが未来
を照らす光になっていくことを願います。なお塚田さんから寄せられた「Let’s
try 4R」(No14)も紹介しました。
温暖化問題(飯田)
「二酸化炭素で温暖化」という仮説が鵜呑みにされ、だから「原子力発電しかない」と
いうキャンペーンが張られることに危機感を抱く。温暖化はコンピュータのシミュレーシ
ョンによってはじき出されるが、そのプログラムが根拠にしている考え方を検討する必要
がある。
今回は勉強した次の本
林ら「地球温暖化を防止するエネルギー戦略」(実況出版)
近藤「温暖化は憂うべきことだろうか」(不知火書房)
槌田「二酸化炭素温暖化説は間違っている」(ほたる出版)
伊藤「地球温暖化」(日本評論社)
薬師院「地球温暖化論への挑戦」(八千代出版)
から抜き出した10あまりのグラフ(図表)を検討して欲しい。つまりデータそのもので
考えたい。
図表1〜3(勝手に番号を付けました)によると、ここ150ないし200年で二酸化
炭素濃度(およびメタン、酸化二窒素)が急激に増加したことは間違いない。とくに最後
の50年の伸びは大きい。図表4から、過去140年間の地表気温の変動には明らかに上
昇傾向が確認できる。しかし1940〜1980年の40年間は気温が下がっている。こ
れは二酸化炭素濃度の増加と矛盾する。気温を支配するもっと別の要因があるだろう。図
表5によると、最近30年あまりのデータで、海面温度の変動に追随して二酸化炭素濃度
の増加量が変動している。海が二酸化炭素を放出・吸収しているのではないか。
「それは事実であろうが、温暖化とどう係わるのか(林まさが後で書き加えた)。」
図表6は、20万年の間、気温と二酸化炭素およびメタン濃度が密接に関係しているこ
とを示している。しかしこれではどちらが原因でどちらが結果であるという結論は出せな
い。図表8は、10年ほどの2地点(日本)における二酸化炭素濃度であるが、ピナツボ
火山噴火の3年間だけは増加が止まり水平になっている。つまり気温が低いと濃度は上が
らない。
「濃度の年変化は光合成の季節による盛衰のためだね。」
「都合のよい部分だけ取り出している。他の領域の直線からのずれも説明しなければ科学
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的とは言えない。」
図表9は、地球放射のスペクトルであるが、二酸化炭素吸収領域の放射強度が、黒体放射
で期待される180に対して40になっている。今の濃度ですでに8割方を吸収している
ので、これからの濃度増加の影響は少ないのではないか。
「もしそうなら、金星が高濃度の二酸化炭素で温暖化し、数100℃になっているという
説明は間違いということになる。」
図表10〜15によると、黒点数と気温や海面温度の間にかなりの相関がある。黒点周
期の長さと気温や海面温度の間にも負の相関がある。太陽活動に目を向けるべきではない
か。
「EUなどは予防原則の立場から、二酸化炭素削減を目指している。」
「藤田さん(アルケミスト)は、二酸化炭素は過去の最大値を遙かに超え、地球サイクル
の変動幅を逸脱し、これまで体験したことがない気候環境に突入したと書いている。」
「2010年には名古屋でCOP10が開かれるとか・・・。」
エネルギー特集(林ひろ)
サイエンスが1990年11月号で「地球にやさしいエネルギー」、2016年12月
号で「エネルギーの未来」という特集を組んでいる。比べてみると16年間で大きな変化
はないが、風力は立地条件や騒音などの課題も取り上げられ、燃料電池の比重が小さくな
り、原子力に核融合が取り上げられた。自分としてはバイオエネルギーと農業の関係が気
になる。
「燃料電池は水素をどのようにつくるかが問題だね。」
「ダイレクトメタノール型がノートパソコンなどの小型電源として注目されている。天然
ガスの家庭用燃料電池も実証試験に入っている。工場では高温リン酸塩型が稼働している。
「自動車はハイブリッドか電気自動車の方がよいのではないか。」
「本格的にバイオ燃料が追究されると、食糧生産と競合してくる。」
「休耕地や山地を活用するのはよい。」
「食糧と矛盾しない、セルロースの活用を基本にすべきだ。」
「間伐材でエタノールというのがある。」
他には、「非常識」と思われ誰も手をつけないことに、時間を気にせず取り組んで「常
識」を変える、そういう研究が求められる。宇宙の泡構造を発見したラバランと、そのよ
うな研究者を求める丹羽教授の講演の紹介もありました。
国産バイオエタノール(林まさ)
1月15日付け日刊工業の記事。バイオエタノール・ジャパン・関西が、ハードバイオ
マス(廃木材)を原料にエタノールを生産する世界初の商用プラントが堺市に建設して、
国産バイオエタノールの生産が始動する。糖化工程では希硫酸を使って加水分解するが、
将来は酵素を活用して価格を1gあたり50〜100円に持っていきたい。
ただしE3は水との相分離が起きやすく、ETBE(エチル・t−ブチル・エーテル)
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でつないで相分離しにくいE10を目指す。
農水省の助成を受けて北海道JAグループが新会社で年1万5000キロgプラントに
着工、農村再生をバイオエタノールで実現する。
政府は年600万キロgに向けて、技術ロードマップを作成する。
米国は2010年に2840万キロgを実現、現在はトウモロコシ主流だが、セルロー
ス系に移行する。
研究としてはエタノールは峠を越え、現在はエネルギー密度とオクタン価が高くガソリ
ンとの融和性に優れるブタノールに移行している。
「石油業界がE3は受け入れないと言っている。」
TOSSの中の原発教材(長瀬)
向山洋一が提唱する「法則化運動」に基づく教育研究運動TOSSのホームページの
「環境・エネルギー」の中に、原子力発電に係わる気になる教材が掲載されている。
「誘導尋問になっている。どんな科学者が係わっているのだろう。」
「原発の見学に行って「公式」に得られる情報を鵜呑みにした内容で構成されている。否、
さらに意図的でもある。」
当事者は信じ込んでやっているのだろうか。もっと多くの理科教師などに呼びかけて、
批判運動を展開すべきではないでしょうか(林まさが後で書き加えた)。
廃棄物の再資源化技術(その1)(林まさ)
廃棄物の資源化についてより具体的に知りたいと本箱を捜していると、村田「廃棄物の
再資源化技術」(オーム社)が出てきた。1999年に出版され、目次は次のようである。
1章 廃棄物資源化と自然
2 焼却に頼らない有機系廃棄物の資源化技術
3 低水分有機系廃棄物の資源化技術
4 廃棄物のエネルギー化と燃料電池
5 超臨界水熱分解による資源化技術
6 溶媒抽出法による資源化技術
7 廃酸の資源化技術
8 廃アルカリの資源化技術
9 重金属系廃棄物の資源化技術と実例
10 非重金属系廃棄物の資源化技術
11 廃プラスチックの資源化技術
資源を循環するための具体的な技術は、エネルギーと並んで、環境問題では不可欠である。
今回は2章まで紹介をする。
・イギリスの素人数学者W.F.ロイドは「共有の放牧地に、各人が自分の利益を最大にし
ようとして、家畜を際限なく放牧したら、たちまちにして牧草はなくなり、共倒れになっ
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てしまう」と、アダム・スミス理論の誤りを指摘した。
・ごみ処理手数料の無料化は、住民サービスではなく、実は使い捨て製品をつくるメーカ
ーへのサービスだった。
・OECDは「廃棄物処理費用の製品価格への内部化」を基本理念とする「拡大生産者責
任(EPR)」を打ち出した。EPRは生産→消費→廃棄・処理にいたる全過程の環境コ
ストを製品価格に上乗せすることにより、その製品の購入者(受益者)に支払わせる。環
境負荷が高い製品は市場価格も高くなり、消費者から敬遠され、需要が減少し、市場から
閉め出される。
・動植物性残さ・残飯のような高水分有機系廃棄物は、まず家畜・養魚・ペットなどの飼
料に加工し、飼料化できないものは、乾燥して油かすのような有機質肥料にする。肥料に
ならないものは高温メタン発酵によりメタンを回収して、燃料電池などにより熱と電力の
回収を行う。さらにメタン発酵残さを堆肥化(コンポスト化)する。一方、有機系廃棄物
を超臨界水熱分解して、メタンや水素を製造し、燃料電池やマイクロガスタービンを用い
て電力と熱を回収する新技術が注目されている。
・油温脱水法は、ポテトチップスや即席麺の空揚げ調理法として工業化されているのもの
の応用で、家庭やレストランなどから発生する高水分の残飯を廃食用油で空揚げにして乾
燥する処理法である。80%以上ある水分は5%程度まで下げることができ、高圧プレス
や遠心分離で搾油する。廃食用油は約15回循環使用すると油の酸価が5.0以上になり、
それ以上は使用できないので、クッカーの燃料にする。
・メタン発酵を起こす菌には、32〜37℃で活動する中温性菌群と55℃前後で活動す
る高温性菌群とがある。炭水化物はClostridium属の嫌気性菌が出す酵素によって酸とアル
コールに分解される。生成した酸やアルコール類は、メタン発酵菌が生産する酵素により
メタンに変化する。エチルアルコールと二酸化炭素が酢酸とメタンになる反応はメタン発
酵の典型的な反応である。
2RCH2OH + CO2 ―→ 2RCOOH + CH4
・有機物を分解する速度が速い好気性分解を利用して、有機系廃棄物を分解させる方法が
高速堆肥化技術である。生物分解可能な有機系廃棄物は、炭水化物・脂肪・タンパク質か
らなるものであり、生物分解が容易でないリグニンなどは堆肥中に残存し、団粒構造をつ
くる補助資材になる。
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