10.2
事務局:林 正幸
MOLの会通信10−2号
今回は浅井、岡田、鈴木とし、田中、林まさ、福島、船橋、堀の8名が参加しました。
終了時間を5時にと努力しましたが、相変わらず6時になってしまいました(せっかく浅
井さんがお菓子を準備してくださったのに、お茶を飲む暇もなかった)。形式的になって
もまずいわけで、すこしずつ改善していきたいと思います。また疑問などを出し合って交
流する時間もつくってみましたが、これも定着させていきたいと思います。さらに科学の
祭典は振動反応を取り上げることになり、4月25日に林ラボで予備実験をすることにな
りました。そして食事会ないし飲み会は夏までお預けです。
水谷式分子模型(岡田)
前回紹介した水谷健次郎さん提案の大きな分子模型を、授業で使うために系統的につく
ることにした。発泡スチロール球は直径3.5cmが水素、6cmが他の原子で、ユニポス
カを塗って色分けをする。ポリエチレン管は内径3mm、外径5mmのもので、水素用は
4cm、他は5cmにカットする。そして球に1cm埋め込んでホットボンドで固定する。
綿棒はコーワ製品がピッタリ合い、またよくしなう。酸素は105°の、硫黄は92°の
角度定規をつくった。炭素、窒素は、前に紹介したように正四面体を利用する。この模型
はおよそ4億倍である。13種の分子模型をつくった。
授業では、原子の結合、分子構造、反応式と量論、置換・付加など反応の形式を理解さ
せるのに便利である。
平尾・板倉著「分子模型をつくろう」(仮説社)、板倉著「原子とつきあう本」(仮説
社)を参考にした。
そのとき話題になった二酸化炭素の量子論な結合状態は、そのことを直接書いた文献は
手元にありませんでした。そしていずれにしてもこの種の分子模型はそこまでの内容を表
現できるものではありません。
これとは別に「牛乳パックの裏返し」の術を教えてもらいました。これは昨年の安房科
学塾で大村さんが紹介したものです。パックを輪切りにし、正方形4つがリングになった
ものを使います。岡田さんは図と写真入りの説明プリントをつくる熱の入れ様です。目隠
ししてもできるくらいです。
しかしいざ自分がやってみると、手ほどきを受けてもすぐに習得とは行きません。それ
でもねばり強く訓練して、一応全員ができるようになりました。これはホームルームなど
で使えそうです。
高精度温度計(林まさ)
半年を掛けてやっと、0.01℃刻みの高精度温度計が完成した。凝固点降下の計測は
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100回を越えた。前々回にも一部紹介したが、その後ベンゼンの凝固点降下も計測でき
るようにし、また校正方法も確立できた。もうひとつ、冷却の条件も重要であることが分
かってきた。冷却曲線を使って凝固点を求める方法は、面倒な上に必ずしも正確とは言え
ない。むしろ寒剤の温度を低くして1分以内に過冷却をブレークさせる。そして上昇した
最高温度を凝固点にすることにした。そのデータの1例は次のようである。濃度はすべて
0.2mol/kg。
(a)水溶液(水のモル凝固点降下 1.86℃)
ブドウ糖 Δ0.37℃
エタノール 0.36
塩化ナトリウム 0.71
硝酸マグネシウム 1.13
硫酸ナトリウム 0.82
(b)ベンゼン溶液(ベンゼンのモル凝固点降下 5.08℃)
ナフタレン Δ1.04℃
安息香酸 0.50
エタノール 0.76
水溶液では、電離による粒子数の増加が確認できるが、硫酸ナトリウムは100%は電
離していないようである。ベンゼン溶液では、安息香酸が2分子会合して溶けていること、
エタノールは一部がそうなっていることがうかがえる。
サークルでは水の凝固点などの計測を実演して、温度計の性能を確認してもらいました。
イオンの電気泳動(林まさ)
高電圧によるイオンの電気泳動の危険性が指摘される中で、18Vでやった昔の実験を
改良してみた。1mol/L塩化カリウム水溶液5mL、BTB溶液5mL、そして2%塩
化アンモニウム水溶液3mL(これはBTBを緑色にするために加える)に水を加えて全
体を50mLとする。これを加熱沸とうさせて寒天(食用で十分)0.5gを溶かし、クッ
キングペーパー上のスライドガラス10枚にかける。固まったら白色のプラ板に載せ、両
端をアルミ箔で包んで電極とし、発光ダイオード(LED)と直列にして9V乾電池(0
06P)2つにつなぐ。そして3mol/L硫酸を浸ませた木綿糸を中央に置くと、陰極に
向かって黄色の帯が拡がっていく(水素イオンの移動)。LEDが光って電気が流れると
き、水溶液中ではこのように電気を持つイオンが移動する。さらに陽極付近が黄色に、陰
極付近が青色になって反対の極に拡がり、水の電気分解で陽極が酸性に、陰極が塩基性に
なることも分かる。ちなみにカリウムイオンや塩化物イオンも移動し、このため寒天の電
導性が確保される。
水酸化物イオン、テトラアンミン銅イオン、過マンガン酸イオンなどでも同じように実
験できる。なお後2者のついては、4つの電池で36Vにする。
尿素樹脂(船橋)
野曽原さんの授業プリントに従って尿素樹脂をつくってみた。試験管にホルマリン6m
Lを入れ尿素4gを加えて、よく混ぜながら弱い炎で加熱して溶解させる。これを水道水
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で冷やした後に、試験管に巻き付けて作ったアルミ箔の容器に流し込む。そして6mol
/L塩酸1mLを一気に加えると、激しく重合して白色の尿素樹脂ができる。生徒たちはほ
ぼ失敗なく実験できた。
型に入れてはどうかという意見がありました。また化学図表に、開始剤に緩やかに反応
する酢酸アンモニウムを使って、透明な樹脂をつくる例が載っていました。
パルス燃焼(船橋)
物理サークルで紹介されたパルス燃焼、自分でもチャレンジしてみた。コーヒー缶のふ
たの中央に9〜10mmの穴を開けたり、上半分が円錐形になっているガラスびんに座金
をつけて、メタノールとエタノールが7:3の混合燃料を10mL弱注ぎ、しばらく手の
平で温めすこし間を置いて点火すると、バイクのような音を立てて燃焼が継続する。爆発
的な燃焼が起こり、燃焼ガスが排気され、排気による陰圧などで外気が補給され、再び燃
焼することがくり返される。ガラス容器は燃焼の様子が目で観察できる。容器の形状や室
温などの影響を受けるようで、いくつも試行錯誤した。
こんな燃焼の仕方があるのかと思えるのですが、熱効率が高くて一部の業務用温水器に
実用化されています。
ハートモーター(船橋、鈴木とし)
横浜物理サークルのホームページに載っていた。電池の一方に円形のネオジム磁石を付
け、こちらを下にして立て、銅線をハート形にしてその中心をもう一方の電極に載せると、
いやし系の回転をする。銅線を載せる極は座金を使ったりすこしへこませてくぼみをつく
る。ハート形は中心(支点)が重心のすこし上に来るようにし、下は切れていてもよい。
ハート形の下がネオジムに触れると電流が流れ、フレミングの左手の法則に従ってトルク
を得る。するとハートの下が遠心力ではねて不思議な回転をする。電流の流れる時間が短
いので、かつて紹介された単極モーターほど電池は消耗しない。
自作ストロボ(田中)
LEDでストロボをつくるという船橋さんのアイデアを受けて、マイコンなど電子技術
を活かした高精度のストロボを実現した。手元にはEHCのユニバーサル計測制御システ
ムがある。これでONとOFFの時間幅(デューティ比)を加減した方形波をつくり、こ
れをスイッチにして高輝度LEDを光らせる。周波数は1以下まで加減できる。LEDは
3Wで700円のものを使った。2セットつくって同期して光らせることもできる。他方
でEHCは1Hz刻みの発振器も開発している。これをスピーカーにつなぎ、糸を振動さ
せて定常波をつくる。たとえば30Hzの定常波を30Hzのストロボで照らすと糸の動
きが停止する。次にストロボを30.5Hzにすると、糸がゆっくりと波打つように振動す
る。音叉もわずかに周波数をずらしたストロボで照らすことで、振動の様子がよく観察で
きる。周波数は10kHzくらいは平気で対応できる。
この装置はこれまで観察できなかった領域に光を当てることになると思われます。
酸化と還元(福島)
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学習が苦手な生徒たちを相手に、酸化と還元の授業をした。内容は酸素の授受に限定し
た。そして反応はたとえば次のように表現した。
――――― ――――――― ―― ――――――――――
|鉄|酸素| + |アルミニウム| ―→ |鉄| + |アルミニウム|酸素|
――――― ――――――― ―― ――――――――――
テルミット反応を演示した後、生徒に3つの実験を取り組ませた。
1.先をコイル状にした銅線を加熱して酸化銅にする。
2.そのコイルを加熱しておいて、水素の入った試験管を逆さにして差し入れて銅にもど
す。
3.酸化銅と炭素粉を混ぜて、試験管の中で加熱し、発生する気体を石灰水に導く。
最後の実験は試験管の口の付近が曇ったり、銅がその時間内には取り出せなくて苦労した。
ちなみに「おもしろ実験・ものづくり事典」(東京書籍)にある、酸化銅をお菓子で還
元するのは、やってみると大変であった。これに対して飲み物で還元するのは使えそうで
ある。
福島さんの苦労と頑張りがよく分かります。
なお福島さんからは、お土産にタイの周期表をいただきました。タイ語と英語が混ざっ
ていますが、元素記号などは万国共通なので大まかな内容は理解できます。
疑問・意見の交流
・中和の反応式は塩基、酸、水、塩の順に書かせるようにしてはどうか。塩基の化学式の
OH と、酸の化学式の H をくくると水ができることが分かりやすい。そして中和の本
質を意識させるためにも水を先に書き、塩を後にする。生徒はなぜか塩の方が頭に残って
いる。
・反応式において化学式の順は規定されていないが、生徒によってはある程度定式化した
方が勉強しやすい面があると思う。
・中学でも水と塩ができることを教えるが、中和したあと塩を取り出す実験の印象が強く
て、塩の方が中和と強く結び付いているのだろう。
・原子が電気的に中性であることは意外に理解しにくいのではないだろうか。生徒にとっ
て中性は電気そのものが存在しないことと思える。イオンでは陽子と電子の差し引き分だ
けの電荷を帯びるというのも同じである。このあたりはすこし電気の勉強をしてから入る
とよいと思う。
・二酸化炭素は無極性分子であるという一面が強調され過ぎる。分子が近づいて結晶をつ
くるときには、C=O の極性によって、炭素と酸素がそばにくるように配列する。
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林 正幸と主万子の始めの
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