09.9
                               事務局:林 正幸

 MOLの会通信09−9号

 今回は浅井、岡田、澤田、鈴木とし、出口、林まさ、福島、船橋、堀の9名が参加しま
した。
 科学の祭典のテーマは「字や色が消えたりもどったり」で、6月に船橋さんが提案した
フリクション・マーカー(ドライヤーと急冷スプレイ)と感熱インク(アンモニア水と塩
酸)の2つ(MOLの会通信09−6号を参照)に加えて、最終的には染料で統一してイ
ンジゴカルミンの色が、ハイドロサルファイトで消え、空気中の酸素やハイターでもどる
実験を加えることになっていましたが(林まさの提案)、おそらく薬品の変質のためその
場で確認ができませんでした(もちろん準備し直します)。おかげで「実験は必ず直前に
試してみるべし」という教訓が再確認できました。

正八面体(岡田)

 以前に、使い終わった封筒を利用して作る正四面体の紹介をしたが、今回は正八面体で
ある(後者は実習教諭の安藤さんの発案)。どちらも化学では役に立つ立体である。
 実際にA4以上の大きさの厚手の封筒で作ってみると、10分あまりで完成しました
(作り方の図がなくて失礼!)。
 ちなみに前者は堀井著「折り紙で広がる数学の世界」(北斗書房)に載っており、この
本はインターネットで書名で検索して注文すれば入手できる。

 最も毒性が高いダイオキシンの正式名2,3,7,8−ジベンゾ−p−ジオキシンの命名に
について疑問が出されました。環状炭素などの位置を表す番号は環形成以外の原子価があ
れば順番に付けられます。そしてこの場合は酸素は2価が環形成に使われて番号は付かな
いように思えますが、酸素は3価になり得るので実際には番号が付けられています。
 またp−ですが、後で調べてみるとこうでした。ジオキシンとは酸素を2つ含む6員環
で二重結合を2つ含むものを指します。そして酸素の位置によって1,2−(o−)、1,
4−(p−)の2種があります。

ヘルムホルツ共鳴器(船橋)

 石川さんが紹介した音反動車に関心を持ち、次のEHCで製作講習することになってい
る船橋さん、その基になっているヘルムホルツ共鳴器を5000円はたいて輸入購入しま

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した。
 「楽飲み」の飲み口を切ったような形のガラス製で、注ぎ口にあたるところから音を拾
う。共鳴する振動数は、体積と「注ぎ口」の断面積から、理解しにくい関係式で計算でき
る。
 発振器で音を出し、「飲み口」を耳に当てると460〜480Hzで共鳴することが分
かりました(振動数はなぜか人に依る)。
 ついでに音反動車の紹介もありました。小さい穴を開けたピンポン球4つの車や、ヤク
ルトびんの口を塞いで小さい穴をあけたもの4つの車が、共鳴するとゆっくりとまわりま
す。スピーカーは10Wで、ちょっとうるさい。この原理は単純ではなさそうです。

 これまた石川さんが紹介した「一歯ゲジゲジ」にも取り組む船橋さん、ジャイロ効果で
倒れることなく、また適当な偏心でゲジゲジモーターのように進みます。現在、量産でき
る材料を求めて思案中です。

凝固点降下(林まさ)

 講座プラン「溶解と溶液」を検討している中、水の凝固点降下を計測しようと、0.01
℃刻みの温度計(−2.00〜0.50℃)を設計した。抵抗が持つ誤差やセンサーである
サーミスタの電流による発熱を克服して、どうやら計測が可能になった。
 二重にしたプラ容器に寒剤をつくり、−15〜−10℃にする。始めは20mLスクリ
ューびんに水を入れてセンサーを差し入れ、寒剤に浸けて温度を計測していくと
    −0.04℃
で凝固した。次に0.2mol/kgブドウ糖水溶液を計測すると
    −0.44℃
つまり凝固点降下は0.40℃になった。これは理論値0.37℃よりすこし大きい。
 この実験はまだ検討中ですが、計測回数は30回を越え、少しずつポイントが見えてき
ているように思えます。

 ほかに、園原さんが紹介した「もどる輪っか」(かってな命名)の材料を提供して、そ
の場で作ってもらいました。

「高校で教わりたかった化学」(福島)

 渡辺著「高校で教わりたかった化学」(日本評論社)を読んで、足下が崩れる思いがし
た。
 たとえば
「熱化学方程式は日本だけにある奇習のひとつ。」

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「教科書にこんな『説明』を載せ続けた。
『電解液に電流を通じると、陽イオンは陰極に、陰イオンは陽極に引かれ、それぞれ電子
授受して原子や分子になる。』
 『説明』と図5(省略)の誤りに、読者はもはやお気づきだろう。・・・」

 私(林)もこの本を読みましたが、面白い指摘がある一方で、認識の発展段階を無視し
た記述が目立つと思いました。電気分解に関しては私もくり返し問題点を指摘してきまし
たが(今年の科教協大会の化学分科会でも)、なかなか伝わらないと感じています。他方
で熱化学方程式については、私は彼の主張を納得できません。
 いずれにしても私たちにとって大切なのは、興味が湧く彼の主張に対して、みんなで議
論して認識を深めることだと考えます。
参考:
 電気分解においては、たとえば陰イオンが陽極に飛んでくるような図解がほとんどであ
る。
 しかし液体中ではそのような動きは考えられないし、電場の影響はイオンや分子数個分
の範囲だし、たとえば硫酸ナトリウム水溶液の場合には陽極付近に水酸化物イオンが集め
られて塩基性になってしまう(実際は酸性)。



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