97.9.27
                               事務局:林 正幸

  MOLの会通信97−9号

 参加者は、岡田、河合、下田、鈴木とし、戸田、林まさ、船橋、村山夫妻、それにカン
ボジア文部省のセン・カンさんでした。カンさんは村山さんの紹介で、日本からの教育援
助を得るための視察中ということでした。今回も内容は盛り沢山で、1時から始まった活
動は、終わってみると6時を回っていました。

「くも」と「糸ゴムを登る50円」
             (林まさ、船橋)

 「くも」は増田屋がつくっている「クモタン」というおもちゃで、音に反応すると天井
からいきなり降りてきて、それからおもむろに糸を登って戻る。
 輪ゴムを切って50円玉を通し、図のように斜めに伸
ばして念力を加えると、あら不思議、50円玉がじりじ
りと登っていくのである。種明かしは、輪ゴムの両端を       図
指で持つのではなく、低い方に伸びていない部分を隠し
持って、それを少しずつ指の間を滑らせて繰り出すので
ある。うっかりすると輪ゴムが抜けてしまうので、すこ
し練習が必要。最近テレビで紹介したそうだが、知らない者には理解できない現象である
ることは確か。
 いづれも授業の「導入」や、それから学校祭でも使えるかもしれない。

超音波リニアモーターと
        「クリルタル工房」(船橋)

 いずれもヤガミから購入できる。
 超音波リニアモーターカーは、単5乾電池を入れたホルダーのようで下側はげたのよう
に2つの歯がある。スイッチを入れて机に置くとかたつむりのようにゆっくりと前進する。

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試してみると、ガラスの表面は移動できるが、柔らかいポリ袋の上では立ち往生した。そ
のしくみはいまひとつ分からなかった。ちなみに、超音波を動力としたごくうすい回転モ
ーターも発明されている。
「クリスタル工房」は、家庭で作れる結晶の材料である。エメラルドグリーンの「結晶
の群生」がきれいにできていた(種の代わりに岩石を沈めておく)。材料を調べると、リ
ン酸二水素アンモニウム(NH42PO4)に食紅が加えてある。よく見ると、結晶の先端
は色が着かずに無色透明である。できた結晶のひとつを種にして大きい「単結晶」を作っ
たり、石コウの基盤を準備して「ジオード(晶洞)」を作ることもできる。食紅をたとえ
ば赤色に変えると「ルビー」の結晶ができそうである。リン酸二水素アンモニウムと食紅
を入手すれば、授業や部活動に利用できる。なお、材料にはミョウバンもあって無色透明
の結晶も作れる。

豆腐づくり(岡田、下田)

 久しぶりに本格的な豆腐づくりを体験した。これはかってメンバーだった篠原さんが豆
腐屋に通って開発したやり方である。鍋、ボウルが生徒数準備してあり、ビーカーなども
食べ物専用にしてあるのには感心した。とくに豆腐の型をとるのに、小さい押し寿司の容
器を購入しているのは参考になった。
 市販の豆腐は、凝固剤に「にがり」、石コウ、両者のブレンドのいずれかを使っている。
どれが一番おいしいか、にがりは塩化マグネシウムで代用して3種の豆腐を作って食べ比
べてみた。結果は圧倒的に「ブレンド」で、塩化マグネシウム、石コウの順だった。なお、
おからは、よく絞ってない分おいしいということで持ち帰った。
 ちなみににがりは、天然塩をざるに入れて下に容器を受けておくとできるとのこと。確
かに塩化マグネシウムは吸湿性である。

風船二題(船橋、林まさ)

 おもちゃ屋で売っている風船を丸く膨らませて、これに尖った鉛筆を突き刺しても割れ
ないのである。こつは、膨らませてから「へそ」を見つけてそこをもみ、その真ん中に鉛
筆をねじらないように一気に突き刺す。やってみると割れなくても空気が抜けたりして、
いくつか練習する必要がある。
 中村理科で売り出した巨大風船は、直径1.2mに膨らますことができる。別にブロワー

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が必要。大きく膨らませて「これが太陽とすると地球はどれくらい」などと質問する。そ
してその後で飛ばして見せる。その不規則な動きは爆笑を誘う。それから風船の中の空気
の(慣性)質量は1kgを越えるので、生徒用の椅子にぶつけて倒すことができる。もち
ろんしぼんだ風船ではそれはできない。

人工虹(戸田)

 お馴染みとなった「虹ビーズ」、そのたいへん細かいのを名城大の内川さんからもらっ
た。黒い紙にスプレーのりをかけ、ビーズを乗せて傾けるとでき上がり。暗室にしてオー
バーヘッドを使うときれいな虹ができる。何枚も作って黒板に並べて貼れば、大きな虹が
楽しめる。なおライトスコープで観察すると、「いくら」のような玉がぎっしりと張り付
いていた。
 その他に、タニタから販売されている100g単位の体重計も紹介された。これなら、
牛乳1本飲んでも体重がその分増えることが確認できる。

火星の風景画像(船橋)

 探査機マーズパスファインダーが火星に到着して、次々に風景画像が送られてくる。そ
れはNASAの次のホームページに掲載される。
    http://mpfwww.arc.nasa.gov/default.html
そこで夜な夜なアクセスして(電話代がたいへん)、その画像ファイルをMOに収録して
いる。それには赤青の立体画像としてパソコン画面で眺めるものと、別々にプリントアウ
トして立体視鏡などを利用するものがある。使っている画像ソフトはPowerView
である。いずれその労作は、MOドライブが使える人に配布される。

「ボイルの実験」改良版(船橋)

 前回に紹介したボイルの実験をいくつか改良した。
(1)3mlのガラス製注射器にすると、そのままボトルの口から入れられる。
(2)空気を入れる「むし」を穴の所まで切ると、気密性を確保したまま空気入れの圧力
計とボトル内の空気の圧力差をゼロにできる。
 ガラス管に水銀で空気を封入して、水銀の高さを変えて圧力と体積の関係を調べる方法
はよく知られているが、これは圧力を計算で求めるため、いまひとつ分かりにくい。それ

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に比べてこれは、圧力がゲージ圧ではあるが直接に読み取れ、かつ数atmまでの広い範
囲で実験できる点が優れている。
 その実演を眺めるうちに、「次回にみんなで作りたい」という声が上がった。というわ
けで、詳しいしくみは次の通信で紹介する。ちなみに、もうすこし精度がよい圧力計は次
に連絡すると入手できる。
  長谷川兄弟社  名古屋市南区天白町1の20
          電話 052ー612ー3835

「酸化と還元」(林まさ)

 この夏休みの仕事として、わら半紙で18枚の文章を作成し、ホームページにも掲載し
た。これは1年前からの課題で、とくに酸化数の位置づけに頭を悩ました。
 酸化・還元の用語の使い方に工夫し、面白みがある実験を選ぶようにしたが、とくに
(1)酸化数の定義と扱い
(2)電池のしくみの説明
(3)イオン化傾向を「電子を与える傾向」に拡張したこと
を中心に意見をききたい。

手づくり「3−Dボックス」(林まさ)

 戸田さんがあっせんした「3−Dボックス」を、生徒が授業で製作できるようにした。
素材を発泡スチロールから工作紙にして、はさみとセロテープで組み立てる。ただし工作
紙は光を透過しないので箱の上面に採光窓を設けた。大きさは12cmの立方体で、4切
りから原図2つ切り取ることができる。透視図「ビル風景」は縮小コピーして印刷し、授
業では色塗りもした。
 紹介だけと思ったが、みんながその場で製作して楽しんだ。

アルケミスト「メーリングリスト」(林まさ)

 アルケミストの会がインターネットを活用した活動にも取り組みことが、この夏の合宿
で正式に決まった。これに先立って可能なところから電子メールの交流を始めており、そ
の数はすでに100を越えている。そのすべては林まさのホームページの一部に「アルケ
ミストの会」のページを設けて掲載している。

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    http://www.zzz.or.jp/masasuma/alchemst/alchindx.htm
今回その半分ほどを印刷して紹介した。
 「メーリングリスト」はサークル活動を日常化でき、有意義な情報交換や正確な討論が
できる。

ヨードホルム反応(林まさ)

 授業ではアルコール、アルデヒドなどに係わる面白い実験と位置づけている。ヨウ素・
ヨウ化カリウム水溶液にサンプルを加えておいて、水酸化ナトリウム水溶液を溶液が黄色
で透明になるまで加えて待つと、やがて黄色の沈でんないし黄白色の濁りを生じる。サン
プルがアセチル基をもつか、酸化されてそれになる1−ヒドロキシエチル基を持てば検出
される。
 試しに酢酸を調べてみると陰性である。アセチル基のとなりは炭素か水素の必要がある。
  R−COCH3 + 3NaOI ―→ R−COCI3 + 3NaOH
  R−COCI3 + NaOH ―→ R−COONa + CHI3
始めの反応は、カルボニル基が立ち上がってα−炭素に結合した水素から電子を引き離す。
陽イオンとして離れやすくなった水素に取って代わってヨウ素陽イオンが結合する。カル
ボニル基に酸素が結合するとそのはたらきを抑える。本当はいくつもの構造式を書くべき
である。そして反応機構は物性論より難しいと感じた。

「化学公開講座」(名工大)に参加して(下田)

 参加者は小学生から高校教師まで多様な中で、難しい講義と、面白い実験が行われた。
(1)ナイロンの合成
 できた糸はかなり丈夫である。アジピン酸クロリドの方を使う。どうもモーターなどで
速く巻き取ることがポイントらしい。
(2)発泡ポリウレタン
 クッションや断熱材として利用されるポロウレタンは、ポリオールとジイソシアナート
からつくる。このときを水を加えると、イソシアナートの一部が分解して二酸化炭素にな
り、発泡する。原料は次に連絡すると送ってもらえるとのこと。
  イノアック特材株式会社 安城市今池町3の1の36
(3)液晶

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 ヒドロキシプロピルセルロースは粉末を水に溶かすと液晶になり、ある決まった色を反
射するコレステリック液晶である。これをスライドガラスの間に塗って接着剤で張り合わ
せる。そして氷水に浸けたりして色の変化を観察する。
(4)フォトクロミック色素
 スピロオキサジンは紫外線で紫色の化合物になり、可視光や熱で無色の物質の戻る。こ
れを含むフィルムにブラックライトを当ててから観察する。
(5)弾性・非弾性ボール
 弾性ボールは天然ゴムと同じシスポリイソプレンである。非弾性ボールはイソブチレン
に1〜3%のイソプレンを共重合させた「ブチルゴム」である。後者は二重結合が少ない
のであまり架橋していない。非弾性ボールは25℃あたりが最適温度で、高すぎても弾む
ようになる。

ダイオキシン(河合)

 ダイオキシンが問題になる中で、プリントを作って解説をした。これはジベンゾジオキ
シン類、とりわけ2、3、7、8−テトラクロロジベンゾ−p−ジオキシンの略称である。
アトキスの「分子と人間」のように、スチロール球で分子模型を作った。ポリ塩化ビニル
やポリ塩化ビニリデンのような塩素を含むプラスチックと、ポリスチレンのようなベンゼ
ン環を持つプラスチックを一緒に焼却したら、素人目にもダイオキシンができると思える。
 また銅線による燃焼テスト(バイルシュタイン反応)で調べると、ラップはもちろん包
装の袋(とくに脱酸素剤が入った食品の袋)には、塩素を含むプラスチックが多いことが
分る。それからプラスチックの分別番号、生物濃縮、焼却炉の電気集塵機問題にも触れて
いる。
 その他に、チュウインガムを噛むとはっきりと重量減少が確認できる。それだけ糖分が
体に吸収されるわけで、健康管理の一助として生徒に指導している。



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