09.6
事務局:林 正幸
MOLの会通信09−6号
今回は岡田、田中、林まさ、福島、船橋、堀の6名が参加しました。科教協埼玉大会の
お楽しみ広場、ナイター(これはEHCあるいはアルケミストの会として)、秋の科学の
祭典など、相談しているうちに6時を回ってしまいました。
なお科学の祭典は、MOLの会の出展テーマを「字が消えたり現れたり、色が変わった
り」とし、船橋さんの提案に、紫キャベツを使うお絵かき(要検討)を加えてはどうかと
なりました。
ムスベン(岡田)
60〜70mLの水に「ムスベン」(仮説社から入手)を投入すると、熱い水蒸気が出
続けて、弁当などが蒸せる(温められる)。主成分はアルミニウムとあるが、酸化カルシ
ウムとアルミニウムの粉末を混ぜて「新開発の不織布」の袋に入れ、それをさらに密封し
てある。水が浸み込むとまず酸化カルシウムが次のように反応し
CaO + H2O ―→ Ca(OH)2
生成する強塩基の水酸化カルシウムがアルミニウムと次のように反応し
Ca(OH)2 + 2Al + 6H2O ―→ Ca[Al(OH)4]2 + 3H2
水素が発生する。どちらも発熱反応で、水が加熱されて水蒸気が発生する。そして袋に入
っており、かつ水素が発生することで、反応混合物が無用に多量の水に接して熱を奪われ
ることが避けられるしくみのようである。酸化カルシウムのみを使うタイプに比べて、蒸
す能力に優れていると思います。
自家製でできないかと蒸発皿で酸化カルシウムとアルミニウムを混ぜて水をかけた。こ
れは数10分して忘れていたころ反応が始まった。どうやら酸化カルシウムに問題があり
そうである。この間にブロックの酸化カルシウムに水をかける実験もしていました。購入
したばかりの酸化カルシウムは水をかけるとすぐに反応するが、古くなると30分くらい
して反応が始まる。これは予めブロックをバーナーで強熱しておくと解消するようです。
岡田さんがさらに研究してくれるでしょう。そして来年の科学の祭典のテーマになる可能
性があります。
なお商品には海水を使うなと注意がありました。塩化ナトリウム水溶液でやってみると、
反応が激し過ぎて危険でした。悪い臭いもしました。これは推測ですが、塩化物イオンが
アルミニウムのイオン化を助けるのではないでしょうか。
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消せるボールペンなど(船橋)
今年の科学の祭典のテーマにして次のように考えてみた。ひとつは数年前に紹介した
(通信3−12)、買い物して受け取るレシートの印刷が「キンカン」で消せ、そして塩
酸で元に戻せること。
ふたつは「消せるボールペン」(同じ原理の蛍光ペンも)を見つけた。商品名は「フリ
クションボール」で、字を書いて消しゴムでこするとそのまさつ熱で消える。開発したパ
イロットの古謝さんによると、感熱インクを使っている。これは発色剤(ロイコ染料)、
発色させる成分(顕色剤)、変色温度調整剤から成る。常温では前2者が結び付いて発色
しているが、温度を65℃以上にすると、調整剤がはたらいて両者を引き離し、字が消え
る。そして温度を−10〜−20℃にすると字が元に戻る。家庭の冷凍庫で戻せる。
さらに例会ではレシートの印刷を消す能力は、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化
ナトリウム水溶液の順であることを確認しました。しかしアンモニア水はその臭いから科
学の祭典で使えるかという心配が出ました。
ところでどうして印刷が消えるのでしょうか。レシートもロイコ染料を使う感熱紙で印
刷しているのですが、ラクトン環(環状エステル)が切れて発色します。この反応を助け
るのが顕色剤ですが、それから生じた水素イオンがたとえば次のように他の部分の構造変
化も伴いながら開環してカルボキシル基になるようです。(「機能性色素」(講談社サイ
エンティフィク))。

であれば、塩基で消えるのは水素イオンが奪われて元のラクトン環に戻ることが考えられ
ます(例会では単純にカルボキシ基の中和かもしれないと話していましたが)。ただし新
しいロイコ染料は異なる反応をしているかも知れません。
なお感熱インクにも色々あり、船橋さんからはリライタブルペーパーの資料も紹介して
もらいました(すべての感熱紙がリライタブルではない)。
他に船橋さんには、ケニスの製品MOL−TAROUを紹介してもらいました。グラフ
ァイト、ダイヤモンド・フラーレン、DNA、タンパク質(α−へリックスやβ−シー
ト)などの結晶・分子モデルです。なお古いグラファイトモデルと構造の違いがありまし
たが、確認してみると上下の六角形はずれているのが正しいです(桐山「構造化学T」
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(共立全書) 教科書でも)。
平衡定数とpH(林まさ)
最近講座プラン「変化はどちらに向かうか & 化学平衡」を完成させた。平衡定数から
生成物質のモル濃度が計算で予測できる。その中で水素イオンはもっとも簡単にその濃度
が検出できる(実際にはpHを測る)ので、実験に適している。
1および0.1mol/Lの酢酸水溶液と、酢酸と酢酸ナトリウムが0.5mol/Lの緩
衝溶液を調製する。1mLメスピペットと天びんで酢酸と酢酸ナトリウム(無水 特級)
の量を計り、10mLのところに印を付けた試験管を使って簡単に操作できる。
理論的には酢酸水溶液の場合は、[CH3COO-] と [H+] は等しいので
[H+]2/[CH3COOH]= K
両辺の常用対数をとり、−1を掛けると
−2log[H+] + log[CH3COOH]= −logK
pHとpK(酢酸は4.8)に置き換え、式を整理すると
pH = (pK − log[CH3COOH])/2
こうして
1mol/L pH=2.4
0.1 2.9
緩衝溶液の場合は、[CH3COOH]=[CH3COO-]
であるので
[H+] = K
両辺の常用対数をとり−1を掛けると
−log[H+] = pH = −logK = pK
つまり電離指数そのもの 4.8 になる。
計測してみると、2.2、2.5、4.4になった。本来0.1くらいのずれで済むのだが、
今回は乾式のpHメーターを時間をかけて調整するのを忘れていたので、全体に小さめの
数値になってしまった。
他には、先進科学塾のテキスト「電池のしくみを徹底解明!」を紹介し、その中の「組
み立て式燃料電池」の実験を見せました。
自作pHメーター(田中)
湿式のpHセンサーを入手し(3000円あまり)、計測回路をカードにして汎用計測
制御システム(UMCS)に載せ、その出力を大型表示器に送信する形のpHメーターを
製作した。
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この装置で私(林)の実験の水溶液を計測し、より理論値に近い値を計測することがで
きました。これは、安価なPICマイコンを使った単機能の装置にも改変でき、表示はノ
ートパソコン(USB入力)に切り換えることも可能です。手元にあったらデモ実験が楽
しくできるとの声しきりでした。
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林 正幸と主万子の始めの
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