08.12
事務局:林 正幸
MOLの会通信08−12号
今回は岡田、出口、林まさ、福島、船橋、堀の6名が参加しました。
時間の都合で船橋さんの「リードスイッチモーター」は次回まわしにさせてもらいまし
た。また私(林)は講座プランなどのプリントを忘れたので、次回に配布します。
立花氷モールド(船橋)
今年の科教協石川大会中に中谷宇吉郎雪の科学館に行き、色々な実験を観察できた。そ
の中に雪の形の氷をつくるモールドがあり、「六花(りっか)氷」という雪柱が六角形に
組み合わさったものを大信製作所から6500円で購入した。
電話:047−392−1316
http://www.taisin-ss.co.jp
氷を上下の型の間に挟むと、見る見る余分な部分が融けて、3cmくらいの六花氷がで
きる。モールドの材質はアルミニウムで、氷を挟む面が伝導で熱を奪い(熱伝導率が高
い)、他の面が放射や対流で熱を放散するためであろう、スピードが速い。
猫の熱中症を避けるアルミ製のシートも似たはたらきかな。しかし他方でアルミのシー
トは遭難者の体を包んだり、冷やしたペットボトルを包んだりする。これは放射される赤
外線などを反射して熱の移動を妨げる効果だ。この違いはアルミシートの厚みでしょうか
(厚みがあれば伝導が起こりやすくなる)。
アルコール鉄砲(船橋)
今年の「科学の祭典」で見た、チャッカマンにフィルムケースを付けたアルコール鉄砲
を作ってみた。はじめはうまく行かなかったが、それはチャッカマンの筒の部分から蒸気
が抜けていくためだった。そこをホットボンドで封ずる(ケースに膨らんだ風船を被せて
チェックした)とうまくできるようになった。エタノールを2滴ほど入れ、ふたをして手
ですこし暖めて引き金を引くと、かなりの爆発音でふたが飛ぶ。ふたの代わりに紙やラッ
プで試してみたが、密閉性が悪いのだろう、音が小さかった。
アルコール鉄砲は過去にも事例がありますが、この方式は簡単につくれます。ただし充
填されたガスを空にして、あるいは使い終わったものを利用しましょう。
また「科学の祭典」のこのブースでは、硝化綿ロケットも演示していた。これはアルミ
缶の上をくり抜いて紙コップを被せ、側面下に小さい穴を開けて中に入れた硝化綿をすこ
し引き出し、点火するものである。
エーテルがナトリウムと反応?(福島)
アルコールとエーテルの違いをナトリウムとの反応で示そうと、ジエチルエーテルにナ
トリウム片を投入したところ、どんどん水素が発生してしまう。どうしてだろうか?
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実は有機溶剤の多くは不純物として水を含んでおり、しばしばこれが化学反応の研究の
邪魔をする。そこで予め試薬にナトリウム片を投入して、水を水素と水酸化ナトリウム
(表面の衣になる)にして除くことが行われる(大学時代の体験)。したがってこの処理
をしてから生徒に観察させればよい。
それでは無水硫酸ナトリウムで脱水できないかということで、ろ紙にこの乾燥剤を入れ
てジエチルエーテルをろ過したが、あまり効果はなかった(もっときちんと処理するべき
だったか!)。やはり硫酸ナトリウムの脱水能力はそれほど高くない。なおこの乾燥剤は
相手を選ばないので、多くの有機合成実験や分析に利用されている。
ついでに有機溶剤の処理法に話が移りました。業者に出せればよいが、そうでない場合
にどうするか。貯めておいて紙などに浸ませて燃焼させる、紙に浸ませてさらにポリ袋に
包んで可燃ゴミとして出す、の2例が議論になりました。皆さんはどうしているのでしょ
うか。
芯入り寒天塩橋(林まさ)
濃淡電池に取り組みたいと寒天塩橋を作ってみた。扱いやすいようにクッキングペーパ
ーを芯にした。こうすると持ちやすいし、はさみで切ることもできる。
230×320×50mmのバットに、6×24cmのクッキングペーパーを2つの洗
濯ばさみ(これは針金を通して支える)で挟み、18cmくらいがバットの底に触れるよ
うに、4枚セットする。1mol/L塩化カリウム水溶液100mLを加熱し、沸とうした
ら火を弱めて寒天1gを加えて溶かす。これをバットに流し、冷えたらペーパーを1枚ず
つ引き上げて、トレイに積み重ねる。下面は平滑で上面は凸凹になる。
参考:硝酸アンモニウムでつくると、両面とも凸凹になる。
塩化カリウムや硝酸アンモニウムは陽イオンと陰イオンの移動速度がほぼ等しく、濃淡
電池などにおける「拡散電位」をほぼ打ち消すことができます。
はじめにセロハンの代わりとして、ダニエル型電池を組んでみた。板の上に亜鉛板
(4.5×15cm)を置き、クッキングペーパー(4.5×14cm)1枚を載せて5%
塩化ナトリウム水溶液7mLを浸み込ませ、塩橋を被せ、もう1枚ペーパーを載せて飽和
硫酸銅水溶液7mLを浸み込ませ、銅板を被せる。これで豆球が光り、同時にソーラーモ
ーターがブンブンまわる。セロハンよりかなり性能がアップするようだ。
濃淡電池はうまく行っていないので、ダニエル電池の硫酸銅水溶液の濃度を、飽和、そ
の1/10、その1/100に変える実験をやってみた。
亜鉛板と銅板を別に板の上に置き、前者にはクッキングペーパー(4×13cm はみ
出して液が浸み出ないように小さい)2枚(濃度変化を押さえるため2枚)を載せて0.1
mol/L硫酸亜鉛水溶液10mLを浸み込ます。別にペーパー2枚3セットを準備し、そ
れぞれの濃度の硫酸銅水溶液10mLを浸み込ませ、さらに半分に切った塩橋3枚を準備
する。そしてペーパーを銅板に載せ塩橋を両方がつながるように被せ、デジタルテスター
で電圧を計測することを2回くり返した。
1回 2回
飽和硫酸銅 1.105[V] 1.103[V]
1/10 1.086 1.078
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1/100 1.065 1.055
確かに硫酸銅水溶液の濃度に応じて電圧が下がっているが、理論値である1/10倍で
0.028V減少からはまだ外れている。
参考:ΔE = RTln(c1/c2)/nF
硫酸亜鉛のペーパーも3セット準備した方がよいようである。ちなみに電圧計測中の電流
を自作のマイクロアンメーターで計ると0.1μAほどで少ない(ブリッジ回路は組んでい
ない)。
さらに検討を続けるつもりです。
硬水と軟水(岡田)
現在の日本や米国では、水の硬度をカルシウムイオンとマグネシウムイオンの質量を炭
酸カルシウムの質量に換算して、1L当たり1mg溶けていると1度としている。したが
ってその計算式は次のようである。
硬度[mg/L]= Ca2+[mg/L]×2.5 + Mg2+[mg/L]×4
ちなみにこの式ではマグネシウムの原子量を25としている。実際にはイオンの成分表示
は100mLあたりになっているので、それに×25、×40すればよい。そして100
以下が軟水、100〜300が中硬水、300以上が硬水に分類される。
色々なミネラルウオーターが市販されているので、教材には事欠かないし、身近でもあ
る。
硬度[mg/L] pH
南アルプス天然水 30 6.7
evian 304 7.2
Contrex 1468 7.4
名古屋市の水道 20 ≒7
10W(水溶液の抵抗が大きいのでワット数が小さいものがよい)の電球テスターで調
べると、evian、そしてContrexがより明るく、点灯した。
台所せっけんを加えると、evianとContrexでは白濁してせっけんかす(脂
肪酸のカルシウム塩とマグネシウム塩)ができた(洗浄力が失われる)。これに対して合
成洗剤ではこのようなことは起こらない。
なお水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムは強塩基であり、その炭酸塩などはすこし
塩基性を示す(ただし水のpHは硬度だけでは決まらない)。
ちなみにせっけんは、その原料の油脂に由来するのであろう、特有の香りがある。また
ミネラルウオーターによっては、細菌をフィルターでろ過しているものもある。
有害物質と安全教育(出口)
産廃処理に関わって様々な資格を持ち、講習を受けている出口さんに、有害物質の危険
性の具体例を示しながら、どのように対策を講じ、どのように安全教育をしていくか、新
年の教育論研究会でレポートしてもらおうと意見交換をしてみました。以前にも酸欠と特
定化学物質について話を聞いています(MOLの会通信06−9号)。
労働安全衛生法では一般健康診断に加えて、従事する業務(29種)に応じて特定健康
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診断が義務づけられている。教育現場では継続的に危険な業務・作業に携わることは少な
いが、その内容を知っておくことは生徒と教師自身の安全確保にとって有用であろう。
有機溶剤には第1種から第3種まであり、次のように高校などでよく使われるものが含
まれる。
第1種(7種)
クロロホルム、二硫化炭素
第2種(40種)
アセトン、イソプロピルアルコール、エチルエーテル、クレゾール、酢酸エチル
ノルマルヘキサン、メタノール
第3種(7種)
石油ベンジン
分析業務の現場において、化学専攻の学生でも、ガラス器具の扱いや試薬の怖さについ
て、基礎的な知識・取り扱い方法を理解していないケースが増えている。試験では解答で
きるのに、現場で実践できない。大学での実験・研究は機器分析が中心のようで、やり方
までは知っているが、原理はわかっていないケースが増えているように思う。これでは職
場において事故(=労災)に直結し、今後の安全と技術の両面で怖さと不安を感じている。
高校などにおける化学教育なども見直してほしい。
なお労働安全衛生法は労働者を守ることが目的なので、環境問題を考える場合は別の視
点も必要になる。
ファイアボール(船橋)
かまぼこ板ほどの木綿の布を丸め、同じく木綿糸で巻いて直径2cmほどのボールにし、
予め水を浸み込ませておく。ベンジンを掛けて手のひらに載せ、点火すると炎を上げて燃
え上がるが、平気である。2つ点火してお手玉もできる。インターネットで調べた情報を
元にしたが、水を浸み込ませるとは書いてなくて、始めは火傷をしてしまった。
ちなみに「指マッチ」を知らないメンバーも居たので紹介しました。ろうそくを2本立
て、ひとつに点火しておく。指を水で濡らし、アセトンを付けて炎に近づけると燃え上が
るので、これでもうひとつのろうそくに点火する。アセトンの代わりにベンジンを使うこ
ともある。
どちらも、熱は対流で上に向かうこと、水の蒸発熱が温度の上昇を抑えることがポイン
トであると思われます。ただしこの実験は火傷の危険性がありますので、経験者の助言の
下で行ってください。
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