08.9
                               事務局:林 正幸

 MOLの会通信08−9号

 今回は岡田、鈴木とし、田中、林まさ、福島、船橋、堀の7名が参加しました。以下に
記事はありませんが、福島さんが樟脳の分離にチャレンジしました(次回には改良されて
登場するでしょう)。また私(林まさ)が「混合気体を体積で分けることと、圧力で分け
ること(アボガドロの法則と分圧の法則)」および「気体の平均自由行程」の話をしまし
た。また講座プラン「物質とエネルギー(改訂)」と先進科学塾テキスト「目に見えない
気体を科学する」などの資料を提供しました。

ダイス・スタッキング(船橋)

 今年の科教協大会のナイターで横浜物理サークルの越さんが紹介していた手品(技)を、
2日間の特訓で身につけた。逆さにしたコップでダイスを拾って積み上げる。コップが2
往復半すると、5つのダイスが積み上がっている! 透明なコップで動きを調べ、秘密が
分かった。遠心力を利用している。コップは半円に近い形で動かして、ダイスを壁面に押
しつける。しかもコップを傾けて、拾ったダイスは上(底)の方に上げる(ダイスは1
cm以上の大きいものを選ぶ)。この理屈が分かると、技も身に付きやすく、田中さん、
岡田さんはすぐできるようになりました。
 夏休み明けの授業で紹介すると、生徒が教卓に寄ってくる。放課後には準備室に来て練
習を重ね、次々にできるようになる。いやいや、こうすれば生徒は勉強するのですね。
 なお道具は東急ハンズでも2000円ほどで入手できる。

水素が水を吸う?(林まさ)

 杉山 正明さんに教わり、指定された素焼き容器(一輪差し)を取り寄せ、チューブ付
きゴムせんも含めて10セット準備した。
 ひとりが4mのチューブの端を水(アンモニア水とフェノールフタレインで着色)に浸
け、中央を2m近く持ち上げる。もうひとりが素焼き容器に水素を吹き込み、すかさずゴ
ムせんをする。すると水がスルスルと昇っていく。そして中央を越えようとするので、チ
ューブを押さえて止める。しばらくして指を放すと次第に水が降りてくる。
 これは気体の種類によって分子の飛行速度が異なるためである。気体分子運動論による
と平均飛行エネルギーは次のようになる。
    (1/2)mv2 ×N = (3/2)RT
単位に注意して分子量を含む形にすると
    v = √(3000RT/M)
つまり平均飛行速度は分子量の平方根に反比例する。15℃として具体的に計算すると

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  水素      1895[m/s]
  窒素       506
  酸素       474
  二酸化炭素    404
水素が際だって速い。素焼きには、気体分子が通過できる小さい孔が無数にある。そして
水素が外に出る速さは窒素や酸素が中に入る速さを圧倒し、内部が一時的に減圧になる。
 ついでに素焼き容器に二酸化炭素を吹き込んだ場合は、水が下がってチューブ内の空気
がポコポコと泡になって抜け出た。さらにあらかじめゴムせんをした状態で容器をレジ袋
で包み、二酸化炭素を下方置換すると水面が10cm以上上がった。
 この実験(通常の形は水素の噴水)、私はじょうごにセロハン膜を貼ったりして試した
がうまく行かなかった。どうやら孔の径や長さ(容器の厚さ)などが絡んでいるようであ
る。セットは参加者全員に買ってもらうことができました。

ケミカルガーデン(福島)

 市立北高科学部の「科学の祭典」への今年の出し物は、以前に紹介された「指紋の検
出」と「ケミカルガーデン」。
 前者では、蹄状紋、渦状紋、弓状紋、変体紋に分類して統計を取る計画。
参考:MOLの会通信7−12号
 後者では、通常は水ガラス(ケイ酸ナトリウム)水溶液を使うがpHが12と高いので、
「原色 化学実験プロセス図説」(黎明書房)に載っているpHが9のリン酸水素二ナト
リウム水溶液を選んだ。濃度は薄くして10%でもうまくできる。持ち帰れるように、
100均で入手したかわいい化粧びんにヒモを付け、首から下げられるようにした。使う
結晶は色や形、安定性を考慮して、塩化コバルト、塩化銅(U)、硫酸銅、硫酸ストロンチ
ウムの4種にし、これをスパチュラで加えてもらう。
 水溶液中で結晶が幹や枝を伸ばすのは、水ガラスの場合は結晶表面に不溶性の半透膜が
形成されるためであるが、たぶん同じ理由であろう。

ゴムボールをつくろう(船橋)

 MOLの会の「科学の祭典」への今年の出し物は、「ゴムボール」と「高吸水性ポリマ
ー」。
 ラテックスを4倍(7mLに水30mL)に薄めた液と、ポッカ100レモンを薄めた
(4mLに水35mL)液を、ジャムなどのびんに注いで振るとボール状になる。これを
はしで取り出して水洗いしてから、キッチンタオル(2枚重ね)の上で板で押さえて転が
すと、水が抜けてゴムボールになる。
参考:MOLの会通信3−4号

むちゃ水をすう粉(こな)(林まさ)

 前回は船橋さんの「プランツボール」から始まって、その場で「吸水ビーズ」を使って

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実験をし、「科学の祭典」の出し物に決まり、私が準備していました。
 その中に「フェノールフタレインを加えた水を吸収するとピンク色になる」というのが
あった。塩の加水分解である。
    −COONa + H2O ―→ −COOH + Na+ + OH-
ところが新しく購入すると(高吸水性ポリマー ナリカ P70−3790−02)、色
が変わらない。説明書にも中性とある。商品の高吸水性ポリマーは(間接的であるにせ
よ)肌に触れる可能性もあり、中性である必要があるわけだろう。それは多分、カルボン
酸ナトリウムとカルボキシ基(−COOH)の割合が中性になるように重合されている。
であれば、緩衝作用があると考えられる。そこでわずかに酢(酢酸)を加えた水にポリマ
ーを加えることにした。これで黄色、緑色という別の色変わり実験ができました。
@ポリコップに水30mL(高さで1cmあまり)を入れて渡す。ポリマー0.1g(見本
を見ておおまかに)を入れたスクリューびんを渡し、加えさせる。
A3mol/L塩酸(滴下しやすい「プチボトル」に入れる。以下同じ)を10滴加えて振
り混ぜさせる。
処理:3mol/L水酸化ナトリウム8滴を加え、「廃液」用のペットボトルに流し入れ、
コップはバケツの水ですすぐ。「廃液」は大量の水を流して捨てる。
Bポリコップに水30mLを入れて渡す。BTB3滴を加えて振り混ぜさせる。続いて酢
1滴を加えて振り混ぜさせる。
Cポリマー0.1gを渡し、加えさせる。
D3mol/L水酸化ナトリウム3滴を加えて割りばしでかき混ぜさせる(青色に)。
処理:新聞紙を入れたレジ袋に捨て、コップはバケツの水ですすぐ。レジ袋は可燃ゴミと
して捨てる。
 新しい商品は吸水力が数倍高くなっており、粉末状で吸水してもビーズとは言えない。
ちなみに滑り台などでおむつの粉が飛散し、それを吸い込んでお腹の調子が狂う場合があ
るそうです。

気体と物質量(堀)

 今年の合同県教研のレポーターに決まって、その内容を紹介してもらいました。実験は
盛口さんのものを活用します。
 チョーク1本、炭酸カルシウム製で10g(0.1mol)あまり。これを砕いてポリ袋
の底に入れ、包み込んで洗濯ばさみで留める。6mol/L塩酸50mLほどを注ぎ、空気
を抜いて口を絞ってセロテープで固定する。洗濯ばさみを外して反応させ、2.4Lの透明
プラ容器に入れる。次第に膨らんでちょうど容器一杯になる。
 この実験は生徒の実態に合わせて色々に活用できる。チョークの質量を測らせ、量論に
基づいて二酸化炭素が何L発生するか計算させる。それも標準状態における体積か、たと
えば15℃における体積か。あるいは化学反応の生成量は予測でき、それより多くも少な
くもないことを納得させることを目指す。さらにポリ袋全体の質量(天びんに載せたとき
の値)は反応の前後で変わるか。あるいは二酸化炭素を抜いて(口を拡げて)質量を測る

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とどうか。そして生徒に実験させることもできる。
 22.4Lの体積イメージが湧きにくい高校生が多いことも話題になりました。1Lの牛
乳パックは実感できても、22.4Lはさっぱり検討が付かない! 家庭の湯船より大きい
と思う生徒さえいる(これでは1023 を理解するなんで夢の世界!)。量概念の形成にも
実験が必要なのですね。そこでプラ容器を500mL牛乳パックが4つ入るように形を変
えて作り直しては(そしてポリ袋もすこし大きくする)、という意見が出ました。
 また発生した気体が二酸化炭素であることを、たとえばろうそくの炎が消えることで示
しては、という意見も出ました。

視覚のトリック(岡田)

 学校祭のクラス展示、今年は生徒が錯視にこだわった。すべて大きくした。「首振りド
ラゴン」「エイムズの部屋」、あと名前が分かりません、見ていると動き出したり回り出
したり。
 大きくすると世界が変わる。片目で見ると飛び出して立方体になる錯視、そのまわりを
歩くと何とも奇妙!
 ニュートン別冊「錯視空間図解」が役に立った。

ドライアイスの霧(岡田)

 「楽しい授業」から。ドライアイスは湯に浸けるのと水に浸けるので、どちらが霧がた
くさんできるか。どう考えたらよいだろうか。
 温度が高いほど蒸気圧が高く、空気中に水蒸気が出やすい。それが冷やされて湯気
(霧)になる。昇華した二酸化炭素が水蒸気を冷やす。気体の二酸化炭素は昇華した時点
ではほぼ−78℃(1atmにおける昇華温度)で、空気よりはるかに温度が低い。そし
てやはり温度が高いほど激しく昇華するので、霧の発生には有利になる。
 舞台効果では、ざるに入れたドライアイスを湯に浸けたり出したりする(専用の装置が
あるそうです)。湯の温度が下がらないようにする。



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