06.12
事務局:林 正幸
MOLの会通信06−12号
今回は伊藤、岡田、鈴木とし、出口、林まさ、船橋、堀の7名でした。冬至前の昼がも
っとも短い時期、終わってみるとすっかり夜の帳が降りていました。
下に記事はありませんが、堀さんが、ポカリスエットのビタミンCが開封後数日しても
大して濃度は変化しないと報告してくれました(前06−9号も参照)。他の還元剤がヨ
ウ素と反応している可能性もありますね。
色素増感太陽電池(伊藤)
今年のSPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)のテーマは「光の正体
を探ろう」とし、そのひとつに色素増感太陽電池の製作を選んだ。講師として岐阜大学工
学部機能材料工学科(箕浦研)の吉田司助教授を迎え、大同メタル工業の協力を得て行っ
た。箕浦研ではこの太陽電池を「レインボーセル」と名づけて広く紹介している。また大
同メタル工業は色素増感太陽電池の教材化を研究し、セットとして発売する予定である。
片側が導電性(テスターで測ると1cm間隔で17Ωほど)のガラス板(FTOガラス
基板 3×5cm)に、赤色のエオシンYという色素(エオシンは銀塩写真でも増感作用
を示す)を加えた硝酸亜鉛水溶液で、陽極を亜鉛にしてめっきすると、エオシンを吸着し
た酸化亜鉛の被膜ができる(これが負極)。
Zn2+ + NO3- + 2e- ―→ ZnO + NO2-
正極はガラス板に鉛筆で炭素を塗りつけてできあがり。両者を短冊にした両面テープで貼
り合わせる。電解液は、非プロトン性の高誘電率溶媒である炭酸プロピレン C4H6O3
(環状の炭酸エステル)にヨウ素とヨウ化カリウムを溶かし、これを電極間のすき間に浸
み込ませるとでき上がり(封入も可能)。
これを4つ直列(1個は約0.5V)にして電子オルゴールにつなぎ明るい所へ持ってい
くと、音楽が流れる。うまいのは太陽電池式の電卓につなぐアイデア。元の太陽電池を覆
い、電源コードを引き出して使う。電卓で計算ができるのは、電池ができたと納得しやす
いでしょう。
原理は光合成の明反応に似ており、エオシンYが太陽光で電子を励起させ、これを半導
体の酸化亜鉛に渡して(伝導帯に入る)負極を形成する。そしてエオシンYはヨウ化物イ
オンから電子を奪って元にもどる。正極では、電子が三ヨウ化物イオンと反応してヨウ化
物イオンになり、電解液も元にもどる。
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負極 3I- + hν(エオシンY) ―→ I3- + 2e-(酸化亜鉛)
正極 2e- + I3- ―→ 3I-
一般的に色素増感太陽電池は、酸化チタン TiO2 をガラスに焼き付けているが、箕浦
研は、電気めっきというもっと簡単で低温でできる方法を開発した。この種の太陽電池は、
シリコン製よりエネルギーコストが格段に安い。
私たちにとって、導電性ガラスが高価なことがネックになりそうである。導電性プラス
チックや導電紙に置き換えられないか。
ちなみに酸化チタンを使うタイプは、ケニスから「花力発電」という名の教材として既
に販売されている(導電性ガラスを含む)。色素にはハイビスカスの花が使われており、
かなり自由度はあるようである。
伊藤さん、忙しいでしょうにSPPをうまく取り入れていますね(05−12号も参
照)。
立体周期表
「エレメンタッチ」の紹介(船橋)
ニュートン10月号の付録である、立体周期表「エレメンタッチ」のコピーを提供して
もらいました(営利目的ではありません)。
この周期表の狙いのひとつは、通常の周期表では端で切れてしまう。そこで200mL
缶に巻き付けて連続にしよう(ランタノイド、アクチノイドも別表にしない)。もうひと
つは、短周期表のメリットを活かそう。具体的には2Aと2B族、3Aと3B族、4Aと
4B族を上下に並ぶようにしよう、と言うのである。
なお水素は連続性を確保するため、17族に位置づけられている。確かに水素は1価の
陽イオン(陽子1個)としては存在しにくいが、陰イオンの水素化物イオンにはなる。し
かし超高圧下では金属性を示すと予想される(木星)。また14族にも似ているから難し
い。それから典型元素では、1,2族を青色に、13〜17族を黄色にしている意味がよ
く分からない(ちなみに水素は青色にしている)。
立体周期表は、仮説社の商品の他に、盛口さんも巻き付け式を提案しています。
他にも、「ミセル」を見せると言うことで、スチロール球を使った洗浄モデルを見せて
もらいました。
ハイテクごまの分解(鈴木とし)
以前に紹介された回り続ける「ハイテクごま」(06−6号)、こだわっている鈴木と
しさんが複数手に入れて、今日は壊してもよいと提供してくれました。
ボタン電池を取り除き、カバーを外すと配線が出てきて、抵抗とLEDと遠心力を利用
したスイッチが確認できました。さらに分解するとコードの付いたディスクが出てきまし
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た。電池をつなぐと中で何かが回転しているようです。これを分解すると、円盤状の磁石
と、蝶の羽根のように組み合わせた2つの扁平なコイルが出てきました。コイルは蝶の頭
の位置に軸があり偏心しています。そして6つの接点があり、これらは回転によりコイル
の電流の向きが変わる仕掛けでしょう。他方で磁石は、鉄粉を振りかけると、4極になっ
ていることが分かりました。ひとつのコイルの大きさは極の大きさの1.5倍ほどです。な
るほど原理は直流モーターなんだ。
このモータは携帯電話のマナーモードの振動子であるとの情報があり、それを角運動量
保存の法則に乗っかって応用したのですね。
分解過程は鈴木さんがデジカメで記録し、「分解生成物」は愛知物理サークルに提供す
ることになりました。
ちなみに来年(07年)10月にはEHCで、林ひろさんが工夫した自走ごまの製作を
予定しています。
硫黄の原子量(林まさ)
講座プラン「モル単位(物質量)の世界」とそのレポート「原子量とアボガドロ定数を
測ろう」(科教協大会レポート)を持ってきました(前回はこちらの資料をこそ持ってく
るべきでした)。
講座プランの始まりは原子量を求めていく実験で、酸化マグネシウムの生成からマグネ
シウムの原子量(04−12号を参照)、マグネシウムを酸と反応させて発生する水素か
ら水素の原子量を得ます。続いて今回の硫黄の原子量の測定です。
約20mLの水を入れた100mLビーカーの風袋を計り、濃硫酸(98%)20滴を
加えて、質量増加は0.934gだった。約25cmのマグネシウムリボンの質量は
0.300gであり、これを硫酸と反応させる。70℃までくらい加熱して反応をほぼ完結
させ、残ったリボンを水洗い、そしてドライヤーで乾燥すると、0.078gだった。反応
したマグネシウムは0.222gだから、硫酸 H2SO4 の分子量は
24.3×(0.934×0.98/0.222) = 100.2
H2O4 は66なので
硫黄の原子量は34
となる(今回は天びんが風の影響を受けていた)。
原子量が実感の湧くものになれば、物質量ももうすこし馴染みやすくなるのではないか
と思います。講座プラン全体に対しても意見が聞けるとうれしいです。
任意のpH溶液の調製(林まさ)
ユニバーサル指示薬の変色を利用して滴定曲線を描く実験において、印刷された色見本
では分かりにくいと準備したものである。
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0.02mol/Lのリン酸と水酸化ナトリウムの水溶液を調製して、両者の混合比でp
Hが4から10の領域を一気に確保しようというのである。指定されたpH7はリン酸
10mLに水酸化ナトリウム14.55mLであるので、5mL駒込ピペットで半量ずつを
加えてpHメーターでチェックすると、ぴったりであった。ずれたときは数滴の溶液を補
ってpHを再確認する(この操作があるので、混合は駒込ピペットで十分)。
これだけだと簡単に見えるが、0.02mol/Lの水溶液を調製するまでがやや面倒だ
った。シュウ酸標準溶液をつくることから始まり、水酸化ナトリウム水溶液を滴定して
0.1mol/Lに加減する。これを5倍に希釈する(いきなり0.02mol/Lは滴定し
にくい)。次いで0.1mol/Lのリン酸をつくるのだが、第1中和点のpHがはっきり
しない。理論計算値が4.3、文献値が4.6、実測値が5.2(0.05mol/Lリン酸二
水素ナトリウムのpH)と異なるのだ。指示薬が使えず、実測値に基づいてpHメーター
で滴定し、加減してからさらに5倍に希釈する。
もっとも一度混合比の数値が見つかれば、いちいち滴定などせず、リン酸と水酸化ナト
リウムの純度(濃度)を考慮していきなり0.02mol/Lの水溶液を調製しても構わな
いと思われます。
ちなみにもっと狭い領域の緩衝溶液なら、化学便覧に溶液と混合比が載っています。
二酸化窒素アンプルの不思議(岡田)
化学平衡で使っている二酸化窒素のアンプル(実験もしました)で気になることが出て
きた。
2NO2 = N2O4 + Q
浅野さんから、冷凍庫で冷やすと一部が青色の液体になるという情報が入った(実際に見
せてもらった)。そして化学大事典には、三酸化二窒素 N2O3 は液体では青色とある。
四酸化二窒素 N2O4 については調べが付かない。また三酸化二窒素は、一酸化窒素 NO
と二酸化窒素 NO2 の混合物であると聞いたことがある。
これについては後でシュライバーの「無機化学」などを調べて、秘密が解けたと思いま
す。四酸化二窒素の液体は無色、とありました。思い返すと、アンプルを氷水で冷やすと
すこし液化して、その色は青色ではありませんでした(化学平衡の実験では10℃くらい
の冷水にした方がよいと思います)。そして三酸化二窒素は気体では一酸化窒素と二酸化
窒素に解離する、とありました。
N2O3 ←→ NO + NO2
そうなんです、アンプルには一酸化窒素も封じ込められているに違いない。この気体は無
色ですから、目には見えない。考えてみれば、希硝酸と銅では一酸化窒素が発生するので
すから、濃硝酸を使うと完全に二酸化窒素とは言えないでしょう。それに反応と共に硝酸
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は薄くなります(林まさ)。
備考:その後に分かったのですが、浅野さんの情報源はアルケミストの杉山(剛)さんの
ホームページで、そこには同じようなことが記述されています。
水素の燃焼など(岡田)
水素が燃焼すると水ができるが、水上置換していてはそれが観察できない。そこで乾い
た試験管に簡易ボンベから水素を吹き込んで点火する。ところが不思議なことに、水によ
る曇りが、数本のリングとなり縞模様になるのである。出口さんによると、調理中にもそ
のような縞模様を観察することあるそうです。
ついでにペットボトルに詰めた120mLの水素爆鳴気(残りは水)に点火する実験も
見せてもらいました。この量になるとさすがに音が大きい。ペットボトルは新しいものを
使いましょう。またペットボトルの底を抜いて上にガラス管を付け、下から水素を吹き込
んでカラス管に点火する、いわゆる「三徳びん」の実験もしました。
簡単に正四面体(岡田)
正四面体が化学で役立つことは言うまでもないが、使い古しの大きい封筒を切って簡単
につくることができる。封筒の底の一方の角を、他方の角を頂点としつつ、センターに来
るように三角形に折るのがポイント。
その理由はということで、突如幾何学の時間が出現、あれこれ考えを出し合う中で、答
が見つかりました。それにしてもうまいアイデア。
他にも、青梅の塩漬けが変化する様子を8日間8枚の写真に記録したこと、理解しにく
い生徒がいる中で「イオンカード」を使い始めたことなども紹介されました。
食品は燃える(出口)
愛知環境カウンセラー協会(NPO)の講座「環境中の化学物質のお話」で「実験:燃
えよ!○○」というテーマで行った実験。
小さいペイント皿にサラダ油とバターを入れ、画びょうに短くしたマッチの軸を刺して
芯を立て、火を着ける。サラダ油の方は小さな炎を形成して燃えた。バターの方は気温が
低いことが影響してか、微妙であった。
燃焼には、燃えるもの、高い温度、空気(酸素)が必要。食品は燃えるものに当たる。
ちなみに食品の発熱量は食品成分表で調べた。これからのエネルギー資源としてはバイオ
にも目を向けていこう。
ピーナッツの燃焼も話題に上り、次回は角砂糖を炭酸塩を触媒にして燃やしてみること
になりました。
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林 正幸と主万子の始めの
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