06.3
                               事務局:林 正幸

 MOLの会通信06−3号

 今回は岡田、久野、澤田、田口、出口、成相、林まさ、福島、船橋、堀の10名でした。
 でんきの科学館での「なるほどサイエンス」は8月19、20日(土、日)に引き受け
ることに決まり、その準備は
    5月13日(土)13:00〜 市立北高
となりました(この相談にはプロモの山中さんも参加)。子ども向けのよいアイデアがあ
れば、事前に出し合いましょう。
 今回はあまりに内容が多く、とうとう次回(最後に掲載)に「銅薄層の生成とエッチン
グ」と「ホロスペック」がはみ出して、それでも終わったのは6時20分でした。
 ちなみに、96年以降のMOLの会通信は次のホームページで閲覧できます。
    http://www.water.sannet.ne.jp/masasuma/
この中の「MOLの会通信」をクリックしてください。

結晶模型(船橋、林まさ)

 前回の岡田さんの提案を受けて、船橋さんが立方最密構造が面心立方格子であることを
示す模型を量産して配布してくれました。
 またかつての団子組み合わせ方式の模型も紹介されました。これは3つ串を4本と4つ
串を2本で三角錐型の立方最密をつくるものです。
 林まさは「詰め直し方式」のイオン結晶を紹介しました。それは塩化セシウム型、食塩
型、ホタル石型(フッ化カルシウム)の3種。35mmのスチロール球を使い、蛍光ペン
で陽イオンは赤色、陰イオンは青色に塗る。スチロール球はカッターで切断した。ボック
スは0.5mmの塩ビ板で作成した。
 後の2つはすこし練習が必要、なおこれらは一部は壁に接着してある(そうでないと組
み立てられない)。製作するよりはかなり短い時間で実感が得られるのがメリットであり、
配位数などを見つけさせる。ちなみにホタル石の陰イオン4個を外すと、ダイヤモンド型
になる。
 ついでに六方最密の模型にも触れ、その単位格子を確認した。これは底面が菱形の四角
柱であり、含まれる原子は2個である。何故か教科書の図などは単位格子になっていない。
これは結晶の対称性を理解するには役立つが、単位格子の正しい積み重ねでもない。
 結晶構造は模型があってこそ理解が可能です。とくに立方最密と六方最密は混乱します。

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幸いこれまでにかなり紹介されています。

二酸化窒素の化学平衡(岡田)

 二酸化窒素(と四酸化二窒素)を詰めたアンプルを大量に製作し、配布してくれました。
皆さん、親切ですね。製作はアンプル用試験管があるので、案外に簡単。このアンプルは
温度の影響を見るのに便利である。
    2NO2 = N24 + 57.2kJ
 岡田さんの問題提起は、二酸化窒素を注射器に詰めて、この化学平衡(常温ではどちら
も気体)に対する圧力の影響を調べる実験について。
 背景に白い紙を置いて注射器を横から眺め、注射器のピストンを押すと、一度赤褐色が
濃くなり、次にすこし薄くなる。ただし押す前よりはまだ濃い。この観察方法ではまずい
のだろうか。
 しかし他方でこの実験は、注射器の軸方向から色を観察すべきである。これなら圧縮に
よる色の変化はないので、ゆっくり圧縮することによって温度上昇の影響を避けられると
いうのであります(添付された「化学と教育」47巻8号と50巻5号)。一理ある主張
ですが、軸方向の観察はそれに応じた道具を開発する必要があります。
 これは林の考えですが、論文によると実質の温度上昇は3℃であり、かつ温度がまわり
の温度に戻るより速く吸光度が下がって安定しています。この事実は圧力変化による濃度
変化を検出している証拠であると思います。だから「圧縮による温度上昇は無視できるの
で」と前置きすれば、岡田さんのやり方でよいと考えます。
 岡田さんがこの問題を取り上げたのは、ある問題集の答が「圧縮すると一度赤褐色が濃
くなり、次に元より薄くなる。」となっていたからです。今年度号では訂正されましたが、
その説明が「平衡移動は条件の変化を和らげるが、もとの状態までは戻らないので」とな
っています。確かにある1つの物質の濃度のみが変化する場合であれば、これは根拠にな
ります。しかし複数の物質の濃度が変化する場合では、もっときちんと説明しないと根拠
にはなりません。
 ちなみに「温度を高くするとアンプル内の圧力も大きくなるが、大丈夫ですか」と問い
掛けてみました。これは体積変化を伴わない圧力変化は濃度変化を引き起こさないので、
無関係なわけです(活量変化は無視する)。そして後で読んでみて驚いたことに、添付さ
れた三省堂の教科書には圧力の「はたらきは温度変化による影響に比べて小さい」とあり
ました。化学平衡には誤解が多いのでしょうか。

ホログラム万華鏡(岡田)

 それを工夫した杉原さんから大量に鏡を入手するなどして準備し、手始めに私たちに製
作してもらおうという趣向です。

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 原理は、筒に3枚の鏡を組み込み、手前が回折格子ののぞき窓、反対側に自由な形のス
リットを付けたり、円形の窓からビー玉を通して光りを入れたりする。背景の光源などに
よって模様が変化する。なお鏡を外すと簡易分光器にもなる。
 筒には千代紙を巻き付けたり、ビー玉は各種の色が用意されていたり、サービス満点で
す。
 皆さん夢中で取り組み、おみやげができました。

コンデンサーの容量変化(林まさ)

 電気陰性度や極性について実験を踏まえて教えたい。そこで媒質を変えてコンデンサー
の容量変化を計測してみた。15cm四角のステンレス板の間に、1mmのアクリル板で
作成したすき間1mmの液体の媒質を入れるセルをはさみ、斜めに置いておもりを乗せて
変形しにくくする(容量が小さいので変形にも敏感)。
 始めにセルに空気が入った状態で計測し、そのまま液体を満たして計測する。手元にな
かったクロロベンゼンは船橋さんが提供してくれた。データの方が失われて残念だが、容
量増加は予想通り、水、ジクロロベンゼン、ヘキサンの順になった。
 ただしクロロベンゼンがアクリルを溶かすか事前に試すのを忘れていました。そして悪
い予想が的中してしまいました。せっかくですがこれは実験には使えません(トリエチル
アミンに変えようか・・・)。なおそのとき小さい声でつぶやいていたのですが、以前の
計測に比べて全体に容量増加がかなり小さいのです。この不安定要因も追究すべきです。
なかなか新しい実験は道程が長いなあ。

簡単な電気分解(林まさ)

 講座プラン「原子はどのように結合するか」をつくっている。歴史的にはその最初のヒ
ントは電気分解と関係が深い。そこで簡単な電気分解を工夫してみた。
 始めに試験管の中で塩化銅(U)、硫酸亜鉛、ヨウ化カリウム、硫酸ナトリウムの水溶液
をつくる。前3者については、5cm角のステンレス板の間にセロハンを挟んだクッキン
グペーパー2枚をサンドイッチする。両方のペーパーにサンプル水溶液を浸み込ませ、6
Vの乾電池のつないで、2、3分電解する。気体の発生する方を下にし、セロハンを台の
トレイに貼り付けると確認しやすい(セロハンは短絡防止にもなる)。
 塩化銅(U)では、陽極に塩素が発生し、サンプル水溶液のヨウ化カリウムとデンプン溶
液で確認できる。陰極には褐色の銅が析出する。硫酸亜鉛では、陽極に気体(酸素)が発
生する。陰極には灰色の亜鉛が析出し、希硫酸を掛けると泡立つ。ヨウ化カリウムでは、
陰極に気体(水素)が発生し、陽極にはヨウ素が生成して赤褐色のヨウ素・ヨウ化カリウ
ム水溶液になる。
 硫酸ナトリウムは時間の都合で割愛したが、短い試験管に水溶液を入れ、ステンレス釘

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を電極にし細いガラス管も通したゴムせんをして電解する。気体が貯まったらマッチで点
火して爆鳴を聞き、水素と酸素の発生を確認する。
 亜鉛まで電気分解できるのは、意外な面があったようです。中性に近い水溶液ならOK
です。それよりイオン化傾向が高いと、水が水素と水酸化物イオンに分解してしまいます
(酸化還元電位を参照)。
    2H2O + 2e- ―→ H2 + 2OH-
 またBTBを使って電極付近の液性は調べないのかという質問がありました。一般には
それは良いのですが、今回の目的では、陽極付近に水素イオン、陰極付近に水酸化物イオ
ンができることは混乱のもとになります。要は、陰極にできるので銅、亜鉛、水素などは
陽性、陽極にできるので塩素、ヨウ素、酸素などは陰性というイメージがつくりたいので
す。
 ちなみに「銅薄層の生成とエッチング」の説明の中で、銅が塩化鉄(V)の溶けることも
話題になりました。通常のイオン化傾向で登場するのは鉄が2価の鉄イオンになる反応で
すが、この2価の鉄イオンが3価の鉄イオンになる反応
    Fe2+ ―→ Fe3+ + e-
の酸化還元電位(イオン化傾向)は、銅より小さいのです。

「地学」に関するいくつかの話題(澤田)

 授業で取り上げた地学の話題を、資料やスクラップを添えていくつか紹介してくれまし
た。
・昨年(2005年)の降水量はわずかに900mmであり、名古屋地方気象台始まって
以来であった。幸い時期的な偏りが少なく渇水にはならなかった。
・これに対して2000年の東海豪雨では、日降水量(9月11日)が428mm、1時
間降水量が93mmと、いずれも過去の最大記録240mm、92mmを、とくに前者は
大きく上回った。
・エルニーニョとラニーニャの現象がくり返し起きている。現在は後者、すると統計的に
は日本は暑くなる。
 これらは大切な問題提起になっています(資料には今年の豪雪も)。NHKスペシャル
の「気候大異変」によると、日本の「地球シミュレータ」が過去に例のないブラジルのハ
リケーン様暴風の発生を予言していました(始めは何かの間違いと思われた)。
・探査機「はやぶさ」は小惑星「イトカワ」の岩石サンプルを持ち帰るか。
・冥王星より大きい直径3000kmの「第10惑星」が見つかった。ただし冥王星共々、
惑星と認めるかは議論がある。
・冥王星に2つの新衛星が見つかった。
 天文の話題にはいつも夢がありますね。

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フラッシュペーパーなど(船橋)

 愛知物理サークルで紹介されたフラッシュペーパー、100枚100円なら自分で作ろ
う。硝化綿と同じ処方(通信04−2号を参照)で、濃硝酸20mlと濃硫酸40mlの
混酸に、ティッシュペーパーを1枚ずつにして15分浸ける。これを水洗いして新聞紙の
上に広げて自然乾燥する。そして最後に新聞紙に挟んでアイロンを掛けるとでき上がり。
 商品と変わらないように一瞬にして燃えました。
マジックバタフライ
 以前に紹介した商品を、0.55mmのステンレス線と両面折り紙(ダイソーで入手)で
大量生産してくれました。これも本から見事に飛び出します。
ホロスペック
 穴の空いた紙の間にホロスペック(ケニスの商品 7mm角に切断する)を挟んで点光
源(あるいは夜景の遠くの光源、そして花火もきれい)をのぞくと、「ハートがいっぱ
い」だったり、「雪の結晶がいっぱい」だったり・・・。光源もクリスマスランプを活用
してお値打ちに準備してもらい、楽しめました。また明るい背景に手をかざしてのぞくと、
あら不思議、「骨」が見える「透(す)ケルトン」。
 どうなっているのかな。虹が薄く見えるので回折格子の一種なのでしょう。後でルーペ
で観察すると、ドットマトリックス方式の立体視図のような模様が見えました。
アニメスコープ
 奥谷さんが紹介していたものをすこし改良して、これまた量産してくれました。元絵も
6種、いろいろ楽しめます。教材になる元絵ができるとよいですね。

ティッシュを使うペーパークロマト(出口)

 身近なものだけでできるペーパークロマト。ティッシュペーパーを半分に裂き、それを
三つ折りにする。そして端から2、3cmの位置にペンなどでスポットを書く。トレイに
水を入れ、スポットの下を1cmほど水に浸け、残りを下敷きなどの上に伸ばす。見る見
る色素が展開されて、黒色のインクも赤色と青色に、あるいは、黄色、水色、緑色、紫色
に分離したりする。墨汁はさすがに黒一色。油性ペンはもちろん水では展開できない。展
開液を焼酎などに変えるのも面白い。
 チョークでもきれいにできるというので、スポットをリングにして試してみました。
 また、ブラックライトで光らない蛍光ペンがありますが、どの色が分かりますかという
質問がありました。答は水色、十分に明るい色なので必要がないようです。

下水処理(出口)

 かつては工場が汚水や有害物質が問題であったが、対策が進み生活スタイルの変化もあ

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って、現在では家庭の生活排水の比重(57%)が高まった。下水道を利用できる人口
(2001年)は名古屋市では97.6%だが、その他では40%、愛知県全体では
57.3%になっている。
 利用できない家庭では浄化槽を使うが、現在ではトイレだけの単独処理でなく、他の家
庭排水を含む合併処理が義務づけられている。他に農業や漁業の集落処理施設もある。
 下水は一定のこう配をもつ管きょとポンプ場で処理場に集められる。沈砂池、最初沈殿
池を経て、エアレーションタンクで活性汚泥とかき回して処理される(90%除去)。そ
して最終沈殿池を通り、水質検査(BOD,窒素、リン、SSなど)と消毒をして川に放
流される。下水汚泥はタイル、ブロック、堆肥などに利用する(県内では6割)。
 雨水の混入、食糧や飼料の輸入による富栄養化、悪質な垂れ流し、上水としての再利用、
浄化槽の非定常的利用などの課題も紹介されました。そして次回に活性汚泥を見せてもら
うことになりました。これは微生物だけでなく、イトミミズなど肉眼で見える生物も含み、
その原型は河口の干潟であると考えられます。



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