05.9
                               事務局:林 正幸
                            (船橋 隆久さんが作成)

  MOLの会通信05−9号

 朝晩はやっと涼しくなってきましたが、日中はまだまだ暑いですね。そんな暑い中、定
例の「モルの会」が行われました。6時に終了しましたが、外はすでに薄暗くなっており、
なんとなく秋の気配を感じました。今回の参加者は、福島・出口・岡田・船橋・堀・鈴木
とし・田口・美濃和(敬称略)の8名でした。

1.ルミノール反応(福島)

 ゲル状マイクロカプセルを使った「ルミノール反応の新しい演示実験について」(四日
市四郷高校・萩田さん)の紹介です。
<操作>
(1)7%塩化カルシウム水溶液100mlをつくる.
(2)1%アルギン酸ナトリウム水溶液20mlにルミノール0.02g、
3[Fe(CN)6]0.5gを加える.(アルギン酸ナトリウムは溶けにくいので数時間か
ら1日程度)
(3)(1)の溶液に(2)でつくった混合液を駒込ピペットで滴下する.
(4)生じたマイクロカプセルを軽く水洗いする.
(5)3.5%過酸化水素水 100mlに NaOH 5gを溶かす.
(6)(5)の中に(4)のマイクロカプセルを落とす.
 マイクロカプセルは2〜3分程度発光します。(2)の溶液をそのまま(5)に入れる
と、強く発光したのち消えることから、マイクロカプセルの界面膜によって発光時間を長
持ちさせていると思われます。なお、保存がきかないので、実験直前に調整することが大
切です。

2.ポカリスエットとイソジン(岡田)

 今年の科教協大会での米沢さんのレポートの確認です。4種類のポカリスエット(@缶
 A500mlペットボトル B赤ちゃん用500mlペットボトル C粉末)が用意され、
紙コップに@とAを注いで飲んでみると、微妙な違いがありました。多少の個人差はあり
ますが、ペットボトル入りのほうが缶入りよりサッパリとしてまろやかな感じが。そして、
見た目もペットボトル入りほうが透明感があります。

                  - 1 -

 「これは、含有成分のビタミンCの量の違いでは?」ということで、イソジン1mlと
水20mlが入った100mlビーカー4個を用意し、ビタミンCの還元作用でイソジン
の赤褐色が消えるまでそれぞれのビーカーに@〜Cのポカリスエットを加えました。
(色が消えるまでのポカリスエットの量)
  缶         2ml
  ペットボトル  100ml以上
  赤ちゃん用   100ml以上
  粉末        2ml
 このことからペットボトル中のビタミンCの量は缶・粉末の1/50以下であると思わ
れます。保存用容器によるこうした違いについて製造メーカーである大塚製薬に問い合わ
せてみましたが、メーカーからは「答えられない」とのこと。
 メンバーからは「缶は飲み残したときに栓ができないので、酸化防止のためビタミンC
が多めに入れてあるのでは?」「最初は同じだけ含まれていても、ペットボトル中のビタ
ミンCは保存中に光で分解されたのでは?」などの意見が出されました。その他の成分に
ついても微妙な違いがあるので、それらについても調べてみる価値はありそうです。
 ちなみに大塚製薬は点滴用輸液では日本のトップメーカーですから、生理学的な情報は
持っているものの企業秘密なのかもしれませんね。

3.「不思議ごま」の製作(船橋)

 フィルムケースを2本接着したものに黒い紙を、そして中央に幅3.5cmの青色の紙を
巻き付けます。次に直径8mmのマイタックラベル(福島さんから提供してもらいまし
た)白2枚、緑12枚を貼り、さらにフィルムケースの一端に直径15mm黄色マイタッ
クラベルを、もう一端に円・半円・三日月型の黄色マイタックラベルを貼り付けます。
 完成したら一方の蓋の部分を人差し指にあて、手前に回る回転を与えて押し出すと・・
・アラ不思議!? 回転体の中央部に地球が、その周りに月のような模様が現れます。円
・半円・三日月のラベル側に指をかけて回すと、満月・半月・三日月のように見えてきま
す。このときはもう一方の黄色い円は見えません。
 このことについて先週行われた「愛知物理サークル」で聞いたところ、台風の東側の風
速が強いのは、中心に吹き込む速度と進行速度が合算されるためで、西側では逆に弱くな
っている。この「不思議ごま」も指を当てた側の回転速度遅くなり、そちら側の黄色ラベ
ルのみが見えているとのこと。みんなで1つずつ作っておみやげとして持ち帰りました。

4.2進数と10進数(船橋)

 これは、先月でんきの科学館で山中さんに教えてもらった情報です。ぶた・パンダ・ひ
つじ・しまうま など15種類の動物が書いてある紙を相手に見せ、どれか1匹を記憶して

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もらいます。次に15種類の動物のうちどれか8匹が書いてある紙4枚を相手に見せ、記
憶した動物が「いる」「いない」で答えてもらいます。そして「あなたが記憶している動
物はコレです!」とズバリ言い当てるマジックです。
 このマジックは2進数をうまく利用したもので、情報の教材としても利用できるもので
す。その考え方は以下の通りです。
(考え方)
     2進数・10進数換算表(4ビット分)
   10進数       2  進  数
          3    2    1    0  (ビット)
  *  1    0    0    0    1
  *  2    0    0    1    0
     3    0    0    1    1
  *  4    0    1    0    0
     5    0    1    0    1
     6    0    1    1    0
     7    0    1    1    1
  *  8    1    0    0    0
     9    1    0    0    1
    10    1    0    1    0
    11    1    0    1    1
    12    1    1    0    0
    13    1    1    0    1
    14    1    1    1    0
    15    1    1    1    1

@15種類の動物の絵に1〜15(10進数)の番号がつけてある.
A第0ビットが1になる動物8種類をまとめてカード1(・の数1)とする.
B第1ビットが1になる動物8種類をまとめてカード2(・の数2)とする.
C第2ビットが1になる動物8種類をまとめてカード4(・の数4)とする.
D第3ビットが1になる動物8種類をまとめてカード8(・の数8)とする.
Eたとえばカード1とカード4に共通して登場する動物は
  0ビット 1 & 2ビット 1 に相当する10進数 5
  カードの・数に注目し、登場しなかったカードは0としてカウントすると
  1+0+4+0=5
Fつまり、10進数での1から15の数は、1・2・4・8(*印)のどれかの数の和と

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して表すことができることを利用したマジックである.

5.お茶の話(堀)

 先月「でんきの科学館」で行った実験の中で、100Vテスターが「おーいお茶」では
微妙に点灯し、予想外にも電気が通ることが分かりました。その後ペットボトルに表示さ
れている原材料を調べてみると、「ナトリウム」という名称が記載されていました。これ
はアスコルビン酸ナトリウムという形でお茶の中に入っているのでしょうか?
(各メーカーの表示)
  まろ茶(コカコーラ)         3〜7mg/100ml
  十六茶(アサヒ)           0〜10mg/100ml
  お茶(ヤクルト)           8mg/100ml
  生茶(キリン)、おーいお茶(伊藤園) 表示なし

6.絶版「ウインク・マジック」(鈴木とし)

 片目で立体視する「ウインク・マジック」という本があります。代表的なものに「首振
りドラゴンがありますが、残念なことに絶版になってしまいました。今回はその中にある
「のびるビル」の紹介がありました。
 まず展開図をハサミで切り取り、説明どおりにのり付けします(折り方注意)。完成モ
デルをテーブルか手のひらの上に置いて、片方の目を閉じます。開いているほうの目で完
成モデルの三つの面でできた角(へこんだ部分の一番奥)をジッと見ます。すると不思
議!? ひとつの立体が浮かび上がります。

7.来年のサマセミにむけて(美濃和)

 今年のサマーセミナーに初参加の美濃和さん、来年も生徒の疑問に分かりやすい実験で
答えようと、今から準備を始めました。
 来年は「夕焼けの西の空はなぜ赤い?」という疑問に、コロイド粒子による光の散乱を
利用して答える予定です。そこで次回モルの会の例会で、奥谷さん考案の「水性ワックス
を利用した夕焼け実験器」を持ってくることになりました。

8.不飽和結合へのハロゲン付加(岡田)

 「アセチレンとヨウ素(イソジンの希釈水溶液)の実験」で、ヨウ素液の赤褐色が消え
ることが確認されました(2004年秋)。そのことを安房科学塾で報告(2004年
12月28〜29日 千葉県館山市)したところ、「アセチレンにヨウ素は付加しないは
ず」「不純物による反応では?」との疑問が続出しました。
 このことは「モリソンボイド著 有機化学 上 第6版」にも以下のような記述があり

                  - 4 -

ます。
(引用開始)
「ハロゲンの付加反応では、アルキンはアルケンに比べてかなり反応性に劣る。これはア
ルケンではこの反応の初期段階で環状ハロニウムイオンが生成するからである。アルキン
の反応性がアルケンに比べて低いのは、この種の環状中間体の生成がより困難であること
にその原因がある。(p561)」
「アルケンは塩素や臭素と容易に反応して、ハロゲン原子2個が隣接した2個の炭素原子
に結合している飽和化合物に変換される。一般にヨウ素は反応しない。(p439)」
(引用終了)
 一方、「化学と教育 52巻1号(2004年) 高校化学生徒実験をやさしくする試
み」や、「高等学校 化学T (三省堂)」には、アセチレンとヨウ素の付加反応が紹介
されているため、再検討が必要になりました。
(実験)
(1)準備した薬品
@臭素・ヨウ素
 (A)0.05%臭素水(市販の1%臭素水を20倍に希釈した)
 (B)0.05%ヨウ素エタノール液(エタノール100gにヨウ素50mgを溶かし 
    た)
 (C)0.05%ヨウ素ヘキサン溶液(ヘキサン100gにヨウ素50mgを溶かした)
 (D)イソジン30倍希釈溶液(イソジン1mlに水29mlを溶かした)
Aアセチレン・エチレン
 (ア)アセチレン(カーバイトと水から生成したもの)
 (イ)アセチレン(カーバイトと水から生成した後、硫酸酸性の硫酸銅(U)水溶液を加
    えて3日間放置)
 (ウ)溶解アセチレン(溶接等に使用するボンベに入ったもの)
 (エ)エチレン(エタノールと十酸化四リンの反応により生成)
(2)実験方法
 試験管(容量約35ml)に気体を水上置換したのち、溶液1mlを加えて50回程振
り混ぜる。そして、そのまま数日間放置しておいた。
(3)実験結果
 (ア)アセチレン(カーバイトと水から生成したもの)
  (A)(B)(C)(D) すべて退色した。
 (イ)アセチレン(カーバイトと水から生成した後、硫酸酸性の硫酸銅(U)水溶液を加
    えて3日間放置したもの)
  (A)          退色した

                  - 5 -

  (B)(C)(D)    退色しなかった
 (ウ)溶解アセチレン(溶接等に使用するボンベに入ったもの)
  (A)          退色した
  (B)(C)(D)    退色しなかった
 (エ)エチレン(エタノールと十酸化四リンの反応により生成)
  (A)          退色した
  (B)(C)(D)    退色しなかっ
た (4)考察
 以上の実験結果より、アセチレン(アルキン)とエチレン(アルケン)にはヨウ素は極
めて付加しにくいと思われます。カーバイトと水から生成しただけの「アセチレン」には
不純物が含まれており、この影響でヨウ素が退色すると思われます。

9.その他

 その他の話題として
  「バックライト方式による光の三原色」(船橋)
  「学研の科学のタマゴ 01 エアエンジン」(船橋)
  「下水処理についての話」(出口)
がありました。



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