05.3
                               事務局:林 正幸

  MOLの会通信05−3号

 今回は植村、岡田、澤田、西尾、林まさ、福島、船橋、堀の8名でした。
 でんきの科学館の「なるほどサイエンス」は8月に引き受けることになりました。

酸化還元電位(林まさ)

 簡単な方法でどれくらいの酸化還元電位が計測できるか。電解液は4cm四角のクッキ
ングペーパーを2枚重ねして2ml浸み込ませる。そして8cm四角のセロハンで区切る。
塩橋には1mol/l塩化カルウム水溶液を使う。これは拡散電位を打ち消す以上に、両電
極の電解液が浸みて混合するのを防ぐ役目がある(さらに小さい輪ゴムを電極とセロハン、
セロハンどうしの間に入れて隔てる)。基準には銅/銅イオン電極を使う。銅イオンは飽
和硫酸銅水溶液を使う。他の電解液は手元にある濃度のものを使う。起電力はデジタルテ
スターで計測する。
 銀板を借りて2%硝酸銀水溶液で電極をつくると、−0.51Vになりました(文献値か
らの計算:0.462V)。次に塩化カリウム水溶液に硝酸銀水溶液を加えてペーパーに浸
み込ませ銀板を被せると、0.07Vになりました(同:0.115V)。
    Ag + Cl- ←→ AgCl + e-
またヨウ素をペーパーに振り掛け、2%ヨウ化カルウム水溶液を浸み込ませてから炭素板
を被せると、−0.37Vになりました(同:0.119V)。
    2I- ←→ I2 + 2e-
 起電力が比較的安定し、期待値に近い値が得られる電極を集めており、
    亜鉛/水酸化物イオン・テトラヒドロキソ亜鉛(あえん)酸イオン
      Zn + 4OH- ←→ [Zn(OH)4]2- + 2e-
    炭素板/硫黄・硫化物イオン
    鉛/鉛イオン
    炭素板/鉄(U)イオン・鉄(V)イオン
      Fe2+ ←→ Fe3+ + e-
などすでに10ほどある。ただし残念なことに、アルミニウムとニッケルはうまく行かな
い。もうしばらく足りない薬品をそろえて実験を続けて、レポートにまとめたい。

 これとは別に講座プラン「元素と原子の発見」とレポート「私はこんな授業がしたい」

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を配布した。とく前者について感想などを聞けるとうれしいです。

もちもちスライム(船橋)

 何でもチャレンジする船橋さん、今回は藤田さんの「もちもちスライム」です。グアガ
ム2g、ローカストビーンガム0.4g、ホウ酸0.8g、プロピレングリコール12ml
を混ぜ合わせ、水80ml(食紅を加えてもよい)を加えてかき混ぜる(半透明状態)。
これに飽和ホウ砂水溶液8mlを加えて一気にかき混ぜる。手に付きにくく扱いやすいス
ライムができました。2種のガムは
   (株)アセラ(055−232−2056)
から入手できる。なおローカストビーンガムはカブロ樹の種子の胚乳部分を精製粉末化し
たもので、アイスクリームなどの安定剤に加えたりする増粘多糖類であり、主成分はガラ
クトマンナンで分子量が約31万である。
 PVAスライムも教材として優れていることが話題になりました。

ダイエット・コーラ(船橋)

 あるホームページから。ダイエーブランドの、普通のコーラとダイエット・コーラ(と
もに250ml)。目方を計ると388.7gと373.7gで後者が15g軽く、水そう
に入れると前者は沈むのに後者はかろうじて浮きました。
 原因は甘味料の差であり、成分を見ると前者では35gもの糖分が溶けている(密度が
大きくなる)のに、後者ではその100倍以上の甘味の人工甘味料が代用されている。こ
んなことからも清涼飲料水の糖分の多さが窺える。
 そして人工甘味料にはアスパテーム(味の素の特許)、L−フェニルアラニン化合物、
アセスルファムK、スクラロースの名がある。ちなみにスクラロースは流産の危険が指摘
されている。

光ファイバーに関して(船橋)

 前回に緑色レーザーに係わって話題にした「光ファイバー説明管」は光が広がって見に
くい。角形の水そうに水(すこし水性ワックスを加える)を入れれば、全反射の様子がよ
く分かる。
 ちなみに最近の光ファイバーは、屈折率を軸付近は大きくまわりは小さくして、蜃気楼
のように光を曲げています。この方が軸を進む光とそれた光の光路差が小さく(屈折率が
小さいと光速が大きい)、信号(方形波)のなまりが生じにくいのです。
 ついでに船橋さんが煙発生器(スモーク・ストリーム)を持っていたので、水面の上に
煙を籠もらせて、反射と屈折の様子も観察しました。
 なお、どうして光ファイバーは大量の情報を送れるのか。デジタル信号は在ると無いを

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1と0にして送信します。一般に波はそれ自身が山谷の変動をくり返しています。したが
て波長の10倍以上の長さの信号でないと検出できません。つまり1秒あたりに振動数の
1/10までくらいしか情報が詰め込めないわけです。光の振動数は50万gHz(ギガ
ヘルツ)ほどであり、たとえば携帯電話のマイクロ波の1gHzに比べても各段に大きい
のです。
 他には3枚羽根のブーメランも紹介してもらいました。

英語で化学を学ぼう!(福島)

 3年生文系の学年末試験後の授業で、川泉さん(名大)の「英語で化学を学ぼう」のテ
キストで、実験に取り組ませてみた。専門用語は辞書にもないので生徒たちは手こずった。
すでに化学としては学習済みの内容なのに、読解力が育っていないと感じた。それでも何
とか実験させ、書き込みまでさせた。
 関連して2つの問題にぶつかっている。ひとつは硝酸銀水溶液にアンモニア水を加える
と、褐色の酸化銀でなく、白色の沈でんができる。
 これは次のように水酸化銀ができるためです。
    Ag+ + OH- ―→ AgOH
そしてこれは加熱すると酸化銀に変化していきます。
 もうひとつは硫酸銅水溶液に硫化水素水を加えても、硫化銅の沈でんができない。でき
てもすこし黒ずむ程度であることが多い。
 これは奇妙なことです。硫化水素水はBTBで黄色になりはっきりと酸性を示します。
それなのに硫化銅の沈でんができません。硫化銅の溶解度積からすると、定量的に反応す
るはずです。検討が必要なようです。

名東高校化学実験集(岡田)

 名東高校で一緒だった鹿野さんがその後不慮の事故で亡くなり、当時山谷さんと3人で
作った実験集(一部変更や追加)を、追悼のためにCDにして皆さんに配布することにし
た。現在の北高校の先生や実習助手の安藤さんの協力も得てそれが実現した。
 実験は43種に及び、新カリの順に配置した。そして生徒用のプリントとその「解答」
の両方を含むので、すぐにでも利用できる。自分としてもこれまでの集大成になっている。
 たとえば「Trip of Mr.Iron」を開くと、希硫酸に鉄粉を加えて反応さ
せ、ろ過後にろ液をエタノールに加えて生じる沈でんを再びろ過して硫酸鉄(U)を得る。
これを水に溶かしてマグネシウムリボンを加え、元の鉄が得られることを磁石で確認する
実験であることが分かります。そして「解答」の方には、準備、操作、結果の画像がいく
つも組み込まれています。

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グルコースの検出(西尾)

 これまでグルコースの検出と言えば、フェーリング反応である(話題としては旋光度に
よる糖度試験くらいです)。しかし臨床検査の場では糖尿病に関して血糖値などが当たり
前に計測されている。この種の検査薬を利用すれば、化学や生物の実験の枠を広げられる
のではないか。
 グルコースはα型(36.5%)とβ型があるが、検査薬の中のグルコオキシダーゼやヘ
キソキナーゼなどはβ型とのみ反応し、それに連れて次第にα型がβ型に変化して反応が
完了するため、これまでの検査は時間がかかった。これに対してα型をβ型にするムタロ
ターゼという酵素が発見され、これを追加することで短時間で正確な計測が可能になった。
 ちなみにグルコオキシダーゼの場合は、グルコースをグルコン酸と過酸化水素にし、後
者が検査薬中のペルオキシダーゼに触媒されて、同じく検査薬中のフェノールと4−アミ
ノアンチピリンを酸化縮合して赤色の色素を生じる。
 実際にマイクロピペットやエッペンドルフ管を使ってグルコース標準液の発色を見せて
もらいました。



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