04.2
                               事務局:林 正幸

  MOLの会通信04−2号

 今回は伊藤、岡田、澤田、鈴木とし、豊田、林まさ、船橋、堀の8名でした。今回も新
しい仲間の参加がありました。
 「でんきの科学館」での「なるほどサイエンス」は今年度も依頼があり、11月という
ことです。テーマは「色と遊ぼう」という案が出ました。

綿火薬(船橋)

 かつて入手した同朋高校の実験書に従って綿火薬をつくってみた。濃硝酸10mlと濃
硫酸20mlを混ぜ、20℃になったら脱脂綿0.5gを10分ほど浸ける(冬場は15
分)。その後よく水洗いしてから乾燥する。手のひらで見事に燃焼した。
 綿火薬は丁寧につくらないと出来が悪く、手のひらで燃やすと危険です。

マグデブルグ半球(船橋)

 前回紹介の簡易減圧ポンプを利用してマグデブルグ半球の実験道具を開発中。すこしつ
ばのあるボウルが100均で手に入った。これに1.5mmの穴を空けて試したが、ティッ
シュを燃やして減圧する場合は10回ほどで変形して駄目になる。すこし小さいボウルで、
減圧ポンプ使用に限定して試してみる。なお注射器の先に取り付けるキャップはエチレン
ゴム製がよい。
 なおこれは5月16日(日)のEHCで製作講習会を行います。希望者は連絡を!

共振実験転じて(船橋)

 ビールの500mlの空き缶を単独、2つつないだもの、3つつないだものを板に載せ
て揺すり、2つつないだもののみを倒させる。よいアイデアのつもりが、生徒たちはそれ
を積み上げて「クロス抜き」にしてしまった。クロスの代わりはプリント。最高は9個だ
った。やれやれ。

表面張力(船橋)

 紙の風車の羽根(3つ)の一方の側に修正液を塗って液が染み込まないようにして、他
方の側にエタノールを染みこませ、銅線でつくった台を使って水に浮かべるとクルクルま
わる。修正液を裏表に塗ると速くまわった。さてこの実験の実践者はその理由を表面張力
としているが、エタノールが溶出する反作用ではないのか(愛知物理サークルより)。
 そこでシャーレにエタノールを入れ、羽根に水を染み込ませたが、まわらない。風車が
重くて沈むので、発泡スチロールを貼り付けて浮かせたが、駄目である。スチロールの板
の両側にろ紙を貼って水とエタノールを染み込ませてエタノールに浮かべても動かない。
 考えてみると、水がエタノールに溶けるとその部分はエタノールより比重が大きくその
場で下に沈み、水面に拡がることはない。水にエタノールなら、エタノールが水に溶けて
表面に拡がる可能性がある。どんな実験が結論を出すのでしょうか。

                  - 1 -

ヘスの法則1(林まさ、伊藤)

 かつての実験を復活させた。スタートは水酸化ナトリウム4.0g(a)五酸化二リン
2.4g(b)、水100ml(c)である。容器はポリコップを2つ重ねると、断熱性が
高くかつ内部が観察できる。これに発泡スチロールのふたをつくり、温度計を差し込む。
 1コースはaをcに加えて振り混ぜると温度が11.0℃上昇、ここでBTBを加えて塩
基性を確認し、続いてbを加えて振り混ぜると12.0℃上昇した。合計23.0℃の温度
上昇である。2コースはbをcに加えて7.4℃上昇、BTBを加えると黄色になり、続い
てaを加えると16.2℃上昇、合計23.6℃の上昇となり、かなりよく一致する。
 aもbも薬包紙でおひねりにしておき、aは中身を加える。溶解に少し時間がかかる。
bは首のところで切り、中身がすこし見えるようにして投入してすぐに混ぜる。
 温度上昇だけでも納得できるが、水の熱容量を使えば変化熱も求められる。
 ヘスの法則はエネルギー保存の法則から当然であり、改めて確認実験をすることはない
ようにも思われる。しかし私の「講座プラン」の「物質とエネルギー」では、物質が持つ
エネルギーは状態量であり、その物質、その状態の身分証明書のようなものであるとして
スタートする。したがってそのことを確認する実験として位置づけます。
 伊藤さんは水酸化ナトリウム水溶液、五酸化二リン、純粋な水をスタートにして実験し
てみた。

ヘスの法則2(伊藤)

 盛口さんらの実験を生徒実験させた。スタートはマグネシウムリボン0.24g、2
mol/l塩酸50ml、空気中の酸素。容器は熱量計測用のスチロールカップ、温度計は
サーミスタ利用のデジタル温度計(0.1℃刻み)を使用する。目指すはマグネシウムの燃
焼熱である。
 マグネシウムを希塩酸に溶かすと温度が21.6℃上昇した。この反応熱は水の熱容量
4.2J/g・℃を使って454kJ/molとなる。発生する水素はその燃焼熱286
kJ/mol与えて、ゴールの塩化マグネシウム水溶液(と水)までに740kJ。他方で
酸化マグネシウム0.40gを希塩酸に溶かすと7.3℃上昇で、この反応熱は153
kJ/molとなる。したがって目的の燃焼熱は587kJ/molと求められる。化学便
覧の数値は602kJ/molである。
 水溶液の温度上昇を利用するこの種の計測は、正直なものである。

メタノールの燃焼熱(林まさ)

 人類は物質のエネルギーを燃焼によって熱エネルギーに転換して利用してきた。その意
味でぜひ生徒にも燃焼熱の計測をさせたい。かつての菓子の缶に入れた水をアルコールラ
ンプで暖める方式では、まわりを発泡スチロールで包んでも効率が60%を越える程度で
あった。これを改善したいと工夫する中で、Lアングルを切断したアルミ片を加熱する方
式を思い付いた。
 菓子の缶にアルミ片を600g(缶の熱容量も含めて)入れて温度を測ると16.4℃で
あった。水1[l]を準備して温度を測ると9.6℃であった。丸くつくった金網を被せて
逆さにし、メタノールが入ったアルコールランプで5分ほど加熱する。缶を元にもどして
水を加えて到達温度を調べると15.0℃である。そして燃焼したメタノールは1.23g

                  - 2 -

である。
 アルミニウムの熱容量0.88J/g・℃と水の熱容量を使って計算すると燃焼熱は
570kJ/molとなる。文献値は645kJ/molであり、効率は88%である。
 エタノールやアセトンなどの燃焼熱も計測してみたい。

チーズづくり(鈴木とし)

 牛乳1カップ(180ml)を加熱し、沸とう前に火を止めて食酢15mlを加え、
10秒ほどおいて静かにかき混ぜる。液が透明になったら固形部分をふきんに移して、水
道水でもみ洗いする。そして皿に取り出して食塩を振って混ぜると、おいしいチーズので
き上がり。クラッカーに付けて試食するとなかなかの美味であった。
 実際のチーズは乳酸菌による発酵でできた乳酸で牛乳が固まるのを利用する。これはヨ
ーグルトも同じ。

プラスチックへの銅鏡反応について(澤田)

 銅の薄膜は透過光が緑色になる。これに期待して今回は浅野さん(山形県立鶴岡工高)
の方式で実験してみた。この背景には野曽原さんや藤田さんの研究がある。
 PETボトルを切り出した板を洗剤できれいに洗い、六一〇ハップを2、3倍にうすめ
た液に2分間沈める。取り出して水洗いし、0.02%塩化パラジウム水溶液(塩酸酸性)
に30秒沈める。続いて1%ビタミンC(薬局で入手すると安価)水溶液に30秒沈める。
最後に0.1mol/l硫酸銅水溶液15mlに2mol/lアンモニア水12mlを混ぜて
RETの板を沈め、ビタミンCの粉末を加えて容器のシャーレを揺する。すると1、2分
で銅鏡ができて来た。
 アクリル板や塩ビ板はこの方式ではうまくいかない。ビタミンCは飽和溶液にしてもう
まくいかない。さらにきれいに確実にできるようにしたい。
 なお刺激臭のアンモニアを使わずに済む方式がないだろうか。そのためにはこの還元反
応の条件を調査・研究する必要がある。代わりにアミノ酸というアイデアもある。
 話の中で、洋金は真ちゅう(黄銅)のこと、洋銀は銅と亜鉛にニッケルを加えた合金で
銀色であることを確認しました。

滴定曲線(伊藤)

 ユニバーサル指示薬を利用して滴定曲線を描く実験がある。どうせならpHメーターを
使ってはどうかと実験してみた。
 0.01mol/l塩酸20mlに、ビュレットから0.02mol/l水酸化ナトリウム
を1mlないし中和点付近では0.5mlずつ加えて、その都度pHを計測する。数値で出
るので明快である。計器は秋月電子のデジタルpHメーターキット(5000円)を製作
して利用した。センサー部(オメガ社製pHセンサPEH−78604)のみ(3000
円)を購入することもできる。
 数値が安定するのに1分ほどかかるのがややまどろこしい。そして20ml加えても
pHが10にしかならない(本来12に近いはず)。こちらは調整の問題のようである。
 安価な計器を気軽に利用するのはひとつの手法ですね。

発泡スチロールの実験(豊田)

                  - 3 -

 プラスチック教材として発泡スチロールを選び、はじめ東急ハンズの「カラーペレッ
ト」を使ってみたが行き詰まり、(株)JSPにサンプルを送ってもらった。
    http://www.co-jsp.co.jp/
それは透明な直径1mmのビーズで発泡剤としてブタン、それを溶かす助剤としてシクロ
ヘキサンを含んでいる。
 まず予備発泡として沸とう水に投入すると、白色になり2分ほどで直径3mmまで膨ら
んだ。ちなみにシクロヘキサンの沸点は81℃で、ポリスチレンの軟化温度も75〜10
0℃であるので、このあたりから発泡が始まる。このままでは弾力性がないので1日乾燥
熟成する。すると水分が除かれ発泡剤と空気が入れ替わり、弾力性が生まれるようだ。こ
れを100均のはさみ型茶こしに詰めて、やはり沸とう水に5分ほど浸けておくと、丸く
成形できる。これから成形の鋳型をつくりたい。
 さらに減容処理も実験する。ハンズでリモネン95%以上という「オレンジX」
(1500円)という洗剤を購入して、手のひらで発泡スチロールをすり込むと溶けてし
まった。ちなみにリモネンは単環式モノテルペンで沸点が178℃であり、スチレンに似
た構造をしている。
 ついでに乳濁液のオレンジXを試験管で加熱すると黄色透明のリモネンになった。試験
管の上部には水滴が付いた。このリモネンにはスチロールが速く溶けた。
 授業では発泡スチロールが
・氷の融解速度から断熱性がある。
・燃える。消してピンセットで引くと糸になる。
などの実験も加え、
・包装材、軽量コンクリート、生鮮食品の容器、インスタント食品のカップなどに利用さ
れる。
・また衣類、フィルターにも利用される。
・炭素と水素からできている。
・金属の型に入れて成形される。
またリモネンは
・柑橘系の植物油であり、香料や洗剤にも利用される。
・似ているからポリスチレンを溶かす。
・ポリスチレンのリサイクルに利用される。
などについて説明する。



                  - 4 -


林 正幸と主万子の始めの ホームページ(to our initial Home Page) にもどる。