03.12
                               事務局:林 正幸

  MOLの会通信03−12号

 今回は岡田、澤田、鈴木とし、林まさ、船橋、堀の6名でした。新しい仲間の参加は元
気がでます。雑談の中で学校教育の現状が話題になりました。私が「コピー、アリバイ、
競争、ストレスの4つで語れてしまうのでは」と言うと、船橋さんから「評価」を加えて
はと提言がありました。
 ちなみに「でんきの科学館」での「なるほどサイエンス」は、好評のうちに終了するこ
とができました。また「環境問題を勉強する会」の第1回の通信も配布して、参加を呼び
かけました。

泡消化器の改良(澤田)

 理科総合Aで1時間、泡に関する授業を行った。その中で以前からの泡消火器を改良し
て実験した。
 のり容器の頭を切ると反応が早くなり、薬品を1/3にしてほどよい勢いが得られた。
500mlペットボトルに、炭酸水素ナトリウム8gに水70mlを加えたものを、押し
込んでおいたのり容器に、結晶硫酸アルミニウム10gに水13mlを加えたものを入れ
る。チューブが付いたゴムせんをして逆さにして、ろうそくの火を消す。

下水処理の教材(澤田)

 同じく「生活での廃棄物」の中で、それをごみ、下水、気体に分け、「下水とその処
理」の教材プリントを作ってみた。これは10年研の現地体験研修で下水処理場と汚泥処
理場に行ったことを活かす意味がある。
 下水は沈砂池と沈でん池を経た後に反応タンクで活性汚泥処理される。そして活性汚泥
を沈め、次亜塩素酸ナトリウムで消毒してから、再生水として川に放流される。日本で活
性汚泥処理が始まったのは1930年。2004年から名古屋市では窒素、リンを微生物
を使って取り除く高度処理が行われる。
 下水処理場で出る汚泥はパイプラインで汚泥処理場に送られる。汚泥は濃縮槽で固形分
を沈め、さらに凝集剤を加えてから機械脱水し、水分は下水処理場にもどし、固形分は焼
却処理する。硫化水素を含む排ガスは水酸化ナトリウムで処理される。灰は透水性ブロッ
クの原料などになる。かつて健康被害をもたらした場内悪臭は、装置を覆って集め、生物
脱臭装置で除く。
 東京湾、伊勢湾、瀬戸内海では、排水は総量規制が行われている。
 面白い情報としては、下水熱(気温との差)をヒートポンプで場内の暖房に利用する計
画があり、下水管の上部空間を利用して光ファイバーなどの敷設が進められている。

上下運動する玉子(岡田)

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 名大の川泉先生に教わった実験。ペットボトルの上部を切って容器とし、水約1gを入
れる。この底にろうととチューブを使って濃塩酸約170mlを送り込む。そして玉子を
入れると、ゆっくり上下に運動する。ちなみに玉子の密度は1.12g/ml(計測結果)、
農塩酸は1.19g/mlである。
 殻の成分の炭酸カルシウムが塩酸と反応して、二酸化炭素の泡が付着して上昇し、泡が
離れて下降する。苦労を重ねた岡田さんによると、上部の水の密度が塩酸が一部混じって
適度に大きくなるとうまくいく。私たちが見た実験は上出来だそうです。
 水の代わりに適当な濃度の食塩水を使ってはどうでしょうか。

簡易減圧ポンプ(船橋)

 理科教室11月号の実験。50mlディスポーザル注射器の針穴の横に1mmの穴を開
けて外側からビニールテープで塞ぐ。針の穴は同じように内側から塞ぐと減圧ポンプにで
きあがり、ビニールテープが弁のはたらきをする。
 数100mlの透明プラスチック容器の横にドリルで、注射器とつなぐチューブの外径
よりすこし小さい穴を開け、チューブを中に引き入れる。
 これで、軽く膨らんだ風船がさらに膨らむ、口にサランラップを張るとへこんで割れて
大きな音がするなど、いくつもの実験が手軽にできる。
 なおプラスチック容器を減圧のまま放置すると、割れて危険なことがあるそうです。

万華鏡あれこれ(船橋)

 新聞記事を参考に、液体万華鏡やビー玉万華鏡を製作してみた。鏡は理科業者から取り
寄せたアクリルミラーを使ったが、ポリカーボネートミラーよりはるかに明るくてよい。
またビー玉もアクリル球を使うときれいである。発見は、3枚の鏡の角度を正三角形でな
く、頂点が20°の二等辺三角形に組むこと。ビーズは100均で手に入る。
 「伊東家の食卓」より。風船にさいころを入れて膨らませ、手で持って円を描くように
まわすと、まるでバイクの音。
 他にも「こども未来」の2000年10月号の「瞬間ペン移動マジックグッズ」の資材
を準備してもらいました。

消える感熱紙(船橋)

 「先生はマジシャン」より。スーパーのレシートは感熱紙。これにキンカン(高濃度の
アンモニア水)を塗ると、あら不思議、印字が消える。
 水酸化ナトリウム水溶液でもOK。そして試しに希塩酸に浸けてみると見事に印字が復
活するではありませんか。繰り返しも可能で、これは教材になります。

塩化銅(U)とアルミ箔(鈴木とし)

 鬼塚さんのHPを参考にした。水に塩化銅(U)と塩酸を溶かし、アルミホイルをすこし
ずつ入れていくと、次第に消えていき、やがて水溶液の青色も消える。代わりに褐色の固
体ができる。これはろ紙に移して試験管の底でこすると光沢が出て銅であることが確認で
きる。塩酸を加えるのは反応を促進するためでしょう。

                  - 2 -

 これに対して生徒がアルミニウムはどこに行ったかと質問したので、反応混合物をろ過
して蒸発乾固することにした。そして白色の塩化アルミニウムになっていると説明するつ
もりが、黄色の固体になってしまった。
 これはアルミホイルに含まれる鉄が塩化鉄(V)になって混入したためです。
 ついでに亜鉛片と希硫酸で水素を発生する場合が話題になりました。この廃液には黒色
の固体がすこし残るのですが、これは不純物の銅です。またダニエル電池で亜鉛板が黒色
になるのも、表面に生成した銅のためです。ボルタの電池もその可能性があります。

蒸気圧の計測(林まさ)

 蒸気圧を生徒に計測させられないか。5ml注射器のピストンに穴を開けてカードリン
グを通す。レトルト台のリングに20Nのばねばかりを吊し、始め注射器に空気2mlを
入れ、ばねばかりに引っかけ穴を指で押さえて、体積が4mlになる目盛りを読む。この
2倍が1atmに相当する。なお摩擦があるので、ピストンをゆっくり引っ張っていくと
きと戻ってくるときの目盛りの平均値を使う。
 次に30℃の水を2mlほど採って、同様にして、水蒸気の空間が広がり始めるときの
目盛りを読み、蒸気圧を計算する。さらに55℃と80℃の水を注射器に採って蒸気圧を
計測すると、その変化が実感できる。メタノールの蒸気圧も同様に計測できる。なおエー
テルは注射器が溶けるため無理だった。
 この計測は慣れることが必要であるが、簡単な割によい結果が得られる。データ例は次
のようです。
  1atmに相当する目盛りは  12.8N
水の蒸気圧               文献値
  30℃   0.031atm   0.042atm
  55℃   0.156      0.155
  80℃   0.438      0.467
メタノールの蒸気圧
  30℃   0.188atm
  55℃   0.594
  文献値は
    200mmHg(0.263atm)になるのが34℃
    760    (1.000   )     65
 温度計の補正をするとよいとの指摘を受けました。

弱酸の中和滴定(林まさ)

 クエン酸がフェノールフタレインを指示薬として中和滴定できるかということで、まず
理論的に検討してみました。その変色域から弱酸の塩の水溶液のpHが8より大きいこと
がひとつの条件になる。酢酸のような1価の弱酸で考える。
    A- + H2O ←→ HA + OH-
c[mol/l]の弱酸をc[mol/l]の水酸化ナトリウムで中和滴定する場合は、化学平
衡の理論から    [H+]2 =2×Ka×Kw/c

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したがって    Ka = 5c×10-3
より酸定数が小さい弱酸である必要がある。
 もうひとつの条件は、誤差を2%にすると、中和点まであと2%のところで水溶液の
pHが8より小さいことである。その時点の質量作用の法則は
    10-8×0.5c/0.01c = Ka = 5×10-7
より酸定数が大きい酸である必要がある。
 クエン酸の酸定数(25℃)は
  K1=7.41×10-4   K2=1.74×10-5  K3=3.98×10-7
第3段の電離から、この中和滴定は微妙である。
 北高にはクエン酸があるので、その場で実験してみました。 まず0.005mol/l
のシュウ酸標準溶液10mlを約0.1mol/l水酸化ナトリウムで中和すると、9.7
mlでした。滴定には駒込ピペットを使いました。クエン酸の0.033mol/l溶液を
調製して、その10mlを滴定したところ、9.9mlの時点ではっきりとした変色が見ら
れました。クエン酸は3価の塩基として中和滴定が可能でした。
 フェノールの酸定数(25℃)は    Ka = 1.5×10-10
約0.1mol/lの溶液を調製してその10mlを滴定したところ、2,3mlあたりか
らうすい赤色になり、その状態が続きます。o−クレゾールの酸定数(25℃)は
    Ka = 5.13×10-11
同様に実験すると、1ml未満ではっきりした赤色に変色してしまいました。

いろいろなシャボン膜など(林まさ)

 銅線でさまざまな形のフレームをつくり、それにシャボン膜を張る。メビウスの輪も作
れるし、半分閉じていないフレームにも張ることができる。目標は完全に閉じていないフ
レームのシャボン膜です。
 酢酸エチルの合成を、反応が途中で停止する事例として扱う。分離段階で、触媒である
硫酸の中和を越えて炭酸ナトリウムが必要であることを利用する。それにしても、もっと
簡単に途中停止が確認できる実験がないものでしょうか。
 かつて平衡モデルに利用したBB弾ボックスの姉妹版として、拡散および浸透モデル用
を製作しました。



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