03.9
事務局:林 正幸
MOLの会通信03−9号
今回は岡田、河合、澤田、鈴木とし、富田、林まさ、水谷、船橋の8名でした。そして
でんきの科学館の小島さんと藤井さんも11月の企画の打ち合わせのために来てもらい、
にぎやかな例会になりました。その「なるほどサイエンス」ではシャボン玉を取り上げる
ことにしました。また科学の祭典のときの水素の発生などについて確認しました。さらに
合同県教研に実験や教材を持って参加することも話題にしました。こんな状況の中で、内
容も多かったため澤田さんの時間などが無くなってしまいました。次回は優先でお願いし
ます。
電磁推進船(林まさ)
すこし前のことですが、第1回の先進科学塾の指導の中で、電磁推進船の模型にチャレ
ンジすることになりました。原理はフレミングの左手の法則で単純ですが、具体化するに
はいくつかの苦労がありました。材料は直径10mm、高さ5mmのネオジム磁石4つと、
1mmアクリル板に0.1mmステンレス板を使いました。
始めは推進部を船の下にしたら、発生する泡が抜けるときの反作用が大きくてさっぱり
でした。また海を想定して食塩水を使ったのですが、塩素が発生するので硫酸ナトリウム
水溶液に代えました。しかし外部電源で試す中で推力が小さいので、結局電導性が大きい
1mol/l硫酸を使うことになりました。さらにひも付きでは面白くないので、電池積み
込み式にしました。6V必要ですが推力が小さいので単4にしました。それでも浮力を得
るために、推力の割に大きい船体になってしまいました。
前回の例会でも電池ホルダーの接点不良に悩まされましたが、もう一度改良を重ねる中
で、秒速1cmほどで航行するようになりました。なお当然のことながら電池の消耗も早
いです。
新乾電池(林まさ)
これまで自分がつくってきた乾電池は性能がいまいちでした。改良の糸口にと注文して
いた、実際の電池にも使われている電気分解で製造した二酸化マンガン(電マンと言うそ
うです)を入手でき、新しい処方を考えました。
塩化アンモニウム性15%塩化亜鉛水溶液(塩化亜鉛6g、塩化アンモニウム1g、水
33ml)を準備します。そして亜鉛板を置き、その上に上記の塩化亜鉛水溶液で濡らし
たセロハンを被せます。これに脱脂綿を乗せます。カット綿をさらに2枚にはがして幅5
cmに切ったものです。上記の二酸化マンガン1g、黒鉛粉末5gに塩化亜鉛水溶液13
mlを加えてかき混ぜ、脱脂綿の上に均等に塗りつけます。そして炭素板を被せるとでき
上がり。
今回は同じ処方で、通常の二酸化マンガンと比べてみたら、これは豆電球が5分しか点
- 1 -
灯しないのに対して、電マンの方は17分持ちました。やはり500g8000円だけの
ことはあります。
塩化亜鉛の濃度について例会後に調べたのですが、結果的に私の処方では15%がベス
トであり、それ以上でも以下でも性能が落ちることが分かりました。ただし5%でも10
分は点灯しました。
なお黒鉛粉末を二酸化マンガンに対して大過剰にすることが重要です。始めは同量くら
いで試していたのですが結果があまり芳しくなく、井上著「化学実験プロセス図説」を見
て教えられました。
イオン交換膜を使う電気分解(林まさ)
前回実物を紹介したイオン交換膜を、実際に使った実験です。BTBを加えた2%硫酸
ナトリウム水溶液をろ紙6枚に染み込ませ、2枚ごとに陽イオン交換膜を差し込んで、全
体をステンレス板でサンドイッチにし、手まわし発電機で電気分解します。
この交換膜は陽イオンは透過させるが陰イオンは透過させないはたらきがあるので、水
素イオンは陰極に向かって移動していくが、水酸化物イオンは陰極側のろ紙中に閉じ込め
られます。その結果、陽極側のろ紙と中間のろ紙はBTBの変色で黄色になり、陰極側の
ろ紙のみが青色になりました。
これに対して陰イオン交換膜を差し込んで実験すると、陽極側のろ紙のみが黄色になり、
中間と陰極側のろ紙が青色になりました。以上の実験はイオンの移動が目に見えるようで
すが、後者の実験で中間のろ紙の一部が黄色になり、疑問が残っています。
各種CDの紹介(船橋)
パソコンも新調して元気な船橋さん、今回は3つのソフトを紹介してくれました。1つ
は分子モデル、基本的分子や生体分子がボール・スティックモデルなどで画像に現れ、回
転や立体視も可能です。参考文献は本間著「パソコンで見る動く分子事典」と平山著「分
子レベルで見た体のはたらき」でいずれもブルーバックス。なおアミノ酸のカルボキシル
基がすべてアルデヒド基になっているのが残念です。
2つは百名山の地形、フリーソフト「カシミール3D」を使います。たとえば富士山が
鳥かん図で眺められ、視点の位置や高度が自由に変えられ、季節や時間も動かせます。デ
ータはアスターによる衛星画像で、カシミールのホームページからダウンロードできます。
なお国土地理院がまとめた「数値地図50mメッシュ(標高)T〜V」は、それぞれ次
の3冊の本の付録になっています。「カシミール3D入門」「カシミール3Dパーフェク
トマスター」「カシミール3D GPS」、いずれも杉本著で実業の日本社が出版。なお
2冊目には火星と金星のデータもあります。
3つは地質、ソフトは「GeomapJS]、データは「100万分の1日本地質図
(1995)」であり、いずれも地質調査所が提供。
弾むシャボン玉(船橋)
今年の科教協大会で藤田さんが紹介した「弾むシャボン玉」の材料を、船橋さんが入手
してくれました。藤田さんによると、市販品よりはるかに大きい弾むシャボン玉がつくれ
- 2 -
ます。
調製して試しみると、見事に弾んでわくわくします。ちなみに藤田さんはアクリルの手
袋を使っていましたが、再生PETの手袋でもうまくいくことが分かりました。そして膜
が丈夫で割れにくいので、「科学の祭典」でもこのシャボン玉液を利用することにしまし
た。
なお組成は彼の意向により、「理科教室」に掲載されるまで伏せておきます。
線香花火にチャレンジ(鈴木とし)
ドラゴン花火に続いて、線香花火にチャレンジの鈴木としさん。やはり業者から入手し
て、生徒たちに実験させました。硝酸カリウム2g、木粉0.3g、硫黄1.3g、松炭
0.2gを混合し、その0.1gを、幅2cm、長さ25cmくらいに切った和紙に包むよ
うにこよりに巻きます。しかしなかなか技術的にむずかしい。そして点火するが、火玉が
落ちてしまう。どうしたらうまくできるか、目下研究中。
電磁波の健康への影響(富田)
現代は身のまわりに電磁波が溢れて、欧米では21世紀の公害と言われている。しかし
日本ではその健康への影響に対する関心は希薄である。電磁波は低周波(0〜数万Hz)
と高周波(〜10億Hz 赤外線の手前)に分ける。
低周波は高圧送電線、配電線、電磁調理器(IH)、電気毛布、ブロワーやさまざまな
家電製品から発生。WHOへの研究協力の一環として日本でも国立環境研究所などが、超
低周波と子どもの白血病発症率の関係を疫学調査した。それによると、日常環境の平均は
0.1マイクロテスラ[μT](1ミリガウス[mG])であり、0.4μT以上の環境の
子どもの白血病発症率は2倍以上になる。国際的にもがんとの関係を調べるいくつもの研
究があるが、日本政府は「居住環境の磁界により人の健康に有害な影響がある証拠は認め
られない」という立場を取っている。
米国では高圧線を学校や病院の400m以内には建てないようにしている。富田さん自
前の磁場メーターで計測すると、近くの高圧線では30m以上離れないと0.1μT以下に
ならなかった。
高周波はテレビなどの放送・中継タワー、携帯電話や電子レンジなどから発生。携帯電
話は0.4Wほどの出力があり(発光ダイオードがピカピカ光る)、それを脳に近づけて使
う。実際に携帯を掛けて、やはり自前のマイクロアラーム(フルスケール1μW/cm2 )
で計測すると、振り切れてしまう。富田さんは銀をコーティングしたナイロン糸で編んだ
シールドクロスも入手しているが、これで電話器を包むと静かになった。彼は他にHF−
ディテクター(フルスケール12μW/cm2 )も購入している。ちなみに列車内は何10
台もの携帯によって、車体の金属がシールドするため電磁波ボックス状態になっている。
高周波による障害は始めはレーダー基地の作業員や周辺住民に現れ、がんが多発した。
携帯電話では脳腫瘍との関係が注目されている。子どもの方が影響を受けるので、イギリ
スでは「16才以下の子どもには携帯電話を使わせないように」という勧告が出ている。
最近「電磁波過敏症」という病気のあることが分かり、脳の血流量が大きく減少するこ
とが確認されている。これは低レベルでも長期間曝されると発症し、同時に化学物質過敏
- 3 -
症である人が多い。ある女性の例では、マンションの部屋の真上にある携帯電話の中継基
地の増設工事があって以来、体調が崩れ、頭痛、口や手の震え、どうきなどに悩まされた。
自宅を数日離れると回復する。電子レンジやパソコンを使ったり、近くで携帯を掛けられ
ると急に頭が締め付けられるように痛くなる。これに対して日本電機工業会は「通常の使
用状態では国際的なガイドラインを下回っている」、NTTドコモは「基地局は住民の方
に影響を及ぼさない範囲で建設している」という返事。
富田さんのくわしい報告で、一気に電磁波問題への関心が高まりました。
- 4 -
林 正幸と主万子の始めの
ホームページ(to our initial Home Page)
にもどる。