03.7
事務局:林 正幸
MOLの会通信03−7号
今回は岡田、河合、澤田、鈴木とし、林まさ、船橋の6名でした。科学の祭典の具体化
や、新しく依頼された電気科学館の企画についても相談しました。
メタンとブタンのシャボン玉(岡田、船橋)
市販のシャボン玉(友田商会)が安価に手に入る。そこで都市ガス(メタン)とライタ
ー用ブタンガス(卓上コンロ用は臭いので避けた)をポリ袋に採り、シャボン玉吹きを付
けてシャボン玉をつくる。メタンは上にブタンは下に行くので、分子量が体感できる。さ
らにシャボン玉を追いかけてチャッカマンで点火する。この燃焼は空気がほとんど混ざら
ないので穏やかで、科学の祭典でもその一部として採用することになった。
BB弾で結晶モデルなど(河合)
生分解性のBB弾を使って、塩化ナトリウム、水素、砂糖、ミョウバン、方解石、雲母
などの結晶モデルを作って授業で見せた。溶解や再結晶の興味付けである。一部の生徒に
は実際にミョウバンの結晶を作らせている。しかし結晶の形が条件によって変化する理由
まではなかなか難しい。
授業では新聞記事も印刷して紹介している。
紫外線
成長期の18才までに生涯のほぼ半分を浴び影響も大きいので、皮膚の老化やガンにつ
ながらないように過度の日焼けは避けた方がよい。日焼け止めクリームは吸収して化学反
応で熱エネルギーに変えるタイプや、散乱によってはね返すタイプがある。ただしその効
果は長くは続かないことに留意しよう。ついでにUVチェックビーズを紹介して提供した。
ダイオキシンの毒性
「ダイオキシン 神話の終焉」という本が出た。慢性的な毒性は明確なデータが出にく
い。いたずらに騒ぎ立てるのは問題であるが、国際動向も見ながら慎重に見守っていく必
要がある。
油性ワックス禁止
埼玉の県立校ではシックスクール予防のため、トルエン、キシレンなどを含む油性ワッ
クスを禁止することになった。県教委が作成したマニュアルではパラジクロロベンゼンを
含むトイレの消臭ボール、たばこや香水にまで触れている。
光の3原色(船橋)
赤、緑、青色の高輝度LEDそれぞれを、ラップの紙筒(長さ10cmほど)の奥にセ
ットし、3V(単3を2本)そして56Ωを直列に入れて光らせる。3原色を白壁に当て
ると、加法混色が見事に観察できる。赤色がやや強そうであるが、他の2色より壁から離
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せば問題ない。色セロハンの透過光に比べて、はるかに明るい点が優れている。
ゲジゲジモーター(船橋)
100円ショップで大型たわしとボディマッサージャを購入する。あとはたわしにマッ
サージャを載せて輪ゴムで固定するだけ。マッサージャの位置を変えると、たわしの進む
向きも変わる。
大きいモール付きスチロール球(φ10cmほど)と丸棒(φ5mm)で光学異性体モ
デルを製作してみた。角度は、スチロール球がちょうど入る正四面体を工作紙で作り、面
の中心で直角に穴を空けるようにした。
反磁性の実験など(林まさ)
林ひろさんから材料も方法も入手した反磁性の実験を紹介した。木の枠の上に強力なフ
ェライト磁石4枚を載せ、枠の中に黒鉛角2つを7mmの隙間を作ってセットし、その中
にφ10mmのネオジム磁石を入れる。そして両サイドのフェライト磁石の距離を加減す
ると、ネオジム磁石が宙に浮く。小さいネオジム磁石を使うと簡単にできる。
他に電磁推進船を披露しようとしたが、陽極側の腐食による抵抗のためであろう、十分
な電流が得られず進まなかった。うまく行くときもあるが、もうすこし検討が必要である。
2つの石を衝突させて爆発音を出す「爆鳴球(と名付けた)」は、開発途上のものを紹
介した。赤リン側はリン1g、砂1g、石こう1gを混ぜて水2mlを加え、石に塗りつ
ければ良さそう。これは塩素酸カリウムを貼り付けたセロテープを使って爆発する。問題
は塩素酸カリウム側、水ガラスでも試したがはがれやすく結果もよくない。もうひと工夫
が求められる。
イオン交換膜を大学時代の友人の紹介で入手することができ、その実物を紹介した。こ
れについては次回にいくつか実験を披露できる。
酸・塩基の定義をめぐって(林まさ)
大学生からの質問があり、酸・塩基のアレニウス、ブレンステッド、ルイスの定義を整
理し、ブレンステッドの定義にもとづいてプロトン得失表も作成してみた。
プロトン得失表の一部 酸性度(pK)
HCl ←→ Cl- + H+ −7.0
H2SO4 ←→ HSO4- + H+ −5.2
H3O+ ←→ H2O + H+ −1.7
H2SO3 ←→ HSO3- + H+ 1.76
HSO4- ←→ SO42- + H+ 1.92
CH3COOH ←→ CH3COO- + H+ 4.78
H3BO3 + H2O ←→ H4BO4- + H+ 9.23
NH4 + ←→ NH3 + H+ 9.25
H2O ←→ OH- + H+ 15.7
C2H5OH ←→ C2H5O- + H+ 16
CH3COCH3 ←→ CH3COCH2- + H+ 20
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この表では、右下がりの斜線で結ばれる酸と塩基は反応しやすい。
また以前問題になったヨードホルム反応について、それが起こるかどうかは、カルボニ
ル基のとなりの炭素に結合した水素(α−水素)が酸として失われやすいかどうかで決ま
ることも話題にした。
問題は高校化学においてどの定義をベースにして授業構成するかである。大方の意見は
やはりアレニウスの定義である。思うに酸・塩基は電子やり取り反応より難しい。抽象的
になってしまってはまずい。
ドラゴン花火(鈴木とし)
執念で花火業者からドラゴン花火を入手して、生徒たちに実験させた。
硫黄1g、アルミ粉末1g、松炭0.3g、木粉1gを半紙の上で静かに混ぜ合わす。硝
酸カリウム3.3gを加え、さらに静かに混ぜ合わす。これを入手した紙筒に静かにしっか
りと充填し、紙の円板2枚を押し込み、ボンドを流し込んで乾燥する。逆さにして紙筒の
底の円板に静かに釘で穴を開け、やはり入手した導火線を差し込む。グランドで点火する
(倒れることがあるので離れる)。
サークルではベニヤの上でやりましたが、まさに本物の威力は十分です。材料としては
木粉が非常に細かいことに注目しましたが、これは火力の調節用だそうです。また業者か
らの注意に「静電気防止のため化繊の服は避ける」とありました。
リン酸イオンによる水酸化鉄(V)コロイドの
沈澱生成反応について(澤田)
以前に水酸化鉄(V)のコロイド溶液にリン酸ナトリウム水溶液を加えると、一時的に沈
でんするがすぐに溶解してしまうことが話題になった。この原因は水酸化鉄(V)のコロイ
ド溶液が未精製であるので、同時に生成する塩酸の水素イオンがリン酸イオンと反応して、
リン酸二水素イオンという1価のイオンになってしまうためである。
PO43- + 2H+ ―→ H2PO4-
このコロイド溶液を30分流水で透析した後にリン酸ナトリウム水溶液を加えると、問
題なく沈でんした。なお未精製のコロイド溶液に対して、過剰な量のリン酸ナトリウム水
溶液を加えるとこの場合は沈でんを生成する。それはリン酸イオンが2価のリン酸水素イ
オンで留まるからであろう。
また透析したコロイド溶液にリン酸二水素ナトリウム水溶液を加えると沈でんが生成する。
これは電離してリン酸水素イオンになるためであろう。
H2PO4- ―→ H+ + HPO42-
要するに反応溶液のpHが、リン酸水素イオンが凝析可能な濃度で存在するかどうかを
決める。ちなみに塩基性にすればリン酸イオンが存在できるが、その場合は水酸化鉄(V)
のコロイドは不溶性の水酸化鉄(V)の固体になってしまい、コロイドの凝析とは言えなく
なる。
フォインディッヒの研究では硫化ヒ素の凝析価が、カルシウムイオン、ストロンチウム
イオン、バリウムイオンで10-4 mol/lのオーダーであるので、リン酸の各段の電離
定数を使って、pHがいくつなら凝析するという予測はできそうで、それはおよそ3.4よ
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り大きい場合と計算された。これについて凝析したものに塩酸を追加する形で実験をして
みると、pHが2〜3ではそのままであるが、pHを1程度にすると沈でんが溶解した。
これからするとpHが2より大きい場合に凝析すると言える。
球体さいころと鉄玉子(澤田)
戸田著「おもちゃの科学」を参考に、スチロール球でいくつかの球体さいころを作って
みた。内部を立方体にくり抜き(実際には球を切断して、後で貼り合わせる)パチンコ玉
を入れると、8までの目が出るようになる。次に正四面体を試みたが、パチンコ玉がうま
く転がらない。正四面体2つをくっつけた六面体では、目の出方に差があるが5までの目
を出せる。
スーパーで南部鉄でできた「鉄玉子」なるものを購入してみた。効能はこれを入れて湯
を沸かすと鉄分が補給できるというのである。「湯1リットルに0.042mgの鉄が溶出
する」とある。その湯の中にヘキサシアノ鉄(U)酸カリウムとヘキサシアノ鉄(V)酸カリ
ウムを加えてみたが、何の変化も見られなかった。検出限界以下である。
しかしこれがすべて鉄イオンであるとしても、1日に必要な摂取量10mgあまりを確
保するには、286リットルの湯を飲まなくてはいけなくなる。
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