03.4
                               事務局:林 正幸

  MOLの会通信03−4号

MOLの会とは

 これは愛知の化学教育サークルで、1968年に発足しました。自主的なサークルのひ
とつで、参加は自由です。現在は3ヶ月に1回のペースで例会を開き、会場は名古屋市立
北高校です。そして毎回「通信」を発行しています。最近ではそれらを私のホームページ
の「MOLの会通信」に掲載しています。
    http://www.water.sannet.ne.jp/masasuma/
また事務局は私こと林正幸が担当しています。この3月に退職して勤務校はありませんが、
電子メールは次のようです。
    masasuma@water.sannet.ne.jp
 学校教育の危機と閉塞が叫ばれて久しいですが、これ
を打開する力は私たちのような自主的な研究交流活動か
らこそ生まれると信じています。次回の予定は次のよう
です。
    7月13日(日)13時から
気軽に参加してください。
 ちなみに愛知には理科教育運動が根付いて来ており、
いくつものサークルや6月末の「理科実験お楽しみ広場」
や1月の「理科教育討論合宿」などの企画もあります。
これらについても、私のホームページの「掲示板」を閲
覧してみてください。


 今回は岡田、河合、(澤田)、鈴木とし、林まさ、船橋の5(6)名でした。雑談の中
で、受験埋没の理科教育が話題になりました。入試問題が解けることを目標に授業構成を
する。ひどい場合は問題集の「まとめ」を教科書にして、ひたすら問題を解く。こんな中
では統一テストでクラス平均が低い方がまともな教育をしていると言えます。本来は、
「もの」に触れ実験を楽しみ、それをもとに疑問を抱いたり概念形成したり、科学的に思
考することや理論、自然観に感動し、21世紀の世界が求める課題に応える内容や学習姿
勢をこそ学ぶべきでしょうに、多くの教師がこのような意識を持つことすら忘れています。

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 また5月24日から始まる「先進科学塾」についても紹介しました。昨年秋以来、名古
屋市科学館と理科教師の有志が共同で、イベントに終わらない、科学を深く楽しみ研究者
のたまごを育てることを目標にする高校生のための「塾」を企画してきました。第1回は
川田秀雄さんが講師で「Myモーターに挑戦」というテーマに取り組みます。第2回は夏
休み中で、私が「電子やり取り反応の世界」を、林煕崇さんが「音速・光速(仮題)」を
予定しています。具体的な案内は
科学館の次のホームページを閲覧してください。
    http://www.ncsm.city.nagoya.jp/news/
この企画の隠れた願いは、学校現場になにがしかの刺激になればということです。

「動きまわる粒子」その後(船橋)

 前回(通信02−12)報告した、高電圧で導電被膜を付けたスチロール小球がランダ
ムに動きまわることを利用した化学平衡モデルは、2月にEHC( Electronics Hobby C
ircle :1979年に発足した電子工作を中心にした理科教材づくりのサークル)で製作
しました。そのときOHPで投影できるブラウン運動モデルが追加希望になり、その試作
品が紹介されました。これも似たものは前回報告しましたが、上下とも金網にして投影で
きるようにしたのです。そして電極間を40mmと35mmの両方を試してみたのですが、
高圧電源が湿気でややへたることを考慮して後者で行くことになりました。
 さらに船橋さん、デモ用に20×30cmの金網が入る高さ18cmの大きい平衡モデ
ルも製作しました。これはかつてEHCで製作した1万5千ボルトの高圧電源にブースタ
ー2つを加えて4.5万ボルトで動作させます。さすがに迫力満点。なお化学平衡モデルの
原型も20年近く前にEHCで製作したのですが、それからずいぶん進化したものです。

インクジェットプリンター(船橋)

 カラー印刷に興味を持ち、インクジェットを購入した。3原色でなく、6色のインクを
使う。インクの微小なしずくを1滴ずつ狙った位置に正確に次々に吹き付ける技はすごい。
最新機種では直径0.02mmのしずくを毎秒1万個以上も噴射する。方式はエプソンが圧
電素子を電圧で変形させて、キャノンがヒーターに電流を流してインク中に気泡を作って
(バブルジェット)、それぞれインクをノズルから圧し出す。
 この手法を利用すると、細かい配線基板も簡単に製作できる。金属超微粒子を分散させ
たインクを使う。まさにプリント基板である。また4種の塩基溶液を次々に印刷して設計
取りのDNAを合成することもできる。

プラスチックへの銀鏡反応(澤田)

 名高教の書記次長になった澤田さん、今回はレポート参加になりました。プラスチック

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表面に銀鏡反応を試みました。
(1)表面を洗剤でよく洗う(これが肝心)。
(2)一方の面を0.5%タンニン酸水溶液に5分間浸ける。
(3)さらにその面を0.02%塩化パラジウム水溶液に5分間浸ける。
(4)続いて銀鏡反応を行う。
 めっき液は6mol/l水酸化ナトリウム水溶液10mlと濃アンモニア水5mlを混合
し、0.1mol/l硝酸銀水溶液100mlを加える。これにブドウ糖20gを溶解する。
ブドウ糖を加えるとすぐに反応が始まるので、準備したプラスチックをあらかじめ浸けて
おくか、すぐに浸けるようにする。曲面の場合はめっき液を節約できる工夫をしたい。
 PET、塩ビ、アクリルで試したが、PETが一番うまく行く。塩ビは曇った感じで、
アクリルは失敗しやすい。
 アルケの藤田さんと、京都市工業試験所の篠原さんを参考にした。
 ガラスは適当な大きさのものを入手するのが高価で困難なので、プラスチックに置き換
えれば生徒実験もしやすくなります。自分もやってみるとの声しきり。

金属探知機など(岡田)

 仮説社の金属探知器を購入した。原理は金属が電磁波を反射することです。試しに船橋
さんの高圧電源で火花を飛ばすと、ピーと反応しました。感度調節ができる本格的なもの。
 また酢酸ナトリウムの凝固熱を利用した温熱パッドが、ファミリーマートから「魔法の
カイロ」として380円で販売されている。

ゴムボールづくり(岡田)

 数年以上も前に報告されたラテックスによるボールづくりが、戸山高の山本さんによっ
て改良された。
(1)ラテックス約10mlに水40mlを加えてかき混ぜる(文献は5mlを10倍に
うすめる)。
(2)レモン果汁5mlを10倍にうすめてかき混ぜ、両者をジャムのびんなどに入れて
ふたをし、振り混ぜる。
これできれいな形のボールができあがります、その見事さに感動。ラテックスを希釈する
のがポイントで、内部まできちんと凝集します。また以前に食酢を使ったときはにおいが
よくなかった。0.1mol/l硝酸カルシウム水溶液を使ってもよいが、安定剤のアンモ
ニア臭が残る。

アボガドロ定数の測定(岡田)

 かつてオレイン酸の単分子膜を利用する方法が普及しましたが、これは食塩の密度を結

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晶格子と結びつける方法で大阪教育センターの山本さんに依る。
(1)天日塩をカッターと金づちで、へき開性を利用して直方体に切り出し、その寸法を
ノギスで計る。私のものは0.72×0.72×0.46cmで、体積は0.236cm3
(2)その質量を計ると、0.496g。
(3)食塩の単位格子は立方体でその1辺は、ナトリウムイオンと塩化物イオンのイオン
半径である1.16×10-8 cm、1.67×10-8 cmから、5.66×10-8 cmで
あり、したがってその体積は18.1×10-23 cm3 になる。
(4)NaClの式量は58.5で、私の直方体には
    0.496/58.5=0.00848mol
含まれる。
(5)単位格子はNaClを4個含むので、私のものには
    4×0.236/18.1×10-23 =0.0522×1023
含まれる。
(6)したがってアボガドロ定数は
    0.0522×1023/0.00848=6.15×1023
となりました。誤差2%程度。
 計算が苦手な生徒たちなので、(  )付きの式で誘導した。天日塩はジャパンソルト
(株)東京支社(電話03−3538−1112)から、15kgを2625円+送料で
入手した。天日塩をへき開するだけでもおもしろいと思いました。

元素のデータ(林まさ)

 元素(単体)に関するデータを周期表に書き入れ、これを色分けさせていました。これ
を表に整理させると、また違った意味が出てきます。
 たとえは、融点は
  (ア)3000℃以上、(イ)2000℃以上、(ウ)1000℃以上
  (エ)500℃以上、(オ)0℃以上 (カ)−50℃以上、(キ)−50℃未満
に分けると、
(ア)には炭素、タングステン、レニウム、オスミウム
(カ)には常温で液体の臭素、水銀
(キ)には常温で気体の11種の元素
が来る。
  鉄1535℃、アルミニウム660℃
などの上下関係も見えてくる。
 生徒にはクラーク数でも取り組ませました。総じてデータの整理は重要な認識を生み出
します。

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うがい薬の色を変えよう(林まさ)

 3月21,22日に尼崎で行われた「科学体験まつり」に、澤田、鈴木とし両人と出展
した実験です。子どもたちは自分で薬品(と言っても、家庭にあるものばかり)を加え、
ガラス棒でかき混ぜ、アルコールランプで加熱し、水を加えたりして、色が変化していく
様子に素朴に感動していました。
 ところで発色にすこし不満が残ったので、再検討して濃度や量がかなり微妙であること
に気づきました。
(1)50mlビーカーに水約30mlを注ぐ。
(2)イソジン約0.5mlを加えてガラス棒でかき混ぜると、赤茶色になる。
(3)CCキャンデー一片を加えてかき混ぜると、無色になる。
(4)上澄み約5mlを試験管に移し、オキシドール約0.5mlを加える。
(5)アルコールランプで沸とう近くまで加熱すると、黄土色になる。
(6)でんぷん液約1mlを加えて振り混ぜる。
(7)300mlビーカーに入った冷水に浸けて振り混ぜると黒色になる。
(8)試験管に水を足し、ゴムせんをして混ぜて観察すると、紫色があることが分かる。
備考:デンプンは1%水溶液を用いる。
 化学的にはイソジンのヨウ素が、ビタミンCでヨウ化物イオンになり、過酸化水素で再
びヨウ素にもどり(過ぎるとヨウ素酸まで酸化されて色がうすくなる)、デンプンで発色
反応(低温で起こる)するわけです。

ジアミンの中和(林まさ)

 「ヘキサメチレンジアミンは1段階中和するのか」というメールの質問がありました。
自分でも試しにジアミン水溶液にフェノールフタレインを加えて、塩酸を滴下していくと
2倍molのところでやっと色が消え、続いてメチルオレンジを加えてさらに塩酸を滴下
すると、これはわずかで変色してしまいます。
 通常の考えからすると、アミンは弱塩基で塩酸は強酸ですから、第1中和点ですでにp
Hは7以下の酸性の領域になりそうです。しかし実際はまるで2価の強塩基のようです。
 ジアミンの塩基性塩は1つの水素イオンを2つのアミノ基で挟み込んでいるのではない
でしょうか。つまり窒素原子の非共有電子対がそれぞれ水素イオンと配位結合しようとし
て、共鳴状態になっているのでは・・・。
 文献などありましたら、教えてください。

「授業プリント」が完成(林まさ)

 くり返し報告してきたように、退職を前に4年間かけてきた化学TBとUの授業プリン

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ト(200枚あまり、生徒実験30ほど)づくりがついに完了しました(完成ではありま
せん)。今回届けたのは次の3つの章です。
   7章 物質とエネルギー
  14章 酸素を含む脂肪族化合物
  15章 芳香族化合物など
 すべて上記の私のホームページの「授業プリント(化学)」に掲載していますので、意
見、感想がいただければ幸いです。

おみくじ指名(河合)

 スナック菓子の円筒容器と割りばしでおみくじを作った。授業で指名するときにその都
度引く。先生が当たるおみくじも入れておくとよい。また何かの仕事を割り振るときにも、
これを使うと意外に素直に従う。「じゃんけん世代」にぴったりの、遊び心がある方法で
すね。

木工ボンドでスライム(河合)

 木工ボンドに飽和四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)水溶液を加えてかき混ぜると、スライ
ムもどきができる。このボンドはポリ酢酸ビニルを水にけん濁させたもので、塩析で凝集
するのでしょうか。以前(通信98−3)似たものに、ニューキーピングというポリ酢酸
ビニル系のせんたくのりに多量のエタノールを加えてチューインガムをつくる実験が紹介
されたことがありました。



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