02.6
                               事務局:林 正幸

  MOLの会通信02−6号

 今回は2週遅れて6月1日になりました。参加数は過去最高タイの11名と盛況でした。
参加者は岡田、河合、澤田、鈴木とし、下田、富田、林まさ、福田、船橋、水野、そして
カンボジア大学のチョン・ノイでした。
 交流に先立って
(1)6月22日の実験お楽しみ広場の呼びかけ
(2)科教協山口大会のお楽しみ広場に、2ブースは出展する
   そのために前日から宿泊し、他にも同行を呼びかける
(3)科学の祭典にはMOLの会として2ブース出展する
などについて確認しました。
 最後にはいくつかの疑問の交流もできました。
 そして名高教からサークル援助金をいただきました。感謝!


科学セミナーのアンケートなど(水野)

 昨年12月の化学教育セミナーのアンケートがまとまった。清水先生のヒトゲノム、盛
口先生の実験、テーマと知名度が参加数を例年の倍以上にしたと思われる。おおむね満足
度は高かったが、予想をはるかに超える人数に対応できなかった面がある。
 また化学グランプリや化学部発表会に参加してほしい。

夜間での実験中心の授業(鈴木とし、下田)

 1年間、実験を中心に授業を組んできた。
 とくに燃焼、爆発は身近でありまた関心を引きやすいのでよく取り上げた。たとえばマ
ッチは、生徒はほとんど使ったことがないが、教材として面白みがある。
 また豆腐づくりなど食品もよい教材になる。

ビー玉による細密構造の実験(船橋)

 ビー玉を準備して、40個が碁盤の目に5行8列にちょうど入る箱を準備する。この配
列は立体的には単純立方格子(でした!)と呼ばれ、ポロニウムの単体に見られるそうで
す。そして生徒にビー玉をもう1個詰めてみよと実習させる。ほとんどの生徒ができなく

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て戸惑う中で、細密構造の手法で詰めるとぴったり41個が詰まる。ただし行を1/2ず
らすべきで、列をずらすとうまくいかない。5行8列とは絶妙の選択である。

ホタル液による加法混色と

        色が消えるこま(船橋)
 以前紹介した、ケミカルライトによる赤、緑、青の加法混色は、商品が消えていたが、
今回「ホタル液」としてメイトウから発売された。少々高いが入手はできる。
 今回は船橋さん、黒いケント紙も採寸して準備してくれ、小さい試験管もいただけて、
その場で簡単に製作までできました。
 また消えるこまは、円板を100均の扇風機に取り付けてじっくり観察できるようにな
った。またこれは正確には中間混色なので、他方で白黒の領域を加減できる円板のこまも
つくり、同じ明度にできるようにした。これは中間混色の確認実験になっている。

ボトルに入った松かさ、

     スターリングエンジン(船橋)

 松かさがボトルに入っている! どうして入れたのか? 開いた松かさは水に浸ける
と、種が飛ぶ前のしぼんだ状態に戻る。それを小さい口から押し込んで、あとは乾燥させ
る。乾燥により松かさができるのだが、その逆も可能とは生物教材に利用できそうである。
そう言えば、ツクシの胞子も湿気を感じるとすぐにまるかる。
 商品になっているスターリングエンジンを3万円で購入してお披露目。今回は調節がず
れていて不調でした。そしてビー玉スターリングエンジンも再実験。こちらは安くて原理
むき出しだなあ。
参考文献:松尾著「スターリングエンジン製作マニュアル」(誠文堂新光社)
 超音波リニアモーターはスプーンの腹を振動子に当てると可聴音になり、振動している
ことを確認できる。ちなみにEHCで製作予定の超音波可聴器ではもちろん可聴音として
聴くことができる。

究極のアンモニア噴水(岡田)

 「化学と教育」に再録された実験。試験管に塩化アンモニウム、続いて水酸化ナトリウ
ム各1gを入れて水を1mlを加えるとアンモニアが発生する。水酸化ナトリウムの溶解
熱で温度が上昇して反応がうまく進行する。この実験では加熱の手間がはぶけ、かつ水蒸
気が出にくく純度が高いアンモニアが簡単に得られる。
 この試験管に300ml丸底フラスコを直接被せて上方置換で捕集し、すぐにガラス管
と水が入ったスポイトを付けたゴムせんをして噴水実験をする。至って手軽で、生徒実験
でも失敗がない。

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元素記号ビンゴ(岡田)

 河合さんが紹介してくれた元素記号ビンゴを、試験返却の残り時間で楽しんでいる。賞
を工夫し、賞品のお菓子も準備する。
 まず生徒が36種の元素の中から24個を好きに選んでその名称を書き込む。そして先
生が元素記号カードを開き、生徒は当たれば元素記号を書き込んでいく・・・。
 イオン記号も同じようにやっている。

水の電解と燃料電池(富田)

 ヤガミの水の電解・燃料電池キット。水酸化カリウム水溶液を電気分解して水素と酸素
を発生させる。これらの気体は電解とは別のパラジウム電極(ニッケル網にめっき)の部
分に貯まるしくみ。もちろんこちらの電極も水溶液と触れている。結果はソーラーモータ
ーがやっとまわるかどうか。
 そこでパラジウム電極の方で水の電解をしてみると、電池のパワーが上がった。しかし
これは電気的二重層によるコンデンサーがはたらいている可能性がある。
 そこで出たのが、いっそパラジウム電極だけを購入して水素と酸素を注入する形で燃料
電池がつくれないかというアイデア、次回を楽しみにしましょう。
 ほかには富田さん、ニッケルめっきを手まわし発電機で生徒実験しました。

指紋、歯磨き粉、そろう2進法カード(河合)

 科学部のワンポイントテーマとしていくつかやってみた。
 指紋は大別すると弓状紋、蹄状紋、渦状紋の3種で、日本人では3,4%、50%、
44%である。
 きれいにしたコップに指紋を付け、アルミニウム粉末をかけ、透明シールを貼ってから
はがし、これを黒い紙に貼るとできあがり。指に木工用ボンドを塗って、乾いたらはがし
ても指紋が採れる。
 歯磨き粉は、炭酸カルシウム70g、炭酸マグネシウム25g、ホウ砂5gをよく混ぜ、
ハッカ油を加えるとでき上がり。練り歯磨きはグリセリン水溶液で練る。これはまさに「漱
石」である。炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムは歯の表面を磨き、ホウ砂は消毒殺菌作
用をし、ハッカ油は口臭を減らす作用をする。
参考文献:「原色図解理科実験大辞典 化学編」(講談社)
 100均の大きいトランプを入手し、その上部に4つの穴を開け、1から13(K)ま
で、2進法でU字型に切り取る。これを小さい桁から細い棒ですくっては前に置くと、最
後に見事に番号順になる。4つの穴では16枚まで可能である。
 これは30年ほど前に流行したパンチカードである。学校でも生徒個表に利用していま

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した。

一円玉を出す錯視(河合)

 左図の円板を回転させるとねずみ色の円板が見えてくる。そこで河合さんは裏に1円玉
を貼り付けたものを準備して、生徒と一緒にやりながらすばやく裏向けて、生徒に「本当
に一円玉が出てきた!」とびっくりさせる。
 右図の八角形、矢印が90度ずれるように重ねて、相対する頂点を指で固定して回転し
て裏にすると、矢印の向きが予想できずに混乱に陥る。それぞれの頂点で試してみよう。

      

消臭剤(澤田)

 前回の続きで、実験を開始。集気びんに少量のアンモニアを捕集し、トイレ用のスプレ
ー式消臭剤(両性界面活性剤)を吹き込んで臭いをかぐと消えていた。水を霧吹きで吹き
込んだ場合はすこし臭いが残る。次に臭いは主観が入ると考え、消臭剤を吹き込んでから
pH試験紙を貼ったガラス板を被せると、青変する。霧吹きを使っても同じ結果になる。
 硫化水素も消臭剤で臭いが消えた。塩化水素も同様であるが、集気びんの底にわずかに
湿らせたpH試験紙を貼って同様に実験すると、橙色になった試験紙は元に戻らなかった。
水分も塩化水素を吸収すると考えらる。また塩化水素に対して消臭剤と霧吹き使って、ガ
ラス板に貼った試験紙を比べると、条件によってはその差が検出できた。
 次に有機化合物としてキシレンの蒸気に消臭剤を吹き込んだが、よく分からなかった。
またアセトンではほとんど臭いがとれなかった。
 サークルでは都市ガスを捕集してメチルメルカプタンの実験をしたが、消臭剤の効果は
はっきり確認できた。それにしてもこの実験は気分が悪くなるので、長くは続けられない!
 ちなみに現在使われている両性界面活性剤には、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン
R−N+(CH32CH2COO- 、アルキルジメチルアミンオキシド
R−N+(CH32- 、アルキルヒドロキシスルホベタイン
R−N+(CH32CH2CH(OH)CH2SO3 - がある。

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泡の教材化(澤田)

 泡とは身近なものでありながら、高校の教科書などには取り上げられていない。
 まず泡の勉強から始めた。泡には水中にできる気泡と、水の表面にできる泡沫がある。
泡は界面活性剤を加えると壊れにくくなる。それはイオン性界面活性剤では膜の両表面の
静電的反発力が、芯液が重力で流れ落ちで膜が薄くなるのを妨げるためである。
 そして次のような実験を考えた。
(1)炭酸飲料、石けん水、スポンジ、発泡スチロール、「ゴキパオ」の観察
(2)泡と泡沫の観察
(3)イオン性と非イオン性の界面活性剤で水を起泡し、次のものを加えて消泡効果を調
べる。
    食塩、グリセリン、牛乳、他種の界面活性剤
 泡を手がかりに界面化学全体の教材化に取り組みたい。
参考文献:日本化学会編「現代界面 コロイド化学の基礎」(丸善)
     近澤ら著「界面化学」(丸善)

回り灯ろうで加法混色(澤田)

 なんでもチャレンジ、回り灯ろうを製作してみた。2枚のアルミ皿を使い、一方を台に
してろうそく2本と中央にマジックを立て、もう一方を載せる。ところでこれを水に浮か
べると下のアルミ皿はどちらに回るだろうか。答は上のアルミ皿と同じ向き。
 そして別用途の赤、緑、青の三色電球(モル通信1−9)で回すことができる灯ろう。
紙と針金で作った風車が危なっかしく回転する。そして風車の中心に一つおきに切れ込み
を入れた六角柱を載せて光を中に入れると、角柱の上底の薄い紙に混色が展開する。これ
ほど変わった回り灯ろうはあるまい。

授業プリント「反応の速度」など(林まさ)

 今年度最後ということで、授業プリントを大幅改訂して、1年間でそのすべてを届けた
い。今回は次の5種。
    1章 元素と原子
    2章 化学結合と結晶
    9章 酸化・還元および電子やり取り
   16章 反応の速度
   17章 化学平衡
 サークルでは16章を紹介しました。
 アレニウスの衝突活性化説は

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1)活性化エネルギーを越える衝突の割合 exp(−Ea/RT)
2)衝突の回数 Z[A][B]
3)有効な衝突の確率 p
と、化学も理論化されていることを知らせる。ただしこれは素反応にのみ適用できる。そ
して反応速度式から素反応過程を解明する例として求核的置換反応を紹介する。
 生徒には反応速度やその速度定数との違いがむずかしい。そこで一次反応に限定して
    v=k[A]
という式を使って説明する。半減期も扱う。
 次に不均一反応という節を設けて、水素の燃焼、かたくり粉の燃焼、砂糖の塩素酸カリ
ウムによる燃焼の実験にもとづいて、混合の有無、表面積、反応密度などについて取り上
げる。
 活性化エネルギーは「物質とエネルギー」の復習をし、とくに位置エネルギーの理解を
深めて説明する。また一時的に必要なエネルギーということで点火の意義に触れる。
 触媒は白金触媒の体験をし、エステル化における酸触媒と、硬化油生産におけるニッケ
ル触媒の仕組みを説明する。



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