01.1
事務局:林 正幸
MOLの会通信01−1
参加者は岡田、澤田、鈴木とし、富田、西尾、林まさ、水野の7名でした。今年の科教
協京都大会の取り組みも話題にしました。
植物の種(岡田)
船橋さんに続いて植物の種の面白さに取り付かれて、いろいろ飛行する種のモデルを作
ってみた。そしてアルソミトラの本物を買い求める中で、モデルのルーツが分かった。そ
れは国立科学博物館付属自然教育園が販売している「翼を持った種〜模型キット」(6種
類入り)である。電話(03−3441−7176)をかけて送ってもらうと、ラワン、
アオギリ、マツ、ニワウルシ、ロケットラワン、アルソミトラ・マクロカルバである。ラ
ワン、マツ、ニワウルシは付せんを使って簡単に製作できる。授業では発泡スチロールの
薄いシートを使ったアルソミトラの飛行競争もやった。
もうひとつ、電子オルゴールを利用して導電テスターを製作してみた。プラスチックの
箱に入れたら音が小さくなってしまったが、スピーカーの上に穴を開けその間に紙筒を入
れたら、それが共鳴箱になって十分に大きい音になった。電池はボタン電池を単3(1.5
V)に変えたが、ちょっと電圧が低くて溶液の電導性の検出で問題が残っている(これは
風呂ブザーのようにトランジスターで増幅すれば解決できる)。以前はアメ横で購入でき
たが、電子オルゴールは今でもクリエートから入手できる。電子オルゴールは電圧テスタ
ーにも改造できる。
白金と王水(岡田)
「白金が王水に溶けない!」 知人の訴えを聞いて試してみると、金は簡単に反応する
のに、白金は変化しない。いろいろ調べる中で、ポットプレートにシャーレを置き、白金
箔を入れて王水をかけて温度を上げていくと溶けることが分かった。ところが実際に試し
てみると全然変化しない。そしてそれまでうまくいかなかった方法の、試験管に王水を入
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れ白金箔を浸けて加熱すると、しばらくして知らぬ間に反応していた。一体どうなってい
るのだろう。
王水は次の反応で塩化ニトロシルと塩素ができて金や白金を溶かす。
HNO3 + 3HCl −→ Cl2 + NOCl + 2H2O
適温というものがあるのか? 次回までの課題となった。なお教科書会社にも問い合わせ
ている。
またポリエステルでうら打ちされた金属箔は
カタニ産業 TEL076−263−6111
から取り寄せられる。ちなみに白金箔は10枚単位で4500円である。
銀のネームプレート(富田)
まずエッジを落とした銅のプレートに油性ペンで氏名やイラストをかき、乾燥させてか
ら大きいシャーレに入れた濃い塩化鉄(V)水溶液に20分ほど浸けておく。水溶液は湯
せんで加温しておく。そしてプラスチック製ピンセット(はしでもよい)で取り出して水
洗いし、アセトンをつけた脱脂綿でインクを拭き取る。
次にプレートを塩酸で洗ってさび(主に酸化銅(T)で赤色)を落とし、水で洗ってか
ら脱脂綿に炭酸水素ナトリウムを付けてプレートをきれいに磨く。すこし水を染ませると
よい。そして水洗いする。
このプレートを希硫酸に浸けて洗い、水で洗い、銀めっき液に10秒ほど浸け、また炭
の操作を3回くり返すときれいな銀めっきのプレートが完成する。実際にやってみると見
事で、生徒が喜ぶわけが納得できた。
めっき液は0.05mol/l硝酸銀水溶液80mlに結晶硫酸銅1gを溶かし、さらに
3mol/l硫酸10mlを加える。
リモネンの水蒸気蒸留(澤田)
安房科学塾で聞いた米山さんの追試をしてみた。空きかんのせいろ方式で水蒸気蒸留す
るのだが、上のかんはボトルタイプを使うと、口が小さく導管を付けるゴムせんが小さく
て済む。留出液を集める試験管は氷水で冷却する。下のかんに水を入れ、上のかんにスウ
ィーティ1個の皮(のみ)を刻んで入れ、加熱して水蒸気を通すと0.3gのリモネンが得
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られた。刻むときに液が染み出さないようによく切れる刃物を使う。ゴムのにおいが着か
ないようにゴム管は使わないようにする。2つのかんは水蒸気が漏れないようにしっかり
ビニールテープを巻いてつなぐ。
サンプルのにおいは確かに柑橘系、もうすこしたくさん採れるようにして、発泡スチロ
ールを溶かしてみたい。材料はレモンやグレープフルーツでもよい。このせいろ方式は他
の天然物にも応用できそうである。
温度計の誤差(澤田)
こだわりの澤田さん、温度計の計測誤差にチャレンジ。恒温層にアルコール温度計を
(a)全部沈める
(b)半分沈める
(c)球部のみ沈める。
やってみると(a)はほぼ正しい温度を示したが、たとえば80℃では
(b)77.0℃
(c)73.1℃
と予想以上に大きなずれがある。もうすこしデータを取るそうですが、私たちも承知して
おくべきことである。
銅イオンは安全!(鈴木とし)
「大型給湯器の温度を高くして浴槽に入れると青みがかかることがある。健康に害はな
いか。」と同僚に尋ねられた。機会があって浄水場を見学したときに質問すると、銅イオ
ンは最近の水質基準には含まれていないとのこと。ときにせっけんと反応して青い汚れが
着くが
2RCOONa + Cu2+ −→ (RCOO)2Cu + 2Na+
酢を布に付けてこすれば落ちる。
(RCOO)2Cu + 2CH3COOH −→ 2RCOOH + (CH3COO)2Cu
確かに酢酸銅は水に溶けやすい。
インターネットで検索したら次のホームページに解説があった。
http://www.kajiwara.co.jp/tec/cupper.htm
銅の器が見直されている。国立衛生研究所によると緑青(塩基性炭酸銅)は無害である。
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銅は人体に不可欠な元素で、乳児の粉ミルクには意図的に添加している。銅の器の水は腐
らない。またあん練りに銅の鍋を使うと、銅イオンが小豆のアントシアンと反応してみず
みずしい赤紫色になる。
これで硫酸銅が扱いやすくなる!
次に鈴木としさんから2つの生徒質問が出されました。
(1)使い捨てかいろに食塩は何のために入れてあるか。
鉄はそのイオン化傾向のわりにさびにくいことがある。これは表面に酸化鉄の皮膜が形
成されるためと考えられる。ところが塩化物イオンが存在すると、鉄がクロロ錯イオンに
なって溶解し、皮膜の形成が妨げられる。このはたらきは食塩水の濃度が3%のときもっ
とも顕著となる。
(2)ボルタの電池でどうして亜鉛版が黒くなるのか。
これはお互い機会があったら調べてみましょう。
さらに授業でフラーレン模型を製作した報告もありました。
ナトリウムの金属光沢(林まさ)
ナトリウムをカッターで切ると切り口に銀白色の金属光沢が観察できると言うが、実際
にはいまいちである。以前に生徒に、試験管にナトリウムのブロックを入れて窒素ガスを
満たし、ガラス管付きゴムせんをして半密閉にして加熱させる実験をしたことがあるが、
これも表面の不純物(てんぷらのころも)が丸かってうまくない。そこで思いついてのが
今回の方法である。
試験管に灯油を数cm入れ、5〜7mm角ほどのナトリウムを沈めて加熱して灯油が十
分に沸とうするようにする。ただし還流を、持っている指が熱くならない程度にとどめる。
するとナトリウムは融解して玉になり、不純物と分離する。これを室温まで冷やしたらシ
ャーレに空ける。そしてピンセットでナトリウムの玉をつまみ、新しい灯油が入った試験
管に移す。これをもう一度沸とうさせると水銀のようなナトリウムを観察できる。もちろ
んナトリウムは融解していることも分かり、低融点(98℃)であることも確認できる。
1日置くと表面が肌色に変わるが、また加熱すれば復活する。ポイントは怖がらずに十分
に沸とうさせることである。
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補足:茨城の山本さんが似た実験をしていることが分かりました。彼は中に細い試験管を
差し込んでナトリウムの表面を広げる工夫もしています。
次いで上の実験も組み込んだ授業プリント「典型金属元素の単体と化合物」を紹介した。
1.典型金属元素 周期表、「電子得失表」などの復習
実験 軽金属元素の性質
2.1族元素 「もんじゅ」事故、炎色反応、イオン化傾向と反応性
リチウムイオン電池、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム
アンモニアソーダ法(歴史的に)
3.2族元素 マグネシウムと水蒸気の反応、外殻や骨格(カルシウム)
乾燥剤や凍結防止剤や石こう(カルシウム)、クロロフィル
バリウムミルク
4.12〜14族 アルカリ電池(アルミニウム)、ヒドロキソ錯イオン(両性)
軽金属と合金、湿蝕と亜鉛、アマルガム、水俣病、はんだ
さらに酢酸エチルのけん化を、素朴に反応速度を実感する教材として取り上げてみた。
つまり試験管に入れて水酸化ナトリウム水溶液と酢酸エチルを振り続けると、上層の酢酸
エチルの高さが減少して行くのを観察できる。ただし始め水が酢酸エチルにある程度溶け
て量が増えるので、そこからスタートする。
実際に試してみる中で、数10℃の湯浴に浸けては振らないと、常温では反応がなかな
か進行しないことがあると分かった。
化学グランプリ(水野)
日本化学会主催の化学グランプリ、東海支部は最後まで躊躇していたが、今年度から参
加することになった。5問を150分で解答するが、なかなかよい問題であると思う。こ
れに合格すると、実験を中心にした二次選抜がある。
現在国際的には化学オリンピックという競技が行われているが、2005年から日本も
「選手」を派遣する計画である。
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高校化学教育セミナー(水野)
講演は泉さん(現在椙山女学園大)で、「新しい化学プロセスを創り出した触媒:ヘテ
ロポリ酸」という表題である。ヘテロポリ酸とは2種のオキソ酸のコンプレックスで、代
表的なタングストリン酸は H3PW12O40 という化学式である。ヘテロポリ酸は水和反応
に高い触媒活性を示し、プロピレンから2−プロパノールを得る新合成プロセスなどが工
業化できた。一連の研究の出発点は失敗や異常な現象に興味と関心を持ったことである、
という体験に基づく話は面白かった。
実験実習は妻木さん(筑波大付属高)で、忙しい中で生徒実験をたくさんやる工夫が紹
介された。そして
・硫化銅の化学式の決定
・三方コックと注射器を使う気体の分子量の測定
・発泡スチロール容器による硝酸アンモニウムの水への溶解熱
・酢酸エチルの合成
・ベンゼンのニトロ化
などを体験して、おおいに参考になった。
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林 正幸と主万子の始めの
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