00.10
事務局 林 正幸
MOLの会通信00−10
参加者は岡田、鈴木とし、富田、林まさ、船橋、山本の6名でした。今回も話題豊富で、
雨降りということもありましたが、終わったときは外は宵闇に包まれていました。
トンボ玉(岡田)
アルケミストの合宿や通信資料を受けて、部活動でトンボ玉を作らせている。材料は東
急ハンズで手に入る。生徒は夢中になり、どんどんうまくなっていく。生徒はガラス細工
が好きである。普通のテクルバーナーを使っていたが、メッケルバーナーと電動ふいごが
見つかり、これから発展しそうである。
私たちも体験することになり、ひとりひとりチャレンジした。始めは剥離剤が少なくま
た十分に加熱しなかったので、トンボ玉が鉄線(スポーク)から抜けなかったり気泡が入
ったりしたが、その後はうまくいった。
アルソミトラの模型(船橋)
科学の祭典でやっていたものを、さっそく授業に取り入れてみた。薄い発泡スチロール
のシートを使うことがポイントのようである。頭に布製ガムテープを貼って重くして飛ば
すと、本物の種子のように飛んでいく。ひらひらするときはガムテープがやや軽い、また
旋回する場合は紙飛行機の要領で羽根の他方の後部を上にそらせればよい。生徒には飛行
距離を競わせる。
生徒机の天板を台にして、スチロールカッターを製作した。ニクロム線はワッシャ1枚
分だけ板から浮かせる。分子モデル製作のときの技術が活きている。まず本物を参考に工
作紙で型紙を2枚作る。これで発泡スチロールのブロックをはさみ、これまでのスチロー
ルカッターではみ出した部分を切り取る。そして上のカッターでスライスする。見事に薄
いシートができる。このこと自身が面白い。
私たちもそれぞれ製作して飛ばしてみた。「私も授業でやってみよう」と声が出る。薄
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切りカッターがちょっと難しいか。型紙の方は船橋さんからもらうことができました。
よく飛ぶ紙製ジャイロ(船橋)
これも簡単に楽しめる。B5のコピー紙を横にして、4.5cm残して3回重ね折りにす
る。そして折り目を外にして円筒にしてセロテープで固定する。
これだけで水平に平行に投げるとよく飛ぶ。プラスチック製のもの(商品はXジャイロ)
は回転をかける必要があるが、これはあまり気にしなくてよい。それに紙だから頭に当た
っても痛くない。
釜鳴り(船橋)
これはNHK教育テレビ「やってみよう なんでも実験」からの情報。200mlの空
き缶を使う。ひとつは上をくりぬいて釜にする。つぎに一方は上下くりぬき、他方は底に
ドリルで穴をたくさんあけ、ガムテープでつないで筒にする。これが重ねたせいろに当た
る。「釜」に水を入れて「せいろ」をガムテープでつないでバーナーで加熱する。そして
煮立ってきたら米を手のひらに乗せて注ぐと、数秒間ボーッという音が出る。もうひとつ
缶を乗せて「せいろ」の長さを変えると音程が変わるが、今回は時間が短くてできなかっ
た。
それにしてどうして音がでるのだろう。米を入れると「せいろ」の底で温度ギャップが
でき、そこと上の口で音が反射して共鳴すると、説明されている。音叉の波長を水管で測
定するのに似ている。
白金触媒の話題(船橋ら)
芯に白金触媒を用いた「ターボライター」は、風があっても平気でたばこに火がつく。
見ると白金部分が真っ赤になっている。それにしても橙色の炎が見えないのが不思議。部
屋を暗くしてみると短い青い炎がすこし見える。完全燃焼しているのだ。そらならチャッ
カマンの炎に巻いた白金線を入れると炎の色が消えるだろうか。
アンモニアを発生させて白金線をかざすと、真っ赤になる。アンモニアが燃焼するのだ。
オストワルト法による硝酸製造では、白金触媒が使われている。
4NH3 + 5O2 ―→ 6H2O + 4NO
古くは白金かいろや、前にやった白金黒による水素爆鳴気の爆発や、白金線によるメタ
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ノール蒸気の燃焼など、白金の触媒作用はすごいね。燃料電池もそうだ。
マグネシウムと水の反応(鈴木とし)
前に、水にマグネシウムを入れると常温でもフェノールフタレインが赤くなることを確
認した。そのことで教科書の記述の検討を実教出版に依頼した。すると著者が追実験をし
て、同じ結果を得たと返事が来た。「金属のイオン化傾向と反応性」の表はどのように記
述するべきか検討の必要がある。
これはどの程度に反応するかがはっきりしないままに取り扱っていることが背景にある。
似た例に二酸化炭素の実験室における製法がある。石灰岩に硫酸を注ぐと、できる硫酸カ
ルシウムが水に溶けず表面を覆うので、塩酸を用いるとされている。製法としてはそれで
正しいのだが、硫酸カルシウムの溶解度はそれほど小さくはなく、ゆっくりとなら二酸化
炭素が発生する。
受験参考書では、アルカリ土類金属の炭酸塩・硫酸塩は水に溶けないと言い切っている。
受験の知識としてはそれでよいかもしれないが、これは科学的認識とは言えるだろうか。
私たち教師自身がその種の記述から思いこみをしている可能性もあるわけで、理科教育が
実験に基づくべきことの重要性がここにも現れている。
また「分子レベルで見た体のはたらき」(平山令明著、講談社ブルーバックス)という
本の紹介もあった。CD付きで、立体視できる面白い画像もあるが、まだ購入したばかり
で勉強中とのことでした。次回が楽しみです。
「こつ」の科学(岡田)
これも本の紹介。料理の「こつ」という意味で、杉田浩一著、柴田書店出版である。た
とえば、りんごをむいて放置すると褐色になるのは、ポリフェノールが空気中の酸素で酸
化されるためであるが、リンゴなどに含まれるオキシダーゼという酵素が反応を進めてい
る。水や食塩水に浸けるのは空気を遮断するため、酸性の液を利用したり短時間加熱する
のは酵素の作用を停止するため、そして「なし」などが褐変しないのは、ポリフェノール
や酵素が欠けているためである。またジュースなどは還元剤のアスコルビン酸(ビタミン
C)を加えてそれを防いでいる。
という風に、ぜひ読んでみたい本である。
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また、中村理科が出している「モル実験びんセット」は予めびんに空気入れで空気を圧
縮しておいて、それをメスシリンダーに放出して空気の分子量を測定する道具である。と
ころがこのびんには、船橋さんが工夫したボイルの実験の注射器がそのまま入るので、コ
ンパクトに同じ実験ができる。
重曹の熱分解の反応(富田)
ふくらし粉である炭酸水素ナトリウムはどのような反応をして二酸化炭素が生成してい
るのだろうか。
考えられるのは
2NaHCO3 ―→ Na2O + 2CO2 + H2O (1)
NaHCO3 ―→ NaOH + CO2 (2)
2NaHCO3 ―→ Na2CO3 + CO2 + H2O (3)
試験管に炭酸水素ナトリウム1gを入れて導管をつけ、発生する気体を石灰水に通しな
がら加熱する。試験管の上部には水滴ができて水の生成することが分かる。この水を加熱
で追い出してから、試験管に残った固体の質量を測定すると0.6gとなる。化学量論で求
めた炭酸ナトリウムなら0.63gになるという計算と結び付けて、(3)が正しい反応式
であることを発見できる。
1ファラデーの計測(富田)
0.7mol/l硫酸銅水溶液に、銅板を陽極にステンレス板を陰極にして、1Aで10
分間電気分解する。ステンレス板を水洗いした後アセトンで濡らしてドライヤーで乾燥し
て、質量増加を測定すると0.20gとなる。これから1ファラデーを求めるが、生徒実験
の結果は10〜8万クーロンほどになった。ステンレス板はきれいに銅箔がはがれる。
水溶液はそのまま来年まで保管する。
オリジナル鏡と銀めっきプレート(富田)
8cm角のガラスにパラフィンを塗っておいて、シャープペンなどで削るように模様を
かく。フッ化水素はドラフトで教師が塗ってやる。きれいに洗浄させてから、アンモニア
性硝酸銀溶液をつくり、アルカリを加えたブドウ糖水溶液と混ぜて、バットの中で傾けな
がら鍍銀する。砂糖を加水分解して還元液をつくってみたが、うまくいかなかった。
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銅板に黒の油性ペンで絵や文字をかき(裏は完全に塗りつぶす)、加温した飽和塩化鉄
(V)水溶液でエッチングする。これを、湿った脱脂綿に炭酸水素ナトリウム粉末を付け
て磨くなどしてきれいにする。それから硝酸銀水溶液に浸けて銀を析出させ、水洗いした
後やはり炭酸水素ナトリウムを付けた脱脂綿で磨くことを数回くり返すと、ぴかぴかにな
る。このときプラスチック製ピンセットを使うと「あと」がつかない。
話を聞いてみんなから「次の会で実際にやってほしい」という要望がでました。詳しい
内容は次の通信にまわします。
「電気で字が書ける」(林まさ)
ステンレス板にろ紙を3枚のせ、5%ヨウ化カリウム水溶液を染み込ませる。6V乾電
池ホルダーにつないで、ステンレス板を陰極に、そして黒鉛棒を陽極にしてろ紙の上を動
かすと、褐色の字が書ける。プラス・マイナスを逆にすると、今度は書いた字が消えてい
く。
陽極の場合 2I- ―→ I2 + 2e-
( I2+ I- ―→ I3 - )
陰極の場合 2e- + I2 ―→ 2I-
水溶液を2%硫酸ナトリウムにフェノールフタレインを加えたものに代えると、きれい
な赤色の字が書ける。このときは始めに黒鉛棒を陰極にする。
陰極の場合 2e- + 2H2O ―→ H2 + 2OH-
(塩基性)
陽極の場合 2H2O ―→ O2 + 4H+ + 4e-
(酸性)
原子力教材(林まさ)
原子力問題を化学の授業に取り入れたいと考えていた。授業プリント作っていく中で、
「遷移元素の単体と化合物」の章に
4.放射性同位体
5.原子力発電
という形で作ってみた。
同位体は混乱しやすいので入門期には扱わずここに持ってくる。放射線には中性子線を
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加える。核反応もすこし紹介する。そして光の部分としてトレーサーと年代測定を、陰の
部分として放射線被害についてを教える。
原子力発電では、ウランの核分裂とそのエネルギー、連鎖反応と臨界の意味を説明する。
そして軽水炉でその仕組みを教え、ウラン濃縮の化学的過程とガス拡散法を説明する。つ
づいて事故例とその問題点、それに使用済み核燃料の再処理の現状などを示し、最後に
「私たちは原子力発電をどのように考えたらよいか」と問いかける。
被爆線量の説明は、以上を3時間でこなすという制約のなかで省くことにした。また
「はかるくん」などを借りて計測をする場合は、放射線に馴染んでしまって問題点から目
が逸れてしまわないように注意が必要である。
ほかに、今年の科教協大会(千葉)で発表したレポート「酸化・還元の授業」を、その
資料と共に配布した。
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林 正幸と主万子の始めの
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