00.6.5
事務局 林 正幸
MOLの会通信00−6
今回は、岡田はる、河合、鈴木とし、林まさ、船橋、山本の6名の参加でした。さわや
かな風が吹く日曜日、終わってみればやはり6時、得るものが多くて有意義なサークルに
なりました。なおEHCで製作している斜方硫黄の結晶モデルは、その最後の組み立てが
難しいが、参加者の間では解明できず、残念ながら残された課題となりました。
なおあとで県教研の日程が重なることが分かり、次回は予定より1週間延ばして10月
28日(土)にしたので、注意をしてくだい。
「じしゃく忍法帳」(鈴木)
TDKの次のホームページ
www.tdk.co.jp
に「じしゃく忍法帳」という磁気のはなしがいろいろと掲載されている。たとえはその第
53回「冷却技術と磁石」では、ペルチエ効果を利用した電子冷蔵庫や、常磁性体を断熱
消磁して0.001Kの超低温をつくる話などが登場する。
また次のFAX番号
03ー5201ー7243
に申し込むと、「磁気と生体」という冊子を送付してくれる。
金属元素の各論では磁性材料も扱いたいですね。
「ベンハムのこま」など(河合)
ご存じ、白黒なのにまわすと色が見えるベンハムのこまや、そのパターンがまわるのを
眺めてから手のひらなどを目をやると伸び縮みして見えるこまや、まわるとパターンが立
体的に盛り上がったりめりこんだりするこまが紹介された。パターンを画用紙に印刷して、
マッチを軸に、短く切ったストローを軸受けにして、簡単に教材になる。
揚力の分子運動レベルでの説明を求めている河合さんが、ある本で「飛行機の翼の上を
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行く分子は円運動になって遠心力がはたらき、その結果翼の上の分子が希薄になってその
圧力が低下する」という記述を見つけた。しかしこれはアスピレータや、紙の間を吹く実
験を説明できない。ピトー管のように、動圧が静圧に比べて小さくなるのはベルヌーイの
法則から説明される。そのもとはエネルギー保存の法則である・・・。
また彼から半径方向に伸び縮みする組み立てられたボール(名前がわからない!)を譲
ってもらった。
白金触媒(河合)
コイル状にした白金線をすこし火であぶって表面を清浄にし、これを蒸発皿に入れたメ
タノールの表面に近づけると、やがて赤熱状態になる。これは白金がメタノールと空気中
の酸素の化合を促進しているためだ。エタノールでもうまくいく。また白金の箔でもでき
る。これは白金かいろと同じ原理である。たいへん分かりやすく、またやってみると感動
するので、触媒を扱う中でぜひ取り入れたい。
ところで本の解説に「水素分子などが白金表面に原子状になって吸着されて反応が促進
される」とあるが、果たして吸着エネルギーが共有結合を切断するほど大きいのだろうか。
また水素吸蔵合金の話も出た。水素原子は電子を失えば陽子そのものだから、結晶格子
間にいくらでも侵入できそうである。そして水素自身が条件によって金属性を示す。また
金属は水素と馴染みやすく、金属の強度を落とす水素脆弱性という現象もある。
デジカメ顕微鏡撮影(船橋)
何でもやってみる船橋さん、顕微鏡にデジカメをセットするアダプターを工夫して自作
し、細胞分裂などを撮影した。材料は塩ビパイプの切れ端と紙管、フィルムケースと輪ゴ
ムなどきわめて廉価。なおデジカメはズームのときに筒長が変化しないものがよい。デジ
カメ自身にも拡大能力があり、またその画像はテレビにつないで生徒に見せることもでき
る。
プレパラート製作技術も大したもので、タマネギの細胞分裂が鮮やかにとらえられてい
る。中には中期と後期の分裂細胞が3つ隣り合わせた画像もあり、それらはフロッピーに
入れて分けてもらうことにした。
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マグネシウムと水の反応(岡田、山本)
盛口さんにならって、豆炭を購入して穴を空け、マグネシウム粉末を入れてリボンを立
て、バーナーで点火した後、ゆっくり燃えているマグネシウムの山にピペットで水をかけ
るとまばゆい光を放って激しく燃え上がる。
ところでこの反応は次のどちらだろうか。
Mg + 2H2O −→ Mg(OH)2 + H2
Mg + H2O −→ MgO + H2
続いて太い試験管に少量の水を入れて沸とうさせておき、発生する水蒸気中に点火した
マグネシウムリボンを差し入れると、激しく燃焼する。これにフェノールフタレインを滴
下すると赤桃色になる。これに対してリボンを空気中で燃焼して、できた酸化マグネシウ
ムを水に投入した場合は灰の表面が赤色になるだけである。微妙なところは分からないが、
酸化マグネシウムは水と反応して水酸化マグネシウムになることがほとんどないので、そ
れからすると前者の反応式を採用するのが良さそうだ。ただしはっきりしない点もある。
続いて山本さんから、「水にマグネシウムリボンを入れてフェノールフタレインを加え
るとやがて赤色になっていく」という話がでた。やってみると確かにそうで、リボンの表
面には水素らしい泡も観察できる。そこでアルミ粉末、亜鉛粉末、鉄粉で試してみると、
そのようなことは観察できなかった。
マグネシウムは常温の水とも反応する! 速度は遅いがそれは簡単に確認できる。とし
たら、マグネシウムは沸とう水でしか反応しないという認識は修正すべきではないか。
硫化銀の生成と分解(岡田)
四ケ浦さんにならって、銀板を六一〇ハップの湯につけると、表面が黒色の硫化銀にな
る。しかしこれはバーナーであぶると簡単に元の銀にもどる。ただし表面の光沢がやや鈍
くなる。銀板はくり返し使用できるので、酸化還元教材にしてはどうか。
ここでひとつ面白いのは、銀は酸素とは化合しない点である。とくに高温では、金属と
酸素の相性はよくないことが多い。それは銑鉄に酸素を吹き込んで鋼鉄にする場合や、銅
の製錬にも見られる。
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授業プリント−化学の導入部(岡田、林)
岡田はるさんが授業プリントをつくることにした。ひとつの消極的メリットは教科書や
ノートを忘れて授業に参加できないことはなくなる。もうすこし積極的には、板書より時
間が確保できて、内容を充実させたり生徒に考えさせたりできる。
ところで化学の導入部は実験が少なくて困る。林まさの場合は次のようなものを投入し
ている。
「水素爆弾」とバイルシュタイン反応
ワインの蒸留と原子スペクトルの観察
結晶モデルと分子モデル
塩化亜鉛の化学式
その中でワインの蒸留で得られたエタノールで炎色反応する方法が注目された。蒸発皿
にスチールウールを置き、その上に塩化リチウムを載せてエタノールを注ぎ、これに点火
すると始めからきれいな赤色の炎色反応が見られる。
写真の漂白(林)
写真の漂白に硫酸銅と臭化カリウムを使う方法について、メールでどんな反応が起こる
か質問が届いた。銅(U)イオンで銀を酸化できるとは思えなかったが、試してみると見
事に漂白される。
そこで酸化還元電位を調べてみると次の反応式が見つかった。
@ Ag + Br- −→ AgBr + e- −0.071V
Cu+ −→ Cu2+ + e- −0.153
Cu −→ Cu2+ + 2e- −0.337
Cu −→ Cu+ + e- −0.521
@ CuBr −→ Cu2+ + Br- + e- −0.640
Ag −→ Ag+ + e- −0.799V
これなら反応が起こる。まとめると
Ag + 2Br- + Cu2+ −→ AgBr + CuBr
となる。
実際にやって紹介したが、硫化ナトリウム水溶液でセピア写真にする段階で印画紙表面
が崩れてしまった。これは多分硫化ナトリウムが濃すぎたと思われる。
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ヨウ素電池(林)
前に工夫したヨウ素電池を改良した。亜鉛板にろ紙4枚を載せて約20%の塩化アンモ
ニウム水溶液を染み込ませ、その上にヨウ素を散布する。これに黒鉛板を被せてすき間に
水溶液を補うと、豆電球が明々と点灯する。1.5V 0.4Aで、かなりのパワーである。
負極: Zn −→ Zn2+ + 2e-
Zn2+ + 4NH4 + −→ [Zn(NH3)4]2+ + 4H+
正極: 2e- + I2 −→ 2I-
2I- + 2I2 −→ 2I3 -
ついでに試したかった水溶液を塩化亜鉛にした場合は、ソーラーモーターがまわるに留
まり、改良前の塩化ナトリウム水溶液の場合と似たものだった。昔の乾電池の主役の塩化
アンモニウムがうまくいく。
もうひとつはヨウ化物イオン電池である。黒鉛板にろ紙2枚を載せ、これに(1:1)
硝酸を染み込ませる。別にろ紙2枚に約10%のヨウ化カリウム水溶液を染み込ませてお
いて上に重ねる。これにもう1枚の黒鉛板を被せるとソーラーモーターがまわる。
負極: 2I- −→ I2 + 2e-
正極: 2e- + 2H+ −→ H2
H2 + HNO3 −→ H2O + HNO2(?)
この電池ではろ紙の間でもヨウ素が生成して黒褐色になっていくが、セロハンを挟んでも
あまり改善できず、むしろパワーが落ちてしまう。
他には、菅野著の「科学は自然をどう語ってきたか」(ミネルヴァ書房)を紹介した。
これは科学の発展につれてどのような自然観が誕生してきたかを書いた本で、理科教育の
基盤のひとつになると考える。
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