99.12
事務局 林 正幸
MOLの会通信99−12
参加者は岡田、河合、鈴木とし、戸田、富田、林まさ、船橋、水野、山本の9名でした。
今回も盛りだくさんで、お互いに手短に紹介してもらいましたが、それでも6時をまわっ
てしまいました。
パイプ万華鏡など(河合)
直径10mm長さ1mのアルミパイプを明るい方や色の付いたカレンダーなどに向けて
のぞくと、同心円のきれいな世界が広がる。これは内壁が鏡面でいろいろな回数反射した
像が重なるためである。そして10mm角のパイプでは四角の世界が広がっていっそう万
華鏡的でした。
他に3つの球面が立体視できる3D−ボックス(南山国際高の勝野さん)や、お金に吸
い寄せられる「政治家」などの紙工作(原典は水野著「キリガミ博士の紙工作」)の紹介
もありました。
上空の飛行機の重さ(河合)
「飛行機が上空を通ったら重さを感じるか!感じないか!」と生徒に問いかけた。分子
の運動で考えると、飛行機の下面に衝突した分子が地上の私たちにぶつかってその重さが
伝わる。真空では飛行機は飛べない。空気が支えているはずで、中日優勝のときの星野監
督の胴上げと同じだ。
続いてかごの鳥の問題も考えさせた。法則を使って考える力を育てたい。
話の中で、ほんとうに重さを感じるか実験しようかという声があがった。電池駆動で
mgまで計れる天秤がある。まわりを段ボールで囲って風の影響を避け、皿に段ボールを
載せれば「感度」も上がる・・・。問題は重さがどれくらいの範囲に分散しているか。
10cm四角つまり0.01m2で数mgが検出できるとして、1km2なら数100kg以
上の飛行機が、100km2でも数t以上の飛行機なら検出できる。これは可能性のある実
験ですね。
ついでにこんな問題が出された。25℃における水の蒸気圧は23.756mmHg、と
ころが窒素を加えて全圧を100atmにすると、水の蒸気圧は25.576mmHgにす
こし増える。どうして増えるのだろうか。
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「手力実験」シリーズ(船橋)
期末試験後に生徒の目を一瞬でもこちらにくぎ付けにするマジック。「空」の紙コップ
に2cmほど水を注いで、もうひとつコップを被せて逆さにし、2分する。「さあ、どち
らのコップに水が入っているか。」 下のコップには、傾けても水は入っていない。「そ
れでは上にあったコップを君の頭の上で逆さにするよ。」 一瞬生徒が緊張する、しかし
大丈夫。吸水ビーズが見えにくいことを利用しています。
牛乳びんに水をいっぱい入れ、広告の紙の切れ端でフタをして逆さに、そしてそっと紙
をとると、なんと水がこぼれない。「フタをしているんだ!」という生徒の声に応えて、
「じゃマッチ棒を差し込んでみよう。」 するとマッチ棒はびんの中に浮き上がる。生徒
にチャレンジさせると絶対にできない。しかけは透明な塩ビ板でした。参加者はそれをも
らいました・・・。
文献は「先生はマジシャン」です。
空気の入ったコップが水に浮かない(船橋)
スチロールコップの底に数mmの穴を空け、逆さにして指で押さえて空気が入った状態
で水に沈める。空気が泡となって抜ける間は、コップが浮き上がらない(科教協ニュース
より)。ポイントは容器の底とコップのすき間が小さいこと。またフィルムケースのよう
な円筒形ではできない。
これは結構むずかしい。微妙な力加減になっているようだ。空気が出ていく以上、入り
込んだ水の圧力は穴の位置の水圧よりは大きい。しかしコップの外の同じ深さの水圧より
は小さい。しかも空気の流れを無視すれば、入り込んだ水の圧力はパスカルの原理から空
気全体に伝わる・・・。別の見方をすると、コップが浮き上がるためにはその下に水が入
り込む必要がある。そして入り込んだ水はより軽い空気を押し出す役割を担わされる・・
・・・。誰かきちんと解いてくれ!
またメールで疑問を投げかけていた、そして時間不足で割愛した振動反応のメカニズム
に対して、井階さん提供のくわしい資料が届きました。かなり複雑そう・・・。
ビー玉結晶モデル(船橋)
アイデアが尽きない船橋さん、今回はビー玉をガラス接着剤で組み立てた結晶モデル。
体心、面心、六方、岩塩型、ダイアモンド・・・。無色透明なビー玉は1個10円程度。
イオン結晶では色付きのビー玉も利用している。製作のポイントは木の板に直径4.5mm
の穴を空けて位置決めする道具をつくること、穴が大きいとかえって寸法のずれの影響を
修正しにくいそうである。ダイヤモンドは小さい単位をさらに貼り合わせると見事なオブ
ジェになる。そしてこれにレーザーを当てるとキラキラと美しい。サークルで作りたいと
いう声も上がりました。
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もうひとつは塩ビ板で箱を作っておいて、生徒にビー玉を詰めさせる方式。単位格子と
はまた違って、すべての「粒子」が球である点が分かりやすい。
ほかに「雪の結晶」のペーパーモデル(「ガリレオ工房2集」より)の紹介もありまし
た。
時計反応で反応速度(富田)
ヨウ化カリウムは過酸化水素と次のように反応してヨウ素を生成する。
2KI + H2O2 ―→ I2 + 2KOH
このとき一定量のチオ硫酸ナトリウムを加えておくと、できたヨウ素は次の反応で消費さ
れる。
I2 + 2Na2S2O3 ―→ 2NaI + Na2S4O6
そしてこれを越えてヨウ素が生成した途端に発色するようにデンプンを加えておく。ヨウ
化カリウムに比べてチオ硫酸ナトリウムが十分に少なければ、ヨウ化カリウムの濃度を変
化させたときの発色までの時間の逆数が反応速度になる。
グラフがきれいな直線になり、反応速度がモル濃度に正比例することが確認できる。温
度の影響も調べられるが、高すぎるとヨウ素デンプン反応が阻害される。
硫化水素の実験法(岡田)
硫化水素の悪臭を避ける実験法として、ピペットを利用する。ドラフトで試験管で少量
の硫化鉄と塩酸で硫化水素をつくっておく。そして必要になったら乾いたピペットで吸い
込んで実験机に運んで反応させる。これで快適に実験ができ、かつ生徒は気体を手玉に取
ったという実感が持てる。
実際には少量の水を入れた試験管にイソジン数滴を加え、これに硫化水素を吹き出し、
ゴムせんをして振り混ぜると、ヨウ素の色が消える。
I2 + H2S ―→ 2HI + S
もうひとつは試験管に小さじ1杯の亜硫酸水素ナトリウムと希硫酸で二酸化硫黄を発生
させ、これもピペットで吸い込んで水が入った試験管に移して、ゴムせんをして振り混ぜ
る。これに同様にして硫化水素を反応させると白色の硫黄のコロイド溶液ができる。
SO2 + 2H2S ―→ 2H2O + 3S
これらは一連の酸化剤と還元剤の反応の一部を構成している。
100Vテスター(岡田)
科教協で紹介された、コードの一部をむき出しにした簡便な電球(40W)テスターを
愛用しており、次の4つの演示実験をしている。
(1)イオン性物質の食塩は水に溶かすと電導性を示す。
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(2)イオン性物質(塩基を含む)や酸は電解質で、水に溶けて電離する。エタノールの
ような非電解質と比較する。
(3)酸・塩基の強弱を電球の明るさで調べる。なお、酢酸は水に溶けて始めて電導性を
示す。
(4)半導体であるケイ素は時間と共に明るくなり、温度が高くなると抵抗が小さくなる
ことを示す。
ちなみに、融解したイオン性物質の電導性は、ガラスを使うとよいです。
再び「カルシウムと硫黄」(鈴木とし、山本)
県教研で失敗したこの実験、やはり量をきちんとすることが肝心である。カルシウム
0.1gと硫黄0.2gを使うとよい。
硫黄シリーズということで、硫化亜鉛も実験した。亜鉛粉末6.5gと硫黄3.2gをよ
く混ぜて山にし、マグネシウムリボンで点火する。蒸発皿が熱で割れてしまったので、ア
ルミ箔で試したらうまくいった。木の板の上にアルミ箔で作った皿を載せればOKです。
金属と非金属の化合は、気体の塩素の他にはこのように非金属に硫黄を使うのも面白い。
誰か、ナトリウムとの反応にチャレンジしませんか。
シャルルの実験(林まさ)
前回約束した林流シャルルの実験を紹介しました。外径4mmのガラス管の一端を封じ
て約37cmに切り、これに自作のピペットで水銀を1cmほど入れて空気を封入する。
これと温度計を30cm「もの指し」にビニールテープで固定して、ガラス管の先に外径
4.5mmのゴム管を15cmほど着け、バットの底に寝かせる。気柱の長さはグラフ用紙
に目盛りやすいようにする。水銀はその都度新しいものを使い、ひとまわり実験が終わっ
たら取り出してガラス管を清浄に保つ。またガラス管の封じた方がもの指しから5.0cm
はみ出すようにする。
沸とうしている湯を注いでかきまわしながら、90℃から10℃刻みに気柱の長さを計
測する。そしてグラフに描いて延長すると、さすが実験に慣れた先生たち、この世の最低
温度がきっかり−273℃となりました。
もうひとつ、メタンハイドレートの文献も紹介しました。
自由エネルギーの導入について(林まさ)
化学平衡をルシャトリエの原理でなく、自由エネルギー(化学ポテンシャル)を主役に
して教えたい。つまり平衡移動では、自由エネルギーが大きくなった方の物質(系)が反
応すると説明したい。これなら考えやすいし、質量作用の法則も無理なく導入できる。
物質の自由エネルギーは次の式で表される。
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F = F0+RTlnγc
つまり物質が化学的変化をする「勢い」はそのモル濃度が高くなると大きくなる。また温
度が上がると大きくなる。
たとえば凝固点降下において、0℃で氷と水が共存しているとき氷が融解する勢いと水
が凝固する勢いがバランスしている。これに食塩を加えるともっぱら水のモル濃度が小さ
くなり凝固の勢いが小さくなり、氷の融解が起こると説明する。
そして2種以上の物質が関係する場合は、その反応の勢いがそれぞれのモル濃度の系数
乗したものの積に比例(正比例ではない)すると天下り的に教える。
こんなプランについて意見を求めました。
二酸化炭素の溶解度(戸田)
2つの60mlディスポーザル注射器に、それぞれ水30mlと二酸化炭素30mlを
吸い込み、連結して一方に寄せる。他方を外し口をふさいで振り混ぜると、見る見る縮ん
でおよその溶解度が観察できる。必要なら温度の影響も調べられる。分かりやすい実験で
した。
回折格子アラカルト(戸田)
1mmに900本もスリットがある回折格子は通常の感覚を越えている。虫避け網戸で
街の明かりが十字に見えるのも回折ではないか。そう考えて、1cmに35本の細かい金
網を見つけ、また1cmに200本のモアレグリッドを準備した。これでミクロとマクロ
をつなぐことができる。しかし本当に回折が起こっているのか。それを通して虹が見えれ
ば回折だろう。指のすき間でそれを見ることもできる。光子は意外に大きいのだ!
細かい金網にレーザー光を当てると碁盤の目のようなパターンができる。交差した2枚
のモアレグリッドではもっと明瞭だ。これは結晶のX線解析に結び付く。
他に大学時代の物理教科書に載っていたという、壊変反応や半減期を記した全元素の同
位体一覧表も紹介されました。
また「’99青少年のための科学の祭典名古屋大会」の冊子や愛知物理サークルの資料
もいただきました。
第29回高校化学教育セミナー(水野)
12月11日に行われた東海地区のセミナーの報告。午前の館 糾さんの日本の化学工
業を支える「人材育成について」という講演に続いて、山本進一さん(戸山高)の「実験
をとおして楽しく学ぶ化学の基礎」という実践報告があった。
「酢酸ナトリウム三水和物の加熱による変化や、結晶水の定量」「発泡スチロールビー
ズを用いたイオン結合の模擬実験」「アセチレンの燃焼による化学反応の量的実験」など、
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参加者も実験を体験できた。
毎時間実験を中心にした授業で、実験を通して「なぜそうなるか」など考えさせている。
授業プリントも紹介されて分かりやすい報告だった。
東海地区も最後に残されて「化学グランプリ」に取り組むことになった。日本化学会は
エリート教育の目玉にしようとしている。皆さんは化学教育をどう考えますか、という提
起もありました。
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林 正幸と主万子の始めの
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