99.9
事務局 林 正幸
MOLの会通信99−9
参加者は岡田、鈴木とし、戸田、富田、林まさ、船橋の6名でした。今回は事務局が忘
れていて、例会の案内を含む「通信」が前日にやっと届いた次第で、予定が立たなかった
人がいるかもしれません。会場校の鈴木さんには冷たいお茶を準備していただき、ありが
とうございました。なお例会では、仲間にはなかなかまわって来なかった「いきいき物理
わくわく実験2」も入手できました。また船橋さんが印刷した「愛科教ネット」のメーリ
ングリストは分厚くて、話題の源泉になりました。さらに合同教研で紹介する実験・教材
もリストアップできました。
エタノールロケットその後(岡田)
2年ほど前に紹介されたこのロケットは、そのときは「不発」が多かった。今回1.5
[l]PETボトルに、愛知の「水ロケット」の技術を使って水道のジョイントをノズル
として着けたところ、確実に成功するようになった。
エタノール1mlで壁面を濡らしてから空気を4atm(ゲージ圧)くらいまで入れ、
水ロケットを発射する要領で空気を噴射すると白色の「雲」ができる。続いてノズルにチ
ャッカマンの炎を近づけると、点火して廊下を10mほど走る。
このやり方ではメタノールでも成功した。しかしノズルを外すと途端にうまくいかない。
どうもびんの口が大きいので、燃料の雲が撹乱されるようであり、ときに燃焼がめらめら
とびんの中に広がることもある。燃焼熱による膨張が確実に噴射につながるようにするの
がポイントのようである。なおプラスチックのノズルはすこしずつ焦げていく。
シャルルの実験(岡田)
船橋式「ボイルの実験」にシャルルの実験を加えたいと、50mlガラス製注射器を使
ってみた。室温(29℃だった)で40mlの空気を吸い込んでゴムせんをはめて封じる。
次に1[l]ビーカーに60℃の湯をつくり、これに浸けると43mlになった。次に氷
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水(3℃だった)に浸けると35mlになった。これをグラフにして体積0の温度を求め
るとだいたい−220℃である。
注射器はすり合わせがよいので、グリースは塗らず水が染みないようにする。ビーカー
の大きさから50mlが限界である。
たまたま林(まさ)が授業プリント「気体の性質」を資料として持って来ていたので、
そこに載っている林式「シャルルの実験」も話題になった。意外にもこれはサークルで紹
介してなかったようで、次回に実験して見せることになった。
話が発展して気体の状態方程式に及んだ。林は、シャルル、ボイルに次いで
「気体の体積は分子数、つまり物質量に正比例する」
を加えている。そして正比例は分子、反比例は分母に書くのが自然の理に適うと教えて
V = k(nT/p)
を導き、これにアボガドロの法則を加えて気体定数を確定する。また分子運動論的に、圧
力が分子数、体積、温度でどのように変化するか、からも状態方程式を再発見するように
している。
また富田さんからは、300ml丸底フラスコを使った気体の分子量測定が紹介された。
さらに戸田さんから、大気圧も分子の衝突から生まれ、その圧力は単位面積上にある分
子の重力に一致するので、地球の表面積から大気の質量が
5.3×1018kg
と計算でき、理科年表の数値と一致するという話があった。
結晶モデル・今回分(船橋)
展開型結晶モデルは特許があるようだ。そこで「8分の1」8個を単位格子の箱に詰め
込んで、結晶配列を理解する方式を考案した。体心立方、面心立方、そしてダイヤモンド
があり、分かりやすい。
ちなみにEHCで山田さんに結晶モデル製作の手ほどきを受けるときに、何がよいか相
談して
・二酸化炭素(ドライアイス)
・硫黄(斜方硫黄)
に決めた。
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弾性・非弾性衝突(船橋)
安価に弾性・非弾性衝突モデルをつくろうと、「血が出る」努力をした。ステンレスパ
イプのフレームの代わりに虫かごにドリルで穴を空けた。おもりの代わりにM12ナット
2つをビニールテープで包み、ネジ穴には6mmのスプリングワッシャを押し込んだ。バ
ネは岐阜物理サークル仕入れのものを3、4cmに切る。これを力学台車に固定して、非
弾性衝突用にはフィルムケースを、弾性衝突用には弱い巻きバネを取り付けた(数種のバ
ネを購入して試した)。
このモデルを壁に衝突させると、「非弾性」では台車はほとんど戻らずおもりがゆらゆ
らと揺れた。反対に「弾性」では台車が跳ね返って走りおもりはほとんど揺れない。見事
である。
関連して、今年の科教協大会で購入した「肩たたき」が紹介された。弾性球の方で机を
たたいても温度は変わらないが、非弾性球では30回たたいて、熱電対温度計で計ると4
℃上昇していた。これも優れものである。
ビー玉万華鏡(船橋)
何でも自作してみる船橋さん、ビー玉とポリカミラーで万華鏡。金額的にも生徒実習可
能である。なお透明度の高いアクリル球の万華鏡はひときわ鮮やかである。
ついでに、前回船橋さんに頼んでおいたステンレス製の大型の玉じゃくし、きれいな金
属面で凹面鏡と凸面鏡になる。生活用品が教材になるのが面白い。
関連して戸田さんから、やはり科教協大会で入手した「迷宮の箱」が紹介された。これ
はポリカミラーを壁にした3D−ボックスで、ミラーの塗料をアクリルカッターで引っか
いて落とし、その部分に色セロハンを貼り付けてある。三角の窓からのぞくと幻想的空間
が広がる。戸田さんがあっ旋した商品の3D−ボックスも、どんどん進化していく。
カルシウムと硫黄の反応(鈴木とし)
杉山(剛)さんのホームページに紹介されていたのでやってみた。
試験管に硫黄を薬さじ半分をほど入れ、これに表面を磨いたカルシウム粒いくつかを加
えて加熱する。硫黄が融解して間もなく、突然赤橙色のせん光とともに激しい反応が起こ
る。やや危険で、生徒に見せる前に予備実験が必要である。
硫黄との反応は、鉄粉、亜鉛粉などもあり、酸化の概念拡張に有効である。
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フィルムケースを使った浸透実験(林まさ)
生徒にやらせられる浸透の実験に改めて挑戦した。この種の実験はいろいろ手がけてき
たが、いまひとつ納得がいかないままになっていた。業者に作らせた半透膜の容器でさえ、
液漏れすることがあった。
今回は内ふた式のフィルムケース(フジフィルム)を使うことにした。内ふたをカッタ
ーで丸くくりぬき、切り開いて水に浸したセルロースチューブを貼りつける。つまりケー
スと内ふたの間に挟んで押し込むのである。これで糸で縛るよりはるかに簡単確実に半透
膜の容器が作れる。もちろんフィルムケースの底の方は切り取っておく。あとは1
mol/lショ糖水溶液を注いでガラス管付きのゴムせんをしっかりはめ、ビーカーの水に
浸ける。このときセルロースチューブの部分に空気がたまらないように全体を一度斜めに
する。
これでだいだいうまく行くが、数分待っても水溶液の上昇が見られないときは、半透膜
の容器を作り直す。このやり方は手間がかからないのでやり直しもあまり苦にならない。
時間内に水面が2、3cm上昇する。時間さえおけば、ガラス管から水溶液があふれ出す。
例会でも2つ実験してみたがいずれも成功して、さっそく利用したいという声があった。
授業プリント「溶液の性質」(林まさ)
今回は一学期分(1〜4章)の改訂版 と、今年の科教協大会レポート「授業プリントを
作って」に加えて
5章 気体の性質
6章 溶液の性質
を紹介した。
「溶液の性質」については
(1)モル濃度は何のために教えるかということで、物質が化学的変化を起こす「勢い」
がモル濃度に比例していることを導入した。これで、凝固点降下や浸透を理解できるよう
にした。
(2)質量モル濃度は止めて、パーミリオン濃度を取り上げ、二酸化窒素の環境基準や、
カーソンの「沈黙の春」のクリア湖の例や、環境ホルモンに連結した。
(3)コロイド溶液は、コロイド粒子が分散と凝集の戦いの中で成立していることを基本
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にして、凝析や塩析はその一例と位置づけて展開した。
などと説明した。
ちなみに、人工透析については患者が作るホームページが参考になった。またコロイド
溶液(分散系)が多様である例として、ドラキュラの血の話が出た。これは塩化鉄(V)
水溶液に沈降性の炭酸カルシウムを加えたものらしい。
牛乳パックで作るカメラなど(戸田)
ものづくりを授業の中心に据えている戸田さん、いつも楽しい「もの」が登場する。今
回は「かぶきひも」で折る「両口へび」、これは摩擦教材にしている。そしてすぐに作れ
るプリント。摩擦は物体の重量で考えがちだが、本当は垂直抗力つまり面と面が押し合う
力が関係している。
また牛乳パックで作るカメラ(トレーシングペーパーに像を結ばせる)のプリントも紹
介された。ピンホールとレンズの両方を体験し、焦点距離を計ったり、カメラの絞り、シ
ャッタースピード、フィルム感度(ISO)の意味を教えたり・・・ゆったりと進める。
なお生徒はカッターでけがをしやすいので、工作に無理がないように工夫する。
ちなみに「超能力」について「理科教室」に書いた原稿も紹介された。意見・感想を聞
きたい。
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