(林 正幸)


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q99−001

容器の中で水銀は盛り上がり、水はへこむのはなぜか

質 問
 メスシリンダーに水銀と水を入れると中心付近が、水銀は盛り上がるのに水はへこみます。なぜでしょうか?


説 明
 容器に入った液体は、重力を受けて水平な表面をつくる。しかしガラスのメスシリンダーを使うと、器壁の近くでは、水の場合はせり上がるようになり、水銀の場合はめり込むようになる。
 これは液体にはたらく2つの力が関係している。ひとつは「表面張力」である。これはかんたんに言うと「液体がその表面を小さくしようとする力」である。スペースシャトルのような無重力の空気中で水が玉になるのは、体積が変わらないときは球になるとその表面積がもっとも小さくなるからである。この力の原因は次のように説明できる。水の内部の水分子はまわりすべての方向から分子間力を受けて安定化するが、表面の水分子は内側半分の方向に分子間力を受けて内部にめり込むような力がはたらくことになり不安定になる。
 もうひとつは「濡れの親和力」である。液体が固体に接すると親和力がはたらいていろいろな程度に濡れる。きれいなガラス板に水を垂らすと広がって接触面積が大きくなる。水はガラスに対する親和力が大きいことを示している。これに対してガラス板に水銀を垂らすと玉になって接触面積は小さいままである。つまり水銀のガラスに対する親和力は小さい。なおここで親和力とは、異なる物質の原子・分子・イオンの間にはたらく「引力」のことである。
 器壁付近の液体の表面の形は、表面張力と濡れの親和力の兼ね合いで決まってくる。後者が勝る水では表面がせり上がるようになり、前者が勝る水銀ではめり込むようになるのである。そして液体がガラスと空気の間につくる角度は「接触角」と呼ばれる。水の接触角は0°に近い鋭角、水銀のそれは鈍角である。しかし接触角についてくわしいことは分っていない。ちなみにプラスチックのメスシリンダーでは水の接触角は当然違ってくる。
 以上、ややあいまいな説明しかできませんが参考にしてください。


q99−002

水の電気分解の速度は何によって決まるのか

質 問
 水の電気分解で時間的に一番多く、酸素と水素に分けられるのは、電圧もしくは電流を多く流すのでしょうか。それとも電解質を多く混ぜるとか、電極の材質を選定するとかでしょうか。


説 明
 これは反応速度の問題である。一般的には反応速度はいろいろな要因で決まってくる。たとえば濃度とか、温度とか、あるいはまきが燃える場合のように不均一系では表面積の大きさが影響する。
 水の電気分解の場合は、ひとまず電流つまり「1秒あたりに何クーロンの電気量が流れるか」で決まると言える。というのはたとえば電解質として硫酸ナトリウムを溶かした水溶液では、
  陽極では
    2H2O ―→ O2 + 4H+ + 4e-
という反応が起こって電子(e-)が吸い出され、
  陰極では
    4e- + 4H2O ―→ 2H2 + 4OH-
という反応が起こって電子が押し込まれるからである。1秒あたりにいくつの電子が動くかが反応速度になるのである。
 ところで電流は直流電源の電圧が高くなると大きくなる。だから電圧が高いほど反応速度が大きいと言える。そして電流は水溶液の抵抗が小さいほど、言い換えると電気伝導性が高いほど大きくなる。電導性は水に溶かす電解質の濃度が高いほど高くなるが、その種類にも依存する。とくに水素イオンと水酸化物イオンは電導性が高いので、硫酸や水酸化ナトリウムを溶かすと反応速度が大きくなる。
 実は電極の材質も反応速度に影響する。とくに水素が発生する陰極の材質が問題である。たとえば水銀を電極にすると別の反応が起こるようになってしまう(「水素過電圧」という現象である)。
 そしてもちろん反応物質の濃度も反応速度に影響する。とくに水の電気分解の場合は、全体として水の電気分解が起こっていていも、それぞれの電極での反応は電解質の種類で変化することが多いのである。そして実際に反応する物質の濃度が問題になる。たとえば硫酸を溶かす場合は、陰極では次のように水素イオンが反応物質になり、
    2e- + 2H+ ―→ H2
その濃度が高い効果は、電導性を高めるだけではない。
 このように反応速度に影響する要因は複雑である。そしてひとつひとつの反応によって変わってくるのである。
 すっきりした説明はできませんが、参考にしてください。


q99−003

「塩カル」って、どんなはたらきで凍結させなくするのですか

質 問
 スキー場の駐車場や、その付近の橋など、凍結しやすい場所のは決まって、塩カル(?)というものが置いてありますよね。
 それは大体の道路にまかれていて、「スキーから帰ったら、必ず車の足回りを水洗いしないと痛んでしまう。”塩”がまかれているからね。」っていうことを聞きます。
 私は「塩じゃないでしょ・・・塩ってたしか氷を融けにくくするんでしょ?」って、そこまでは言えるのですが・・・。その後の塩カルとはどんな物でどんな働きで凍結させなくするんだよって説明ができないから、説得力無いんですよね。


説 明
 「塩カル」というのは、正式には塩化カルシウムという物質で、その化学式はCaCl2である。ここで2は本当は右下に小さく書くべきである。
 まず、塩化カルシウムが「塩」かどうかについては、両方の答がある。狭い意味で「しお」と言うと食塩つまり塩化ナトリウムを指すから、塩化カルシウムは「しお」ではない。しかし広い意味での「塩」は、このときは正確には「えん」と呼ぶが、これは酸と塩基が中和反応してできる水でない方の物質のことである。広い意味では塩化カルシウムは「塩」である。もちろん塩化ナトリウムも次のように塩酸と水酸化ナトリウムが中和してできるので「塩」の仲間である。
    HCl + NaOH ―→ H2O + NaCl
 さて、純粋な水は温度が0℃まで下がると凍り始める。一般に液体が固体になることを「凝固」と言い、その温度を「凝固点」と呼ぶ。しかし塩化カルシウムを溶かした水は0℃になっても凍らず、もっと低い温度になって凍り始める。その凝固点は塩化カルシウムの濃度が高いほど低くなる。つまり塩化カルシウムがまかれると、水はたとえば−5℃でも凍らない。別の見方をすると、雪や氷があるとき−5℃でもそれは凝固点よりまだ高いので融けて液体の水になるのである。こうして温度を上げることなく道路の凍結を防いだり、雪を融かしたりできる。
 この現象は「凝固点降下」と呼ばれ、じつは水に溶解する物質なら、程度の差はあるが、何でも起こる。塩化ナトリウムでもよく起こるし、砂糖でも起こる。道路の融雪ないし凍結防止に、よく塩化カルシウムが使われるのは価格が安いからである。しかしそのおかげで、その道路を走った自動車はさびやすくなるので早めに洗車をする必要が生まれる。ちなみに、塩化ナトリウムを含めて広い意味の「塩」はさびを引き起こしやすくする。とくに名前に「塩化」と付く「塩」はそうである。
 関連して、自動車のラジエータの冷却水に、冬場は不凍液を入れて夜間などに凍ってしまわないようにする。これも凝固点降下を利用しているが、この場合はさびをひき起こさないエチレングリコールといった物質を使用する。
 話を続けると、アイスクリームなどが、冷凍庫に入れておいたのにつまり0℃以下のはずなのに融けてしまった、という経験をすることがある。もうその理由は明らかであろう。これにちなんで「塩ってたしか氷を融けにくくするんでしょ?」という誤解を解いておく。昔は夏になるとアイスキャンデーを箱に入れて売り歩く商売があった。そのキャンデーが融けてしまわないように「しお」を使ったのである。それはどういうことだろうか。氷にたくさんの食塩を混ぜると、すでに説明したようにどんどんその氷が融ける。そして氷が融けて水になるときには「融解熱」を必要とする。まわりから加熱しないときには、自ら持っていた熱を使うので温度が下がる。氷と食塩の場合は簡単に−10℃以下になる。これを「寒剤」という。冷凍庫の代わりにこの寒剤を使って、アイスキャンデーが融けないようにしていたのである。このように話はまったく違っているわけで、自分が納得した正確な知識こそを、身につけていきたいものである。


q99−004

電池の内部抵抗はなぜ発生するか

質 問
 電池には内部抵抗があることはわかったのですが、その内部抵抗がなぜ発生するかがわかりません。化学反応の上での不純物がたまっていくような気もするのですが・・・しかしその不純物を取り除く物質も電池の中にあるため不純物が内部抵抗の直接な原因ではないような気もします。


説 明
 電気抵抗というのは電気の流れにくさを示す数値であるが、電気に流れやすさつまり電導度の逆数と考えてよいわけである。それでは電池内部の電導度とは何であろうか。
 電池の内部にも電気が流れるのである。物理学的に言えば、そうでないと閉じた回路が形成されない。ただし電気を運ぶのは電子ではなく、陽イオンと陰イオンである。
 高校生はボルタの電池ならよく知っているので、これを例にして説明する。負極では亜鉛が次の反応で電子を与え、これが流れ出す。
    Zn ―→ Zn2+ + 2e-
これに対して正極の銅板の表面では水素イオンが次のように反応して電子を奪い、電子が流れ入る。
    2e- + 2H+ ―→ H2
 さて負極の反応式を見ると、電子が流れ出したあとに電極付近に陽イオンの亜鉛イオンが溜ることが分かる。これはこのままでは電子が流れ出すのを妨げる。同様に正極付近では水素イオンの相手の硫酸イオン(陰イオン)が余って、電子の流れ入るのを妨げる。かんたんに考えると亜鉛イオンと硫酸イオンが互いに近づけばよいように考えられる。しかし液体の水は分子が満員電車のようである。つまりイオンはすぐに近ずけない。ここで硫酸がもうひとつの役割を果たす。知ってのとおり硫酸のような電解質は水中では陽イオンと陰イオンに電離して互いにばらばらになって分散している。このような環境では電極付近の正電気と負電気の中和はスムーズになる。つまり亜鉛イオンは自ら長い距離を移動しなくても、となりの水素イオンを押せばよいのである。するとそれがまたとなりの水素イオンを押す。余った硫酸イオンも同様にして速やかに負電気を伝えることができる。こうなってはじめて電池ははたらくことができる。
 と言うわけで、水に溶けた電解質が電池内部の電気の流れやすさを決めている。一般に電解質の濃度が高いほど電導度は高くなる。またそのイオンの種類によっても電導度は変化する。そして電池を使い続けると、反応によって蓄積してくる生成物質も当然電導度に影響を与える。
 ちなみに電池の起電力も電流を左右する。ボルタの電池では「分極」と減極剤の説明を聞くであろうが、一般に化学反応には反応速度というものがある。だから大きな電流を得ようとすると、負極での電子の補給やとくに正極での電子の始末が間に合わず、起電力が低下して電流も小さくなってしまう。


q99−005

イオン価数ってどうやって決まるか

質 問
@イオン価数ってどうやって決まったのですか? 周期表の族に関係あるんでしょうか?
Aイオン価数が解かれば化合の仕組みも解るんでしょうか?
 勝手な理解なのですが、MgCl2は2価の陽イオンであるMgと1価の陰イオンであるClの電子レベルでのバランスでMgCl2になったんですよね? 学校の先生に聞いたら「とにかくMg1個とCl2個がくっつくとだけ覚えればいい」って言われました。・・・・・


説 明
 理科の勉強は、事実を知ると同時に、その奥にある法則を見抜いていくことです。ただし奥は際限なく深いですよ。
 物質は原子が結合してできています。結合の仕方にはイオンを形成する場合とそうでない場合があります。
 原子は中心に原子核があり、そのまわりを電子がまわっています。原子核は正電気をもつ陽子と、電気をもたない中性子からできています。電子は負電気をもっています。原子自身では陽子の個数と電子の個数は一致していて電気的には中性です。このあたりは中学でも学習すると思います。
 さて、電子が2、10、18個などのときは安定であることが分っています。そうでない原子はそうなるように変化しようとします。イオンを形成する場合はかんたんです。マグネシウム原子は12個の電子をもつので、2個の電子を失います。そして陽子2個分の正電気を帯びた、つまり2価の陽イオンになります。塩素原子は17個の電子をもつので、1個の電子を得て1価の陰イオンになります。
 周期表は1869年にメンデレーエフが作成しました。当時は、どうして縦に性質の似た元素が並ぶか分かりませんでした。しかししだいに原子の形との関係が明らかになってきました。かんたんに言うと、周期表の1番の水素原子は1個の電子をもつ。2番のヘリウム原子は2個の電子をもつ。3番のリチウム原子は3個の、12番のマグネシウム原子は12個の、17番の塩素原子は17個の電子をもつのです。これで族の番号とイオンの価数に関係があることが分りますね。1、2、3族の原子はイオンを形成する場合は陽イオンになり、その価数は族番号に一致します。そしてイオンを形成する場合においては、17族の原子は(18−17)=1価の陰イオンに、16族の原子は(18−16)=2価の陰イオンになります。
 ただしこのように単純に割り切れないイオンもたくさんあります。だから、それぞれの原子が事実として何価のイオンになるかを記憶する必要もあるのです。
 2つ目の質問はあなたが考えているとおりです。陽イオンと陰イオンのそれぞれの価数が分っておれば、それからできる化合物の化学式はすぐに導き出せます。
 私は中学の理科がどうなっているか正確には知りませんので、説明が的を得ていない可能性があります。疑問があれば再質問してください。


q99−006

どうして水素結合までしないといけないのですか

質 問
水ができるとき、共有結合により水素と酸素で分子を作り、分子間力によりまたまた結合するまではいいのですが、どうして水素結合までしないといけないのですか?


説 明
 あなたの質問は「ものごとのとらえ方」の問題を含んでいるように思います。問題を整理してみると、まず共有結合で水のような分子が生成します。分子どうしの間には引力がはたらいています。そのことは水のような物質が低温になると凝固することからもうかがえます。そのような力を分子間力と呼びます。
 さて、分子間力はどうようにして発生しているのでしょうか。共有結合自身は分子内で完結していて外には及びません。その中身は単純ではないのです。高校ではそのうち「極性による引力」と「水素結合」を教えます。
 水素結合はその名称からも分るように、それをイオン結合や共有結合のような化学結合の一種と見るべきか、それとも分子間力と見るべきか、意見が分かれます。しかし高校では後者として、強い分子間力として教えます。なお教科書の一部にはそれを「強い極性」から説明しているものがありますが、それは誤りだと思います。「極性による引力」と水素結合は異なる引力です。
 つまり、水素結合は分子間力の一種であり、水のような水酸基をもつ分子どうしの間などにはたらく引力です。現にそのような引力が存在するのであって、それを「どうして水素結合までしないといかないか。」ととらえるのはおかしいと思います。
 もちろん、高校では「複雑なことを次々に教えられて混乱してしまう。」という悲鳴としてなら理解できます。しかし水素結合は重要度が高いのです。とくに生命活動を支えているタンパク質や遺伝子の分子の、形やその作用を化学的に理解するのに欠かせません。私たちにもっとも身近な水の特徴も水素結合から納得できることが多いのです。
 質問の意図が違うようなら連絡してください。


q99−007

カタラーゼは酸性やアルカリ性でどのように反応するか

質 問
 教科書では実験の項に試験管に肝臓片と二酸化マンガンを入れ、過酸化水素水を注入して反応を見る、といった実験しか書かれておらず、別のページにグラフが出ていてそこで「pHの変化とアミラーゼの反応」について書かれています。
 酸性、アルカリ性の状況下でのアミラーゼ及び二酸化マンガンの反応はどうなるのでしょうか。また実験に用いた肝臓片と二酸化マンガンは塩酸や水酸化ナトリウムによってとけたりしないのでしょうか?


説 明
 私は化学が担当なので、生物については十分に答えられないと思います。
 さて、まず「アミラーゼ」ではなく、「カタラーゼ」つまり過酸化水素分解酵素の間違いではありませんか。
 一般に酵素は生物体内ではたらく触媒で、主にタンパク質からできています。二酸化マンガンは通常の化学反応で用いられる触媒で、カタラーゼと同じく過酸化水素の分解を促進します。触媒は自らは変化しませんので、反応式はよく知っている次のものになります。
    2H2O2 ―→ 2H2O + O2
 そして二酸化マンガンは塩酸や水酸化ナトリウムとは反応しません。これに対して肝臓片は、塩酸にはかなり強いのですが、水酸化ナトリウムには次第に侵されていきます。ただし問題は肝臓片に含まれるカタラーゼという酵素が影響を受けるかどうかが問題ですよね。
 一般に酵素というものはpHの影響を強く受けます。これは化学に翻訳すると、タンパク質が酸や塩基で「変性」するということです。しかし私の記憶では、カタラーゼについては酸性ではすこしその作用が弱まり、アルカリ性では決定的なダメージを受けるはずです。


q99−008

氷より氷水の方が温度が低い?

質 問
 ところで、先日調理実習でワインぜりーを作りました。最後に型に流し込んだぜりーを、氷水をいれたバットにつけて固めました。わたしの質問はこれに関連することです。
 ある文献に、氷より氷水に入れた方がゼリーが固まりやすいと書いてました。それはいったいなぜですか? 氷より氷水の方が温度が低い、などということがあるのでしょうか?


説 明
 「氷より氷水に入れた方がゼリーが固まりやすい」というのは、ゼリーの熱の伝わりやすさに関係しています。氷は固体ですから、伝導によってしか熱が伝わりません。それに形がありますから、ゼリーの型にぴったり密着することができません。これに対して氷水は水の部分がゼリーの型から伝導してきた熱を対流によってどんどん運び去ります。そして温度が上がった水は氷を融解して0℃に戻ります。  このような理由で温度は同じでも、氷水の方がはるかに冷えやすいのです。ちなみに、氷水と氷の両方に手を差し入れてどちらが我慢できるか想像してみてください。

q99−009

水の電解を利用した気液二相流の研究に関して

質 問
 私は気液ニ相流の研究をしており、水の電気分解で発生した水素を利用してニ相流を作ろうと考えています。できるだけ極の間隔を狭くして泡を発生させたいのですが、その際生じる析出物が流れに影響を及ぼすため、析出物が少ない、あるいは水に溶けるような生成物が出る電気分解の方法があれば、是非教えて頂きたいです。

説 明
 質問の「二相流」の意味がよく飲み込めないので、十分な返事ができないように感じます。
 単純に「析出物が少ない」電気分解ということであれば、うすい硫酸のような酸性の水溶液を電気分解すればよいと思います。析出物は電極の金属などが反応するためで、アルカリ性ではそれは水酸化物などの不溶物質になりますが、酸性では金属イオンとして溶解するからです。


質 問
 うすい硫酸を添加して電気分解をしたところ、析出物もなくうまくいきました。
 そこでまた質問なんですが、電極としてNiを使いたいのですが、リスクは大きいですか? Ni−Ni電極では電圧をいくらかけたら、水素は発生するのでしょうか?

説 明
 役に立てて安心しました。
 今回の質問ですが、ニッケル電極の場合はそのイオン化傾向が大きいため、陽極側では酸素が発生するよりニッケルがニッケルイオンになる次の反応が起こりやすくなります。
    Ni ―→ Ni2+ + 2e-
ちなみにニッケルイオンは緑色です。そして陰極側のニッケルは変化せずに、今までとおりに水素が発生します。これは酸素の混合を防ぐ点ではメリットですが、水にニッケルイオンが溶解していって水の液性が変化する点ではデメリットになります。なお電圧は実験的に見付けてください。もちろん小さい電圧でOKです。


q99−010

酢酸エチルの合成における実験操作について

質 問
・有機化学の酢酸エチルの合成において、炭酸ナトリウム水溶液を加えたときにガスが発生するのはどうしてですか。またどうしてこのような操作をするんですか。
・酢酸エチルの合成において、還流・蒸留・溶媒摘出それぞれの原理または理論というのはなんですか。


説 明
 部活動で研究などしているのですか。
 酢酸エチルは酢酸とエタノールから合成するが、そのとき触媒として濃硫酸を加える。触媒だから硫酸は反応混合物の中にそのまま残る。これを中和するために炭酸ナトリウムを加えると、次の反応で硫酸ナトリウムができると同時に二酸化炭素が発生する。
    H2SO4 + Na2CO3 ―→ Na2SO4 + H2O + CO2
炭酸ナトリウムが良いのは、硫酸が無くなると気体の発生が止まって中和点が分ることなどである。
 「環流」というのは、反応容器にコルクせんを付けたガラス管を立てて、反応で生成した揮発性の酢酸エチルを逃がさないようにすることである。つまりガラス管のところで空冷して液体にし、流れ落ちて戻るようにするのである。揮発性の高い物質を扱うときにはリービッヒ冷却器に似た水冷できる器具を使うこともある。
 「蒸留」は混合物から揮発性の物質を分離する方法で、その図は高校の教科書に必ず載っている。温度計で沸とうしている蒸気の温度を調べ、目的の物質の沸点を示しているかチェックして操作するのがポイントである。
 「溶媒抽出」は、酢酸エチルなら油性物質をよく溶解する。だからたとえば種子を砕いて酢酸エチルに加え、かき混ぜれば植物油を溶かし出すことができる。お茶の葉にお湯を注いでお茶を出すのも「抽出」である。




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