(林 正幸)


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q01−041

酢酸エチルの匂いと水への溶解について

質 問
高校2年です。質問させていただきます。
 酢酸エチル、酢酸ブチル、サリチル酸メチルなどのエステルは水を入れなければ匂いはないのでしょうか?  また、酢酸エチルにHClやNaOHを加えると層になるのはなぜですか? またその層が加熱によって消えるのはなぜですか?


説 明
 においはその物質が揮発して、気体分子が嗅覚を刺激して感じます。したがって水の存在は関係ありません。
 酢酸エチルは水に溶けにくい物質です。したがって、塩酸や水酸化ナトリウムのような水溶液にもあまり溶解せず、液体どうしですので、比重の小さい酢酸エチルが上になって2層に分かれます。ただし加熱すると加水分解が起きて、酢酸とエタノールになります。これらは水に溶けやすい物質ですので、全体がひとつの水溶液になるのです。


q01−042

めっきがはげないため工業的にどんな加工をするか

質 問
先日、課題研究で電気めっき(銅)の実験をしました。そのとき十円玉を使ったのですが、醤油で表面の汚れを落としました。このときどういうことが起こってるのでしょうか。
 また、そのとき作っためっきはすぐにはげました。工業的にははげないようにどんな加工をしているのでしょうか。


説 明
 「しょう油で10円玉がきれいになる」ことはよく知られていますが、その理由はなかなか難しそうです。昨年の秋に返事を書いた
    
10円玉が酢と塩できれいになるのはどうしてか
が参考になります。最後に出てくる「キレート」は高校生でも学習しませんね。

あとは「めっきがはげない加工」についてです。
 銅に他の金属たとえばニッケルをめっきするとは、銅表面の結晶にニッケルの結晶を生成させることです。このとき銅の表面に油汚れやさびなどがあれは、ニッケルの結晶がその表面に生成するので剥がれやすくなります。そのためめっき工場ではこれらを除去する「前処理」が行われます。たとえば油汚れは塩基で洗うと石けんができて取り除かれます。金属のさびの多くは塩基性酸化物ですから、酸で洗うと塩ができて取り除かれます。
 めっきにおいて表面に生成するのは小さい結晶の集合体です(地金の金属も結晶の集合体です)。つまり電極反応で結晶核ができるとそれを中心に結晶が成長し、たがいに境界面がぶつかって入り組み集合体となるのです。このとき一般に個々の結晶が小さいとち密で丈夫なめっき被膜になります。そのためにめっき液中の金属イオンの濃度を小さくしたり、錯イオンにしたりして、結晶の成長反応を抑えます。錯イオンは配位子がはぎ取られないと金属になれないからです。また成長速度が大きいと、結晶の格子点に原子がない格子欠陥と呼ばれる状態ができやすくなります。
 地金とめっき金属との相性もあります。これが悪いと両者の結合が弱かったりひずみによる力がかかって剥がれやすくなります。このため鉄に金めっきするときは、はじめに銅めっきしてその上に金めっきすると聞いています。
 その他にめっき表面の光沢を出すための添加剤、水溶液のpHを制御するための緩衝溶液なども利用されます。


q01−043

塩化水素ではどうして水素結合がはたらかないか

質 問
 教科書には、水素結合は電気陰性度の差が大きく極性が大きいためにはたらくと説明されています。それなら、窒素と塩素は電気陰性度が同じ3.0なのに、アンモニアでは水素結合がはたらき、塩化水素ではそれがはたらかないのはどうしてですか。


説 明
 そうですよね。水素結合は極性だけでは説明できません。もしそうなら、水素結合という用語が不要です。水素結合は関係する原子が小さくて、同じ部分電荷をもつ共有結合している原子どうしであっても、より接近できることで静電気的引力が大きくなることがあります。原子半径(ファン・デル・ワールス半径)は次のようになっています。
   水素    1.2A
   窒素    1.5A
   酸素    1.4A
   フッ素   1.35A
   塩素    1.8A
静電気的引力(クーロン力)は距離の2乗に反比例するので、塩化水素のひとつの分子の水素原子ともうひとつの分子の塩素原子との距離は、アンモニアの場合より大きくなります。
 しかし水素結合にはもっと別の作用もあるのです。たとえば水素結合には方向性があります。水分子の水素結合では、その中心の水素原子が、分子内で共有結合する方向と、相手分子の酸素原子と水素結合する方向は一直線であることが必要です。そうでないと水素結合の引力が弱まります。これは2つの結合が相互作用をしていることを示しています。また水の結晶では酸原子に注目すれば、分子内の2つの共有結合と2つの水素結合は互いに正四面体の頂点の方向を向いています。これは水素結合が酸素原子の非共有電子対と関係していることを示しています。
 結論を言えば、水素結合を電気陰性度のみから説明するのは間違いであると思います。そして水素結合は、私は高校段階としては分子間力の仲間に入れていますが、その名のとおり化学結合的要素も含んでいます。また水素結合には「短い水素結合」と「長い水素結合」があり、後者を水酸結合として区別しようという提案もあります。さらにタンパク質におけるペプチド結合どうしの水素結合は、炭素原子と二重結合した酸素原子と窒素原子と結合した水素原子の間ではたらきます。


q01−044

極性溶媒のエタノールになぜ無極性のヨウ素が溶けるか

質 問
 ヨウ素のエタノール水溶液は赤褐色であると本にでてきたのですが、そもそもヨウ素は無極性ですよね。それでエタノールは極性があるのに、なんでヨウ素はエタノールに溶けるのでしょうか? 極性溶媒に無極性がとける理屈がよくわかりません。
 またなんでヨウ素のエタノール水溶液は赤褐色なのでしょうか? もうこれは理屈ぬきで覚えるものなのでしょうか?


説 明
 「溶ける溶けない」の問題はなかなか複雑です。これに関する基礎的法則は「似たものどうしは溶け合う」です。水には、同じ水はいくらでも溶け合う(?)ので、水に似たものも水に溶け合うだろうと考えられるのです。
 しかし似ていると言っても、どの点が似ているかをはっきりさせないとあいまいでよく分からないことになります。そのひとつは確かにあなたが言うように「分子の極性」です。水分子は極性が大きい分子です。だから極性のある分子は水に溶けやすく、無極性の分子は水に溶けにくいと言えます。ヨウ素も水自身にはほとんど溶けません。ちなみにここで大切なのは、塩化ナトリウムのようなイオン性物質は、陽イオンと陰イオンからできているので極端に極性が大きいと見なすことができ、したがって多くのイオン性物質が水に溶けやすいことです。
 それでは極性が小さい溶媒と言えば、その典型はヘキサン C6H10 のような炭素と水素の化合物(炭化水素と言います)です。あなたが有機化学を勉強したかどうかわかりませんが、この分子は炭素・炭素結合と炭素・水素結合からできており、極性が小さいのです。石油は様々な炭化水素の混合物であり、このため溶解においては水と油は対極にあるのです(親水性、親油性という用語もあります)。
 ところでエタノールとは何物でしょうか。それは C2H5OH と表されます。左の部分は炭化水素の部分であり、右のヒドロキシル基(水酸基)はまさに水の部分と言えます。ここで次の4種の物質を取り上げます。
    メタノール     エタノール     プロパノール     ブタノール
    CH3OH      C2H5OH     C3H7OH      C4H9OH
水によく溶けるのは左の3種で、ブタノールから溶けにくくなります。そしてヘキサンによく溶けるのは右の3種であり、メタノールは溶けにくいのです。つまりエタノールとプロパノールは水とヘキサンの両方に似た性質を合わせ持つのです。このことはたとえば実験室で短時間で石けんをつくりたいときに利用します。それには油脂と水酸化ナトリウム水溶液を反応させるのですが、両者は水と油で混ざりにくくて振り混ぜてもなかなか変化しません。ところがそこにエタノールを加えてやると数分で石けんができるのです(加熱もします)。
 こうしてエタノールにヨウ素が溶けることにすこしは納得が行くようになったでしょうか。しかし始めにも書いたように、溶解と言う現象は複雑です。高校で学習するのは初歩的なことで、それですべてを割り切ることなど到底できません。それからヨウ素がエタノール溶けると赤褐色になる理由は私も知りません(時間があれば調べてみたいと思います)。これは一般的には高校段階でとくに覚えるべきことではありませんが、記憶して疑問として貯めておくことにも意味があります。
 学問は奥が深いことを承知して、一歩一歩勉強を進めてください。それはどんどん疑問を蓄積していくことでもあるのです。


q01−045

四ホウ酸ナトリウムは一般人が入手できるか

質 問
 詳しい実験方法が書いてあり、すごく楽しいHPなのでよく見させてもらっています。僕は高校一年で学校の文化祭で「スライムづくり」にはまってしまって固さ調節をもっとしてみたいと思っているのですが、四ホウ酸ナトリウムは一般人が手に入れることはできないのですか?


説 明
 四ホウ酸ナトリウムは「ホウ砂(ほうしゃ)」とも言って、劇物、毒物ではなく、危険物でもありません。そして特殊ガラスなどの原料になるものです。
 昔は薬局でいろいろな薬品を入手することができましたが、一度近くの薬局にでも問い合わせてみてください。しかしもっと簡単なのは、化学の先生に頼んで購入してもらうことではないでしょうか。そして実験は先生の指導を受けて行うのが賢明であると思います。
 スライムの固さの調節は、洗濯のりと水の割合、そして四ホウ酸ナトリウムの量で変化します。なお温度の影響もあり、温度が下がると固くなることにも注意してください。


q01−046

二酸化窒素の電子式はどう書くのですか

質 問
 先日、京大に行っている友人に「二酸化窒素の電子式教えて?」と聞かれました。浪人している僕にとって、電子式くらいへっちゃら!と初めは思っていたのですが・・・どうしても書けないんです!!
 すっきりした気持ちで受験したいので教えて下さい。


説 明
 高校で学習する化学結合は、今から80年以上も前に提案されたルイスの理論です。私は一般にはこれが高校生に合っていると思いますが、当然多くの限界があります。
 二酸化窒素もその例ですが、次のように説明しておきます。窒素原子は最外殻電子が5個で、3つに共有結合をつくることができ、酸素原子は最外殻電子が6個で、2つに共有結合をつくることができます。窒素原子が一方の酸素原子と共有結合を2つつくります。そして他方の酸素原子と共通結合を1つつくります。これで窒素原子と始めの酸素原子は希ガスの電子配置を満足するようになりますが、あとの酸素原子には不対電子が1つ残ります。それを構造式で書くと
   O=N−O・
となります。3つの原子は本当は130°の角度をなしていることが分かっています。次に今度は逆に右の酸素原子が二重結合している構造も考えましょう。
   ・O−N=O
そして実際の分子は両方の中間の結合状態にあるのです。
 このような考え方は、高校ではベンゼンの構造で登場します。6角形の中の二重結合には2つの表し方がありました。どちらを書いてもよいとされていますが、実際は中間の結合状態にあります。このような考えは「共鳴」と呼ばれ、それによりエネルギー的に安定化することが分かっています。しかし共鳴の理論はもっと正確に学習する必要があります。このようなより進んだ理論に出会えるためにも受験勉強をがんばってください。
 ちなみに、二酸化窒素はこのような結合状態であるため、その一部が2量化(2つの分子が結び付くこと)して四酸化二窒素として存在しており、また二酸化窒素は反応性が激しい分子になっています。


q01−047

希釈後の水素イオン濃度で、水の電離が無視できないのは?

質 問
 塩酸などを希釈して塩化水素からでた水素イオン濃度がかなりうすくなると、水の電離による水素イオン濃度が無視できくなりますよね。つまり例えば希釈後、塩化水素由来の水素イオン濃度が10^-8 とかになったときは確実に、水の電離の影響も大きくなりそれを計算に入れなければならないわけです。
 このように塩化水素由来の水素イオン濃度が10^8 以下ならすぐ水の電離が無視できなくなるとはっきりとわかりますが、その水の電離が無視できるできないの境はどの程度なのでしょうか? 塩化水素由来の水素イオン濃度が10^5 くらいでしょうか?


説 明
 「pHが5の水溶液を純水で1000倍に希釈した。そのpHはいくつか。」というような問題があります。水素イオン濃度が純水より小さくはならないので、pHは7に近い数値になります。常識的には、水の水素イオン濃度を無視して計算した希釈後の水素イオン濃度が、10^-6 mol/lより小さくなるときは影響があると考えます。
 もうすこし正確に見てみましょう。水素イオン濃度がc[mol/l]の水溶液を純水でn倍に希釈するとします。pHが7に近い領域を考えていますので、弱酸の場合でもすべて電離しているとします。すると希釈後の酸由来の水素イオン濃度はc/n[mol/l]となります。そしてこの状態を、純水にこの水素イオンが加わって次の平衡が左に移動していると考えます。
    H2O ←→ H^+ + OH^-
全体が1[l]として考え、10^-7 molの水素イオンがあるところへc/n[mol]の水素イオンが加わって水素イオンがx[mol]になったとすると、水酸化物イオンは
    (10^-7 + c/n − x)[mol]
減少するわけで、残る水酸化物イオンは
    (x − c/n)[mol]
になります。そして水のイオン積は一定ですから
    x(x − c/n)= 10^-14
という関係式が成り立ちます。この2次方程式を解くと
    x = [(c/n)+{(c/n)^2 + 4×10^-14 }^(1/2) ]/2
となります。Xは正の数値ですから、ルートの前はプラスを選びます。
 具体的に水素イオンが10^-5 mol/l(pHが5)とし、希釈倍率を変えて計算する(すこし近似計算する)と
  n=10  では  x=10^-6 mol/l
   =100      =1.6×10^-7
   =1000     =1.05×10^-7
となります。


q01−048

アミドがもとのカルボン酸とアミンにもどる反応は起こるのか

質 問
 アミンとカルボン酸からアミド結合するとき脱水しますよね。その反応の逆は起こるのでしょうか? つまり「アミド化合物に加水分解するとアミンとカルボン酸ができる」という反応は起こるのですか?


説 明
 すべての化学的変化は条件によって逆向きにも進行します。私が生徒に実験させているのは、塩化アンモニウムの分解と再生成です。試験管にこの物質を入れ、ユニバーサル試験紙を添え、水平にして加熱すると、しだいに量が減っていくとともに、試験紙の一部がアンモニアのために青や紫色に、他の部分が塩化水素のために橙や赤色になり、そして加熱部から離れた試験管の壁に白色の固体がしだいに析出してきます。つまり次の反応が、高温では右向きに、低温では左向きに進行することを示しています。
    NH4Cl ←→ NH3 + HCl
考えてみると、水素と酸素の混合気体に点火すれば水が生成し、水に水酸化ナトリウムなどを溶かして電気分解すればもとの水素と酸素にもどります。また、融解と凝固は逆向きの変化ですし、溶解と析出もそうです。そしてそのことを前提にして、化学Uでは「化学平衡」の理論を学習します。
 アミドの加水分解で一番身近なのは、栄養素であるタンパク質の消化でしょう。タンパク質はたくさんのα−アミノ酸が脱水によって連結した分子です。アミノ酸にはアミノ基(−NH2)とカルボキシル基(−COOH)があり、次のように隣どうして脱水して次々にアミド結合ができます。

         H            H            H
         |            |            |
  ・・ H2N−C−COOH + H2N−C−COOH + H2N−C−COOH ・・
         |            |            |
         R1           R2           R3
            H      H      H
            |      |      |
  ←→ ・・ −HN−C−COHN−C−COHN−C−CO− ・・
            |      |      |
            R1      R2      R3
              H2O     H2O    H2O

タンパク質のアミド結合はとくにペプチド結合と呼ばれますが、タンパク質はアミドの一種です。それが食物として摂取されると、胃液の塩酸とタンパク質消化酵素のペプシン、膵液のキモトリプシン、腸液のアミノペプチダーゼなどによってしだいに加水分解され、もとのアミノ酸に分解されて小腸のじゅう毛から吸収されます。


q01−049

なぜ酢酸と水酸化ナトリウムの滴定でメチルオレンジが使えないか

質 問
 今日、化学の実験で「pH曲線」の実験をしました。
(1)ビ−カ−に0.1モル/リットルの塩酸を、ホ−ルピペットを使い10ミリリットル計りとる。フェノ−ルフタレインを1滴加える。
(2)ビュレットに0.1モル/リットルの水酸化ナトリウムをセットする。
(3)1)のビ−カ−にpHメ−タ−を入れて測定を行う。
(4)ビュレットより水酸化ナトリウムの水溶液を1ミリリットル滴下しpHの測定を行う。
(5)水酸化ナトリウムの滴下量が15ミリリットルになるまで繰り返す。
 それでこの結果をグラフ化するんですけど、グラフの書き方がわかりません。先生に、参考書とかに「pHのグラフの書き方が書いてある」と言われたのですが、見つかりませんでした。どーいう所を注意して書けばいいのですか?
 それと酢酸の中和滴定に指示薬としてメチルオレンジが使用できなくて、塩酸でメチルオレンジが使用できる事は何故でしょうか・・・?


説 明
 まず中和滴定におけるpH曲線のグラフですが、横軸に滴下量、縦軸にpHを目盛ります。実験から分かると思いますが、中和点あなたの場合は10ml、の付近でpHが大きく変動します。その付近をくわしく描くようにします。だから実験でもこの付近はたとえば0.1ml刻みにするとよいのです。そして中和点が中性つまりpHが7か、それより大きいか小さいかに注意します。別の言い方をすると、pHが7になるのは中和点なのかそれより前なのか後なのかに注意します。
 次に指示薬の問題です。それは酢酸と塩酸をそれぞれ水酸化ナトリウム水溶液で滴定して、正確なpH曲線が得られたなら、それに基づいて結論が出せます。あなたは酢酸の方のグラフは手元にあるわけですね。それを見ると中和点のpHは7より大きくなっているはずです。メチルオレンジの赤色から黄色への変色が確認できる変色域はpHが3.1〜4.4です。しかしこの領域ではpH曲線は中和点より前にずれています。これでは指示薬としての役割を果たせません。この中和滴定にふさわしい指示薬は変色域が8.0〜9.8のフェノールフタレインや、変色域が6.0〜7.6のブロモチモールブルー(BTB)です。
 さて塩酸と水酸化ナトリウムのpH曲線ですが、これは強酸を強塩基で中和する場合としてほとんどの教科書に載っているはずです。それを見ればよいのですが、グラフの特徴は中和点付近でpHが大きく変動して曲線は長く立っています。中和点はpH7ですが、メチルオレンジの変色域もほとんど中和点に一致しています。こうして強酸と強塩基の中和滴定では指示薬は選ばなくてもよいのです。
 ここまで説明するとあなたは
(1)どうして中和が中性にならないことがあるのか
(2)どうしてpH曲線が弱酸と強酸では異なるのか
という疑問を抱くかもしれません。前者はもうすぐ授業に出てくる可能性があります。後者の疑問は化学Uで「化学平衡の理論」を学習するまで残しておく必要があります。


q01−050

クロロメタンを、どうしてクロロメチルと言わないのか

質 問
 有機の命名法について質問です。なぜ CH3Cl はクロロ『メタン』なんでしょうか? クロロメチルとはなぜ言わないのですか? メチル基がついてるのだから、クロロメチルのほうが自然だと思うのですが・・・いまいち命名法がわかりません。
 CH3NO2 とかも、なぜニトロメタンというのでしょうか? ニトロメチルではなぜないのでしょうか? 同じようなものでも CH3NH2 の場合、メチルアミンと言いますよね。
 このように CH3− をメチルというのかメタンというのか、その基準が何なのか教えてもらえないでしょうか?


説 明
 無機化合物では物質を陽性部分と陰性部分の2つに分けて命名するのが基本になっています。たとえば塩化ナトリウム、二酸化炭素という具合です。ちなみに日本名は陰性部分から始める習慣になっていますが、英語は Sodium Chloride、Carbon Dioxide と陽性部分から始めます。
 有機化合物については、比較的単純な化合物の中にこの命名法を引き継いでいるものがあります。たとえばあなたが上げている CH3Cl は塩化メチル(Methyl Chloride クロロメチルではない)、CH3COONa は酢酸ナトリウム(Sodium Acetate)というようです。
 しかしこれには限界がありますので、置換基法(と言うのかな)で命名するようになっています。それは基本物質の水素がどんな原子団(基)で置き換えられているかを示す方法です。たとえばクロロメタン(Chloromethane)はメタンの水素ひとつを塩素で置き換えた化合物という意味です。クロロは塩素を表します。2つ置き換えた CH2Cl2 はジクロロメタン(Dichloromethane)です。ジ(di)は2を表します。とくに国際純正応用化学連合(IUPAC)が決めている有機化合物の命名法(これに従った名称を組織名という)はこの置換基法を基本にしており、従来の慣用名をこの組織名に切り替えていこうという機運があります。ここでは置換基の呼び方を記憶する必要があります。
 これでニトロメタンも解決しますので、次にメチルアミンに移ります。実は1000万種を越える有機化合物を前に、国際純正応用化学連合も多くの有機化合物に従来の慣用名を追認しているのが現実なのです。アミンもその部類ですが、その命名法は無機化合物と同じではありません。あなたも学習したように、アンモニアを基本物質とし、その水素がどんな置換基に代わっているかを示し、基本物質部分はアミンと呼びます。CH3NH2 はアンモニアの水素ひとつがメチル基で置き換えられた化合物というのでメチルアミンですね。そしてもし前の組織名で呼ぶなら、−NH2 はアミン基ではなくアミノ基ですから、アミノメタンという名称であるはずです(実際には使いませんが)。
 率直なところ有機化合物の名称は、規則性もありますが、最後は英語の単語のように記憶するしかないと思います。




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