(林 正幸)


 ひとつ前の質問(q01−030)に戻る。


q01−031

蒸気圧曲線とその上の領域について説明してください

質 問
 飽和蒸気圧曲線ってありますよね? あの曲線の上(液体部分)には普通ならない、つまり蒸気圧は飽和蒸気圧をこえる事はないと参考書に書いてありました.
 これは 気体は液体になれない?!ということですか? よくわからないのです。また蒸気圧曲線の上はなぜ液体となるのですか?


説 明
 「状態図」というものはなれないと分かりにくいと思います。一般に純粋な物質(あるいは濃度の決まった混合物)の、気体、液体、固体といった状態は、温度と圧力が定まればそれに応じて決まってきます。圧力に関しては、液体の沸点が正確には圧力がいくつのときの数値であるかを示すことを思い出してください。温度の影響はよく知られているように、高くなるにつれて固体、液体、気体と変化します。圧力の影響は、大きくなるにつれて気体、液体、固体と変化します。これも考えてみれば納得がいくことです。したがって状態図では、左上が固体領域、右下が気体領域となります。
 なお圧力が小さいときには、温度を高くすると固体は直接に気体になります。昇華です。昇華はヨウ素やドライアイス(二酸化炭素)が有名ですが、すべての物質が昇華するのです。たとえば水も圧力が1.95mmHgのときには、温度がより低いところから−10℃まで高くなると昇華します。こうして状態図では左下で固体領域と気体領域が直接に接します。
 その上で水を例にして液体と気体の境界線が持つ意味を考えてみましょう。たとえば温度が20℃、圧力が17.5mmHgの点はこの境界線上にあります。境界線上の点というのは、その温度、圧力では液体と気体が共存できることを意味します。つまり20℃では液体の水は17.5mmHgの圧力を示す水蒸気と共存できるのです。そして液体と共存する気体は飽和状態になっています。したがて液体領域と気体領域の境界線は(飽和)蒸気圧曲線に他ならないのです。
 それでは、圧力が加減できるようにピストン付きのシリンダーに液体の水を入れることにします。20℃においてピストンによって内部に17.5mmHgの圧力がかかるようにしておくと、液体の水が蒸発して水蒸気の圧力が17.5mmHgになったところで変化が止まります。次にピストンによる圧力を20mmHgにします。するとこの温度、圧力では水蒸気はすべて凝縮して液体の水になってしまいます。次にピストンによる圧力を10mmHgにします。これでは水蒸気は飽和蒸気圧ではないので、液体の水の蒸発が起こります。しかし水蒸気が増加しても圧力が10mmHgに調節されているので、水蒸気の体積は増加しても水蒸気の示す圧力は10mmHgのままです。こうしてこの温度、圧力ではすべての水が蒸発して水蒸気のみになります。
 こうして「蒸気圧は飽和蒸気圧をこえる事はない」という意味は、20℃においては20mmHgの圧力を示す水蒸気は存在できず、すべて液体の水になってしまうということです。


q01−032

有効数字は計算途中ではどう扱えばよいか

質 問
 林先生は 有効数字についてどのように扱っているのでしょうか? といっても最終的に 有効数字の−1桁を四捨五入する という当たり前の話しではなくて 『計算途中』にたまに けっこう長く桁数がでてきてしまう事がありますね。そのようなとき 省略したり 四捨五入したりとか しますか?
 たとえば有効数字2桁のとき P=2.5555 とか『計算途中』にでてきて このPをつかってこれから ボイル・シャルルの式でもたてたいなー と思った時 林先生は このP=2.5555をそのまま式につかうのですか?
 参考書をみると ところどころ『計算途中』で四捨五入しているようにおもわれるのですが その基準がわかりません。 有効数字−2桁は四捨五入してよいとか そのような基準は存在するのでしょうか? 先生は どうやっていますか?


説 明
 理科では、誤差を伴う数値を扱います。そのもっとも初歩的なのが「有効数字」という扱い方です。有効数字とは測定できた数字、または誤差が小さいと考えられる数字のことです。たとえば4570という数値の有効数字が3桁であるとは、7に含まれる誤差が±1とか、高々±4以下であるという意味です。有効数字の扱いは加減計算と乗除計算を分けて考える必要があります。
 加減計算の結果は、もとの有効数字の桁の大きい方にそろえます。たとえば有効数字3桁の3750に、有効数字2桁の3400を加えるときは、得られる7150の第2位を四捨五入して有効数字が2桁の7200とします。もし3400を減ずるなら、有効数字は1桁の400になります。
 乗除計算の結果は、もとの有効数字の小さい方の有効数字にします。たとえば有効数字が3桁の3.24に、有効数字が4桁の3.683を乗ずるときは、得られる11.93292の小数2位を四捨五入して11.9とします。除するときも同じです。
 さていくつか計算を重ねて答を求める場合はどうでしょうか。もともと有効数字は大ざっぱな扱いですので、計算の途中も上のルールに従うと本来は意味のある部分も失われてしまいます。したがって計算途中では、あなたが書いているように結果の有効数字が1桁大きいとして計算をしていきます。たとえば上の数値の、3750に3400を加えた数値を、3.24に3.683を乗じた数値で除するときは、
    7200/11.9=605.・・・
から答を有効数字2桁の610とするのではなく、
    7150/11.93=599.・・・
から答を有効数字が2桁の600(あるいは 6.0×10^2 )とします。そして注意力があるなら、答の有効数字は2桁ですから、除する数字は3桁にして
    7150/11.9=600.・・・
から答を有効数字2桁の600とする方が合理的でしょう。


q01−033

弱酸と弱塩基の中和すると何性になるか

質 問
 強酸と強塩基の中和反応は 正塩ができてたなら中性 酸性塩ができてたなら酸性 塩基性塩ができてたなら塩基性。そして弱酸と強塩基の中和反応なら塩基性 強酸と弱塩基の中和反応なら酸性 ですよね。
 ここで単純かつ素直に思いつくのが 弱酸と弱塩基の中和反応は何性なのか? ということです。どの参考書をさがしても かならずこれについてのっていません。弱酸と弱塩基が反応するとどうなるのでしょうか?


説 明
 すべての反応にはその逆向きの反応が存在します。したがって(閉鎖系では)化学反応が完結することはないわけです。したがって反応が停止した状態は、正確には平衡状態と呼ばれます。酸と塩基の中和反応には、塩の加水分解という逆反応が存在します。中和反応はその逆反応に比べて進行しやすいのですが、完全に塩と水になってしまうのでなく、とくに酸と塩基の一方ないし両方が弱い場合はいくらか酸と塩基が残ります。
 弱酸の酢酸と強塩基の水酸化ナトリウムの中和反応を考えてみます。
    CH3COOH + NaOH ←→ CH3COONa + H2O
等molの酢酸と水酸化ナトリウムを中和したとき、あるいは酢酸ナトリウムを水に溶かしたとき、いずれの場合も少量の酢酸と水酸化ナトリウム(等mol)が存在します。このうち、酢酸は弱酸ですからそれがさらに電離しているのは無視できますが、これに対して水酸化ナトリウムは強塩基ですから、そのほとんどは次のようにナトリウムイオンと水酸化物イオンに電離しているはずです。
    NaOH ←→ Na^+ + OH^-
こうしてこの水溶液がすこし塩基性になる理由を理解できます。
 それでは弱酸と弱塩基の中和反応ではどうでしょうか。たとえば炭酸とアンモニアが中和反応して炭酸水素アンモニウムが生成する場合を考えてみます。
    H2CO3 + NH3 ←→ NH4HCO3
これは弱いながらも次の電離反応のどちらが起こりやすいかに依ります。
    H2CO3 ←→ H^+ + HCO3^-
    NH3 + H2O ←→ NH4^+ + OH^-
それは電離定数(平衡定数のひとつ)として与えられます。
    炭酸      4.5×10^(-7)[mol/l]
    アンモニア   1.7×10^(-5)[mol/l]
こうしてこの水溶液はわずかに塩基性となります。しかしこれは「わずか」な話です。


q01−034

炭酸ナトリウムと塩酸の反応を中和と呼べるか

質 問
 中和の定義は 塩基が出した OH^- と酸がだした H^+ が水を作り出す事と参考書にかいてありましたが 二段滴定で有名な第1番目の反応
    Na2CO3 + HCl ―→ NaHCO3 +NaCl
という反応がありますね。これの塩基 Na2CO3 には水酸化物イオンが含まれていませんね。それなのにこの反応が終わる所を第一中和点といいますよね。水酸化物がない塩基との反応なのにこの反応は中和反応といえるのでしょうか?


説 明
 酸、塩基に関しては色々なとらえ方があるのです。高校のベースは「アレニウスの定義」です。つまり、酸は水に溶けて水素イオンを生成するものであり、塩基は水に溶けて水酸化物イオンを生成するものです。したがってあなたが書いているように、中和反応は水素イオンと水酸化物イオンが反応して水が生成することになります。
 しかし自然は複雑であって、ひとつのとらえ方で完璧ということはあり得ません。「石ころひとつも汲み尽くせない」という言葉があります。つまり酸と塩基に関しても別のとらえ方が必要であり、高校の教科書では「ブレンステッドの定義」が紹介されています。これは、水素イオンを失うものを酸、それを得るものを塩基と定義します。このとらえ方では中和反応は水素イオンのやり取りになります。この視点からすると
    Na2CO3 + HCl ―→ NaHCO3 +NaCl
という反応は、塩酸が水素イオンを失い、炭酸ナトリウムがそれを得ているので、中和反応であるわけです。
 さてはじめにも書いたように、高校ではアレニウスの定義をベースに説明が展開されています。ですからこのような反応を中和と扱うときは注釈があるべきだと思います。


q01−035

食塩水の濃度が高いほど鉄くぎはさびにくいですか

質 問
 友人の子供に頼まれて調べ事をしていてページに辿り着きました。早速ですが、是非教えていただきたいことがあります。
 質問を受けた子供さんは中学生で夏休みの自由研究にと鉄の錆の生成について調べているようです。水道水単独と、2.5%刻みで2.5%から10%まで濃度を変えた食塩水に鉄釘を入れてどれがよく錆びるかの実験らしいのですが、予想では食塩水の濃度の濃いものほどよく錆びるだろうと思っていたのが、実験では水道水単独と濃度の一番薄い食塩水がよく錆びて、濃い食塩水ではそれほど錆びないらしく、なぜかわからないし、実験が失敗なのかと質問を受けたのです。いかがなものでしょうか。
 またもうひとつ食塩水以外に濃度は変えていないが、酢なども試してみているようです。水道水単独や食塩水とは違った錆び方をしているとのこと、これについては塩素と酸とで鉄の腐食の仕方が違うのだろうと予想しますが、この点もいかがでしょうか。


説 明
 食塩水に浸けた鉄くぎが、食塩の濃度が高くなるとさびにくくなる、というのは事実です。より正確には3%まではさびやすくなり、それを越えるとしだいにさびにくくなります。
 水のあるところでのさびは「湿食」と呼ばれるのですが、次のように電子やり取り反応が起こるのです。
    Fe ―→ Fe^2+ + 2e^-
    4e^- + 2H2O + O2 ―→ 4OH^-
ここで Fe^2+ は2価の鉄イオンを、e^- は電子を、OH^- は水酸化物イオンを表します。つまり鉄は水と空気に接すると、まず鉄が鉄イオンになって電子を失い、水と空気中の酸素が共同でその電子を得て水酸化物イオンになるのです。ただし2価の鉄イオンと水酸化物イオンは結合して鉄の表面に水酸化鉄(U)として付着します。これは水酸化鉄(U)が水に溶けにくい物質であるためです。しかしこれで終わりではありません。水酸化鉄(U)はさらに酸素と反応して複雑な化合物になっていき、ときにかなり緻密なさびの被膜となって内部の鉄を保護し、それ以上のさびの進行を抑えることもあります。
 そこに食塩、とくにその中の塩化物イオンが溶けていると、この被膜を破壊するようです。だから海岸近くや、あるいは凍結防止剤(融雪剤)をまいた道路は鉄がさびやすくなります。後者は塩化カルシウムで塩化物イオンが含まれるのです。
 ところが食塩水の濃度が高くなると、空気中の酸素が溶け込みにくくなるのです。すると電子を得る方の反応が起こりにくくなります。これがさびの進行を抑えるのです。
 子どもに対しては、鉄のさびが水と空気中の酸素で起こること、食塩の濃度が高くなると酸素が溶けにくくなりさびが抑えられることを説明すればよいと思います。
 酢に浸けた鉄くぎでは上とは異なる次のような電子やり取り反応が起きます。
    Fe ―→ Fe^2+ + 2e^-
    2e^- + 2H^+ ―→ H2
酢は酸性で水素イオン H^+ を含みますので、それが電子を得てゆっくりと水素が発生します。この場合も2価の鉄イオンがさらに酸素と反応していきます。そして表面に赤茶色の膜ができる可能性があります。
 なおこの文章の前半は、井上勝也著「さびの科学」(三省堂選書61)を参考にしました。


q01−036

なぜしょう油やドレッシングは冷凍庫でこおらないか

質 問
 わたしは中学1年です。夏休みの自由研究で氷のことについて調べています。解からないことがありました。
 それは,醤油や,ドレッシング,油が家の冷凍庫でこうらせようとしましたが、こうりません。なぜでしょうか教えてください。


説 明
 「こおる」というのは液体が固体になることですね。正確には凝固と言います。そしてその温度を凝固点と言います。凝固点は物質によって異なり、知っているように水では0℃です。しかし食用の油は別の物質で、その凝固点はもっと低いのです。したがって油を冷凍庫でこおらせることはできません。
 それから水の凝固点が0℃というのは、純粋な水の場合です。水に他の物質が溶ければ溶けるほど、その凝固点は低くなるのです。たしかにしょう油やドレッシングには水が含まれていますが、他の物質が溶け込んでいます。したがってその凝固点は低くなっており、冷凍庫ではこおらせることができません。似た例では、冷凍庫の温度がそれほど低く設定してなくてアイスクリームがとけてしまうことがあります。
 もちろん他の物質が溶けた水でも、温度を十分に低くすれば凝固します。そして少なくともはじめのうちは水だけが凝固して、溶けた物質はしだいに濃くなり、さいごにすべて凝固します。冷凍庫でこおらせた飲み物が、溶けはじめは濃い味がすることを思い出してください。


q01−037

どうしてヨウ化カリウムのヨウ素はデンプンと反応しないか

質 問
 ヨウ素ヨウ化カリウムにデンプン水溶液を混ぜると青紫色に変化するのに、ヨウ化カリウムとデンプン水溶液を混ぜても変化が見られません。なぜなのか教えてください。
 ヨウ化カリウムはKI、ヨウ素はI2、ヨウ化カリウムにもヨウ素の要素であるIが含まれているワケですから、反応するはずではないでしょうか。


説 明
 結論から言うと、ヨウ素とヨウ化カリウムは別の物質であり、デンプンと反応して青紫色になるのはヨウ素の方だからです。
 しかしこれでは納得できないでしょう。水を例にします。水は水素と酸素が化合してできます。それなら水は水素と同じように常温で気体でしょうか。水の中の紙切れに火をつけると酸素中のように激しく燃焼するでしょうか。
 物質が化合して別の物質になると、できた物質はもとの物質とはまったく異なる性質を持つようになります。これは質的変化と呼ばれ、このことは化合に限らず、自然の根本的な特徴です。
 私たちはものごとを理解するのに、部分の性質を足しあわせて済むと考えがちです。それは部分どうしが互いに大したつながりを持たない場合には成功します。たとえは窒素と酸素の混合している空気の性質は、窒素の性質と酸素の性質からおおむね理解できます。空気中でも燃焼は起こり、それは酸素中の燃焼の何分の1かの激しさです。しかし上の例のように、水素と酸素が化合してできる水の性質はまったく異なってきます。
 自然について学ぶときには、要素に分けて理解することも大切ですが、それ以上に全体をひとまとめにしてその性質を理解する姿勢を忘れないようにする必要があります。ヨウ化カリウムの性質はヨウ化カリウムそのものの性質なのです。


q01−038

なぜ発熱反応では生成物質の温度は下がらないのか

質 問
 なぜ発熱反応は温度があがるのでしょうか? 単純に考えると発熱反応とはエネルギーレベルが下がる事ですよね? つまり
  A=B+Q (Q>0)
のとき エネルギーレベルはA>Bですよね。だったら発熱反応なら単純に温度が下がると僕はおもってしまうのですが なぜ実際には温度があがるのでしょうか?
 また同様の考えで 吸熱反応なら温度が上がりそうなものなのになぜさがるのでしょうか?


説 明
 まず物質が持つエネルギーのイメージをつくりましょう。物質は温度に応じた激しさで熱運動をしています。常温でもこれは直線運動に直すと1秒あたり数100メートルのスピードです(分子量にも依ります)。だから運動エネルギーを持っています。これは熱エネルギーの正体です。
 そして位置エネルギーの意味を考えてみましょう。地上では高い位置にある物体の位置エネルギーが大きいと言います。これは宇宙的視野でみると地球と物体が見えてきます。引き合う物体どうしは離れていると位置エネルギーが大きいということなのです。つまり物質は原子やイオンが化学結合で引き合っており、また分子どうしは分子間力で引き合っているので、位置エネルギーを持っているのです。
 それぞれの物質は異なる大きさのエネルギーを持っており、また同じ物質でも温度や存在状態によって、そのエネルギーの大きさは違ってきます。
 次に化学反応が起こり、まわりとエネルギーのやり取りをすることを考えましょう。物質が反応して別の物質に変化すると、上に説明したように物質が持つエネルギーも変化します。反応物質に比べて生成物質が持つエネルギーが小さいときには、エネルギー保存の法則から、余分なエネルギーを熱エネルギーとしてまわりに与えます。これが発熱反応です。反対に生成物質が持つエネルギーが大きいときは、不足するエネルギーをまわりが持つ熱エネルギーから奪います。吸熱反応です。
 ここで注意があります。物質が持つエネルギーはその温度によっても異なりますので、反応熱は反応物質と生成物質が同じ温度であるときの数値としています。標準的には25℃が選ばれます。現実には発熱反応では熱エネルギーの一部は生成物質自身が得て温度が上昇します。そこでその熱エネルギーをまわりに与えて反応物質が25℃になるのを待って、それまでにまわりに与えた熱エネルギーを反応熱としているのです。これで発熱反応の正確な意味が分かったでしょう。吸熱反応でも同様です。
 あなたは物質の持つエネルギーが熱エネルギーのみであると考えているようです。したがってエネルギーが小さければ物質の温度も低いことになるのでしょう。しかし上に書いたように物質は位置エネルギーも持っているのです。分かりやすい例を上げましょう。0℃の氷が融解するとき、温度が変わらないのに融解熱と呼ばれる熱エネルギーを奪っています。ただし融解とか蒸発という変化はかなり複雑ですから、これ以上は深入りしないようにしましょう。


q01−039

水素の発生量が計算値と異なる原因は?

質 問
 僕は中学3年です.マグネシウムリボンと希塩酸を二股試験管で水上置換をつかって反応させる実験をや りました.この時に、水素100ml反応させるのに必要なマグネシウムの量を計算し、実験との違いをまとめるという実験をやりました.
 僕達がやったものは、
    Mg + 2HCl ―→ H2 + MgCl2
と計算したので、0.1083・・・となったのですが、実際に実験をしてみると
    1回目 116 2回目 112 ml
となりました.この差はどこから生じるのでしょうか?


説 明
 中学3年で難しい勉強をしているのですね。君たちは多分、反応するマグネシウムと発生する水素の物質量が同じであり、マグネシウム1molが24.3gであり、水素1molが22.4[l]であることを使って、水素1[l]を発生させるのに必要なマグネシウムが0.1083・・・gであると計算したと思います。
 ところで気体1molが22.4[l]であるのは、温度が0℃で圧力が1atm(気圧)のときです。しかし実験で発生する水素の温度は20℃くらいになります。その分だけ体積が膨張しています。気体の膨張に関してはシャルルの法則が成り立ちますので、もしその法則が解れば計算ができます。もうひとつの問題は水素を水上置換で捕集していることです。もしそうなら水蒸気が加わった体積になります。これも「ドルトンの分圧の法則」が解れば計算できるのですが、こちらはすこし難しいと思います。


q01−040

炎色反応をコバルトガラスで観察する理由は?

質 問
私は北海道に住む大学生1年生です。
 実は先日、学校で無機化合物の定性分析の実験を行ったのです。その前段階として炎色反応を行いました。カリウムとバリウムについて行ったのですが、そのときに肉眼の他にコバルトガラスを通しても見たんです。しかし、コバルトガラスを通して見る理由が分からなく、いまいち実験の意図がつかめなくて困っています。くだらない質問かもしれませんが、コバルトガラスの性質などを教えて頂けないでしょうか?


説 明
 カリウム元素の炎色反応は赤紫色ですが、これにナトリウム元素の炎色反応の黄橙色が重なると観察がしにくくなります。と言うのは、ナトリウム元素の炎色反応は強くかつ食塩のようにどこにでもあり、この妨害が入り込みやすいのです。コバルトガラスはちょうどその黄橙色の光を吸収し残りを透過するので、カリウム元素の赤紫色が観察しやすくなるのです。ちなみに、コバルト色(青紫色)は黄橙色の補色になっています。
 なおバリウム元素の炎色反応は(黄)緑色ですが、この観察は容易にできます。




 ひとつ先の
質問(q01−041)に進む。



林 正幸と主万子の始めの ホームページ(to our initial Home Page) にもどる。