(林 正幸)
ひとつ前の質問(q00−036)に戻る。
q01−001
冷たい水溶液を加熱して水酸化鉄(V)コロイド溶液になるか
質 問
塩化鉄(V)溶液はなぜ熱水とじゃなきゃ水酸化鉄(V)コロイド溶液にならないのですか? あと、冷水と混ぜて加熱したら同じようなものになったのだけど、これは本当に同じなんでしょうか?
説 明
一般に化学反応は温度が高いほど速く進みます。大まかには10℃高くなると2倍になります。ですからたとえば20℃と100℃では2の8乗、つまり二百数十倍も速度が違います。塩化鉄(V)の加水分解反応
FeCl3 + 3H2O ―→ Fe(OH)3 + 3HCl
も常温ではかなり遅いと考えられます。
ですから水に塩化鉄(V)を加えてから加熱しても、結果は同じになるでしょう。私も試してみましたが、温度が高くなるにつれて赤褐色が濃くなっていき、生成した溶液は暗所でチンダル現象を示しました。
q01−002
酢酸エチルのけん化速度はどのように計測すればよいか
質 問
今度、酢酸エチルと水酸化ナトリウムを使って、反応速度の測定の実験を行いたいと思っています。どのように行えばよいのでしょうか? 酢酸エチルにどれだけの量を加えれば良いのでしょうか? 加えると、見た目にはどのような変化がありますか? 反応後の酢酸エチルの濃度はどのように測定するのですか?
<確認の返事>
反応速度を測定したいということですが、どんなイメージを持っていますか。反応速度は均一溶液において、反応物質がそのモル濃度を単位時間当たりどれだけ減少させるか、あるいは生成物質がそのモル濃度を単位時間当たりどれだけ増加させるか、で表します。しかし、酢酸エチルと水酸化ナトリウムなしし水酸化ナトリウム水溶液はほとんど溶け合いません。不均質系の反応速度の扱いはかなりやっかいです。それは混合の程度にも左右されます。
いったいどんな反応速度を測定したいのでしょうか。このあたりをはっきりさせてもう一度メールを送ってください。
<再度の質問>
お返事ありがとうございました。
酢酸エチルの濃度変化を測定して、反応速度を測ろうと思っています。酢酸エチルと水酸化ナトリウムは溶けにくいとのことですが、酢酸エチルにはどんな塩基性溶液がよいでしょう?
実験の課題は「酢酸エチルと塩基性水溶液の反応速度の測定」ですので、水酸化ナトリウムでなくてもよいのです。けん化の反応になると思うんですが、けん化は見た目に分かる反応なのですか?
説 明
「酢酸エチルと塩基性水溶液の反応速度の測定」という課題が与えられたということですね。それがどのような性格のものかは分かりませんが、できるだけ自分で考えることが望まれます。その参考になることを書きましょう。
まず単純に反応が進行していくことを実感するだけでしたら、酢酸エチルが水酸化ナトリウム水溶液に溶けにくいことを利用できます。つまり小さいメスシリンダーか目盛付き試験管に、両者を入れて振り続けるのです。酢酸エチルの密度は小さいので上層になりますが、その体積変化をときどき調べるのです。反応させる量は物質量の計算を思い出してください。
もっと厳密に反応速度を計測しようとするなら、均質溶液で反応させる必要があります。メタノールなら酢酸エチルと水酸化ナトリウムの両方をある程度に溶解させることができます。酢酸エチルの濃度を定量するのは難しいので、水酸化ナトリウムの濃度が減少するのを追跡するのがよいでしょう。反応は温度が一定になるようにしてください。
いずれにしても先生の指導のもとで、実際に実験する中でその方法を探っていくのが本来です。どこかで情報を見付けて書き写すだけの課題でないことを願います。
q01−003
酸の強弱は共有結合のイオン結合性に関係あるか
質 問
化学がとても苦手なのですが、今の勉強には化学が重要なのですが、学校の授業はわかりにく、理解できず、簡単に書かれている本やホームページを見て自分で勉強しています。
授業で共有結合をするものは強い酸性を示す、と言われました。イオン結合性と関係があるらしいのですが、よくわかりません。友人の1人が酸の強さはイオン結合性とは関係ないとも言っていて。酸の強い、弱いを判断する基準も理解できていないのですが、教えていただけたら、と思ってメールをしました。
説 明
たとえは塩酸(塩化水素)は次のように水に溶けて電離して水素イオンを生じます。
HCl ―→ H+ + Cl-
そして電離して水素イオンを生じやすいものが強い酸です。
さて塩酸の水素と塩素は共有結合しています。それが水と次のように反応するのです。
HCl + H2O ―→ H3O+ + Cl-
ここで H3O+ はオキソニウムイオンは呼ばれ、これを簡単のために水素イオン H+ と表しています。したがって強い酸とは、水素を水に水素イオンとして与えやすいものということになります。
それではどんな酸が強いのでしょうか。それを化学結合から理解することは高校生の範囲を越えています。電気陰性度を勉強したはずです。この数値の差が大きい共有結合は極性を持ちます。塩酸では水素がいくらか正電気を持ち、塩素が同じだけ負電気を持っています。だから塩酸は強い酸である・・・? いやいやもっと極性が強いフッ化水素は弱い酸です。それは強い水素結合で水素を与えにくくなると説明されます。それでは水は・・・、これは中性です。アンモニアも塩酸より極性が強いのですが、知っての通りこれは塩基です。
ひとつ参考になることを教えます。硫酸(H2SO4)、硝酸(HNO3)、亜硫酸(H2SO3)、炭酸(H2CO3)など,多くの酸は酸素を含む酸です。このような酸素酸では、水素に対して余分に持つ酸素の個数が酸の強さを決めます。硫酸、硝酸は余分な酸素が2個であり強い酸です。亜硫酸、炭酸ではそれは1個であり弱い酸です。ちなみに過塩素酸(HClO4)は極めて強い酸であり、次亜塩素酸(HClO)は極めて弱い酸です。
こんなわけで、あなたの疑問はさらに勉強が進むまで取っておいてください。
q01−004
25℃において1gの水が気体になったときの体積は?
質 問
気になって調べていることがあります。なかなか、法則?がわからず、迷っている時にHPを拝見しました。1リットルの水(98度)を、加熱して気体になった時のボリュームは、いったいどれだけになるのですか? 室温は25度、大気圧下での出来事です。又いろんな状態での状態変化についても教えてください。
説 明
すべての気体がそれに従う「気体の状態方程式」という関係式があります。
PV = nRT
P:圧力
V:体積
n:物質量
R:気体定数 0.0821[atm・g/mol・K]
T:絶対温度
代入する数値の単位は気体定数のものを使います。圧力の単位atmは「気圧」と読みます。大気圧は気象によって変動しますがおおむね1atmです。圧力を水銀柱で示すことがありますが、1atm=760mmHgという関係があります。体積はgを使います。物質量の単位はmolです。1molはその物質の分子量にg(グラム)を付けた量と定義されています。たとえば水の分子量は18ですので、水1molは具体的には18gです。一般に分子量がMの物質w[g]の物質量は w/M[mol]です。絶対温度の単位Kは「ケルビン」と読みます。絶対温度は、摂氏温度[℃]に273を加えたものです。たとえば25℃は298Kです。この関係式は混合気体でも成り立ちます。ただしそのとき分子量が必要なら、平均分子量を使います。
それでは25℃、1atmの下で1.18gの空気の体積は何gでしょうか。空気の平均分子量は28.9です。
V = nRT/P =(1.18/28.9)×0.0821×298/1
= 0.998・・・ = 1
つまりこの条件における空気の密度は1.18g/gということです。
1gの水の質量はほぼ1000gです(密度が1g/g)。それでは25℃、1atmの下で1000gの水蒸気は何gになるのでしょうか。この場合水の温度が何℃であるかは関係ありません。知りたいのは水蒸気の体積であり、その温度が必要だからです。
ところがこれで後は計算するだけと考えると間違いです。1atmの下では水は100℃で沸とうします。したがってそれ以下の温度においては純粋な水蒸気は存在しません。存在するのは空気と混合した水蒸気です。25℃で水が沸とうするのは圧力が23.8mmHg=0.0313atmの下においてです。こうして25℃、0.0313atmの下での1000gの水蒸気の体積なら次のように計算できます。
V = nRT/P = (1000/18)×0.0821×298/0.0313
= 43425.・・・
1m^3=1000gですから、43.4m^3(立方b)となります。
q01−005
食酢にフェノールフタレインを滴下したときの白いものは何か
質 問
私は現在高校一年生で理数系の科に通っているのですが、今回中和滴定の実験レポートの提出があって参考にさせていただきました。
中和滴定の実験で食酢にフェノールフタレイン水溶液を数滴落としたとき、沈殿というほどではないのですが、少し白いスジのようなものが現れました。フェノールフタレインは塩基としか反応しないと思っていたのですが、どうして白いものができたんでしょうか?
いろんなホームページを検索したのですがなかなか答えが見つかりません。よければ教えて下さい。
説 明
フェノールフタレインの構造式は複雑ですが、これは2価の弱酸で
H2〔C20H12O4〕
とまとめることができます。そしてあなたが書いているように、これは塩基と次のように反応します。
H2〔C20H12O4〕+ 2OH- ―→ 〔C20H12O4〕2- + 2H2O
(A) (B)
そして(A)は無色で(B)が赤色ですので、フェノールフタレインは塩基性で赤色に変わるのです。参考までに、これに酸を加えると次の反応で無色になります。
〔C20H12O4〕2- + 2H+ ―→ H2〔C20H12O4〕
このあたりは化学Uで化学平衡を勉強するとはっきりとします。
さて試薬のフェノールフタレインは(A)の形をした白色の粉末で、水に溶けにくい物質です。だから指示薬の溶液を調製するときは、これをエタノールに溶解し、10%ほどの水を加えます。それを酢酸のような酸性の水溶液ないし中性の水溶液に滴下すると、エタノールがまわりの水に拡散して、フェノールフタレインは水の中に取り残され、溶け切れずに白濁します。しかしやがてフェノールフタレインもまわりの水に拡散してなんとか溶けて無色透明になるのです。もちろん指示薬を加えすぎると白濁したままになります。ちなみに(B)の形のときは、これは塩ですので水によく溶けます。
q01−006
NaClを加熱すると結合が強くなってしまうか
質 問
NaClの結合についてお尋ねしたいのですが、NaClは加熱(60℃)によりその結合が強固なものとなる・・・という話を本で読んだことがあります。
ただ、その理由など理論的説明がなされていなかったため、どういう理由でそうなるのか、あるいはそれが事実なのか知りたく思っております。
これが事実であれば、天然の塩においても、煮詰めたものよりも天日で乾燥させたものの方が、体によいということではないかと思いまして・・・。
説 明
塩化ナトリウムはナトリウムイオン(Na+)という陽イオンと塩化物イオン(Cl-)という陰イオンが電気的引力で引き合い(これはイオン結合と呼ばれます)、両者が立体的に交互に規則的に並んだ構造をしています。他方で一般に物質をつくる粒子(この場合はイオン)は運動をしています。これは熱運動と呼ばれ、固体(結晶)の状態では粒子は決まった位置を中心に振動しています。そして温度が高くなることはこの熱運動が激しくなることなのです。
したがって温度が高くなることはイオン結合がゆるんでいくことです。そして塩化ナトリウムでは800℃になると、イオン結合がイオンを決まった位置に留めておくことができないほど熱運動が激しくなり、液体状態に融解します。
つまりあなたが書いているようなことはありません。
上とは別のことですが、食塩には少量の塩化マグネシウムが含まれていて、ほどよい苦味を与えています。そして食塩を焼くとこれが水に溶けにくい酸化マグネシウムに変化して苦味がなくなります。
q01−007
Mg粉と食塩水で水素をつくるのに、何を加えたらよいか
質 問
燃料電池用の水素発生に、マグネシウムと食塩水の反応から作りたいと要望があり、Mg粉を販売しましたが、HClを添加しないと水素発生しないと言われました。
島津理化で以前にMgペレットを販売していたのですが製造中止となり、そのパンフには触媒を添加してMg粉を固めているとありました。この触媒とは何が適当で、どの程度混ぜたら良いか、もしご存知でしたらお教え願います。
http://www.edu-c.pref.osaka.jp/kak/rika1/subj-db/db-50.htm
上記のHPに銅イオンが適当と書いてあるのは見つけましたが、薄学?なもので何が良いのか見当がつきません。
説 明
食塩水にマグネシウム粉(粒)を加えても、あまり水素は発生しません。それはもともとマグネシウムが次のように反応して水素が発生する速度が遅いためです。
Mg + 2H2O ―→ Mg(OH)2 + H2
そしてこのままでは食塩も電解質としてのはたらきをしていないと思います。
そこに硫酸銅のような銅イオンを含む物質を少量加えてやりますと次の反応によってマグネシウムの表面に銅が付着して局部電池が形成されます。
Mg + Cu2+ ―→ Mg2+ + Cu
この局部電池は負極がマグネシウム、正極が銅、そして電解質が塩化ナトリウムで、電極どうしはショートしています。するとマグネシウムの部分では
Mg ―→ Mg2+ + 2e- (1)
という反応が、そして銅の部分では
2e- + 2H2O ―→ 2OH- + H2 (2)
という反応が起こるようになり、反応速度が大きくなります。そして(1)と(2)の反応式を積み算すると、全体としては上と同じ反応が起きていることが分かります。
ところがこの反応には問題があります。生成する水酸化マグネシウムは水に溶けにくい物質で白濁し、マグネシウムの表面に付着して反応にブレーキを掛けると考えられます。水素ペレットは私も使ってみたことがありますが、あまり能率のよいものではありません。ちなみに水酸化マグネシウムは塩基性の物質です。
q01−008
大気中の二酸化窒素の計測法についての質問です
質 問
私は、大阪市に住む、**高等学校3年のものです。
質問というのは、二酸化窒素の汚染のことです。今、化学の授業で大気中の二酸化窒素を天谷式で量っています。そこで先生のホームページを参考にしたのですが、炭酸カリウム水溶液を作った時、五水和物が浮いていました。これはいいんでしょうか? また40%以下の濃度になってしまったのですが、どのくらい実験に影響するでしょうか?
本当はもう一度やり直したいのですが、この実験は先生は手を貸してくれないシビアなものなので、ここにたどり着くまでにいろいろ時間がかかってしまい、もう時間が残っていません。
あとザルツマン試薬を2度作った時、1回目は、薄いピンク色で、2回目は無色透明でした。何がおかしいんでしょうか?
すみませんが、もしお手数でなければご返答願います。良い文献も教えていただければ幸いです。
説 明
頑張っているようですね。
<引用>
炭酸カリウム水溶液を作った時、五水和物が浮いていました。
これはいいんでしょうか?
また、40%以下の濃度になってしまったのですが、どのくらい実験に
影響するでしょうか?
<以上>
五水和物が浮くという意味が分かりません。いずれにしても少々の濃度差は構わないと思います。ホームページに書いたように、炭酸カリウムは次の反応で二酸化窒素を捕集するためのものです。
2NO2 + K2CO3 ―→ KNO2 + KNO3 + CO2
ちなみに現在はトリエタノールアミンという物質をろ紙に染み込ませるようになっています。高校生には上の反応式の方が馴染みやすいと思いますが。
<引用>
あと、ザルツマン試薬を2度作った時、1回目は、薄いピンク色で、2回目は
無色透明でした。
何がおかしいんでしょうか?
<以上>
私が調製しても薄いピンク色になることが多かったです。これは薬品に含まれる不純物や溶液を調製するときのいくつかの条件が関係していると思われます。より精密には赤紫色の濃さは吸光度計というもので計測して数値を出し、大気に曝さないカプセルにザルツマン試薬を加え、それが示す数値を差し引くという方法が取られます(ブランクテスト)。
しかし高校ではそれは難しいことが多いので、単純な比色法を使っています。大気に曝した場合の色に比べて薄ければ無視しましょう。もともとこの測定法は気象の影響を受けるので、汚染濃度との関係はひとつの目安に過ぎません。授業で取り上げるとなると、複雑にすることは避けたいわけです。
ちなみにこの天谷式測定法は現在も改良が続いていて、カプセルを風の影響を受けにくい構造にしたり、平均気温の影響を補正したりしています。それに取り組んでいる私の知人の住所と電話を紹介しておきましょう。
(後略)
q01−009
大気中の二酸化窒素の計測法についての質問です(2)
質 問
質問というのは、天谷式の二酸化窒素採集の実験のことです。先生のホームページを参考にさせて頂いたのですが、カプセルをとりつけた日がちょうど雨になってしまい、日を改めてもう一度晴れの日にとりつけました。ところが、自分たちで検量線をつくり二酸化窒素の濃度を求めたところ、雨の日と晴れの日の結果に違いがでてしまいました。二酸化窒素の濃度は天気に関係があるのでしょうか?
また今回、学校内でこの実験をしたのですが、校舎の1階と4階で採取したところ1階のほうが二酸化窒素濃度が高くなりました。これはなぜでしょうか?
説 明
先日メールをもらった****さんと同じ課題に取り組んでいるのですか。
<引用>
雨の日と晴れの日の結果に違いがでてしまいました。二酸化窒素の濃度は天気に関係があるのでしょうか?
<以上>
そうです、二酸化窒素の汚染濃度は天候によって大きく変動します。雨が降ると大気中の二酸化窒素は水と次のように反応して
3NO2 + H2O ―→ 2HNO3 + NO
硝酸が生成して酸性雨となって地表に降り、一時的に洗い落とされるのです。
<引用>
学校内でこの実験をしたのですが、校舎の1階と4階で採取したところ1階のほうが二酸化窒素濃度が高くなりました。これはなぜでしょうか?
<以上>
工業地帯でない地域の窒素酸化物の汚染源は自動車ですので、交通量が多い幹線道路沿いがひどく汚染されます。そして地表付近ほど濃度が高くなります。また風の影響もあって、風が強いときは窒素酸化物は拡散して希釈されやすいのです。逆にいうと、天気が悪いどんよりした日は汚染がひどくなります。したがって雨の降り始めは、かえって汚染濃度が高い可能性もあります。
q01−010
なぜNaOHの質量を計って0.1mol/l水溶液をつくれないか
質 問
中和滴定の実験のレポートなのですが、その実験の時、疑問に思ったことがあります。最終的に酢酸の濃度を求める中和滴定をやったのですが、その前に0.1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を作るために、シュウ酸標準溶液で滴定しました。
「でも0.1mol/lにしたいなら、水酸化ナトリウムの化学式量が40なのだから、4gの水酸化ナトリウムに水を加えて1リットルにすればいいのでは。」
と思いました。でも実際にシュウ酸標準溶液で滴定して計算してみると0.1mol/lではありませんでした。いろんな図書館に行って調べましたが、それはなんでか結局分かりませんでした。教えてください。
説 明
水酸化ナトリウムは通常ペレット状のものをびんに詰めて販売しています。水酸化ナトリウムは水蒸気を吸収しやすく、ペレットを空気中に放置すると、すぐに表面がべたべたしてきて、やがて吸収した水に自らが溶けてしまいます。これは潮解性と呼ばれます。また空気中の二酸化炭素と次のように反応してしだいに炭酸ナトリウムになってしまいます。
CO2 + 2NaOH ―→ Na2CO3 + H2O
したがって通常の条件では水酸化ナトリウムを純粋なまま保管することはできないのです。こんなわけで水酸化ナトリウムの質量を正確に計っても目的の濃度にはならないのです。そこで、そのような心配がないシュウ酸標準溶液を調製し、それで正確な濃度を滴定して求めるのです。
ただし正確なモル濃度が分かれば、あらためて正確に水を追加して正確に0.1mol/lの水溶液にすることも可能です。実際にそのように調製した水溶液が販売されていて、それを実験に使用することもあります。もちろんそのような水溶液は空気に触れると、しだいに上の反応でその濃度が変化していくので、注意深い扱いが求められます。
ひとつ先の質問(q01−011)に進む。
林 正幸と主万子の始めの
ホームページ(to our initial Home Page)
にもどる。