キーワード
高校、化学、教材、自主編成、教科書、(高校化学、化学教材)

                                   02.3
                                   林 正幸

  6.溶液の性質

授業計画


時間      項 目                    備 考
 1   
1.水溶液     [a]水溶液
               [b]真水と食塩水     食塩水と玉子
               [c]水溶液の電導性    デモ実験
 2             [d]水に溶けやすい物質
 3   2.溶解度
 4   3.濃度      [a]モル濃度    0.5mol/lのショ糖水溶液
               [b]モル濃度の意味
 5             [c]パーミリオン濃度   1ppmモデル
               [d]生物濃縮
 6   実験1 浸透とゲル化
 7   4.凝固点降下と浸透[a]寒剤         デモ実験
               [b]凝固点降下の理由
 8             [c]沸点上昇
               [d]浸透
               [e]透析
 9   5.コロイド溶液  [a]寒天など       硫黄のコロイド溶液
                              とチンダル現象
               [b]コロイド溶液とチンダル現象
               [c]分散とブラウン運動
10             [d]凝析と電気泳動    水酸化鉄のコロイド溶液
                                と凝析

                  - 1 -

               [e]塩析と親水コロイド
               [f]ゲル化
11   宿題(演習)



























                  - 2 -

                                   No
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1.水溶液

[a]水溶液
[1]地球は(水の惑星)と呼ばれ、水は降雨などによって地表にもたらされ、河川・地
下水となり、湖沼や海洋を形成して、人間を含めて生物にとって重要な(環境)となって
いる。また生命は海で誕生し、そして体内に水を取り込んで生活を営んでいる。
[2]この水は純物質としてだけでなく、他の物質を溶解した(溶液)としても存在して
いる。溶液というのは(混合物)のひとつの形で、どの部分も(均一)であるという特徴
がある。溶液において、溶けている物質は(溶質)と、それを溶かしている液体は(
)と言う。そして溶媒が水である溶液は(水溶液)と呼ばれる。
参考:エタノールを40%ほど含むウイスキーのような例では、水でなくエタノールの方
   を溶媒と考えてもよく、溶質と溶媒の区別は絶対的でない。
[3]水はさまざまな物質を溶解する能力があり、それによってできる水溶液は真水には
見られない新しい(性質)を獲得する。そして水溶液になると物質は速やかに(化学反
)するようになる。
[b]真水と食塩水
 純粋な水と塩化ナトリウム水溶液では、その性質にどんな違いがあるだろうか。
問1 真水と食塩水を見分ける方法をできるだけ考えよう。
    食塩水はなめると辛い。
     〃  加熱すると白色の食塩が残る。
     〃  玉子が浮く。
     〃  真水を滴下するともやもやができる(シュリーレン現象)。
     〃  硝酸銀溶液を加えると白濁する(塩化銀の沈でんができる)。
     〃  炎色反応で橙黄色になる。
     〃  花を飾るとしおれる。



[c]水溶液の電導性

                  - 3 -

問2 実験のイラストを描け。

      

[1]真水はそうでないが、水に食塩を溶かすと(電導性)が生じる。これは塩化ナトリ
ウムが次のように陽イオンと陰イオンに分かれて溶解するためである。物質が電気を持つ
粒子に分かれることは(電離)と呼ばれる。
    ( NaCl −→ Na+ + Cl- )
        ナトリウムイオン 塩化物イオン
一般にイオン性物質(陽イオンと陰イオンで構成される物質)が水に溶けるときには電離
が起こり、水溶液に電導性が生じる。
[2]水に溶けて電導性が生じる物質は(電解質)と呼ばれる。この名称はそのような物
質の水溶液が電気分解できることに依っている。水に溶けやすい(イオン性物質)はもち
ろん電解質であるが、分子性物質(分子で構成される物質)の中で()と呼ばれる物質
も含まれる(8章参照)。
 これに対して水に砂糖(ショ糖)を溶かしても電導性は生じない。これはショ糖が(
)のままで溶解して、電離しないからである。このような物質は(非電解質)と呼ばれ、
これには酸以外の水に溶けやすい(分子性物質)が含まれる。ちなみに溶媒になっている
)も分子性物質である。
参考:2章ではイオン性物質は、融解して液体になると電導性が生じることを学習した。
[d]水に溶けやすい物質
[1]次にどんな物質が水に溶けやすいか考えてみよう。この答は簡単ではないが、溶解
現象に関しては「(似たもの)どうしは溶け合う」という法則がある。水に水はいくらで
も溶ける(?)ので、水に似たものも水に溶けるだろうと言うのである。しかし似ている
とは、どの点が似ているかが問題になる。
                         (続く)

                  - 4 -

                                   No

[2]塩化ナトリウムは水に溶けやすい。2章で学習したように、塩化ナトリウムは(
オン結合)しており、陽イオンと陰イオンの間に電気的引力がはたらく。また水分子は共
有結合しているが、そのヒドロキシル基は(極性)が大きい。つまり水素原子がいくらか
正電気を、そして酸素原子がいくらか負電気を持ち、水分子どうしの間にやはり(電気的
引力)がはたらく。

     

参考:イオン結合する水酸基は(水酸化物イオン)、共有結合する水酸基は(ヒドロキシ
   ル基)と区別される。
[3]したがって水溶液は左図のようになる。(ナトリウム)イオンに対して水分子は
酸素)原子を向けるために電気的引力がはたらき、塩化物イオンには水素原子を向ける
ために(電気的引力)がはたらくようになる。こうしてイオンはこれらの水分子と一体化
したようになり、この状態は(水和)と呼ばれる。
[4]イオンが水和されるので(イオン性物質)の多くは水に溶けやすい。
 溶解するために陽イオンと陰イオン、水分子どうしを引き離すのに必要なエネルギーは、
イオンと水分子が近づくことで帳消しになるのである。

[5]エタノールも水に溶けやすい。エタノールの構造式は右図のようであり、水と同じ
ようにヒドロキシル基を持つ。やはり2章で学習したように、水分子どうし、エタノール
分子どうし、そして水分子とエタノール分子の間に(水素結合)というかなり大きい引力
がはたらく。つまりこの場合もエタノール分子は水分子によって(水和)される。
[6](ヒドロキシル基)を持ち水素結合がはたらく分子性物質の多くは水に溶けやすい。

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2.溶解度

[a]固体の溶解度
 砂糖や食塩は水によく溶けるが、ガソリンや石灰岩は水にほとんど溶けない。ある溶質
がその溶媒にどれくらい溶けやすいかを示す数値は(溶解度)と呼ばれる。固体物質の溶
解度は
    「100gの(溶媒)に溶質が飽和するまでに何g溶けるか」
で表す。溶解度には単位を付けないことが多い。
問1 塩化ナトリウムの水に対する溶解度は20℃で36である。この温度における飽和
食塩水のパーセント濃度を計算せよ(答は小数1位で)。
    飽和状態では、136gの溶液に食塩が36g溶けている。
    100gの溶液ではx[g]溶けているとすると
      136[g]/36[g] = 100/x
        x=26.47・・・
                    答 26.5%
参考:質量パーセント濃度とは
     「100gの(溶液)に溶質が何g溶けているか」
   を示す数値である。

[b]温度の影響
[1]温度によって溶解度はどのように変化するであろうか。硝酸カリウムの水に対する
溶解度は温度によって次のようになる。
    20   40   60   80[℃]
    32   64  110  169
多くの(固体物質)の溶解度は、温度が高くなると(大きく)なる。



                              (続く)

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                                   No

[2]ここで少量の不純物を含む硝酸カリウムから純粋な硝酸カリウムを分離することを
考える。不純な硝酸カリウムを温度が高い水に溶解する。このとき水の量は控えめにして
硝酸カリウムが飽和状態に近いようにする。次に水溶液を冷却する。硝酸カリウムは温度
が低くなると溶解度が小さくなって結晶として析出する。これに対して少量の不純物にと
って水は十分にあるので、温度が低くなっても溶けたままである。したがって結晶をろ過
すると、純粋な硝酸カリウムが分離される。このような操作は(再結晶)と呼ばれる。

[c]気体の溶解度
[1]気体物質の溶解度はいろいろな表し方があるが
    「1[l]の溶媒に気体が飽和するまでに何g溶けるか」
が分かりやすい。つまり溶解する気体の量を(質量)で示すのである。これに対して気体
の量を体積で示す場合は、それが圧力と温度の影響を受けるので混乱しやすい。
 一般に気体物質の溶解度は、温度が高くなると(小さく)なる。炭酸飲料の例を考えて
みよう。
[2]気体物質の溶解度は圧力の影響も受け、圧力が高くなると溶解度が(大きく)なる。
とくに窒素や酸素のように
    「溶解度が小さい気体の場合は一定温度の下で、
     一定量の溶媒に溶解する気体の質量は圧力に(正比例)する。」
これは(ヘンリーの法則)と呼ばれる。
問2 酸素の水に対する溶解度は、20℃、1atmの下で1[l]の水に0.044gで
ある。空気中に置かれた金魚鉢の、温度が20℃で3[l]の水に酸素は何gまで溶ける
ことができるか(答は小数3位で)。ただし空気中の酸素分子は全体の1/5であるので、
その圧力は0.2atmであると考えよ。
      1atmの酸素なら3[l]の水に
        0.044×3=0.132[g]溶ける。
      0.2atmでは
        0.132×0.2=0.0264
                    答 0.026g

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3.濃度

[a]モル濃度
 中学校でパーセント濃度を学習したが、果汁100%とか、体脂肪率18%などと身近
である。それでは化学にとって合理的な濃度の表し方はどんなものだろうか。
 3章では物質の量を表す基本的な単位はmolであり、それで示される数値は物質量と
呼ばれることを学習した。そして化学でもっとも基本的な濃度は(モル濃度)である。こ
れは
    (1[l]の溶液に溶質が何mol溶けているか
を示す数値であり、単位は(mol/l モル毎リットル)である。
[例題]次の計算をせよ。
(1)海水1[l]に塩化ナトリウムは約30g含まれる。塩化ナトリウムのモル濃度は
いくらか(答は小数2位で)。(NaCl=58.5)
    NaCl 30gは
      (30/58.5)=0.512・・・=0.51[mol]
                    答(0.51)mol/l
(2)0.5mol/lのショ糖水溶液を250mlつくりたい。ショ糖は何g準備すれば
よいか。(C122211=342)
    水溶液を1[l]=1000mlつくるにはショ糖が(0.5)mol必要
    250mlではx[mol]必要として
      ( 1000[ml]/0.5[mol] = 250/x )
        x=0.125[mol]
    ショ糖0.125molは
      (0.125×342)=42.75[g]
                    答 42.75g
参考:物質量[mol]の復習をしておこう。
   ・物質量が等しいとは、物質をつくる粒子の個数が等しいことである。
   ・物質量nは、質量W[g]を分子量(式量)Mで割って求められる。
          ( n=W/M )
   ・質量は、物質量に分子量(式量)を掛けて求められる。

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                                   No

問1 実際に0.5mol/lのショ糖水溶液を250mlつくる様子をイラストで描け。

  

[b]モル濃度の意味
[1]パーセント濃度は、溶液全体に対する溶質の(割合)を示している。たとえば2%
硝酸銀水溶液は、硝酸銀が全体の2/100だけ含まれることを意味する。
 これに対してモル濃度は(密度)に近い意味を持つ。たとえば海水の塩化ナトリウムの
モル濃度が0.51mol/lであることは、1[l]の体積の中に塩化ナトリウムが0.5
1molだけ詰まっていることを意味している。つまりモル濃度は、注目する物質が(
れくらい密に詰まっているか)を示す数値である。
[2]それではモル濃度はどのように優れているのだろうか。ひとつは演習で確認するよ
うに反応量の計算が簡単にできる。
 より本質的には、物質は融解、蒸発、溶解など状態の変化をしたり、化学反応を起こし
て他の物質に変化したりする。そして
  「物質が変化する(勢い)はその(モル濃度)に比例する。」
として扱うことができる(この詳細については15章で学習する)。
参考:ここで「勢い」と言っているのは、正確には自由エネルギー(高校では学習しな 
   い)のことである。また「比例」とは厳密な正比例ではなく、モル濃度が大きくな
   ると「勢い」も大きくなるという意味である。

[c]パーミリオン濃度
 環境問題ではごく希薄な溶液の濃度が使われる。パーミリオン濃度の単位は(ppm 
ピーピーエム)(parts per million)である。ミリオンは100万なので、1ppmとは

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溶質の割合が(100万分の1)という意味である。具体的には
  1kg=1000g=1000,000mgの溶液に1mgの溶質が含まれる
とか
  1m3=1kl(キロリットル)=1000[l]=1000,000ml
                      の溶液に1mlの溶質が含まれる
ことである。ちなみに溶液が液体であると限定する必要はない。
問2 大気汚染を引き起こす二酸化窒素という気体が自動車や工場から排出されている。
その環境基準は日平均が0.06ppm以下であると定められている。30ml(試験管1
本)の二酸化窒素を環境基準までうすめるにはどれだけのきれいな空気が必要になるか。
    0.06ppmとは1m3の空気に二酸化窒素が0.06ml含まれる。
    30mlではx[m3]必要とすると
      0.06[ml]/1[m3] = 30/x
        x=500
          答 500m3  (実験室の体積は約300m3
 ダイオキシンのような環境ホルモン(内分泌撹乱物質)は、場合によって1ppt(ピ
ーピーティ)というごくごく希薄な濃度でも胎児に影響することが分かってきた。これは
パートリリオン濃度で、トリリオン(trillion)とは1兆のことである。つまり1兆分の
1の濃度が問題になってくる。

[d]生物濃縮
 有害物質はうすめれば済むのだろうか。レーチェル・カーソンが著した「生と死の妙薬
(原題:SILENT SPRING)」(1961年)の一節(次のプリント)を読んでみよう。
 殺虫剤であるDDDは、水には溶けにくいが生物の体の脂肪には溶けやすい(脂溶性
物質である。DDDはごく希薄な濃度なのでクリア湖の水に溶解する。しかしもともと脂
溶性のDDDはプランクトンが水中の栄養を吸収するにつれて、まるでろ過されるように
その脂肪に蓄積していく。そのプランクトンを捕食する魚では、もっと効率的にDDDが
その脂肪に(濃縮)していく。そして(食物連鎖)の頂点にいる水鳥の体内で異変が起こ
る・・・。
 これは人間の活動に対する警告である。そして今、母親の(母乳)がダイオキシンで汚
染されている。

                  - 10 -

                                   No
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4.凝固点降下と浸透

[a]寒剤
問1 実験のイラストを描け。

      

[1]氷に多量の(食塩)を加えてかき混ぜると、氷が(融解)して温度が−15℃以下
に低くなる。このようにして低温をつくるものは(寒剤)と呼ばれる。
[2]水が0℃で凝固するというのは、純粋な水の場合である。水に他の物質が溶けると、
その凝固点は0℃より低くなる。一般に溶媒に溶質が溶けると純粋な溶媒に比べてその凝
固点がより低くなり、これは(凝固点降下)と呼ばれる。
[3]凝固点降下する温度は、その溶液が(希薄)なときは、その濃度に比例し、溶質の
種類には(無関係)である。ただしここで濃度とは質量モル濃度と呼ばれるものであり、
具体的には立ち入らない。
[4]寒剤にもどって、氷に多量の食塩を加えてかき混ぜると飽和食塩水ができる。この
凝固点つまり融点は−21℃であるので、氷はどんどん融解する。このとき(融解熱)を
必要とするが、まわりから熱エネルギーを与えないようにするので、寒剤は自らの(
)を低くしていく。
[5]凝固点降下の他の例に(不凍液)がある。自動車のエンジンは水冷されているが、
熱くなった水はラジエータで空冷されて循環使用される。ラジエータは放熱のために細い
金属管でできている。冬期に(冷却水)が凍ると、体積が増えてラジエータが破壊される。
それを防ぐために(エチレングリコール)などを加えて、凝固点を低くしておく。加える
溶質は水に溶けやすいことに合わせて、さびの原因にならないという条件がつく。

                  - 11 -

[b]凝固点降下の理由
[1]十分ではないが、ここで凝固点降下の理由を説明しておこう。
 純粋な水が0℃で凝固するというのは、この温度では水と氷が(共存する)ことを意味
する。つまりこの温度では水が(凝固)する変化の「勢い」と、氷が(融解)する変化の
「勢い」が(バランス)している。そして前者は水のモル濃度に、後者は氷のモル濃度に
比例している。
    凝固の勢い=Kf×(水のモル濃度
    融解の勢い=Km×(氷のモル濃度
      Kf,Km:比例定数
 0℃の氷水に食塩を加えると、食塩はもっぱら()に溶解し氷は元のままである。つ
まり水のモル濃度だけが(小さく)なる。すると凝固の勢いが(劣る)ようになり、0℃
では氷が融解してしまうことになる。この考えは氷に飽和食塩水を加えても、氷が融解し
て温度が降下する事実で裏付けられる。
[2]ここで注意しておきたいのは、純粋な物質である水や氷のモル濃度や、(溶媒)で
ある水のモル濃度に注目していることである。モル濃度は密度に近い意味を持っており、
溶質のみを対象としているわけではない。
参考:上の説明では便宜的に比例定数を使っているが、正確にはこの代わりに対数を含む
   関数が書かれるべきである。

[c]沸点上昇
 凝固点降下に対応する現象に(沸点上昇)がある。一般に溶媒に不揮発性の溶質が溶け
ると、純粋な溶媒に比べてその沸点がより高くなる。たとえば水にたくさんの砂糖を加え、
加熱してべっこうあめをつくるとき、砂糖水の沸点は110℃以上になる。ここで(不揮
発性)の溶質という条件が付くのは、溶媒の沸点に至る前に揮発してしまっては意味がな
いからである。



                         (続く)

                  - 12 -

                                   No
[d]浸透(実験のまとめ)
[1](セルロースチューブ)を張ったフィルムケースに、1mol/l(ショ糖)水溶液
を入れてガラス管を付けたゴムせんをする。これを(真水)が入ったビーカーに置くと、
ショ糖水溶液がガラス管を(上昇)していく。
[2]セルロースチューブでは、水のような(小さい)分子は通り抜けるがショ糖のよう
な大きい分子はほとんど通り抜けない。このような性質を持つものは(半透膜)と呼ばれ
る。半透膜は小さい穴が無数にあると考えられ、他にセロハン、玉子の薄皮(卵殻膜)な
どがある。ちなみに細胞の原形質を包んでいる(細胞膜)も半透膜である。
[3]半透膜をはさんで真水とショ糖水溶液があると、真水の水がショ糖水溶液に移動し
ていく。この現象は(浸透)と呼ばれる。植物が水を吸収するのも浸透に依っている。
問 浸透が起こる理由を説明してみよ。
    半透膜をはさんで、次の2つの変化が攻めぎ合う。
      真水の水分子が通り抜ける変化(A)
      ショ糖水溶液の水分子が通り抜ける変化(B)
    真水の水のモル濃度の方が大きいので、変化Aの勢いが優っており、
    真水の水がショ糖水溶液に移動する。
[4]このようにものごとは、2つの対立する変化の攻めぎ合いから成り立っている。

[e]透析
 腎臓の機能が低下して、血液中の余分な水や(尿素)などの老廃物を除去できない患者
は、定期的に血液を体外に取り出し、ダイアライザーという装置を通してから体内にもど
す治療をしている。
 装置には管状でその壁に小さい穴が無数に空いた(中空糸)が詰まっている。この糸の
壁は半透膜で、糸の内側に血液を流し外側に透析液を流すと、小さい分子やイオンである
水や老廃物はしだいに透析液の方に移動していくが、大きいタンパク質分子や赤血球など
は血液内に留まる。
 このように(半透膜)を使って小さい分子やイオンのみを除去する操作は(透析)と呼
ばれ、上の治療は人工透析と言う。

                  - 13 -

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5.コロイド溶液

[a]寒天など(実験のまとめ)
[1]乾燥した(寒天)を水に浸けておくと柔らかくなる。水を切ってちぎり、乾燥時の
質量の50倍の水に入れ、加熱すると溶解して(半透明)な水溶液になる。砂糖とジュー
スで味付けし、これを(冷却)すると全体が(ゼリー状)の固体になる。
[2]また(硫黄)をエタノールに溶かしてから大量の水でうすめた溶液に、横からレー
ザー光を当てると、その(光路)が見える。これは砂糖水などでは起こらない。
[b]コロイド溶液とチンダル現象
[1]寒天水溶液で水に分散している寒天は、糸状の長い分子であり(高分子)と呼ばれ
る。高分子は通常の分子より分子量が数100倍以上も大きい(高分子については
18、19章で学習する)。また硫黄水溶液では、多数の硫黄分子 S8 が分子間力で結び
付いて小さい粒子になり、これが水に分散している。
 このような溶液は(コロイド溶液)と呼ばれる。そしてコロイド溶液中に分散している
高分子や粒子は、通常の分子やイオンより10〜1000倍程度大きく(コロイド粒子
と呼ばれる。これに対して食塩水や砂糖水は真性溶液と呼ばれ、溶解しているのは通常の
大きさの分子やイオンである。
[2]コロイド溶液では、入射した光の一部がコロイド粒子によって強く(散乱)されて
その進路を変えるので、その光路が見える。この現象は(チンダル現象)と呼ばれる。ま
た入射した光の一部しか(透過)しないので、コロイド溶液は半透明になる。
[c]分散とブラウン運動
[1]真性溶液では溶質である通常の大きさの分子やイオンが溶媒に溶解しているのは、
溶質・溶媒ともにその分子やイオンが(熱運動)しているためである。それではコロイド
粒子は、どのようにして溶媒に分散しているのだろうか。
[2](牛乳)は、脂質でできた(脂肪球)と呼ばれる小さい粒子が水に分散したコロイ
ド溶液の一種である。牛乳を水でうすめて顕微鏡で調べると、この脂肪球がゆれ動くよう
に(不規則)な運動をしていることが観察される。


                         (続く)

                  - 14 -

                                   No

[3]この現象は(ブラウン運動)と呼ばれるが、花粉を観察してこれを発見したブラウ
ンは、花粉が生きているからだと誤解した。実際には熱運動しているまわりの水分子が、
不規則に花粉に(衝突)し突き動かしているためである。こうして私たちは間接的に分子
やイオンの熱運動を観察することができる。
[4]寒天分子ではそうではないが、硫黄粒子や脂肪球ではそれをつくる分子の熱運動は
内部に閉じこめられて、それによってコロイド粒子そのものが分散することはできない。
このようなコロイド粒子は(溶媒)である水分子の熱運動によって分散している。
[d]凝析と電気泳動
[1]塩化鉄水溶液を沸とう水に滴下すると、次の反応で(水酸化鉄 Fe(OH)3 )が
生成する。これは水に溶けにくく小さい粒子つまりコロイド粒子となって水に分散し、
赤褐色)のコロイド溶液になる。
    FeCl3 + 3H2O −→ Fe(OH)3 + 3HCl
 これに少量の硫酸ナトリウムを加えると、コロイド粒子が凝集して沈でんする。
[2](水酸化鉄)のコロイド粒子はその表面に(正電気)を持っている。このように表
面に電気を持つコロイド粒子は、互いに近づくと(電気的反発力)がはたらくことによっ

  て分散している。
  [3]ところが硫酸ナトリウムを加えると、これは水に
  溶けて次のように電離する。
      Na2SO4 −→ 2Na+ + SO4 2-
  そして陰イオンの硫酸イオンが図のように表面に吸着し
  てその正電気を(中和)してしまう。こうようにしてコ
  ロイド溶液に(少量)の電解質を加えるとコロイド粒子
  が沈でんする現象は(凝析あるいは凝結)と呼ばれる。

[4]ここでこのコロイド溶液にはすでに塩酸が電離してできる塩化物イオン Cl- とい
う陰イオンが含まれていることに注意しよう。しかしこの陰イオンでは凝析は起こらない。
つまり凝析には(2価)や3価のイオンが効果的なのである。
[5]水酸化鉄のコロイド溶液に電極を差し入れて直流電圧をかけると、赤褐色のコロイ
ド粒子がゆっくりと陰極に移動する。この現象は(電気泳動)と呼ばれる。そしてこのコ

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ロイド粒子が正電気を持っていることが確認できる。
[e]塩析と親水コロイド
[1]合成せんたくのりの多くは、次の構造式で示される(ポリビニルアルコール)とい
う高分子が水に分散したコロイド溶液である。

      

 このコロイド溶液は少量の電解質を加えても変化しない。ところが(多量)の塩化ナト
リウムを加えるとポリビニルアルコールが沈でんする。
[2]ポリビニルアルコールは分子のいたるところに(ヒドロキシル基)があり、水分子
によって水和されている。つまりこのコロイド粒子が互いに近づくと、(水和)している
水分子が邪魔になって凝集が妨げられる。
[3]これに塩化ナトリウムを加えると、ナトリウムイオンと塩化物イオンが水分子によ
って水和されて溶解していく。どんどん加えていくと、ついにポリビニルアルコールを水
和している水分子を(奪う)ことになる。こうなるとポリビニルアルコール分子は凝集す
るしかない。このようにしてコロイド溶液に多量の(電解質)を加えるとコロイド粒子が
沈でんする現象は(塩析)と呼ばれる。
[4]ポリビニルアルコールのように、水和されたコロイド粒子は(親水コロイド)と呼
ばれる。
[f]ゲル化
[1]熱い寒天水溶液を冷却するとゼリー状の固体になる。(温度)が低くなると熱運動
が穏やかになり(分子間力)が優るようになって、糸状の寒天分子はあちこちで結び付き
を形成して立体的に網目状になっていく。そして大量の水分子やショ糖分子などをその
「かご」の中に包み込む。このようにしてコロイド溶液が(流動性)を失った状態は(
)と呼ばれ、またその変化をゲル化と言う。ゲルは固体の一種だが、結晶とはまるで違
う形であることに注目しよう。
[2]コロイド溶液は多種多様であり、凝集やゲル化は他にもいろいろな条件で起こるこ
とを承知しておこう。

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                                   No
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宿題(6章)

1.水溶液についての次の文を完成し、下の問に答えよ。
 食塩を水に溶かすとその水溶液に(電導性)が生じる。これは塩化ナトリウムが(陽イ
オン)と陰イオンに(電離)する(a)
ためである。このような物質は(電解質)と呼ば
れ、水に溶けやすい(イオン性)物質と()が含まれる。
 これに対してエタノールは(分子)のまま溶解するので、その水溶液に「電球テスタ
ー」を浸けると点灯(しない)。このような物質は(非電解質)と呼ばれ、水に溶けやす
い多くの(分子性)物質が含まれる。
 水に溶ける物質は水に(似たもの)である。塩化ナトリウムは(イオン)結合しており、
水分子は(極性)をもつために、ともに(電気的引力)がはたらく。こうしてその水溶液
では、ナトリウムイオンに対して水分子は(酸素)原子を向け、(塩化物)イオンに対し
ては(水素)原子を向ける(b)
。イオンが水分子と一体化した状態は(水和)と呼ばれ
る。
問1 下線部(a)の変化を反応式で示せ。
    NaCl −→ Na+ + Cl-
問2 下線部(b)の様子をイラストで描け。


                             


2.次の計算をせよ。
(1)水酸化ナトリウム8gを水に溶かして全体を500mlとした。このモル濃度はい
くらか。  ( H=1 O=16 Na=23 )
    水溶液1[l]に溶けている NaOH は
      8×(1000/500) = 16[g]
    NaOH 16gは
      16/40 = 0.4[mol]
                    答 0.4mol/l
(2)クリア湖における最初のDDD散布は水の「七千万分の一」であった。このパーミ
リオン濃度はいくらか(答は小数3位で)。
    70000000/1 = 1000000/x
      x=0.0142・・・
                    答 0.014ppm
(3)0.5mol/l硫酸20mlと反応する0.5mol/l水酸化ナトリウムは何ml
か。  ( H2SO4 + 2NaOH −→ Na2SO4 + 2H2O )
    同じモル濃度だから、同体積の溶液中に同数の H2SO4 と NaOH を含む。
    反応式から NaOH は2倍の個数が必要だから
                    答 40ml
(4)5%硫酸20gと反応する5%水酸化ナトリウムは何gか(答は小数1位で)。

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    ( H2SO=98  NaOH=40 )
    5%硫酸20gに含まれる H2SO4
      100[g]/5[g] = 20/x
        x=1[g]
    2SO4 1gと反応する NaOH は
      98[g]/80[g] = 1/y
        y=0.8163・・・=0.816[g]
    NaOH 0.816gを含む5%水酸化ナトリウムをz[g]とすると
      5[g]/100[g] = 0.816/z
        z=16.32
                    答 16.3g
参考:モル濃度とパーセント濃度はどちらが優れているか、検討しよう。

3.寒剤に関する次の文を読み、下の問に答えよ。
 氷に多量の食塩を加えてかき混ぜると、氷が融解して温度が−15℃以下に低くなる。
(1)この現象を支配している2つの変化を上げよ。
    (A)水の凝固    (B)氷の融解
(2)それぞれの変化の勢いは何に比例しているか。
    (A)水のモル濃度  (B)氷のモル濃度
(3)0℃で氷と水が共存することは何を意味するか。
    この温度では水が凝固する勢いと氷が融解する勢いがバランスしている。
(4)0℃の氷水に食塩を加えるとどちらの勢いが劣るようになるか。
    水の凝固

4.次のそれぞれに関係する現象は何と呼ばれるか。
(a)血液中の余分な水や老廃物を半透膜(中空糸)で除去する。
(b)冬期に、道路に塩化カルシウムをまいて凍結を防ぐ。
(c)硫黄のコロイド溶液にレーザーを当てるとその光路が見える。
(d)浄水場では原水に硫酸アルミニウムなどを加えてにごりを沈でんさせてろ過する。
(e)顕微鏡で花粉を観察すると、ゆれ動くように不規則な運動をしている。
(f)べっこうあめをつくるとき、砂糖水の沸点が110℃以上になる。
(g)寒天水溶液に砂糖とジュースを加えて冷却するとゼリー状に固まる。
(h)赤血球を真水に浸けると細胞膜が破れてしまう(溶血)。
(i)水酸化鉄の水溶液に電圧をかけると、赤褐色のコロイド粒子がゆっくりと陰極に移
動していく。
(j)ポリビニルアルコール水溶液に多量の食塩を溶かすと沈でんする。

a)透析     b)凝固点降下  c)チンダル現象 d)凝析
e)ブラウン運動 f)沸点上昇   g)ゲル化    h)浸透    
i)電気泳動   j)塩析

               ( )組 (  )番 氏名(       )

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