キーワード
高校、化学、教材、自主編成、教科書、(高校化学、化学教材)

                                   02.3
                                   林 正幸

 5.気体の性質

授業計画


時間      項目                    備考
 1.  
実験1.この世の最低温度を調べる
 2.  1.シャルルの法則
 3.  2.ボイル・シャルルの法則          ミニ熱気球
 4.  3.気体の状態方程式
 5.  4.圧力、分子量、実在気体          ブタンの分子量
 6.  宿題(演習)















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1.シャルルの法則

[a]最低温度(実験のまとめ)
 細いガラス管に(空気)を封入して湯に浸け、その(気柱)の長さと(温度)との関係
を計測した。そしてそのデータをグラフにした。
 始めに断っておきたいのは、空気の代わりに酸素を使っても水素を使っても、まったく
同じ)結果になることである。つまりこれは気体全般に通用する実験であり、これから
引き出される法則も(すべて)の気体に成り立つものである。
 気柱の長さは(体積)を表していると言える。そしてグラフを延長して、気体の体積が
ゼロ)になる温度を求めた。自分の数値は(    )℃であった。より精密な計測で
は(−273)℃になる。
問1 この−273℃という温度は何を意味しているのだろうか。
    気体の体積がマイナスということはあり得ないから、これより低い温度が存在し
    ない。実際には気体は−273℃に到達する前に液体になるので、それ以下の温
    度ではグラフの形が変わってしまう。

[b]絶対温度
 最低温度が−273℃であるなら、そこをゼロとする温度表示が合理的である。ただし
温度幅は変えないことにする。このような温度は(絶対温度)と呼ばれ、単位は(K ケ
ルビン)である。
 すると0℃は273K、100℃は373Kになる。つまり絶対温度とせっ氏温度の間
には次のような簡単な関係がある。
    ( T = t + 273 )    (1)
      T:絶対温度
      t:せっ氏温度
問2 体温が36℃とは絶対温度では何Kか。また液体窒素は1atmの下では77Kで
沸とうするが、これはせっ氏温度では何℃か。
    309K    −196℃

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[c]シャルルの法則
[1]温度目盛に絶対温度を使うと、上の実験のグラフは(原点)を通る直線になる。つ
まり気体の体積は絶対温度に正比例して、膨張したり収縮したりする。上の実験はある決
まった量の気体についての実験であったし、このあとで学習するように、気体の体積は圧
力の影響も受けるので、正確には次のようにまとめることができる。
  ( 一定圧力の下で、一定の物質量の気体の体積は絶対温度に正比例する。 )
これは(シャルルの法則)と呼ばれる。
[2]これは次の関係式で表すことができる。
  ( V = kT    or    V/T = k )    (2)
      V:気体の体積
      T:絶対温度
      k:比例定数(条件によっていろいろな数値になる)
あとの関係式は、物質量のところで学習したのと同じで、「気体の体積と絶対温度の比は
一定である」という意味である。一定になる数値が分かれば、それをもとに方程式を立て
て問題を解決できる。

問3 0℃、1atmにおいて1[l]の二酸化炭素は、圧力を1atmに保って温度を
27℃にすると何[l]になるか(答は小数2位で)。(3章5節参照)
    圧力が一定であり物質量も一定であるので、シャルルの法則が適用できる。
    その体積をV[l]とし、温度を絶対温度に直して
      1[l]/273[K]= V/300
        V=1.098・・・
                    答 1.10[l]
[3]シャルルの法則は発見されたときは次のように表現された。
    「一定圧力の下で、一定の質量の気体の体積は、温度が1℃上昇する毎に
    0℃の体積の1/273ずつ膨張する。」

[d]考察
(1)シャルルの法則に対して、絶対温度を使った表現と、せっ氏温度を使った表現が一
致することを検討せよ。

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2.ボイル・シャルルの法則

[a]ボイルの法則
[1]それでは気体の体積は圧力によってどのように変化するだろうか。それは(ボイル
の法則)としてまとめられている。なおこれもすべての気体について成り立つ。
  ( 一定温度の下で、一定の物質量の気体の体積は圧力に反比例する。 )
[2]これは次の関係式で表すことができる。
  (  = k×(1/P)    or    PV = k )    (3)
      V:気体の体積
      P:圧力
      k:比例定数(条件によっていろいろな数値になる)
あとの関係式は「気体の圧力と体積の()は一定である」ことを意味する。

問1 大気の圧力が1atmの下で、注射器に空気を5ml吸い込み、穴を接着剤でふさ
いでペットボトルに入れる。ボトルの口を細工して圧力計付き空気入れで3atmになる
まで空気を入れると、注射器の中の空気の体積は何mlになるか(答は小数1位で)。
    その体積をV[ml]とし、ボイルの法則を適用して
      1[atm]×5[ml]=3×V
        V=1.66・・・
                    答 1.7ml
備考:空気入れの圧力計はゲージ圧と言って、大気の圧力を差し引いた数値を示すように
   なっている。したがってこの問題では実際はゲージ圧を2atmにしたときの体積
   を求めることになる。

参考:単位については、左辺と右辺がそろっていれは何を使ってもよい。
   慣れれば左辺の単位を外してかまわない。

[b]ボイル・シャルルの法則
 一定の物質量の気体について、温度も圧力も変化したときには、その体積はどうのよう

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になるだろうか。これは次のように、(正比例)する量は分子に、(反比例)する量は分
母に置いて比例定数を付けた形式にまとめることができる。
  ( V = k×(T/P)   or   PV/T = k )   (4)
あとの関係式は「気体の圧力と体積を掛けてそれを絶対温度で割った数値は(一定)であ
る」ことを意味する。

参考:多くの場合に上記のように関係式をまとめることができるが、厳密にはある数学的
   な条件を満たす必要がある。

問2 ラジオゾンデは高層の気象を観測する気球である。20℃、1atm=1013h
Paの地上で水素500[l]を詰めて離し、気球が上空5000mに到達したときの観
測値が−25℃、540hPaであったとすると、そのとき気球の体積は何[l]になっ
ているか(答は整数で)。
  体積をV[l]とし、ボイル・シャルルの法則を適用して
    1013[hPa]×500[l]/293[K]= 540×V/248
        V=793.9・・・
                    答 794[l]*

参考:ラジオゾンデは上空30kmあたりで破裂する。







[c]考察
(1)関係式(4)を(2)と(3)から導き出すことを試みよ(教科書を参照)。


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3.気体の状態方程式

[a]体積と分子数の関係
[1]温度と圧力が同じなら、気体に限らず、すべての物質の体積はその分子数に(正比
)する。そして物質量は個数の単位と見なせるので、気体の体積は(物質量)(モル
数)に正比例するとも言える。
  ( V = kn    or    V/n = k )    (5)

      V:気体の体積
      n:物質量
      k:比例定数(条件によっていろいろな数値になる)
[2]この関係式をボイル・シャルルの法則に重ねるにはどうしたらよいだろうか。正比
例する量が2つ以上あるときは、分子にかけ算にして置けばよい。
  ( V = k(nT/P)   or   PV/nT = k )    (6)

[b]気体の種類の影響
 それでは温度、圧力そして物質量が同じなら、気体の体積はその種類によってどのよう
になるだろうか。ここでアボガドロの法則を思い出そう。
 「すべての気体は、同温同圧の下では、(同体積)中に(同数)の分子を含む。」
つまり気体の種類に依らず、同温同圧の下では、同数の分子が占める体積は等しい。たと
えば0℃、1atmの下では1mol=6×1023個の気体分子は(22.4)[l]であ
る。気体の体積は温度、圧力、物質量で(確定)してしまい、その種類には無関係なので
ある。
[c]状態方程式
 上の数値を関係式(6)に代入すると
    k=PV/nT
     =(1[atm]×22.4[l])/(1[mol]×273[K])
     =0.0821・・・
比例定数 k は気体の(種類)に依らず一定の数値になるのである。そこでこの数値を

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気体定数)と名付け、R で表して次のように書き改める。
  ( PV/nT = R    or    PV = nRT )    (7)

      P:圧力          V:体積
      n:物質量         R:気体定数
      T:絶対温度
この関係式は気体の(状態方程式)と呼ばれ、混合気体を含めてすべての気体に適用でき
る。気体定数は(0.082)と記憶しておこう。ただしこの数値を使うときは、圧力、体
積、分子数、温度の(単位)を[atm][l][mol][K]にする必要がある。
 この関係式は、ボイルの法則、シャルルの法則、アボガドロの法則などを含み込んでい
る。自然を探求していくと、その本質がこのようにすっきりした姿を見せることがしばし
ばある。

問1 20℃、1atmで、1molの気体は何[l]か(答は整数で)。
    その体積をV[l]として状態方程式(7)に代入する。
      1×V=1×0.082×293
    これを解いて
      V=24.026
                    答 24[l]

参考:常温常圧で考えるなら、1molの気体の体積は約24[l]であることを示して
   いる。



[c]考察
(1)混合気体に対しても状態方程式は適用ができる。これに関連して「ドルトンの分圧
の法則」について調べてみよう。


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4.圧力、分子量、実在気体

[a]気体の圧力
[1]4章の「空き缶つぶし」で、気体の圧力が温度が下がると低くなると説明した。い
ま気体の物質量や体積は一定にして、絶対温度だけを変化させるとその体積がどうなるか
を見てみよう。状態方程式において(変化する)量を左辺に、(一定の)量を右辺にまと
めると次のようになる。
    P/T = nR/V = k(一定)  or  P = kT
こうして気体の圧力は絶対温度に正比例することが確認できる。状態方程式はこのような
内容も含んでいる。
[2]また「風船割り」では、気体の圧力が分子の個数つまり物質量が減少すると低くな
ると説明した。同様に変形すると
    P/n = RT/V = k(一定)  or  P = kn
となり、気体の絶対温度と体積が一定なら、その圧力は物質量に正比例することが確認で
きる。このようなやり方は気体の状態方程式を幅広く活用するための基本である。

[例題1]水素を550[ml]の簡易ボンベに充填したら、25℃で10.5atmの圧
力を示した。このままで温度が100℃になったら、その圧力は何atmになるはずか
(答は小数1位で)。
    この場合は(物質量)と(体積)が一定に保たれる。したがって
      P/T =(nR/V)= k(定数)
    つまり(P/T)は一定であるので、求める圧力をP[atm]とすると
      ( 10.5[atm]/298[K]=P/373 )
       P=12.51・・・
                    答 12.5atm
[b]分子量測定
 (分子量)はその物質が何であるかを探る重要な手がかりである。ここでは状態方程式
を利用して気体の分子量を測定することを学習する。

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[例題2]ボンベの質量を予め計っておき、ブタンを水上置換でメスシリンダーに
192)ml放出し、もう一度ボンベの質量を計った。その質量減少は(0.461)g
であった。水温は(18)℃で、放出したブタンもほぼこの温度になる。ブタンの体積を
計るときにはメスシリンダーの内外の水面をそろえるので、ブタンの圧力は大気の圧力に
一致する。大気の圧力は通常は1atmと見なしてよい。以上の実験からブタンの分子量
を求めよ(答は整数で)。
    ブタンの分子量をMとすると
    メスシリンダー内のブタンの物質量は(0.461/M )molである。
    体積はリットル単位で(0.192)[l]
    温度は絶対温度で(291)Kであることに注意して
    以上の数値を気体の状態方程式に代入すると
      ( 1×0.192=(0.461/M )×0.082×291 )
    この方程式を解いて
      M=(57.2・・・
                    答(57
参考:ブタン C410 の正確な分子量は58である(原子量:H=1 C=12)。
[c]実在気体
[1]それでは状態方程式でもって、私たちは気体の圧力、体積、物質量、絶対温度に関
して完全に知ったと言えるだろうか。
 1molのメタンを例に取ってみよう。400K(127℃)といった高温において圧
力を500atmにすると、その体積は0.079[l]になり、状態方程式による計算値
0.0656[l]の1.2倍になる。また200K(−73℃)という低温において圧力
を100atmにすると、その体積は0.057[l]になり、計算値0.164[l]の
わずか0.35倍になってしまう。
[2]気体の圧力を高くすると体積が小さくなって分子どうしが(接近)することになる。
ただし分子自身の体積は変化しない。したがって高温では分子の(体積)が無視できなく
なるために計算値より大きくなる。また低温では分子の熱運動がゆるやかになり(分子間
の引力)がはたらく効果を無視できなくなるために計算値より小さくなるのである。
 自然とは奥が深いものであり、私たちが認識しているのはその(一部分)であることを
忘れてはいけない。

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宿題(5章)

1.「この世の最低温度」実験に関して下の問に答えよ。
 図のように、水銀で空気を封入したガラス管を熱湯に浸して、気柱の長さとせっ氏温度
の関係を計測し、グラフを描いてその延長がx軸と交わる温度をt0とした。

      

(1)正確な計測ではt0はせっ氏温度で何℃になるか。 (−273℃
(2)t0をゼロとした温度表示(温度幅は変えない)の、名称と単位を答えよ。
    絶対温度  K(ケルビン)
(3)この実験から見い出される気体の法則の名称とその内容を示せ。
      シャルルの法則
    一定圧力の下で、一定の物質量の気体の体積は絶対温度に正比例する。
(4)90℃で気柱の長さが32.6cmだった。30℃では何cmになるか(答は小数1
位で)。
     気柱の長さは気体の体積に相当するのでシャルルの法則を適用して
      32.6[cm]/363[K] = V/303
        V=27.21・・・
                    答 27.2cm
(5)また気柱の長さが29.0cmになるのはせっ氏温度で何℃のときか(答は整数で)。
    その温度を絶対温度でT「K]とすると
      32.6[cm]/363[K] = 29.0/T
        T=322.9・・・=323[K]
      323−273=50
                    答 50℃*

2.次の文の完成せよ。
「0.55[l]ボンベの中の水素が25℃で10.5atmの圧力を示している。この水
素を大気の圧力が1atmの下でポリ袋に放出すると何[l]取り出せるか(答は小数1
位で)。ただし温度は25℃に保つとする。」
 この問題では(絶対温度)と(物質量)は一定である。したがって気体の(状態方程
)は次のようになる
    PV =(nRT)= k(一定)
これは(ボイルの法則)を表している。1atmの下での体積をV[l]とすると
   (10.5×0.55)= 1×V

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      V=(5.775
ボンベに残る分を差し引いて、取り出せる水素は(5.2)[l]である。

3.18℃、1atmの下で250mlのアンモニアが発生した。この物質量は何mol
か(答は小数4位で)。
    物質量がn[mol]とすると
      1×0.25 = n×0.082×291
        n=0.01047・・・
                     0.0105mol

4.図のようにうす手のごみ袋で「ミニ熱気球」を製作した。次の文を完成せよ。

  (1)熱気球の浮力は(アルキメデスの原理
  「空気中の物体はそれが押しのけている
  空気の重量だけの浮力を受ける。」
  をもとに計算できる。膨らんだ熱気球を半径25cm
  高さ70cmの円筒形とするとその体積は
    3.14×252×70=137375[cm3
      137[l]となる。
  (2)空気の平均分子量は28.9である。大気の圧力が

1atmでまわりの気温が15℃である場合について考える。押しのけている空気の重量
をw[g]とするとその物質量は(w/28.9)[mol]である。以上の数値を状態方
程式に代入すると
    1×(137)=(w/28.9)×0.082×(288
        w=(167.6・・・
つまり熱気球は(168)gの浮力を受ける。
(3)燃焼ガスの平均分子量は空気と同じと見なして構わないことが分かっている。ごみ
袋内の燃焼ガスの温度が100℃になったときの重量をx[g]とすると
    1×(137)=(x/28.9)×0.082×(373
        x=(129.4・・・)=(129)[g]
(4)熱気球の重量は、燃焼ガス、ゴミ袋などの材料(これは25g)、燃料の合計であ
る。したがって燃料が5g残っているとすると、熱気球は()gの物体まで持ち上げる
ことができる。
参考:燃焼による上昇気流もすこし物体を持ち上げる能力を高める。

5.実在気体に関する次の文を完成せよ。
 一定の物質量の実在の気体の体積が、高圧の下でどのようになるか計測してみる。気体
の(圧力)を高くすると体積が小さくなって分子どうしが(接近)することになる。した
がって高温では分子自身の(体積)が無視できなくなるために、状態方程式による計算値
より(大きく)なる。また低温では(分子間の引力)がはたらく効果を無視できなくなる
ために、計算値より(小さく)なる。

               ( )組 (  )番 氏名(       )

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