- 1 -
- 2 -
授業計画へ
No
- 3 -
参考:高分子では末端を無視した反応式を書くことが多い。
[b]延伸
[1]繊維に求めらる第一の性質は、繊維の方向に力を受けると強い(弾性)を示し、そ
れと直角の方向に力を受けると柔軟に曲がることである。ちなみに強い弾性とは、弾性定
数が大きくて、大きい力を受けても伸びが小さく、またその力で破断されないことを意味
している。
ナイロンを糸にするとき、融解したナイロンは大きく引き延ばしながら凝固させ、再び
融点以上の温度にしてさらに引き延ばす。この工程は(延伸)と呼ばれ、他の繊維をつく
るときにも欠かせない。この延伸によって図のように、それまで乱雑に集合していた糸状
高分子が繊維の方向に引き延ばされて繊維と直角な方向に(結晶化)する。こうして繊維
の方向に力を受けると、つまり糸状高分子が互いにずれるように力を受けると、大きい分
子間力がそれに対抗するのである。3章では分子間力は距離が大きくなると急激に小さく
なることを学習した。つまり結晶化している分子の分子間力は(大きい)のである。
[2]以上のことは物質の(性質)がその分子構造だけでなく、その(分子配列)にも由
来してることを示している。延神は分子配列をコントロールして期待する性質を生み出す
典型例になっている。
(続く)
- 4 -
No
[c]その他のポリアミド繊維
現在ではナイロンの多くは、次のように(カプロラクタム)から合成される。
この反応では、カプロラクタム分子のアミド結合がカルボニル基とイミノ基に切断され、
となりの分子と再びアミド結合が形成されることをくり返しており、このような反応形式
は(開環重合)と呼ばれる。これは子どもたちが小さい輪を切って手をつなぎ直して長い
列をつくるようである。このナイロンは(6−ナイロン)と呼ばれる。
(ポリアミド繊維)は摩耗しにくく、強い弾性がある。この繊維は女性のストッキング
や登山のザイルなどを含めて広く利用されている。その中でも(アラミド繊維)はとくに
分子間力が大きくて強じんであり、(防弾チョッキ)や弓の弦などに利用される。
[d]ポリエステル繊維(実験のまとめ)
(PET)ボトルの小片を加熱融解して、くぎの先で触れて引っ張ると、見る見る丈夫
な繊維ができていく。
PETとは、(ポリエチレンテレフタラート)の略である。これは次のような構造式の(エ
チレングリコール)と(テレフタル酸)から合成される。
この反応ではカルボキシル基とヒドロキシル基が脱水縮合して(エステル結合)が形成さ
れる。
問2 ポリエチレンテレフタラート合成の反応式を書け。
- 5 -
PETボトルはプラスチックであるが、延伸すると合成繊維になる。同じ高分子化合物
が合成繊維とプラスチックの両方に利用できることは多い。両者の性質の基本的差異は分
子配列に由来している。実際に回収したPETボトルから合成繊維がつくれている。
(ポリエステル繊維)は耐久性があり、乾きやすくしわになりにくいが吸湿性が劣る。
この繊維はワイシャツ、カーテンなどを含めて広く利用されている。
[e]その他の合成繊維
[1](アクリル繊維)は左のような構造式の(アクリロニトリル)にアクリル酸メチルを
混合して付加重合して合成される。
この繊維は柔軟で保温性がよく、羊毛に似ている。
上のように2種以上のモノマーを原料とする付加重合は(共重合)と呼ばれる。共重合
のメリットは、生成する高分子に複数の性質を付与したり、その性質を連続的に変えたり
できることである。
[2](ビニロン)は日本で開発された合成繊維である。次のように(酢酸ビニル)を付加
重合し、続いてエステル部分を加水分解すると(ポリビニルアルコール)になる。最後に
このままでは水に溶けやすいので(ホルムアルデヒド)と反応させる。
この繊維は強い弾性があり水に強いので、魚網などに利用される。
ちなみに(ポリ酢酸ビニル)は接着剤や(チューインガム)に、ポリビニルアルコール
は洗濯のりに利用される。
- 6 -
授業計画へ
No
- 7 -
問2 塩化ビニルが付加重合するときの反応式を書け。
(食品ラップ)の一部は塩素系プラスチックからできている。そして現在ではポリエチ
レンやポリプロピレンも利用される。
[c]ポリスチレンなど(実験のまとめ)
(食品トレイ)やポリコップの小片を銅線の先に固定してバーナーの炎の中に入れると、
大きい(すす)を上げる。このようなプラスチックは(ポリスチレン)のようなベンゼン
環を含むプラスチックである。一般に有機化合物のかたまりは黒煙を上げて燃えるが、と
くに(ベンゼン環)は炭素原子が集中していて酸素分子が十分に供給されず、大きいすす
を上げて燃焼するのである。
問3 スチレンが付加重合するときの反応式を書け。
PETボトルもすすを上げて燃焼する。前節でその材料のポリエチレンテレフタラート
にはベンゼン環があることを学習した。ただしこれは次節で説明する縮合重合によるプラ
スチックである。
食品トレイはポリスチレンに(発泡剤)を加えて成形されており、軽くて強度がある。
[d]熱可塑性
[1]以上のプラスチックは(温度)が高くなると(軟化)して、変形して困ることがあ
る。しかしこれはこの種のプラスチックの基本的性質であり(熱可塑性)と呼ばれる。つ
まり熱エネルギーを加えて温度を高くすると(次第に)軟化し、粘土のように(塑性)変
形させることができるようになる。このため材料を加熱し鋳型に押し込んでから冷却する
ことによって、さまざまな形状を簡単に量産することができる。この工程は(射出成形)
と呼ばれる。
(続く)
- 8 -
No
[2]熱可塑性プラスチックの特徴は、左図のように糸状高分子が(乱雑に)集合してい
ることである。もともと(糸状)高分子はその形状からしても、また重合度がばらばらで
長さが一定しないことからしても、自然のままでは結晶化しにくいのである。つまり分子
間力が小さくなっており、常温でも(柔軟性)がある。この性質はこの種のプラスチック
を使いやすくしている。洗濯のりの容器などを思い出してみよう。
[3]ところがポリ塩化ビニルは炭素・塩素結合にかなり(極性)があり、分子間力がも
ともと大きい糸状高分子である。だからこれを成形して生産される塩ビパイプはかなり(硬
い)。しかしこの性質は、ポリ塩化ビニルから人工皮革を生産するには不都合である。そこ
で糸状高分子どうしの分子間力がはたらくのを妨げるような(可塑剤)と呼ばれる化合物
を混合する。可塑剤は右図のように高分子の中でまるで「ころ」のようにはたらいている。
可塑剤にはフタル酸ジブチルなどが使われる。
[4](ポリプロピレン)分子は構成単位ごとにメチル基が枝分かれしており、通常の重合
反応では次ページの図のアタクチック型のようにその立体的構造は不規則的になり、結晶
化している部分が少なくてかなり柔軟性がある。これに対してチーグラーは糸状高分子の
(立体的構造)が規則的なポリプロピレンを合成できる触媒を開発した。とくにアイソタ
クチック型は結晶化しやすくなり、これによってポリプロピレンの用途が拡大した。
私たちはここでも、分子配列や分子構造をコントロールして期待する性質を生み出す例
に出会っている。
[e]プラスチックのリサイクル
[1]プラスチックは便利な材料であるが、大量の(ごみ)にもなっている。7章では自
然の(物質循環)の意味を学習し、人間が存続するためには物質を循環利用することが不
可欠であることを確認した。
- 9 -
(藤谷著「高分子化合物の見方・考え方」より)
[2]熱可塑性プラスチックは回収して(再加工)しやすい材料である。そのためには材
料を汚したり混ぜたりせずに生産者にもどすことである。生産者には(法律)で再加工を
義務づける。
[3]またプラスチックを(自然)の物質循環に組み込んでいくには、それを燃料として
(燃焼)させて二酸化炭素と水蒸気にし、発生する(熱エネルギー)は有効に利用するこ
とである。また現在では製鉄所は、コークスの代わりに(還元剤)としてプラスチックを
利用し始めている。ただしいずれの場合も塩素系プラスチックは除去する必要がある。そ
れに排煙に有害物質が含まれないような対策が求められる。
[4](塩素系プラスチック)を循環させるには、人間が(人工的)に塩素を切り離す処理
をし、それを(再利用)するようにせねばならない。
[5]それにしても私たちは(二酸化炭素)を発生させ過ぎている。経済と生活のスタイ
ルを改善してプラスチックの使用量を(減少)させることも求められている。
[6]現在プラスチックは(石油)を原料に合成されている。これは自然の物質循環から
は外れている。これからは光合成などによる(バイオマス)を原料にしていくべきではな
かろうか。もちろんそのときは人間が砂漠の(緑地化)など自然の物質循環を促進してい
く必要がある。
問 人間が利用しているさまざまな材料は、どのように循環させていけば良いのだろうか。
- 10 -
授業計画へ
No
- 11 -
フェノール樹脂のようなプラスチックは、熱エネルギーを加えて温度を高くすると硬化
し再び軟化することがない。この性質は(熱硬化性)と呼ばれる。
これは熱エネルギーを加えるとさらに(縮合重合)が進行して、分子はいたるところで
枝分かれ状になり立体的に(網目状)の高分子が形成されるためである。この種のプラス
チックは(分子量)が極めて大きい。たとえばレゾールでは次のような構造になっている。
そして枝分かれ状高分子が生成するためにはモノマー分子が(3つ)以上の反応サイトを
持っている必要がある。
[c]尿素(ユリア)樹脂
フェノール樹脂で説明したように、ホルムアルデヒドは付加と縮合により2つの分子を
メチレン基で結び付けるはたらきをする。その相手物質を尿素 H2NCONH2 にしたの
が(尿素樹脂)である。尿素は4つの水素を持ち4つの反応サイトがあるので、生成する
高分子は立体的に網目状になる。
尿素樹脂は(接着剤)としても利用される。ベニヤ板のような(合板)は、途中まで付
加と縮合をくり返した樹脂液を染み込ませ押さえつけて加熱することによって、縮合重合
を進行させて貼り合わせる。
このようにして生産される建材は安価ではあるが、未反応の(ホルムアルデヒド)が揮
発して(シックハウス病)を引き起こすことがある。
- 12 -
授業計画へ
No
- 13 -
に引き伸ばしたままで唇の温度になった輪ゴムを一気に縮ませると、運動エネルギーが高
分子全体に(分散して)熱運動が弱まり、温度が(低く)なるのである。
問2 ゴムにおもりをつるしておいて、温度を高くするとどうなるか。
伸びが小さくなる。
[b]加硫
すでに学習した生ゴムは、そのままタイヤなどに使用するには伸び過ぎる。グッドイヤ
ーは生ゴムに(硫黄)を混ぜて加熱すると、強い弾性を示すようになることを発見した。
これは(加硫)と呼ばれ、ポリイソプレンの構成単位あたり1つ残っている(二重結合)
と硫黄分子が、次のように反応して橋かけ状の部分が増加するためである。
[c]合成ゴム
天然ゴムの分子構造を参考に多くの(合成ゴム)が開発されてきた。現在もっとも量産
されているのはスチレンブタジエンゴム(SBR)である。これはその名のとおりスチレ
ンと(ブタジエン)を共重合させて合成される。合成ゴムにも加硫が行われる。
問3 SBRではスチレンとブタジエンの配列は一定していないが、スチレンとブタジエ
ンが連結している部分を構造式で書け。ちなみにブタジエンは左図のような構造式で示さ
れる。
- 14 -
授業計画へ
No
- 15 -
水溶液を加えて振り混ぜ、ろ過した水溶液に指示薬を加えると、(赤色)になり(より強い)
酸性になる。
[2](スチレン)に架橋剤を加えて付加重合すると網目状の高分子が生成する。これに濃
硫酸を反応させて、左図のようにベンゼン環に(スルホ基)を導入したものが陽イオン交
換樹脂である。15章で学習したようにスルホ基は(酸)である。
[3]これが銅イオンを含む水溶液に接すると、右図のように水素イオンと銅イオンが(イ
オン交換)されて(水素イオン)が水溶液に移る。こうして銅イオンの青色が消えたので
ある。次に銅イオンを取り込んだ樹脂に濃度が高い塩酸を加えるとやはり陽イオンの交換
が起こり、今度は(銅イオン)が水溶液に移ってくる。銅イオンは塩化物イオンと錯イオ
ンを形成すると緑色になることに注意しよう。こうして陽イオン交換樹脂は(再生)され
る。
同様に、(中性)の塩化ナトリウム水溶液に陽イオン交換樹脂が接すると、水素イオンと
ナトリウムイオンの交換が起こり、水溶液が酸性を示す。
陽イオン交換樹脂は酸の一種であるが、その陰イオンの方は網目状の高分子に結合して
いて移動(できない)という特徴を持つ。
(続く)
- 16 -
No
[4]これに対して(陰イオン交換樹脂)は、左図のようにアルキルアンモニウム基が導
入されたものである。アルキルアンモニウム基は(塩基)である。これがたとえば塩化物
イオンを含む水溶液に接すると、(水酸化物イオン)と塩化物イオンがイオン交換されて水
酸化物イオンが水溶液に移る。陰イオン交換樹脂も濃度が高い水酸化ナトリウム水溶液で
処理すると、やはり陰イオンの交換が起こって再生される。
[c]イオン交換樹脂の活用
[1]塩化ナトリウムのような陽イオンと陰イオンを不純物として含む水を陽イオン交換
樹脂と陰イオン交換樹脂に通すと、水素イオンおよび水酸化物イオンとイオン交換され、
両者は(中和)して水になるので、イオン性の不純物を除去した(純水)が得られる。
[2]陽イオン交換樹脂を多孔質の膜にした(陽イオン交換膜)も生産される。この交換
膜は左図のように陽イオンは交換しながら(透過させる)が、陰イオンは高分子に固定さ
れた陰イオンが電気的に(反発)して透過させない。
陽イオンイオン交換膜で右図のように塩化ナトリウム水溶液を区切って電気分解すると
どうなるだろうか。
- 17 -
陽極では塩化物イオンが次のように電子を得て(塩素)が発生し、水溶液中には正電気
をもつナトリウムイオンが残ってくる。
( 2Cl- −→ Cl2 + 2e- )
参考:9章の電子得失表で触れたように、条件によって水分子より塩化物イオンが電子を
失いやすいことがある。
陰極では水分子が次のように反応して(水素)が発生し、水溶液中には負電気をもつ(水
酸化物イオン)が貯まってくる。
( 2e- + 2H2O −→ H2 + 2OH- )
しかしもっぱら(ナトリウムイオン)が陰極に移動することになるので、(陰極)側では水
酸化ナトリウムが生成することになるのである。こうして食塩水の電気分解により塩素、
水素、(水酸化ナトリウム)が生成する。ちなみに塩素と水酸化ナトリウムが反応すること
は10章で学習した。
[d]導電性高分子
金属は導電性を持つ。そして2章では非金属の黒鉛が導電性を持つことを学習した。そ
れでは高分子で導電性をもつものは合成できるだろうか。
ノーベル賞を獲得した(白川)は、次のようにアセチレンを付加重合して(ポリアセチ
レン)のフィルムをを合成し、その金属のような銀色の光沢に感動した。
図26
そして1976年に共同受賞者らと、このフィルムに微量の(臭素)をドーピングすると、
金属と同程度まで導電性が大きくなることを発見した。(導電性高分子)の誕生である。
炭素・炭素の二重結合と単結合が交互に連結した結合状態はπ−共役系と呼ばれる。す
でにこの結合状態は、イソプレンの1,4−付加のように、共有電子対が(移動)しやす
いことが知られていた。黒鉛もπ−共役系に似た結合状態を持っている。彼らはこのポリ
アセチレンに臭素を(ドーピング)するという手法で、その性質を見事に発現させたので
ある。
これをきっかけに種々の導電性高分子が開発され、(二次電池)やコンデンサーに利用さ
れ始めている。
- 18 -
授業計画へ
No
- 1 -
(熱可塑性)プラスチックは温度が高くなると(軟化)し、粘土のように(塑性)変形
させることができる。このプラスチックの高分子は(糸状)であり、かつ繊維に比べて高
分子が(乱雑に)集合している。つまり(分子間力)が小さく、常温でも(柔軟性)があ
る。
これに対して(熱硬化性)プラスチックは、重合途中の材料の温度を高くするとさらに
(重合)が進んで立体的に(網目状)の高分子になって硬化する。
(1)フェノール樹脂を発明した化学者名を書け。 (ベークランド)
(2)ユリア樹脂の原料の名称と示性式を書け。
尿素 H2NCONH2
ホルムアルデヒド HCHO
(3)シックハウス病の主な原因を1行ほどで説明せよ。
合板を生産する尿素樹脂から未反応のホルムアルデヒドが揮発する。
4.ゴムについて次の問に答えよ。
(1)輪ゴムを引き伸ばすと温度はどうなるか、理由を付けて2行ほどで説明せよ。
高分子の一部分が拘束されて熱運動できなり、その運動エネルギーが残りの
部分に集中して熱運動が激しくなって、温度が高くなる。
(2)ゴムに硫黄を混ぜて加熱すると弾性が強くなることを何と呼ぶか。 (加硫)
(3)その結果できる分子構造を、
天然ゴムを例にして右に示性式で書け。
(4)SBRと略される合成ゴムの
原料の名称と示性式を書け。 図
スチレン
ブタジエン CH2=CH−CH=CH2
5.次の文を完成せよ。
ナトリウムイオンや塩化物イオンのような不純物を含む水を(陽イオン交換樹脂)と(陰
イオン交換樹脂)に通すと、(水素イオン)および(水酸化物イオン)とイオン交換され、
両者は中和して水になるので、(純水)が得られる。
(陽イオン交換膜)は陽イオンは(透過させる)が、陰イオンは高分子に固定された(陰
イオン)が電気的に(反発)して透過させない。
この交換膜で塩化ナトリウム水溶液を区切って電気分解すると、陽極では次の反応が起
こり、水溶液中には(ナトリウムイオン)が残ってくる。
( 2Cl- −→ Cl2 + 2e- )
陰極では次の反応が起こり、水溶液中には(水酸化物イオン)が貯まってくる。
( 2e- + 2H2O −→ H2 + 2OH- )
そしてもっぱら(ナトリウムイオン)が移動して(陰極)側では(水酸化ナトリウム)が
生成する。
( )組( )番 氏名( )
- 2 -