キーワード
高校、化学、教材、自主編成、教科書、(高校化学、化学教材)

                                   02.4
                                   林 正幸

   16 反応の速度

授業計画

 1  1.反応のしくみ  [a]衝突活性化説
              [b]素反応 
 2            [c]時計反応         デモ実験
    2.反応速度    [a]反応速度の表し方
 3            [b]一次反応
 4  実験1 燃焼と触媒
 5  3.不均一反応の速度
 6  4.活性化エネルギー
 7  5.触媒                      白金かいろ
 8  宿題(演習)













                  - 1 -































                  - 2 -

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1.反応のしくみ

[a]衝突活性化説
[1]これまでたくさんの化学反応を扱ってきたが、いったい化学反応はどんなしくみで
起こるのだろうか。
 1889年に(アレニウス)は(衝突活性化説)を提唱した。反応によって分子が異な
る分子に変化するためには、その結合が(切断)されるかあるいはゆるめられる必要があ
る。それを引き起こすためのエネルギーは(活性化エネルギー)と呼ばれる。彼は活性化
エネルギーが、一定以上大きい運動エネルギーを持つ分子どうしの(衝突)によってまか
なわれると考えた。

[2]4章では分子の熱運動にはばらつきがあることを学習した。分子どうしは絶えず衝
突をくり返しているが、統計力学によると絶対温度T[K]において2つの分子の運動エ
ネルギーの和が活性化エネルギーEa[J/mol]を越える(割合)は
    exp(−Ea/RT)
であると分かっている。ここで exp(a)は ea のことであり、 e は自然対数の底
と呼ばれ、2.718・・・という数値である。また R は気体定数である。
 数式が苦手な生徒は深入りする必要はないが、絶対温度が高いほどこの割合が大きくな
ることは分かるだろう。
  ( 反応速度は温度が高くなると大きくなる。 )
一般に反応速度は温度が10℃高くなるごとにおよそ()倍になることが知られている。

[3]2種の分子AとBが1s(秒)あたりに衝突する(回数)はそのモル濃度cA
[mol/l]とcB[mol/l]の積に正比例する。そのわけを考えてみよう。1[l]

     


                  - 3 -

の反応容器を考えると、その中に分子AはcA[mol]、分子BはcB[mol]存在する。
そのときの分子AとBが衝突する回数は cA×cB に正比例する。図を見て考えてみよう。
分子Aの個数が(多い)ほど、そして分子Bの個数が多いほど、両方の分子が衝突する回
数は大きくなるに違いない。
 こうして分子AとBのモル濃度がともに1[mol/l]であるときの1sあたりの衝突
回数をZとすると、一般的な衝突回数は次のようになる。
    Z[A][B]
ここで[A]は分子Aのモル濃度の意味であった。

[4]ところで活性化エネルギー以上の衝突なら、必ず分子AとBが反応すると言えるだ
ろうか。分子どうしの向きによっては、無駄な衝突に終わることもあるだろう。その反応
に有効な確率があるわけで、これは(確率因子)と呼んで p で表す。形が複雑な分子の
反応ほど、この確率因子が小さくなることは分かるだろう。

「5」こうして反応速度 v は次の式で計算できることになる。
    v = pZexp(−Ea/RT)[A][B]
このうち pZexp(−Ea/RT)は、注目する反応が決まり温度が変わらないなら(一
定)の数値であるはずだから、それを(反応速度定数)と呼んで k で表すと、
    ( v = k[A][B] )
という関係式が得られる。これは(反応速度式)と呼ばれる。文章でまとめると次のよう
である。
 ( 温度が変わらないなら、反応速度は反応物質のモル濃度の積に正比例する。 )
 いきなり難しい話で戸惑ったかもしれないが、化学反応のしくみをイメージできること
が目的である




                         (続く)

                  - 4 -

                                   No
[b]素反応
[1]せっかくであるが、以上の考えは単純な反応(素反応)のみに当てはまる。多くの
反応はたとえ1つの反応式で書き表されていても、実際には素反応がいくつも続いて進行
する。
だから反応速度とモル濃度の関係は、実験で計測することによって見出される。そしてそ
れに基づいてどのような素反応が続いて進行するかの解明をする。
[2]単純な例を紹介しよう。16章では反応形式の1つとして置換反応を取り上げた。
この中で次のように表せる反応について見てみよう。
    R−X + Y- −→ R−Y + X-
この種の反応の中には次のどちらかの速度式で表されるものがある。
    v = k1[R−X]       (SN1) 
    v = k2[R−X][Y-]   (SN2)
 (SN2)のタイプはこの反応が素反応であり、分子とイオンが衝突して反応することを
示している。これに対して(SN1)のタイプについては
    第1段  R−X −→ R+ + X-
    第2段  R+ + Y- −→ R−Y
という2つの素反応が続いて起こる。そして第2段が速いため、反応速度は第1段で決ま
り上の速度式になるのである。
 実際の研究はもっと複雑であり、光学異性体の立体的構造の変化を調べたりする。ちな
みに私は大学時代にこの種の研究に係わっていた。

     


                  - 5 -

[3]現在では光でさえ0.003mmしか進めないほど短い時間(10-14s)だけ発光
するレーザーが開発され、化学反応のしくみの研究に利用され始めている。これほど短い
時間であると、反応中の分子は自身の大きさの数10分の1しか移動しない。つまりシャ
ッタースピードが極めて短いわけで、このレーザーを照射することによって化学反応のあ
る(瞬間)の情報を得ることができるのである。

[c]時計反応
問 実験の様子をイラストで描け。

     


 ヨウ化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、デンプンなどを含むA液に、過酸化水素水溶液
であるB液を加えて振り混ぜると、(16)秒で一瞬にして(濃青色)になる。これはある
時間を経て(ヨウ素)が生成し、(デンプン)と反応するためである。
 次にB液を2倍に希釈すると、濃青色になる時間は(31)秒とほぼ2倍になる。さら
にB液を3倍に希釈すると、その時間は(49)秒とほぼ3倍になる。つまりこの反応で
は反応速度が、過酸化水素のモル濃度に(正比例)することがうかがえる。







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2.反応速度

[a]反応速度の表し方
[1]ここで(反応速度)そのものをどう表すべきかを考えてみよう。まず1節では反応
物質が(均一)に分散しているような、つまり気体分子どうしの反応とか、溶液中の反応
について取り扱ったことに留意しょう。そして2節でもそのことは変わらない。なお木炭
が燃えるような、つまり固体と気体がその表面でのみ反応するような(不均一)反応の速
度についてはあとで学習することにする。
[2]はじめに反応速度を、(反応物質)が1s(秒)あたりに何mol(減少)するかで
表すことにしよう。すると2つの問題がある。
 時計反応では1sあたりに過酸化水素が何mol減少するかを考えると、同じ時間で濃
青色になったとしても、A液とB液を100mlずつ反応させる場合と200mlずつ反
応させる場合では、後者の反応速度が2倍になって不合理である。こうして反応速度は、
体積1[l](リットル)あたりで反応物質が何mol減少するか、つまり1sあたりに反
応物質のモル濃度がどれだけ減少するかで表すべきことが分かる。
  ( 反応速度は1sあたりに反応物質のモル濃度がどれだけ減少するかで表す。 )
[3]さらに時計反応では反応物質としてヨウ化カリウムを選ぶこともできる。
    2KI + H22 −→ I2 + 2KOH
  ヨウ化カリウム
すると反応式から分かるように、ヨウ化カリウムの減少量は過酸化水素の2倍になる。だ
から1sあたりにヨウ化カリウムのモル濃度がどれだけ減少するかという反応速度は、前
の反応速度の()倍の数値になる。つまりどの(反応物質)に注目した反応速度である
かを示す必要がある。
 ちなみに反応速度は1sあたりに生成物質のモル濃度がどれだけ(増加)するかでも表
すことができる。

[b]一次反応
[1]1節の(SN1)のタイプの置換反応のように、温度が一定の下で、反応速度 v が
1つの反応物質のモル濃度のみに正比例するとき、それは(一次反応)と呼ばれる。そし

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て反応物質が A である場合に、反応速度式は次のようになる。
    ( v = k[A] )
以下これを中心に学習する。
参考:温度が高くなると、速度定数 k が大きくなって反応速度が大きくなる。
[2]反応が進行するにつれて反応物質のモル濃度がしだいに減少して、それにつれて反
応速度も小さくなっていく。だから反応物質のモル濃度と時間のグラフから(反応速度
を求める場合には、短い時間の濃度変化を読み取って、下のように計算するべきである。
あるいはその時点での曲線の接線の傾きをその反応速度とする。
    ( v = Δc/Δt )
        v:反応速度
        Δt:(短い反応時間
        Δc:(モル濃度の減少

「例題1]次のデータは五酸化二窒素が分解する反応
    2N25 −→ 4NO2 + O2
の反応物質のモル濃度と時間の関係である(45℃)。
    時間[s] N25のモル濃度[mol/l]
       0    17.5 ×10-3
     600    12.5
    1200     9.3
    1800     7.1
    2400     5.3
    3000     3.9
    3600     2.9
    4200     2.2
    4800     1.7
    5400     1.2
    6000     0.9
    7200     0.5
                         (続く)

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(1)N25のモル濃度と時間の関係をグラフに描け。

     


(2)次の反応時間における五酸化二窒素減少の反応速度と平均濃度を求めよ。
  反応時間[s]     反応速度[mol/l・s]   平均濃度[mol/l]
 600〜1200      (5.3) ×10-6     (10.9) ×10-3
1800〜2400      (3.0)          ( 6.2
3600〜4200      (1.2)          ( 2.6
        計算例
  Δc/Δt =(12.5−9.3)×10-3/(600
        = 0.00533・・・×10-3 = 5.33・・・×10-6

                  - 9 -

[3]一次反応では反応物質のモル濃度が半分になる時間は、モル濃度によらず一定の数
値になる。その時間は(半減期)と呼ばれる。半減期を τ(タウ)とすると、反応速度定
数 k と次のような関係がある。
    τ = 0.693/k
参考:放射性同位体が放射線を出して変化する反応も同様である。

「例題2]例題1の反応速度は五酸化二窒素のモル濃度のみに正比例することが分かって
いる。
(3)例題1(2)の反応時間における五酸化二窒素減少の反応速度定数を計算し、さら
にその平均値を求めよ。
      反応時間[s]        反応速度定数[1/s]
     600〜1200        (4.9) ×10-4
    1800〜2400        (4.8
    3600〜4200        (4.6
                 平均  (4.8) ×10-4
        計算例
  v/[A]=(5.3)×10-6/(10.9)×10-3
       = 0.486・・・×10-3 = 4.9×10-4
(4)次のモル濃度における半減期をグラフから求め、その平均値を計算せよ。
                              半減期[s]
  N25のモル濃度が17.5×10-3[mol/l]    (1200
            3.9×10-3           (1600
                         平均  (1400
(5)反応速度定数から計算した半減期と比較せよ。
    0.693/ 4.8×10-4= 1440[s]
    おおむね一致している。




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3.不均一反応の速度

[a]水素の燃焼(実験のまとめ)
[1](水素)をポリ袋に入れて点火すると(ゆっくり)燃焼するが、空気が入ったポリ袋
に水素を追加して点火すると(爆発)する。
 爆発は反応速度が(大きい)燃焼である。混合していない気体どうしの反応は両者の境
界で起きるので反応速度は(小さい)。しかし気体どうしはもともと(分子)ひとつひとつ
まで混合するので、そうなった場合に分子どうしはどこでも衝突して反応するようになり、
反応速度が大きくなる。(ガス爆発)事故が起きるのはこうした理由からである。
[2]ちなみに、これまで水溶液による反応を数多く行ってきた。水溶液では溶解してい
る物質は分子やイオン(ひとつひとつ)に分散しているので、2種の水溶液を混合すると
いたるところで衝突して反応が起きる。こうして(溶液反応)では混合気体の反応と同じ
ように反応速度が大きくなる。とくにイオンどうしの反応は一瞬にして終了することが多
い。

[b]粉じんの燃焼(実験のまとめ)
 大きいポリ袋の中で、アルコールランプを点火しておき、乾燥した(かたくり粉)を吹
き上げると(一瞬)にして燃焼し、燃焼ガスを噴出してポリ袋がロケットのように飛び上
がる。
 かたくり粉は(固体)で空気(酸素)は気体なので、この燃焼反応は両者の(境界)で
のみ起こる。しかしかたくり粉を吹き上げると一粒ずつばらばらになって(表面積)が大
きくなり、反応速度が(大きく)なる。デンプン工場や炭坑での(粉じん爆発)はこうし
て発生する。

[c]砂糖の燃焼(実験のまとめ)
[1]同量の(砂糖)と(塩素酸カリウム)を注意深く混合して山にし、濃硫酸をかける
と(赤紫色)の炎を吹き上げて(激しく)燃焼する。炎の色はカリウム元素の(炎色反応
である。
 この燃焼反応は次のようである。

                  - 11 -

  C122211 + 8KClO3 −→ 12CO2 + 11H2O + 8KCl
   ショ糖   塩素酸カリウム
この反応は「酸素原子のやり取り」であり、ショ糖が(還元剤)で、塩素酸カリウムが(
化剤)である。
    8KClO3 −→ 8KCl + 24O
    24O + C122211 −→ 12CO2 + 11H2
 固体どうしの反応は固体の表面の(接触)した部分でのみ起こるが、よく混合すると激
しい反応になる。これは気体に比べて固体は物質が(密に)詰まっていて、(小さい)空間
で大量の反応が起こるためである。
[2](火薬)はこの原理を応用している。歴史的に重要な(黒色火薬)は、還元剤に炭の
粉と硫黄、酸化剤に(硝酸カリウム)を使用する。
    2KNO3 −→ K2O + 2NO + 3O
    2O + C −→ CO2
       ・・・・・
 ダイナマイトの原料のひとつは(ニトログリセリン)である。これはひとつの分子の中
に、酸化される炭素原子と水素原子、そして十分な個数の酸素原子が含まれている。その燃焼反
応は次のようである。
    2C35(ONO23 −→ 6CO2 + 5H2O + 3N2 + O
   ニトログリセリン
ニトログリセリンは反応する物質どうしが分子の中まで混合していると見なすことがで き、小さいショックでも爆発する。
[3](液体)どうしの反応も激しい。日本のHUロケットは(液体水素)と液体酸素を推
進剤にしている。







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4.活性化エネルギー

[a]物質のエネルギー(復習)
[1]7章ではエネルギーについて学習した。運動エネルギーとは、物体がある速度で運
動していることに対応して持つエネルギーである。また(位置エネルギー)とは、引き合
う物体どうしがある距離で位置していることに対応して持つエネルギーである。そして(
)が大きいほどその位置エネルギーは(大きい)のである。
[2]物質はその内部にエネルギーを持っている。物質は分子、イオン、原子といった粒
子からできている。これらの粒子は(熱運動)をしており、そのために物質は運動エネル
ギーを持つ。(温度)が高くなると熱運動が激しくなるので、その運動エネルギーは大きく
なる。またこれらの粒子は(化学結合)や分子間力で引き合っている。そのために物質は
位置エネルギーを持つ。共有結合した分子とそうでないばらばらの(原子)では、原子が
持つ位置エネルギーの方が(大きい)。
[3]物質が変化するとその持つエネルギー量が変化する。(反応物質)より生成物質が持
つエネルギーが(小さい)場合は、その差だけエネルギーをまわりに与える、つまり(
)する。反対に生成物質の持つエネルギーが大きい場合は、その差だけエネルギーをま
わりから奪う、つまり吸熱する。このことは(エネルギー変化グラフ)を描くと分かりや
すかった。

[b]活性化エネルギー
[1]1節で紹介した活性化エネルギーについて、次のようなヨウ化水素が生成す反応
を例にしてさらに考えてみよう。
    H2 + I2 −→ 2HI
この反応が起きるためには水素分子とヨウ素分子の共有結合が切断されるかあるいは(
るめられる)必要がある。そうでなければ水素原子とヨウ素原子の間に(新しい)共有結
合が形成されない。結合が切断されるとかゆるめられるということは、両方の原子の距離
が大きくなることである。つまりより(大きい)位置エネルギーを持つ状態に変化するこ
とである。とういことは反応が起きるためにはエネルギーを(得る)必要がある。
[2]実際には左図のように、水素分子とヨウ素分子の結合がゆるめられると同時に水素

                  - 13 -


     


原子とヨウ素原子のゆるい結合が形成される。このような反応の途中は(活性化状態)と
呼ばれる。反応物質が活性化状態になるために必要なエネルギーが(活性化エネルギー
である。以上の内容をエネルギー変化グラフに描くと右図のようになる。
[3]2molのヨウ化水素が生成するときの活性化エネルギーは169kJである。ま
た反応物質と生成物質のエネルギー差である9kJは、次の熱化学方程式で表される(
応熱)である。
    H2 + I2 = 2HI + 9kJ
 そして2molのヨウ化水素が分解するときの活性化エネルギーは、グラフから
178)kJであると分かる。またそのときの反応熱は−9kJである。

[c]点火の意味
 各種の燃焼では(点火)しないと反応が始まらない。それは常温では分子の熱運動が穏
やかで活性化エネルギーを得るだけの激しい衝突がほとんど起きないためである。
 ところが炎が触れるとその部分の温度は1000℃くらいになり、活性化エネルギーを
越える衝突がひんぱんに起きて反応が始まる。すると燃焼はもともと(発熱)反応である
から、発生する熱エネルギーを自分自身に与えて温度が高くなり、燃焼が(継続)するよ
うになるのである。
 このように活性化エネルギーは、反応が起きるために(一時的)に必要となるエネルギ
ーである。


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5.触媒

[a]水をかけると緑の火柱(実験のまとめ)
[1]蒸発皿の中で硝酸アンモニウムと(塩化アンモニウム)を混ぜて山にし、亜鉛粉末
を振りかけてから少量の()をかけると(緑色)の火柱を上げて燃焼する。
 このとき亜鉛と硝酸アンモニウムが次のように反応する。
    Zn + NH4NO3 −→ ZnO + 2H2O + N2
この反応も「酸素原子のやり取り」である。
    NH4NO3 −→ 2H2O + N2 + O
    O + Zn −→ ZnO
[2]ところで塩化アンモニウムと水はどんなはたらきをするのだろう。塩化アンモニウ
ムは水に溶けて次のように電離する。
    NH4Cl −→ NH4 + + Cl-
このとき生じる(塩化物イオン)がこの反応速度を大きくするのである。塩化物イオン自
身は(変化しない)。このように反応速度を大きくするが自身は変化しない物質は(触媒
と呼ばれる。
 7章で実験した(使い捨てかいろ)でも、塩化ナトリウムから生じる塩化物イオンが反
応を促進している。

[b]白金触媒(実験のまとめ)
[1]三角フラスコに(メタノール)を入れ、一度炎に入れて清浄にしたリングに巻いた
白金線)を差し入れると(赤熱)状態になる。これは白金がメタノールと酸素の燃焼反
応を促進しているのである。
    2CH3OH + 3O2 −→ 2CO2 + 4H2
白金かいろ)ではベンジンの燃焼を白金が促進している。
[2]同様に濃アンモニア水を入れて白金線を差し入れると、やはり赤熱状態になる。こ
のとき次のように(アンモニア)が燃焼して一酸化窒素が生成する。
    4NH3 + 5O2 −→ 6H2O + 4NO
これは(オストワルト法)で硝酸を合成するときの反応であり、白金を(触媒)とするこ

                  - 15 -

とを思い出そう。ほとんどの化学工業は触媒の開発の上に成立している。
[3]自動車の動力源として開発されている(燃料電池)においても、その反応を引き起
こすために(白金)が欠かせない。

[c]触媒のはたらき
[1]触媒がはたらくしくみはさまざまである。14章では次のような反応で(酢酸エチ
)を合成した。
    CH3COOH + C25OH −→ CH3COOC25 + H2
このとき触媒として(濃硫酸)を利用する。それは左図のように(水素イオン)が酢酸の
ヒドロキシル基に結合して、エタノールの酸素原子が攻撃して脱水するのを助けるのであ
る。その後でエタノールのヒドロキシル基の水素が水素イオンとして離脱する。

     


[2]また炭素・炭素二重結合を含む油脂に水素を付加して(硬化油)を生産するとき、
触媒として(ニッケル)を利用することを学習した。一般に固体の(表面)にある原子は
内部と違って、他の原子との(結合能力)を残している。水素分子は右図のようにニッケ
ルの表面で(水素原子)に解離して(吸着)される。このように予め水素分子の結合が切
れていれば、二重結合との反応は容易になる。
[3]エネルギー的に考えると、触媒とは反応のしくみを変えて活性化エネルギーを(
さく)するものである。
[4]最後に負触媒に触れておく。消毒薬(オキシドール)は3%の過酸化水素水である。
しかし過酸化水素は次のようにゆっくりと分解していく。
    2H22 −→ 2H2O + O2
そこでこの反応を(抑制)するために(リン酸)を加える。このように反応速度を小さく
する物質は(負触媒)と呼ばれる。

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   宿題(16章)

1.衝突活性化説に関する次の文を完成し、下の問に答えよ。
 反応によって分子が異なる分子に変化するためには、その結合が切断されるか(ゆるめ
られる)必要がある。そのような状態は(活性化状態)と呼ばれ、それに必要なエネルギ
ーは(活性化エネルギー)と呼ばれる。このエネルギーは、一定以上大きい運動エネルギ
ーを持つ分子どうしの(衝突)によってまかなわれる。
 分子の熱運動にはばらつきがあるが、温度が高いほど熱運動は全体として激しいので、
活性化エネルギーを越える衝突の(割合)は大きくなる。したがって反応速度は温度が高
いほど(大きく)なる。
 また2つの分子AとBが1sあたりに衝突する回数はそれぞれの(モル濃度)の積に正
比例する。こうして温度が一定なら、分子AとBが反応する反応速度は反応物質のモル濃
度の()に正比例する。
 ただし以上の理論は(素反応)にのみ適用できる。
(1)衝突活性化説を提唱したのは誰か。      (アレニウス
(2)温度が10℃高くなるごとに反応速度が2倍になる場合、温度が100℃高くなる
と、反応速度は何倍になるか。
    10 =1024         答 1024倍
(3)分子AとBが反応する反応速度 v は速度定数を k としてどのような速度式で表
されるか。          ( v=k[A][B] )
(4)分子Aのモル濃度が3倍に、そして同時に分子Bのモル濃度が4倍になると、その
反応速度は何倍になるか。        (12倍
(5)水素1molとヨウ素1molが反応
するときの活性化エネルギーは169kJで
あり、その反応熱は9kJである。このこと
をエネルギー変化グラフに描け。              図1
(6)ヨウ化水素2molが分解する反応の
活性化エネルギーはいくらか。
     (178kJ
2.右図は過酸化水素が、触媒である塩化鉄
(V)が一定濃度で存在する下で、3つの温
度において分解していく様子を、そのモル濃
度と時間のグラフで示したものである。次の
問に答えよ。なおグラフの読み取りは最小目
盛りを、濃度に関しては5等分して0.02          図2
mol/l単位の数値に、時間に関しては6
等分して10s単位の数値に直せ。
 反応式 2H22 ―→ 2H2O + O2
(1)曲線(a)について、0〜60sの間
における過酸化水素減少の反応速度[単位:
mol/l・s]を求めよ(答は小数4位で)。

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    0.22/60=0.00366・・・  答 0.0037[mol/l・s]
(2)同じく曲線(a)について反応溶液が100mlであるとすると、(1)の時間で酸
素は何mol発生するか(答は小数3位で)。
    反応した H2O2 は0.22×100/1000=0.022[mol]
    生成する O2 はその半分だから       答 0.011[mol]
(3)曲線(a)〜(d)の中で、反応開始時の反応速度がもっとも大きいのはどれか。
    その時点での反応速度は曲線の接線の傾きであるから  答 (c)
(4)曲線(b)について次の時間を求めよ。
  ・過酸化水素の濃度が1mol/lからその半分になる時間  (120s
  ・   〃    0.5mol/lから   〃       (120s
(5)(4)に基づくとこの反応はどんな反応か。またその反応速度 v はどのような速度
式で表せるか。
    半減期が一定であるので  一次反応    v=k[H22
(6)(1)に関して、その間の平均濃度を用いて過酸化水素減少の速度定数[単位:
1/s]を計算せよ(答は小数4位で)。
    0.0037/0.89=0.00415・・・  答 0.0042[1/s]
(7)曲線(a),(c),(d)のそれぞれの半減期を求めよ。
   (a)180s    (c)70s     (d)60s
(8)曲線(d)と同じ温度における測定は(a)〜(c)のいずれか。
    温度が同じなら速度定数が同じになり、速度定数が同じなら半減期も同じになる。
    実験誤差も考慮して       答 (c)

3.触媒についての次の文を完成し、下の問に答えよ。
 蒸発皿の中で(硝酸アンモニウム)と塩化アンモニウムを混ぜて山にし、(亜鉛粉末)を
振りかけて少量の()をかけると緑色)の火柱を上げて燃焼する(a)
 三角フラスコに濃アンモニア水を入れ、一度炎に入れて清浄にした(白金線)を差し入
れると赤熱)状態になる(b)
(1)下線部(a)の反応式を2段階に分けて書け。
    NH4NO3 ―→ 2H2O + N2 +O
    O + Zn ―→ ZnO
(2)触媒とは何か。
    反応速度を大きくするが自身は変化しない物質
(3)下線部(a)の触媒は何か。    (塩化物イオン
(4)下線部(b)の反応式を書け。
    4NH3 + 5O2 ―→ 6H2O + 4NO
(5)下線部(b)の反応を利用して工業的に硝酸を合成する方法は何と呼ばれるか。
    オストワルト法
(6)負触媒の例を上げよ。
    オキシドール中の過酸化水素の分解を抑制するためにリン酸を加える。


          ( )組(  )番 氏名(       )

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