- 1 -
- 2 -
授業計画へ
No

- 3 -
問1 C4H10Oという分子式で表されるアルコールついて、すべての異性体(4種)の構
造式を書き、3種のアルコールに分類せよ。

[b]アルコールの溶解性(実験のまとめ)
[1]水と油は互いに溶け合いにくい。そして油の代表には(ヘキサン C6H14 )が選ば
れることが多い。

[2]水とヘキサンに、4種のアルコールが溶けやすいか、溶けにくいかを調べて、次の
表のような結果を得た。
メタノール エタノール (1−プロパノール) 1−ブタノール
水 ○ ○ ○ ×
ヘキサン × ○ ○ ○
[3]溶解性に関して6章では「似たものどうしは溶け合う」ことを学習した。そして水
の特徴はヒドロキシル基からなり、極性が大きいことと、(水素結合)することであった。
これに対してヘキサンは炭素と水素からできている。メチル基 −CH3 や(エチル基
−C2H5 )のように炭素と水素からできている基はまとめて(炭化水素基)と呼ばれるの
で、ヘキサンは炭化水素基からなると言える。この基の炭素水素結合の極性は(小さい)
(もちろん炭素炭素結合の極性はゼロ)。つまりヘキサンないし油の特徴は(主に)炭化
水素基からなり、(極性)が小さいことである。
(続く)
- 4 -
No
[4]実験は以上のことを具体的に示している。水に(溶けやすく)馴染みやすいことを
(親水性)である、油に溶けやすく(馴染みやすい)ことを親油性であると言う。ヒドロ
キシル基が占める割合が大きい分子は親水性になる。反対に炭化水素基の占める割合が大
きい分子は(親油性)になる。両者の割合が拮抗(きっこう)していると両方の性質を持
つ。
問2 グリセリンの水とヘキサンに対する溶解性を予想してみよ。
水に溶けやすく、ヘキサンに溶けにくい。
[c]アルコールとナトリウムの反応など(実験のまとめ)
[1]メタノールやエタノールに(ナトリウム)の小片を投入すると次のように反応する。
( 2CH3OH + 2Na ―→ 2CH3ONa +H2 )
( 2C2H5OH + 2Na ―→ 2C2H5ONa +H2 )
[2]11章では水がナトリウムと反応する実験をした。その反応式は水をHOHと表す
と次のようになる。
2HOH + 2Na ―→ 2HONa + H2
つまりナトリウムが反応するのは(ヒドロキシル基)という官能基なのである。
こうして(水)はアルコールと関係づけられる無機物質である。ひるがえってアルコー
ルは水と同じように(中性)である。
[d]アルコールの生産
[1]メタノールは(一酸化炭素)と(水素)を高圧下で反応させて合成される。
( CO + 2H2 ―→ CH3OH )
[2]エタノールはすでに学習したように(エチレン)に水を(付加)して合成されるほ
かに、酒類の生産では(ブドウ糖)に(酵母)などの微生物を作用させてエタノールを得
ている。
C6H12O6 ―→ 2C2H5OH + 2CO2
ブドウ糖
この反応は(アルコール発酵)と呼ばれる。
- 5 -
[3]2−プロパノールはプロピレンに(水)を付加して合成される。
( CH2=CHCH3 + H2O ―→ CH3CH(OH)CH3 )
[e]エーテル
[1]酸素が2つの炭化水素基と結合している化合物は(エーテル)と呼ばれる。そして
そのような酸素 −O− は(エーテル結合)という官能基である。
「異性体探し」ではエチルメチルエーテル C2H5OCH3 が出てきた。
[2](ジエチルエーテル)は、エタノールに触媒として濃硫酸を加え(穏やかに)加熱
して合成される。
( 2C2H5OH −→ C2H5OC2H5 + H2O )
ジエチルエーテル
この反応形式は次のようである。

つまり2つの分子から簡単な分子が切り取られ、残りの部分が結合しており、これは(縮
合)と呼ばれる。縮合という反応形式は置換の(一種)であることに注意しよう。
なお上の合成では温度が(高く)なると別の反応が、1つのエタノール分子から水が脱
離する反応が起こり、エチレンが生成する。
C2H5OH ―→ CH2=CH2 + H2O
ジエチルエーテルは多くの有機化合物を溶解しやすいので(溶剤)として使用される。
ただし沸点が35℃と低くて、蒸気になって(引火)しやすいので取り扱いに注意が必要
である。
[3](エチレンオキシド)もエーテルの一種であり、水と反応させてエチレングリコー
ルが合成される。
CH2−CH2 + H2O ―→ CH2−CH2
\ / | |
O OH OH
エチレンオキシド
- 6 -
授業計画へ
No

- 7 -
始めに黒褐色沈でんである酸化銀 Ag2O を生じるが、再び溶けて無色のジアン
ミン銀イオン [Ag(NH3)2]+ が生成する。
[2]銀鏡ができる反応ではジアンミン銀イオンと(ホルムアルデヒド)が反応している。
このとき銀の(酸化数)は+1から0に減少しており、ジアンミン銀イオンは還元される。
ということはホルムアルデヒドは(酸化)されており、したがって(還元剤)としてはた
らいている。
これは(アルデヒド)つまりアルデヒド基の特徴のひとつである。あるいはアルデヒド
は(還元作用)を持つと言うこともある。ひるがえってアンモニア性硝酸銀水溶液はアル
デヒド基を(検出)する試薬であり、この反応は(銀鏡反応)と呼ばれる。
ちなみにアルデヒド基を検出するもうひとつの試薬に(フェーリング液)がある。これ
には酸化数が+2の銅イオン Cu2+ が含まれており、反応すると(赤色)の酸化銅
(T)Cu2O が沈でんする。
[3]ホルムアルデヒドが生成する反応にもどろう。この反応で酸化銅(U)は還元され
る。ということは(メタノール)は酸化される。

ここで図のようにメタノールから(水素)が脱離していることに注目しよう。こんなわけ
で化合物が水素原子を(失う)のは(酸化される)ことであると考えられる。
さらにメタノールから水素が脱離する反応形式をくわしく見てみよう。ヒドロキシル基
の水素原子と、その相手の炭素に結合している水素原子が脱離して、炭素酸素二重結合つ
まりカルボニル基が形成される。これは(アルコール)が酸化されるときに(共通)の反
応形式である。
問1 エタノールと2−プロパノールが酸化されるとどんな化合物が生成するか。

(続く)
- 8 -
No
[4]以上から(第一)アルコールが酸化されると(アルデヒド)が生成し、(第二)ア
ルコールが酸化されると(ケトン)が生成することが分かる。なお第三アルコールは酸化
され(にくい)。
[c]ヨードホルム反応(実験のまとめ)
[1](ヨウ素ヨウ化カリウム)水溶液に(エタノール)を加え、続いて(水酸化ナトリ
ウム)水溶液を加えて振り混ぜる(すこし加温する)と、白黄色のにごりが生じる。
アセトアルデヒド、(アセトン)では(黄色)沈でんが生じる。これは(ヨードホルム
CHI3 )という化合物で、特有の芳香がある。
これに対して(1−プロパノール)では変化が見られない。
問2 実験した4つの有機化合物の構造式を書いてみよ。

[2]これは(アセチル基 CH3CO− )の検出法である。もうすこし厳密に言うと、炭
素か水素と結合したアセチル基が反応するのであり、酸素に結合したものは反応しない。
なおこの試薬は(酸化剤)でもあるので、エタノールは酸化されて(アセトアルデヒド)
になって反応するので注意が必要である。
[d]アルデヒドとケトンの生産
ホルムアルデヒドは、(メタノール)を(空気)で酸化して合成される。
2CH3OH + O2 ―→ 2HCHO + 2H2O
アセトアルデヒドは、塩化パラジウムと塩化銅(U)を触媒にして(エチレン)を空気
で(酸化)して合成される。
2CH2=CH2 + O2 ―→ 2CH3CHO
参考:ここで「酸化して」の主語は人間であり、物質を主語にするとメタノールやエチレ
ンは「酸化され」、空気中の酸素が「酸化する(酸化剤である)」のである。
アセトンは工業的には、後で紹介する(クメン法)で合成され、有機化合物の溶剤など
に使用される。
- 9 -


- 10 -
No
[b]光学異性体
(乳酸)は中心の炭素原子に4つの(異なる)原子や「基」が結合している。このよう
な炭素原子は(不斉 ふせい)炭素原子と呼ばれる。不斉炭素原子を持つ化合物には、前
ページの右図のように互いに鏡に映した関係にある立体的構造を持つ異性体が存在する。
これらの性質は(極めて似ている)が、偏光面を回転させる向きが異なるので(光学異性
体)と呼ばれる。これはすでに前章の「異性体探し」でも出てきた。
不斉炭素原子を複数もつ化合物の立体的構造はさらに複雑なものとなる。(生体)内で
は、ある特定の立体的構造をもつ光学異性体のみが反応を起こすことはまれではない。
[c]カルボン酸の生産
酢酸は(アセトアルデヒド)を酸素で酸化して合成する。
( 2CH3CHO + O2 −→ 2CH3COOH )
参考:一般にアルデヒドは(酸化)されると(カルボン酸)という化合物になる。これに
対してケトンは酸化されにくい。
[d]酢酸エチルの合成(実験のまとめ)
[1]乾いた試験管に(酢酸)、濃硫酸、(エタノール)を加えて振り混ぜ、湯に浸けて
すこし加温すると、次のように反応して酢酸エチルという化合物が生成する(反応は完結
せず、化学平衡と呼ばれる状態になる)。
( CH3COOH + C2H5OH −→ CH3COOC2H5 + H2O )
酢酸エチル
[2]反応混合物を氷水に注ぎ、(炭酸ナトリウム Na2CO3 )を加えると触媒である
硫酸と未反応の酢酸が反応して(二酸化炭素)が発生し、硫酸ナトリウム Na2SO4 と
酢酸ナトリウム CH3COONa が生成する。そしてこれらは(イオン性)物質で水に溶
けやすい。また未反応のエタノールは、ヒドロキシル基が占める割合が大きく水に(溶け
やすい)。こうして合成した酢酸エチルのみが水に(溶けにくく)2層に分離する。
[3](酢酸エチル)を脱脂綿に染み込ませて(カラー印刷)を拭き取ることができる。
これはカラーインクが酢酸エチルに溶けやすいことを意味する。酢酸エチルは有機化合物
の(溶剤)などに使用される。
[e]脱水反応とエステル
- 11 -
[1]酢酸エチルが生成する反応の反応形式は次のようである。

つまり(縮合)のひとつである。そして切り取られる分子が水の場合はとくに(脱水反
応)と呼ばれる。
そして(濃硫酸)は脱水反応の(触媒)としてはたらくことが多い。
[2]上の反応は「縮合による脱水反応」である。この他に脱水反応には、1節で学習し
たエタノールからエチレンが生成する反応のように、ひとつの分子の中で水素とヒドロキ
シル基が切り取られて水が脱離する反応、つまり「脱離による脱水反応」もあるので注意
しよう。
[3](カルボン酸)と(アルコール)が脱水反応して生成する化合物は(エステル)と
呼ばれる。( −COO−)はエステル結合という官能基である。もちろん
(エステル結合)の酸素側には炭化水素基が結合する。つまりカルボキシル基がエステル
結合を含むとは言わない。
エステルには(芳香)を持つものがあり、香料として使用される。
問1 ギ酸とメタノールからギ酸メチルというエステルが生成する反応式を書け。
HCOOH + CH3OH −→ HCOOCH3 + H2O
ギ酸メチル
[4]さて反応を整理する第3の方法に、生成物質の名称を利用することがある。その意
味でこのような反応は(エステル化)とも呼ばれる。
[f]加水分解
希硫酸に酢酸エチルを加えて、振り混ぜながら加熱すると次のように反応してもとの酢
酸とエタノールに分解する。
CH3COOC2H5 + H2O −→ CH3COOH + C2H5OH
この反応形式は縮合による脱水反応の(逆向き)になっており、(加水分解)と呼ばれる。
なお加水分解は置換の一種である。
縮合による脱水反応と加水分解の例は多いので、この反応形式を理解しておくことは大
切である。
- 12 -
授業計画へ
No

- 13 -

ここで(R)は炭化水素基を表す記号である。こうして生成する脂肪酸の(ナトリウム
塩)が石けんである。そしてこのような反応は(けん化)と呼ばれる。
ちなみに飽和食塩水によって石けんが凝集する現象は、6章で学習した(塩析)の実例
である。
[2]同時に生成するグリセリンは、濃硫酸と(濃硝酸)を加えて次のように(ニトログ
リセリン 正確には硝酸グリセリンと言うべきである)を合成し、ダイナマイトの原料に
使用される。ここで硝酸は左のような構造式を持ち、示性式は( HONO2 )である。

硝酸とグリセリンはそれぞれの(ヒドロキシル基)の部分が脱水反応する。これはカル
ボン酸とアルコールによるエステル化と似ており、ニトログリセリンは(硝酸エステル)
と呼ばれる。これに対してすでに学習したエステルは細かくはカルボン酸エステルと呼ば
れる。硫酸、リン酸など多くのオキソ酸がアルコールと脱水反応してエステルを生成する。
[c]界面活性剤
[1]6章の「水に溶けやすい物質」とこの章1節の「アルコールの溶解性」実験をまと
めると、次のようになる。
親水性物質:極性が大きい物質かイオン性物質
ヒドロキシル基が占める割合が大きい物質
親油性物質:無極性か極性が小さい物質
炭化水素基が占める割合が大きい物質
(続く)
- 14 -
No
[2]以上から分かるように、石けん分子は(長い)炭化水素基の部分は(親油性)であ
り、(端)のカルボキシル基のナトリウム塩の部分が(親水性)である。
問2 実験のイラストを描け。

水に少量の(ヘキサン)を加えただけではすぐに分離して2層になるが、さらに石けん
(合成洗剤で代用)を加えてよく振り混ぜると全体が(均質)になる。これは左図のよう
に細かくなった油滴と水の境界面において、石けん分子が親油性の(炭化水素基)を油滴
に向け、そして親水性のカルボキシル基の(ナトリウム塩)を水に向けて(仲介)するた
めである。このように互いに馴染みにくい2つの物質の(境界面)で仲介して(馴染みや
すく)する薬剤は(界面活性剤)と呼ばれる。洗濯において石けんや合成洗剤は、このよ
うにして衣服に付いた油汚れを水に(分散)させる。

[3]石けんが水に溶解すると、中図のようにたくさんの石けん分子が集合して(ミセ
ル)と呼ばれる(親水コロイド)を形成する。
[4]シャボン玉では互いに馴染みにくい水と空気に対して、右図のように界面活性剤が
(水)に親水性の基を向け、そして空気に親油性の基を向けている。
(バニシングクリーム)のような化粧品では、水と油を混ぜ合わせるために石けんなど
が加えられている。
- 15 -
生物の(細胞膜)も界面活性を持つリン脂質という分子で構成されている。
[d]合成洗剤
石けんの洗浄作用の秘密が解明されると、より性能の高い(合成洗剤)が開発されるよ
うになった。
[1]炭素鎖が長い(アルコール)、たとえばオレイルアルコール C18H35OH と濃硫
酸を反応させると、次のように硫酸オレイルという(硫酸エステル)が生成する。ここで
硫酸は左のような構造式を持ち、示性式は( HOSO2OH )である。

参考:現在では硫酸の代わりに三酸化硫黄 SO3 を使用する。
これを水酸化ナトリウムで(中和)して、オレイル硫酸ナトリウム
C18H35OSO2ONa というアルキル硫酸系洗剤が合成される。
硫酸オレイルはその構造から推定できるように、硫酸と同じような(強酸)である。し
たがってこれを強塩基で中和したオレイル硫酸ナトリウムは完全に中性となり(中性洗
剤)と呼ばれる。これに対して石けんは(弱塩基性)である。
なおここでアルキルとは炭化水素基のうち脂肪族に分類されるものである。脂肪族の意
味については15章で説明する。
[2]アルキルベンゼンスルホン酸系洗剤は合成洗剤の代名詞になっている。次にドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウムの構造を示しておく(くわしくは15章で学習する)。

最初に登場したアルキル基が枝分かれ状のものは、自然の中で(微生物)に分解される
ことが難しく水質汚濁を引き起こした。現在では上のように(直鎖状)アルキル基のもの
(LASと略称される)に改善されている。
- 16 -
授業計画へ
No


- 17 -
(3)エチレンを空気で酸化してアセトアルデヒドを合成する。
2CH2=CH2 + O2 −→ 2CH3CHO
(4)アセトアルデヒドを酸素で酸化して酢酸を合成する。
2CH3CHO + O2 −→ 2CH3COOH
4.「酢酸エチルの合成」実験に関する文を完成し下の問に答えよ。
(乾いた)試験管に(酢酸)、濃硫酸、(エタノール)を加えて振り混ぜ、湯に浸けて
すこし加温する(a)。反応混合物を氷水に注ぎ、(炭酸ナトリウム)を少しずつ加える
と(二酸化炭素)が発生する(b)。これを元の試験管にもどすと、水に(溶けにくい)
酢酸エチルが分離するので、脱脂綿に染ませてカラー印刷を拭き取ることができる(c)。
(1)下線部(a)の変化を反応式で書け。
CH3COOH + C2H5OH −→ CH3COOC2H5 + H2O
(2)濃硫酸はどんなはたらきをするか。 (脱水反応の触媒)
(3)エタノールが水に溶けやすい理由を説明せよ。
ヒドロキシル基が占める割合が大きい
(4)下線部(b)で硫酸はどんな物質に変化するか、その化学式と名称を答えよ。
Na2SO4 硫酸ナトリウム
(5)下線部(c)は何を意味するか。
カラーインクは酢酸エチルに溶けやすい。
5.次の問に答えよ。
(1)やし油を水酸化ナトリウムでけん化するときの反応式を書け。ただし脂肪酸の炭化
水素基は R1 、R2 、R3 と略してよい。
(2)グリセリンを濃硫酸と濃硝酸で処理して生成する物質の名称と利用例を書け。
ニトログリセリン ダイナマイトの原料
(3)石けんの親水性の部分(ア)と親油性の部分(イ)はそれぞれ何か。
(ア)カルボキシル基のナトリウム塩 (イ)炭化水素基
(4)サラダ油が石けんを加えて水に分散した状態と、石けん水でつくったシャボン玉の
状態をイラストで描け(石けん分子についても説明を加えよ)。
(5)硫酸(a)と合成洗剤のオレイル硫酸ナトリウム(b)の示性式を書け。
(a)HOSO2OH (b)C18H35OSO2ONa
( )組 ( )番 氏名( )
- 18 -