キーワード
高校、化学、教材、自主編成、教科書、(高校化学、化学教材)

                                  02.10
                                   林 正幸

 13.脂肪族炭化水素など

授業計画

時間        項  目                  備考
 1  
1.有機化合物とその構造
 2  実験1 異性体探し
 3  2.異性体と官能基                 正四面体
 4  3.炭化水素の構造
 5
 6  実験2 炭化水素
 7  4.炭化水素の反応
 8
 9  5.ハロゲン化炭化水素
10  宿題(演習)













                  - 1 -































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1.有機化合物とその構造

[a]有機化合物
[1]今から200年ほど前には、物質ははっきりと2つに分類されていた。ひとつは人
間が合成できる無機物質であり、もうひとつは生物に関係し、その神秘な(生命力)によ
ってのみ生成する有機物質である。有機物質には単体は含まれなので(有機化合物)と呼
ぶことが多い。
 有機とは「生活機能を有する」ということであり、それを可能にする複雑なしくみを持
つことを意味する。そして生物は(有機体)とも呼ばれる。
 動植物や(菌類)は、水を除けば主に有機化合物からできている。そして身のまわりに
は繊維、(プラスチック)、染料、医薬、そして(農薬)など有機化合物があふれている。

[2]1828年に(ウェーラー)は尿に含まれる有機化合物の尿素を、無機化合物とさ
れていたシアン酸カリウムと硫酸アンモニウムの水溶液を加熱することにより、人間の手
で合成できることをはっきりと示した。
 しかし有機化合物には無機物質にない共通の特徴がある。そして有機化合物は炭素を含
んでいる。そこで有機化合物とは「(炭素原子)を骨格とする構造を持つ化合物」と定義
する。ただし二酸化炭素 CO2 や炭酸カルシウム CaCO3 のような物質は除かれる。
 現代では有機化合物の定義はより難しくなっている。もともと分類にはあいまいさが伴
うものである。そして他方では、有機化合物と無機物質の境界を取り払った物質のとらえ
方が求められる。

[b]立体的構造
[1]すでに学習したように、炭素の原子価は(4価)である。その立体的配置について、
ファントホッフは(正四面体)モデルを提案した。それは炭素原子が正四面体の中心にあ
り、4つの結合はその頂点に向いている。数学的計算によると2つの結合が成す角度は
109.5°)になるが、メタン CH4 の2つの炭素水素結合の角度は実測値と一致す
る。また次節で取り上げる異性体の存在も見事に説明できた。彼は目に見えない分子を
立体的)にとらえた最初の科学者である。

                  - 3 -


[2]分子の形をイメージする手がかりとして、正四面体モデルを拡張してみよう。多く
の有機化合物に含まれる元素は(限られて)おり
    炭素  C    4価
    水素  H   (1価
    酸素  O   (2価
    窒素  N   (3価
である。水素は1価だから結合角は関係ない。そして酸素原子の2つの結合は正四面体の
2つの頂点に向いており、窒素原子の3つの結合は正四面体の3つの頂点を向いていると
見なして、そんなに狂いはないのである。

    

正四面体モデルはさらに発展して、2章で実習した(分子模型)になっている。












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実験1 異性体探し

 分子式が同じでありながら、その構造が異なりまた性質も異なる分子どうしは(異性
体)と呼ばれる。分子模型を使ってそれを調べてみよう。

 分子模型を組み立て、できたらその構造式をかくことによって、つぎの各分子式で表さ
れるすべての異性体を探し出してみよう。

 なおこれは分子模型の弱点であるが、(単結合)している原子どうしは結合を軸にして
互いに自由に(回転)できることに留意しよう(もちろん二重結合、三重結合している原
子どうしはそのように回転することはない)。

(1)C410(2種)





(2)C48(6種)










           ( )組 (  )番 氏名(      )

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(3)C38O(3種)






(4)C242(12種)





















注意:分子模型をかたづけるときは、バーツの個数を確認する。

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2.異性体と官能基

 プリント「実験の整理」を参照しながら、実験のまとめをしておこう。この節の内容は
このあと出てくる具体的事例と結び付けて学習するようにしていこう。

[a]異性体
 すべての異性体を見つけるにはかなりの訓練を必要とする。そして分かりにくい時には
分子模型が役に立つ。
 (4)と(5)あるいは(12)と(13)のように、(二重結合)している原子どう
しが互いに自由に回転できないことによって生じるものは(幾何)異性体と呼ばれる。
 (22)と(23)のように、互いに()に映した関係になっているものは(光学
異性体と呼ばれ、これについては後でさらに説明する。
 その他のものはまとめて(構造)異性体と呼ばれる。これは構造式からその違いが簡単
に判別できる異性体という意味である。
 有機化合物にはたくさんの異性体が存在する。それぞれの化合物の(性質)は、含まれ
る元素の違いからよりは、その(分子構造)の違いから理解するべきである。

[b]基と官能基
 原子の集団を「基」と呼ぶことはすでに学習した。有機化合物では新たに多数の基が登
場する。そして基の中には、分子の性質を大きく左右するものがあり、それらはとくに
官能基)と呼ばれる。

問 「実験の整理」から、次の基および官能基の構造式と示性式を書き写せ。
「基」
  メチル基               エチル基

「官能基」
  炭素炭素二重結合           ヒドロキシル基

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  エーテル結合             アルデヒド基
                     (ホルミル基)
カルボキシル基              エステル結合


 節が進むにつれて、有機化合物の分類には官能基が大きな役割を担っていることが分か
ってくるだろう。

[c]示性式
 構造式は見やすいがコンパクトでないので、それに代わって(示性式)が利用されるこ
とが多い。その書き方の原則は
  (1)骨格になっている炭素原子(など)を1つずつ区切り
  (2)それに結合している原子や基をまとめて書く。
  (3)横向きの単結合は省略するが
  (4)二重・三重結合や、上下に向いた単結合は書く。
示性式の書き方には任意性があり、書き慣れることが大切である。

[d]有機化合物の命名法
 有機化合物の名称には、国際純正応用化学連合(IUPAC)が定めた組織名と、従来
からの慣用名がある。しかし混乱を避けるためできるだけどちらか一方を使うようにする。
具体的な命名法はこれから少しずつ学習していく。





[e]考察
(1)有機化合物の元素分析について調べてみよ。


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3.炭化水素の構造

[a]アルカン
[1]都市ガスとして配管されている気体燃料の多くは、分子式が CH4 で表される(
タン)である。これは(天然ガス)の主成分であり、液化して(LNG:液化天然ガス)
タンカーなどで輸送される。日本ではインドネシアなどから輸入している。
 原油(石油)を精製して(15章で学習する)得られる(石油ガス)にはプロパン、
ブタン)などが含まれる。(プロパン)は C38 、ブタンは C410 という分子式で
ある。これは液化して(LPG:液化石油ガス)ボンベに充填して配達され、家庭燃料と
して利用される。またブタン部分は簡易ボンベに充填して市販され、卓上こんろなどの燃
料として利用される。
[2]一般に炭素と水素からなる有機化合物は(炭化水素)と呼ばれる。その中で上のメ
タン、プロパン、ブタンには共通の特徴がある。これらに(エタン)を加えてその構造式
を見てみよう。

    

 すべての結合が(単結合)である。そして分子式は( n2n+2 )という一般式で表さ
れる。構造式を眺めると、炭素数だけ >CH2(メチレン基)があり、さらに両端に水素
が2つある。このような炭化水素は(アルカン)と呼ばれる。
[3]ここでブタンの異性体である(イソブタン)を思い出そう。これは下図のようにブ

    

                  - 11 -

タンの水素と(メチル基)を置き換えて得られる。だから当然に分子式は同じになる。イ
ソブタンもアルカンの仲間である。そして炭素炭素結合を鎖に見立てて、ブタンのような
分子を(直鎖状)である、イソブタンのような分子を枝分かれ状であると言う。ちなみに
イソブタンは慣用名であり、組織名は(メチルプロパン)である。
[4]上の一般式で n=0 のときは(水素 H2 )になる。このように水素はアルカンと
関係づけられる無機物質である。
[b]物質の構造と性質
 一般に、物質の持つ性質はその(構造)に基づいている。有機化合物には多種多様な構
造の分子が存在するので、そのことをはっきりと見て取ることができる。
[問1]水素を含め、炭素数が1から10までの直鎖状アルカンの、沸点(1atmの下
での)と炭素数の関係をグラフに描いてみよ。



  水素   H2    −253℃
  メタン  CH4   −161
  エタン  C26   −89
  プロパン C38   −43
  ブタン  C410    −1
  ペンタン C512    36
  ヘキサン C614    69
  ヘプタン C716    98
  オクタン C818   126
  ノナン  C920   151
  デカン  C1022  174


 このグラフから、沸点の上昇がメチレン基の増加と密接に関係していることに確信が持
てるであろう。
                         (続く)

                  - 12 -

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[c]シクロアルカン
 「異性体探し」で出てきた(シクロブタン)などはリング状になっている。これも単結
合のみでできているが、アルカンに比べて水素が(2つ)少なくなるので、その(一般
)は Cn2n となる。このような炭化水素は(シクロアルカン)と呼ばれる。シクロア
ルカンの性質はアルカンに似ている。
 シクロブタンのようなリング状の分子は(環式)である。これに対してブタンのような
分子は(鎖式)であると言う。
[d]アルケン
[1]同じく原油から得られる軽質ナフサに、ナフサ熱分解という反応(15章で学習す
る)を行って、(エチレン)、プロピレンなどが生産される。エチレンは C24 、(プロ
ピレン)は C36 という分子式である。これらは(石油化学工業)の基本原料であり、
ポリエチレン、ポリプロピレンなどさまざまな製品が合成されている。これらの構造式と
示性式は次のようである。

    

[2]これらに共通する特徴は(炭素炭素二重結合 >C=C< )という官能基を1つ持
つことである。そして対応するアルカンに比べて水素が2つ少なくなるので、その一般式
は( n2n )となる。このような炭化水素は(アルケン)と呼ばれる。ちなみにエチレ
ン、プロピレンは慣用名であり、組織名はエテン、プロペンである。
 アルカンに比べて水素が2つ少ない炭化水素は、(環式)であるか、炭素炭素二重結合
を1つ持つかのどちらかである。
[3]アルケンの立体的構造の特徴は、炭素炭素二重結合に関係する6つの原子がすべて
同一平面上)に存在することである。それはエチレンの分子模型を作ってみればよく分
かる。
[e]アルキン
[1]石炭と石灰岩から(カーバイド)が合成され、これを水と反応させて(アセチレ

                  - 13 -

)が生産される。これはかつて石炭化学工業の基本原料であった。
          H−C≡C−H
           CH≡CH
           アセチレン

 このように炭素炭素三重結合( −C≡C− )という(官能基)を1つ持つ炭化水素は
アルキン)と呼ばれ、その一般式は( n2n-2 )である。ちなみにアセチレンは慣用
名であり、組織名はエチンである。
[2]アルキンの立体的構造の特徴は、アセチレンの分子模型から分かるように、炭素炭
素三重結合に関係する4つの原子が(同一直線上)に存在することである。
[3]アルケンやアルキンのように炭素炭素の二重結合や三重結合を持つ分子は(不飽
)である、これに対してアルカンやシクロアルカンは(飽和)であると言う。不飽和と
は、炭素原子にさらに他の原子と結合できる余地があるという意味である。また二重結合
や三重結合は不飽和結合と呼ばれる。
[問2]炭化水素に関する次の分類に該当する例を上げ、その示性式と名称を答えよ。

  鎖式 飽和

     不飽和

  環式 飽和



     不飽和



[f]考察
(1)教科書巻末のIUPAC命名法を学習せよ。

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4.炭化水素の反応

[a]燃焼反応など(実験のまとめ)
[1]ろうそくの材料は(パラフィン)である。ろうそくを試験管に入れて加熱していく
と(融解)し、やがて沸とうして口からパラフィンの(蒸気)が吹き出し、点火して(
)させることができる。ただし芯があるろうそく自身に比べて燃焼させにくい。

[2]パラフィンは沸点が300℃以上の(炭化水素)の混合物であり、重油から分離し
て生産される。一般に炭化水素や炭素・水素・酸素の化合物は、完全燃焼すると(二酸化
炭素)と水(水蒸気)が生成する。
 プロパン、メタノールが燃焼する場合の反応式は次のようである。
  ( 38 + 7O2 ―→ 3CO2 + 4H2 )
  ( 2CH3OH + 3O2 ―→ 2CO2 + 4H2 )
    メタノール
2つめの反応式は示性式を使うものである。有機化学では示性式を使う反応式が一般的で
ある。

[3](高温)の液体パラフィンを()に注ぐと、吹き上がって(発火)する。これは
パラフィンに加熱されて一気に表面の水が沸とうし、それに連れてパラフィンも蒸発し、
気体状態になって空気とよく混合するために発火するのである。水に溶けにくい沸点が高
い物質を水と混合して加熱すると低温でも蒸発させることができ、この手法は(水蒸気蒸
)と呼ばれる。これはまた、天ぷらやフライを揚げるときにも起こりうる危険な現象で
ある。

[4]水と油は溶け合わない。(ヘキサン C614 )は水に対抗して、しばしば油の代表
として実験に用いられる。パラフィンは水には溶けにくいが、ヘキサンには(溶けやす
)。これも6章で学習した「似たものどうしは溶け合う」という法則の例である。


                  - 15 -

[b]付加反応など(実験のまとめ)
[1]まず臭素水をつくるために、試験管に臭化カリウム、酸化マンガン(W)、硫酸を
入れて加熱すると、次の反応が起こって臭素が生成するので、その蒸気を水の中に導く。
    2HBr + 2H2SO4 + MnO2 ―→
               K2SO4 + MnSO4 + 2H2O + Br2
                                 臭素
臭素は蒸気になりやすい赤褐色の(液体)である。

[2]カーバイド(炭化カルシウム)に()を加えると、次の反応が起こってアセチレ
ンが発生する。
  ( CaC2 + 2H2O ―→ Ca(OH)2 + CH≡CH )
   カーバイド
 カーバイドは、石炭から得られるコークス(主に炭素)と石灰岩から得られる生石灰
(酸化カルシウム)を電気炉で加熱して、次のような反応で生産される。
    CaO + 3C ―→ CaC2 + CO

[3](シクロヘキセン C610 )やアセチレンを(臭素水)に加えると、(赤褐色)が
消えて臭素と反応したことが分かる。これに対してヘキサンは変化が起こらない。ちなみ
にシクロヘキセンは不飽和の環式炭化水素である。










                         (続く)

                  - 16 -

                                  No

[4]この反応式はシクロヘキセンを例にすると次のようである。

    

つまりこの反応形式は、炭素炭素二重結合の一方が切れて開き、臭素分子の結合も切れて、
炭素と臭素が結合するようになっている。これは(付加反応)と呼ばれる。実際の反応の
メカニズムはもっと複雑だが、高校の段階ではこのように(反応形式)で整理していくと、
多くの有機化学反応が比較的容易に記憶できる。

[5](アセチレン)では次のように2分子の臭素が付加する。
  ( CH≡CH + 2Br2 ―→ CHBr2CHBr2 )
               1,1,2,2−テトラブロモエタン
参考:上の名称は組織名であり、4つ(テトラ)の臭素(ブロモ)が、1番の炭素の水素、
1番の炭素の水素、2番の炭素の水素、2番の炭素の水素と置き換わったエタン、という
意味である。

[6]一般に炭素炭素の(二重結合)や三重結合という官能基は、言い換えるとアルケン
やアルキンのような(不飽和炭化水素)は、さまざまな分子が付加反応するという特徴を
持っている。
 ちなみに臭素水は炭素炭素の不飽和結合の検出に利用される。そしてより確実にするた
めに、実験のように塩基性(過マンガン酸カリウム KMnO4 )水溶液の赤紫色が消える
ことを合わせて用いることが多い。



                  - 17 -

[問]次のそれぞれの化学反応を、示性式を使う反応式で書いてみよ。
(1)エチレンに、リン酸を触媒にして水を付加してエタノールが合成される。
    CH2=CH2 + H2O ―→ CH3CH2OH
     エチレン         エタノール

(2)エチレンに塩素を付加して1,2−ジクロロエタンが合成される。
    CH2=CH2 + Cl2 ―→ CH2ClCH2Cl
                 1,2−ジクロロエタン
参考:上の名称でジクロロとは、2つ()の塩素(クロロ)が、という意味である。

(3)1,2−ジクロロエタンから塩化水素を脱離して塩化ビニルが合成される。
    CH2ClCH2Cl ―→ CH2=CHCl + HCl
                 塩化ビニル
参考:(脱離反応)とは、付加反応と逆向きの反応である。

(4)アセチレンに酢酸 CH3COOH を付加して酢酸ビニルが合成される。
    CH≡CH + CH3COOH ―→ CH2=CH(OOCCH3)
             酢酸        酢酸ビニル
参考:酢酸ビニルはエチレンからも合成される。

(5)エチレンに酸素を付加してエチレンオキシドが合成される。
    2CH2=CH2 + O2 ―→ 2CH2−CH2
                   \ /
                   
                 エチレンオキシド





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5.ハロゲン化炭化水素

[a]塩化メタン類(実験のまとめ)
 (ジクロロメタン)で(アクリル板 ポリメタクリル酸メチル)を(接着)することが
できる。
 これはジクロロメタンがこのプラスチックを溶解し、かつ揮発性のためすぐに蒸発して
溶質が取り残されるためである。
 メタンと塩素を加熱して反応させると、次のような塩化メタン類が生成する。

    CH3Cl     CH2Cl2    CHCl3     CCl4
   クロロメタン   ジクロロメタン トリクロロメタン テトラクロロメタン

参考:数詞のまとめ
   1:モノ     2:ジ     3:トリ
   4テトラ     5:ペンタ   6:ヘキサ

 これらの塩化メタン類は有機化合物を溶かしやすく、溶剤やあるいは(洗浄剤)として
利用される。

[b]置換反応
[1]たとえばメタンと塩素からクロロメタンが生成する反応式は次のようである。

    

つまりこの反応形式は、炭素水素結合と塩素塩素結合が切れて、水素と塩素が置き換わり、
炭素と塩素、水素と塩素が結合するようになっている。これは(置換反応)と呼ばれる。
ちなみに置換の逆向きの反応はやはり置換である。置換反応については後でも学習する。
[2]一般にアルカンやシクロアルカンのような(飽和炭化水素)は安定で反応性に乏し

                  - 19 -

いが、条件があれば置換反応を起こしやすい。
問 ジクロロメタンが生成する反応式を書け。
    CH4 + 2Cl2 ―→ CH2Cl2 + 2HCl

[3]なお反応を整理する第2の方法に、注目する化合物に導入する原子や基の名称を利
用するものがある。上のような反応は塩素原子を導入しているので(塩素化)と呼ばれる。

[c]ハロゲン化炭化水素
 炭化水素の水素を塩素のようなハロゲンで置き換えた化合物は(ハロゲン化炭化水素
と呼ばれる。
 前節の問に出てきた(塩化ビニル CH2=CHCl )もそうであり、ポリ塩化ビニルの
原料になる。

[d]フロン
 炭化水素の水素を塩素とフッ素で置き換えた化合物は(フロン)と呼ばれる。フロンに
は次のようなものがある。
    CCl3F       トリクロロフルオロメタン(R11)
    CCl22      ジクロロジフルオロメタン(R12)
    CCl2FCClF2  トリクロロトリフルオロエタン(R113)
ここでフルオロとは(フッ素)のことである。
 フロンは1928年にその耐熱性と安全性から「夢の物質」として登場し、冷蔵庫やク
ーラーの(冷媒)、洗浄剤、スプレーの(噴射剤)などに利用された。しかし1970年
代になって大気中に放出されたフロンが、成層圏まで拡散してオゾン分子を次々に分解す
ることによって、(オゾン層)を破壊していることが明らかになった。
 これに対して1985年からくり返し国際会議が開かれ、フロン規制が決議され、それ
が実行されている。このことは地球環境を守るための国際協力の生きた手本であり、二酸
化炭素規制などに引き継がれることを期待したい。

[e]考察
(1)オゾン層の形成とはたらき、およびそのフロンによる破壊のしくみを調べてみよう。

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   宿題(13章)

1.分子構造に関する次の問に答えよ。
(1)次の分子式で示される異性体をすべて構造式で書け。
(ア)C512



(イ)C36



(2)炭素原子の4つの結合の向きを正四面
体を使って右に図示せよ。
(3)エチレンの6つの原子はどのような状
態にあるか。   (同一平面上
(4)エチレンのそれぞれの炭素原子に結合した水素を1つずつメチル基に置き換えた形
の物質の構造式と名称をすべて書け。


    シス−2−ブテン    トランス−2−ブテン
2.次の基の示性式を書け。
   メチル基 −CH3    エチル基 −C25
   炭素炭素二重結合 >C=C<    炭素炭素三重結合 −C≡C−
   ヒドロキシル基 −O−H  エーテル結合 −O−
   アルデヒド基(ホルミル基) −CHO   カルボキシル基 −COOH
3.次の分を完成し、下の問に答えよ。
 炭素と水素の化合物は(炭化水素)と呼ばれる。その中で(天然ガス)の主成分のメタ
ン(ア)、液化石油ガスで家庭燃料に利用される(プロパン)、そして卓上こんろに利用
されるブタン)(イ)などは(アルカン)と呼ばれ、すべての原子が(単結合)で結ば
れており、( n2n+2 )という一般式で表される。以上の分子は(飽和)であると言う
が、この種の炭化水素には枝分かれ状のイソブタン(ウ)も含まれる。
 これに対して Cn2n という(一般式)で示されるものには、(アルケン)とシクロア
ルカンがある。前者は(炭素炭素二重結合)1つを持ち、(石油化学工業)の基本原料で
あるエチレン)(エ)やプロピレンが含まれる。また後者はリング状であり(飽和)で
あると言い、シクロブタン(オ)などが含まれる。
 炭素炭素三重結合1つを持つものは(アルキン)と呼ばれ、一般式は( n2n-2 )で
ある。その代表はアセチレン(カ)であり、この種の炭化水素やアルケンはまとめて(
飽和)であると言う。
(1)すべての下線部の化合物の示性式を書け。

                  - 21 -

(ア)           (イ)           (ウ)

(エ)           (オ)           (カ)

(2)下線部(ウ)(エ)(カ)の組織名を書け。
  (ウ)1−メチルプロパン  (エ)プロペン   (カ)エチン

4.「炭化水素」実験についての次の文を読み、下の問に答えよ。
 シクロヘキセンとヘキサンをそれぞれ臭素水に滴下して振り混ぜると、前者では赤褐色
が消えて、後者では変化がない。
 カーバイドに水を加えるとアセチレンが発生し、これを臭素水に吹き込むと赤褐色が消
える。
(1)臭素水はどんな官能基を検出するものか。またこのとき起こる反応形式は何と呼ば
れるか。    (炭素炭素不飽和結合)   (付加反応
(2)シクロヘキセンと臭素水の反応を構造式を使う反応式で書け。




(3)アセチレンの発生を普通の反応式で書け。
    CaC2 + 2H2O ―→ Ca(OH)2 + C22
(4)次の化学反応を示性式を使う反応式で書け。
(ア)エチレンにリン酸を触媒にして水を拭かしてエタノールが合成される。
    CH2=CH2 + H2O ―→ CH3CH2OH
(イ)1,2−ジクロロエタンから塩化水素が脱離して塩化ビニルが合成される。
    CH2ClCH2Cl ―→ CH2=CHCl + HCl
(ウ)アセチレンに酢酸 CH3COOH を付加して酢酸ビニルが合成される。
    CH≡CH + CH3COOH ―→ CH2=CH(OOCCH3)

5.次の反応について下の問に答えよ。
 メタンと塩素を混合して紫外線を当てるといくつかのハロゲン化メタンが生成する。
(1)クロロメタンが生成する反応を構造式を使う反応式で書け。

(2)この反応形式は何と呼ばれるか。    (置換反応
(3)ジクロロメタンが生成する反応を普通の反応式で書け。
    CH4 + 2Cl2 ―→ CH2Cl2 + 2HCl
(4)フロンとはどんな化合物か。
    炭化水素の水素を塩素とフッ素で置き換えた化合物

               ( )組 (  )番 氏名(      )

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