05.3
林 正幸
圧力計の製作と実験(改訂)
前々から圧力計をつくりたいと思っていたが、やっと昨年暮れに蒸気圧の計測を目的に
して実現した。使った圧力センサーは何と10年前の製品である松下電工のAD1132
(−0.5〜0.5kgf/cm2 つまり−0.5〜0.5atm)で、私の思いがその間眠
っていたことを意味する。
現在では圧力センサーはフジクラが生産している。そして船橋さんの協力で、11個以
上まとめる形で入手できるようになった。そこで新たに、±1atm(FPM−15PG
Rタイプ)と±0.5atm(FPM−07PG Rタイプ)の両方のセンサーを使って
0〜1atm(ゲージ圧)
−1〜0
−1〜1
0〜0.5
−0.5〜0
−0.5〜0.5
の6つのレンジで計測可能なように回路を改良し(もちろん一方のセンサーで3つのレン
ジでもよい)、かつ全体をアルミケースに収めたものを製作した。また電圧調節の補助回
路を付ければデータをAD変換して利用できる出力端子も加えた。
追記:その後、±0.14atmのセンサーFPM−02PGも入手した。幸い、同じ回路
で
0〜0.1atm(ゲージ圧)
−0.1〜0
−0.1〜0.1
のレンジで使用可能である。
製 作
[a]回 路
回路図は次ページをみてほしい。圧力センサーはピエゾ素子(変形に応じて抵抗が変化
する)が他の3つの抵抗とブリッジに組まれている。簡単のため9Vを掛けることにし、
とくに定電流回路は組まない。オープンしているマイナス出力には440Ωと可変500
Ωを入れて、ゼロ点を自由に決められるようにする。
まずプラス出力との電圧差(これが圧力に比例する)を、オペアンプの減算回路でとる。
そしてほどよい電圧にするために、6倍と11倍の増幅(低感度と高感度)をする。これ
は広いレンジと狭いレンジ(たとえば−1〜1と0〜1atm)に対応している。オペア
ンプは2つ入った[082]を使う。
この出力を510Ωと可変1kを通して1mAの電流計につなぐ。可変抵抗はフルスケ
ーを調節するためである。なお出力端子は大きく表示できる電流計などにつなぐこともで
- 1 -
きる。
[b]圧力センサーと容器
圧力センサーはピンを守るため、基板片にはんだ付けしてからリード線を引き出す。そ
して取り替え可能なように、5ピンDINコネクターに差し込んで回路につなぐ。
容器は加圧用には炭酸飲料用の500mlペットボトルを、減圧用には360mlガラ
スびんや250ml試薬びんなどを用いる。それぞれキャップやゴムせんに穴を開け、内
径3mmの耐寒透明チューブを7cm(内体積0.5ml)に切って通し、外側(センサー
側)が20mmほど出るように木工用ボンドあるいはガラス用接着剤(スコット3M)で
接着する。
備考:高温のメタノール蒸気([f]の実験)には、ガラス用接着剤の方が耐えるようで
ある。
そしてこのチューブに圧力センサーをつなぎ、メッキ線(0.5mm)で締める。これなら
目的の容器にセンサーを簡単につなぎ換えられる。なおボトルの口やゴムせんの周りには
実験ごとに、水道工事用のシールテープを巻き付ける。

[c]調 整
はじめに電池が9Vないしそれに近い電圧を保持していることを確認する。
圧力センサーをつないだチューブの他端に、50mlディスポーザブル注射器につなぐ。
注射器は小さい穴を開けて、ビニールテープを貼っておくと、空気の出し入れが容易にな
る(加圧するときは指で押さえる)。幸い注射器をつなぐのにメッキ線は不要である。
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たとえば−1〜1atmの調節は次のようである。増幅率を6倍(感度が低い方)にす
る。テープをはがしてゼロ点を0mAにし、空気を39.5ml入れ、テープを貼り
19.5mlに圧縮して、つまりゲージ圧を1atmにして、そのときの電流が0.5mA
になるようにフルスケールを加減する(断熱圧縮による温度上昇があるので、すこし待っ
て確認する)。そしてゼロ点を0.5mAにずらす。
念のためもう一度ゲージ圧を1atmにして、1mAを指すことを確認する。次に注射
器の空気を0mlにし(0.5ml残っている)、30mlあたりまで引っ張って、つまり
ゲージ圧を−1atmにして0mAを指すことを確認する。
ちなみにこの調整は、ボイルの法則が実験できることを示している。
追記:0〜0.1atmなどの調節は、注射器では誤差が大きい。そこで120cmほどの
チューブをセンサーに付け、これを水の入った100cmのアクリルパイプ(ゴムせんを
する)に差し込んで、その水位を利用して調節する。
[d]準備と工作
省略
実 験
以下に順次試してみた実験を紹介する。なお圧力センサーは腐食性のガスには使えない。
[a]室温における蒸気圧
空気が入った容器で蒸気圧を計測し、ついでに分圧の法則も確認したい。こんな思いが
圧力計を製作する出発点であった。
参考:この実験は最初の圧力計で行った。
15cmに短く切った試験管にエーテル数mlを入れ、ティッシュで軽くふたをする。
これをペットボトルに滑り込ませ、すぐに圧力センサーが付いたキャップをしっかりと締
める。この段階ではゲージ圧は0atmのままである。
それからエーテルをボトル内に流し出し、手であたためて蒸発させる。そして室温にな
るまでしばらく放置してからゲージ圧を読み取ると0.42atmであり、室温は12℃で
あった。ちなみにこの温度における文献値は0.416atmである。
この方法による蒸気圧の計測は、厳密には室温に限定される。しかしあまり気にしない
か、中の空気にシャルルの法則を適用すれば他の温度でも計測は可能になる。
参考:エーテルの蒸気圧(グラフの内挿値)
0℃ 0.244atm
5 0.307
10 0.382
15 0.472
20 0.579
25 0.703
30 0.848
34.6 1
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[b]二酸化炭素の吸収
参考:この実験も最初の圧力計で行った。
360mlガラスびんにほどよく二酸化炭素を詰め、ピペットで3mol/l水酸化ナト
リウム水溶液10mlを加えて、すぐに圧力センサーが付いたゴムせんをしっかりとする。
圧力が下がり始め、振ると速く下がる。最終的にゲージ圧が0.49atm下がった。
したがってびん内の二酸化炭素の純度は
(0.49/1)×100 = 49[%]
となる。
[c]二酸化炭素の発生量
圧力計のレンジは0〜1atmにする。ペットボトル(内体積は534ml)に、ピペ
ットで3mol/l硫酸10mlを入れ、炭酸ナトリウム0.01mol=1.06gを薬包
紙でおひねり(ひねったところで切り取る)にして投入し、しっかりキャップを締める。
そして二酸化炭素を発生させてゲージ圧を読み取ると0.43atmであり、気温は7℃で
あった。これから二酸化炭素の物質量を計算すると
n = 0.43×0.523/(0.082×280)= 0.0098[mol]
となり、理論値0.01molによく一致する。
続い倍量の炭酸ナトリウムで取り組んだが、気体漏れで失敗した。そこでペットボトル
の口に水道工事用のシールテープを巻き付けた(2重になるくらい)。そして3mol/l
硫酸20mlを入れ、炭酸ナトリウム0.02mol=2.16gのおひねりを投入したと
ころ、ゲージ圧が0.88atmになり、気温は10℃であった。発生した二酸化炭素は
n = 0.88×0.513/(0.082×283)= 0.0197[mol]
である。
参考:この実験は視点を変えれば、分圧の法則を確認することにも活用できる。
[d]圧力から絶対零度を求める
圧力のレンジは0〜0.5atmにする。室温の15.4℃でシールテープを巻き付けた
(以下同じ)ペットボトルのキャップを締めて、2[l]ペットボトルでつくった容器に
入れた熱湯に浸ける。圧力計が安定したところで読み取ると、ゲージ圧は0.25atmで
あり、湯温は89.8℃であった。
絶対零度をt[℃]とすると次の関係が成り立つ。
1/(15.4−t)= 1.25/(89.8−t)
これから計算して
t = −282[℃]
が得られる。
備考:数点の計測をして、グラフから求めることもできる。
[e]反応速度の変化
圧力計のレンジは0〜1atmにする。ペットボトルに亜鉛板2枚(0.74g)を投入
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し、短い試験管に3mol/l硫酸20mlを入れて滑り込ませる。キャップを締めてから
硫酸をボトル内に流し出し、1分ごとにゲージ圧を読み取ると、次のようになった。
0(スタート) 0.00 0.01 0.02 0.04
0.06 0.09 0.12 0.16 0.21
0.27 0.35 0.44 0.54 0.65
0.73 0.75 0.75
反応は不均一系で温度制御はしていない。このデータから反応速度の変化が読み取れる。
[f]蒸気圧の温度変化
圧力計のレンジは−1〜0atmにする。これで絶対圧力が0〜1atmになる。
250ml試薬びんに少量のメタノールを入れ、沸とう直前の湯にしばらく浸けてびん内
に蒸気を充満させ、取り出してシールテープを巻き付けたゴムせんをする。
あらためて熱湯に浸けて、ゆっくり温度を下げて所定の温度で絶対圧力を読み取る。
60℃ 0.82atm
50 0.52
40 0.32
30 0.20
参考:メタノールの蒸気圧(グラフの内挿値)
0℃ 0.040atm
10 0.073
20 0.128
30 0.216
40 0.351
50 0.551
60 0.837
64.5 1
[g]ラウールの法則
工事中
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