03.7
林 正幸
電気分解による色
1.解 説
電気分解によって色が着いたり、変わったり、消えたりする現象は、電気分解に素朴な
興味を抱かせると同時に、発生する気体ばかりでなく、水溶液中に生成する物質の方に目
を向けさせる大切な教材である。これについてはすでにこのホームページの
「水の電気分解」(A)や「電気で字が書ける」(B)などで紹介しているが、ここでは
子ども向けに改良した実験を紹介する。
ひとつは「染め分け」であり、これは実験Aを踏襲し、電極をステンレス金網に変えて
変化の様子をリアルタイムで観察できるようにした。また電極を逆にして着色が逆転する
ことも観察できる。
硫酸ナトリウム水溶液にBTBを加えた液をろ紙4枚に染み込ませて電気分解すると、
それぞれの電極で次の反応が起きる。
陽極 2H2O ―→ O2 + 4H+ + 4e-
陰極 4e- + 4H2O ―→ 2H2 + 4OH-
したがって陽極側のろ紙2枚が黄色に、陰極側のろ紙2枚が青色に着色する。また電極を
逆にするとしばらくして着色が逆転する。これによって水溶液中では陽極付近で水素イオ
ンが、陰極付近で水酸化物イオンが生成することがよく分かる。電源には手まわし発電機
を使うと、電気分解している意識が高まるし、逆まわしで着色が逆転するので分かりやす
い。
もうひとつは「電気で字を書いたり消したり」で、実験Bをいくらか改良した。前の方
法ではろ紙がすぐに破れてやりにくかったので、表面にセロハンを張ることにした。また
鉛筆の代わりをする電極の炭素棒がはがれてせっかくの色を黒ずませるので、それをさら
しで包むことにした。さら反対電極の着色が透けてみるのを、ろ紙を6枚にしてより防ぐ
ようにした。こうして実験はきれいになったが、その分電源の方が10数V以上必要とな
った。
電解液は硫酸ナトリウム水溶液にフェノールフタレインを加えるが、反応は上とまった
く同じである。炭素棒を陰極にすれば赤色の字や絵が描け、陽極にすればそれを消すこと
ができる。
2.準 備
- 1 -
[a]染め分け
・電解液
2%硫酸ナトリウム水溶液に、体積で10%のBTB溶液を加える。
・5mlピペット
・電極 ×2
10meshステンレス金網を10cm四角に切り、角を1cmほど折り曲げてテー
ブル状にする。
・洗濯ばさみ ×4
・ろ紙(φ110mm) ×4
電極からはみ出る部分を切り落とす。
・手まわし発電機
[b]電気で字を書いたり消したり
・電解液と100mlビーカー
2%硫酸ナトリウム水溶液に、体積で1%のフェノールフタレイン溶液を加える。
注意:フェノールフタレインを加えるのは直前がよい。
・5mlピペット
・ステンレス板(15cm四角 1mm)
・炭素棒
先が2〜3mmになるように削る。さらし(5cm四角)とビニタイで先を包む。
・電源
9V電池(006p)2つか、直流電源
・クリップコード(2本)
・ろ紙(φ110mm) ×6
・セロハン(14cm四角)
3.操 作
[a]染め分け
(1)ステンレス金網にろ紙4枚を載せ、もうひとつの金網をテーブルを逆さにしたよう
に被せ、金網が浮かないように洗濯ばさみ4つで固定する。
(2)、BTBを加えた2%硫酸ナトリウム水溶液をピペットで染み込ませる。
注意:上側の金網が水溶液によく浸かるようにする。
(3)手まわし発電機の正負を確認してそれぞれのステンレス金網に接続し、観察しなが
らまわしていく(陽極、陰極側がそれぞれ何色になったか))。
注意:クリップコードは一方の端がダブルクリップにしてある。薬品が付着する恐れがあ
る方にはこちらを接続する([b]も同様)。
- 2 -
(4)変色が確認できたら、逆向きにまわして観察する。
(5)ろ紙は「可燃物」に捨てる。
[b]電気で字を書いたり消したり
(1)ステンレス板にろ紙6枚を載せ、フェノールフタレインを加えた2%硫酸ナトリウ
ム水溶液20mlをピペットで染み込ませる。
(2)セロハンを被せる。
注意:濡れてしわが寄るので、被せ直す。
(3)クリップコードで直流電源の正極をステンレス板に、負極を炭素棒に接続する。
(4)さらしにも(2)の水溶液を染み込ませ、セロハンの上からゆっくりと字や絵を描
いてみる。
(5)次に電極を逆にして字や絵をなぞってみる。
(6)ろ紙は「可燃物」に捨てる。
- 3 -
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