10.2
                                   林 正幸

   イオンの電気泳動

 高電圧によるイオンの電気泳動に対して危険性が指摘されている。私は以前にろ紙でも
っと低い電圧で実験したことがあった。ただし拡散の影響からあまり明瞭ではなかった記
憶が残っている。そこで今回は水溶液を寒天で固めて試してみることにした。
 電源は電池006P(9V)を2つないし、4つ使うことにした。水溶液には塩橋にも
使う塩化カリウムを採用した。ただし電流が大きいと電圧降下も起こりやすいので、濃度
を0.1mol/Lにしたところ、スライドガラス上の寒天を流れる電流が10mAほどに
なった。これなら並列にして同時に複数の実験ができる。
 もうひとつの工夫は、電気が流れていることを示すために発光ダイオードを直列に入れ
た。これで電気が流れているとき、水溶液部分ではイオンが電流を担っていることが見や
すくなったと思う。イオンの移動はゆっくりしている。これは導線中の自由電子の移動も
ゆっくりしていることを示す。

実験法

(a)水素イオン
(1)100mLビーカーに1mol/L塩化カリウム水溶液5mL、2%硝酸アンモニウ
ム水溶液3mL、BTB溶液5mLを入れ、水を加えて約50mLにする。
(2)これを加熱してゆっくり沸とうさせ、かき混ぜながら寒天0.5gを加え、水溶液が
半透明になったら火を止める。
(3)クッキングペーパーの上にスライドガラスを並べておき、それぞれに水溶液をかけ
(ペーパーにこぼれてもよい)、しばらく放置する。
参考:以上のスライドガラス上に寒天をつくる操作は、(b)(c)(d)を含めて分業
   して取り組み、グループに分配するとよい。
(4)スライドガラスを白色塩ビ板に図のようにセットする。

  

(5)電池(006P 9V)2つ(18V)と発光ダイオードを直列にして寒天の両端
に電圧をかけ、3mol/L硫酸を浸み込ませた木綿糸を伸ばして中央に置き、様子を観察
する。
(b)水酸化物イオン

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(1)50mLビーカーに1mol/L塩化カリウム水溶液5mL、フェノールフタレイン
溶液0.5mLを入れ、水を加えて約50mLにする。
(2)(3)(4)は(a)に同じ。
(5)(a)と同じように電圧をかけ、3mol/L水酸化ナトリウム水溶液を浸み込ませ
た木綿糸を伸ばして中央に置き、様子を観察する。
(c)テトラアンミン銅イオン
(1)50mLビーカーに1mol/L塩化カリウム水溶液5mLを入れ、水を加えて約
50mLにする。
(2)(3)(4)は(a)に同じ
注意:(d)にも使うので、スライドガラスは2倍準備する。(1)の溶液が不足するな
   ら量を増やす。
(5)電池(006P 9V)4つ(36V)と発光ダイオードを直列にして寒天の両端
に電圧をかけ、テトラアンミン銅イオンを含む水溶液を浸み込ませた木綿糸を2重にして
中央に置き、様子を観察する。
(d)過マンガン酸イオン
(1)〜(4)は(c)で行う。
(5)(c)と同じように電圧をかけ、0.1mol/L過マンガン酸カリウム水溶液を浸
み込ませた木綿糸を2重にして中央に置き、様子を観察する。
<記録>





<準備>
・発光ダイオード  通常のもの ソケットを使う
・白色塩ビ板
 厚さ2mmの塩ビ板を、3cm×12cmに切断する。
・アルミ箔  3×12cm
・テトラアンミン銅イオンを含む水溶液
 1mol/L硫酸銅水溶液に濃アンモニア水を加える。

結 果

 (a)では、糸から陰極に向けて黄色の帯が拡がっていく。また水の電気分解のため陽
極からは黄色の帯が、陰極からは青色の帯が拡がる。
 (b)では糸から陽極に向けて赤色の帯が拡がる。
 (c)では、糸から陰極に向けて青色の帯が拡がる。そして途中で陰極から陽極に向か
う水酸化物イオンと出会って水酸化銅(U)の細い帯が沈でんする。
 (d)では、細い赤紫色の帯が糸から離れて移動していく(過マンガン酸イオンの濃度
が低いので糸からすべて抜け出す)。

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