04.4
林 正幸
大陽炉の製作(その2)
10年ほど前に部活動で生徒と一緒に、250枚くらいの5cm角の塩ビミラーを、1
枚々々レーザーを当てて角度を決めながら固定して大陽炉を製作した。これは新聞紙が炎
上する威力があった。
今回はもうすこし簡単に作れるものを目指した。そして等辺台形を貼り合わせる方式を
採用することにした。材料が工作用紙とアルミホイルであるから家庭でも取り組める。こ
れでゆで玉子をつくることができる。そして代わりにポリカーボネートミラーを切れば、
その性能は大きく向上する。
1.設 計
[1]板の上に、1段目は半径12cmの円に沿って12枚の等辺台形を並べることにす
る。その上底は図1から次のように計算される。
(12×sin15)×2 = 6.21[cm] = 6.2[cm]
また円の中心から上底までの距離は次のようになる。
12×cos15 = 11.59[cm]

台形の高さは8cmにする。これはひとつには、アルミホイルの幅が25cmであって
無駄が出ないようになっている。
[2]次に1段目の台形の傾きである。焦点を板の中心の上方24cmとし、台形の中心
で反射した光線が焦点に来るようにする。図2を参考にすると、三角公式
a2 =b2+c2 −2bc×cosA
によって、次の2つの方程式が成り立つことが分かる。
- 1 -
a2 = b2 +c2 −2bcA (1)
b2 = a2 +c2 −2acB (2)
ただし
A = cos(90−α)
B = cos(180−β−α)
両式からb2 を消去すると
b =(2c2 −2acB)/2cA
これを(2)式に代入して整理すると
4c2 −8acB+4a2B2 = 4A2(a2 +c2 −2acB) (3)
になる。
[3]1段目は、円の中心から台形の上底までの距離が11.59[cm]であり、円の中心
から焦点までの高さは24cmだから
a2 = 11.592 + 242
a = 26.65[cm]
であり
β = tan-1 (24/11.59) = 64.22[°]
B = cos(115.78−α)
であり
b = 4[cm]
であるから、(3)式は次のようになる。
64−853B+2841B2 = 4A2(726−213B)
これは未知数がα1つであるので解けるはずだが、代数的には困難である。そこで適当な
数値を仮定して代入し、次第に解に近づくことにした。αを大きくすると左辺は小さくな
り、右辺は大きくなる。近づいたら比例配分で解を得る。これはプログラムをつくれば簡
単にできるが、残念ながら現在の私のパソコンはそこから離れている。逆にその体制づく
りの必要性を感じた。
解は次のようである。
α = 17.02[°]
[4]これから図3のように台形の下底が、上底から水平に
8×cos17.02 = 7.65[cm] = 7.6[cm]
離れ、垂直に
8×sin17.02 = 2.34[cm] = 2.3[cm]
上がることが分かる。この数値はひとつには台形を支える工作用紙の寸法になる。幅は6
cmにする。
- 2 -

下底の長さは、その12枚が第2の円に沿うことを利用する。図4のように、下底はそ
の円の中心から
11.59+7.65 = 19.24[cm]
離れる。したがって下底は
(19.24×tan15)×2 = 10.31[cm] = 10.4[cm]
となる。工作の都合から小数1位は偶数にした。
これで1段目の台形は
上底:6.2cm 下底:10.4cm 高さ:8.0cm
と確定する。
[5]2段目の台形は同じことをくり返せばよい。台形の上底はすでに10.4cmと、そ
の第2の円の中心からの距離は19.24cmと決まっている。焦点までの高さは
24−2.34 = 21.66[cm]
である。したがって
a2 = 19.242 + 21.662
a = 28.97[cm]
であり
β = tan-1 (21.66/19.24) = 48.39[°]
B = cos(131.61−α)
であり、
b = 4[cm]
とこれは前と同じである。したがって(3)式は次のようになる。
64−927B+3357B2 = 4A2(855−232B)
そして解は
α = 24.42[°]
台形の下底が、上底から水平に
8×cos24.42 = 7.28[cm]
離れ、垂直に
- 3 -
8×sin24.42 = 3.31[cm]
上がる。下底は第3の円の中心から
19.24+7.28 = 26.52[cm]
離れる。下底の長さは
(26.52×tan15)×2 = 14.21[cm] = 14.2[cm]
であり、2段目の台形は
上底:10.4cm 下底:14.2cm 高さ:8.0cm
となる。
[6]3段目の台形に移る。第3の円の中心からの焦点までの高さは
21.66−3.31 = 18.35[cm]
である。したがって
a2 = 26.522 + 18.352
a = 32.25[cm]
β = tan-1 (18.35/26.52) = 34.68[°]
B = cos(145.32−α)
である。(3)式は次のようになる。
64−1032B+4160B2 = 4A2(1056−258B)
そして解は
α = 30.72[°]
台形の下底が、上底から水平に
8×cos30.72 = 6.88[cm]
離れ、垂直に
8×sin30.72 = 4.09[cm]
上がる。下底は第4の円の中心から
26.52+6.88 = 33.40[cm] = 33.4[cm]
離れる。したがって下底の長さは
(33.40×tan15)×2 = 17.90[cm] = 17.8[cm]
3段目の台形は
上底:14.2cm 下底:17.8cm 高さ:8.0cm
となる。
なおこの台形は板から上底が
2.34+3.31 = 5.65[cm] = 5.6[cm]
下底が
5.65+4.09 = 9.74[cm] = 9.7[cm]
離れる。そして台形の高さの垂直射影は6.7cmである。これらも台形を支える工作用紙
- 4 -
の寸法であり、幅は10cmにする。また台形の下底までの水平距離はすでに計算したよ
うに33.2cmであり、組み立ての段階で必要になる。
[7]以上はこのタイプのパラボラの設計法になっている。計算はやや複雑だが、寸法が
分かれば工作は比較的簡単になる。なお
台形の高さ
1段目の台形の上底に沿う円の半径
焦点の高さ
1段の台形の枚数
台形の段数
を入力すれば、設計値と断面図が出力されるプログラムをつくるとよい。
2 製 作
A 材 料
・工作用紙(51×37cm) ×5
・アルミホイル
・半幅の粘着布テープ、両面テープ
・ベニヤ板(厚さ5.5mm 70×70cm)
・定規、分度器
・はさみ、のり
・針金、ペンチ
B 台形などの寸法
台形 12枚ずつ、合計36枚
1段目 上底: 6.2cm、下底:10.4cm、高さ:8.0cm
2 10.4 14.2 8.0
3 14.2 17.8 8.0
1段目をベニヤ板に固定する長方形 6組
6.0×3.0cm、6.0×3.0cm
1段目を支える長方形 6組
6.0×7.6cm、6.0×2.3cm
3段目を支える長方形 12組
10.0×5.6cm、10.0×6.7cm、10.0×9.7cm
C 台形などの準備
(1)工作用紙に作図して切り取る。
- 5 -
・1枚目
1段目の台形 12枚 2段目の台形 8枚
参考:2.1 8.3 18.7 24.9 35.3 41.5 51.9
10.4 16.6 27.0 33.2 43.6 49.8
1.9 12.3 26.5 36.9 51.1
14.2 24.6 38.8 49.2
・2枚目
3段目の台形 12枚
参考:1.8 16.0 33.8 48.0
17.8 32.0 49.8
・3枚目と4枚目
3段目を支える長方形 5組ずつ
参考:5.6 12.3 22.0
・5枚目
2段目の台形 4枚 3段目を支える長方形 2組
1段目をベニヤ板に固定する長方形と1段目を支える長方形 6組ずつ
参考:3.0 6.0 13.6 15.9
(2)アルミホイル2mほどを8.3cm幅に切り、すべての台形の裏側にのりで貼り付け
ていく。
注意:アルミホイルは光沢がある方を表にする。裏から指で軽くしわを伸ばす。
のりは台形の全面に付け、しわにならないように、空気が残らないようにする。
しばらく本などを載せて平らにする。
(3)1段目をベニヤ板に固定する長方形2枚を粘着テープでつないで、6.0×6.0
cmにする(6組)。
(4)1段目を支える長方形2枚をつないで、6.0×9.9cmにする(6組)。
(5)3段目を支える長方形を、5.6、6.7、9.7cmの順につないで、10.0×
22.0cmにする(12組)。
D 組み立て
(1)1段目の台形12枚を、アルミ面でない側で粘着テープでつなげる。ただし1カ所
は残して全体が平面になるようにする。
(2)1段目を支える長方形6組を、7.6cmの方が台形の上底につながるように、1枚
おきに粘着テープでつなげる。
注意:長方形は裏表に注意して、他端を台形の下底につなげて三角形に曲げられるように
する。
- 6 -
(3)1段目をベニヤ板に固定する長方形6組を、つなぎ目が上底に重なるように、残っ
ている台形に固定する。
注意:長方形は裏表に注意して、中心の方にはみ出した部分が、パラボラの内側に曲がる
ようにする。
粘着テープは上底から2mmほど下げた位置から貼り付ける。
(4)2段目の台形の上底を1段目の下底につなげる。
(5)1段目を支える長方形の他端と台形の下底がつながるように、粘着テープで固定す
る。
(6)3段目の台形の上底を2段目の下底につなげる。
注意:この段階でもすべての台形が平面になっていて、アルミ面が下向きになっている。
(7)3段目を支える長方形12組を、9.7cmの方が台形の下底につなげる。
注意:長方形は裏表に注意して、他端を台形の下底につなげて台形に曲げられるようにす
る。
1組ごちに(8)まですると場所を取らない。
(8)3段目を支える長方形の他端と台形の上底がつながるように、粘着テープで固定す
る。
(9)残った部分を中心の方からつなげてパラボラを完成する。
(10)ベニヤ板に2本の対角線を引き、中心から12.0cmの位置に印を付ける。ここ
に1段目の台形の角が来る。
(11)分度器と定規を使い、対角線の両側15°で中心から33.4cmの位置に印をつ
ける。またそれから30°ずつ離れた位置にも印をつける。ここに3段目を支える長方形
の端が来る。
(12)1段目を支える長方形(三角形の底面に当たる)に長めの粘着テープを貼ってお
き、ベニヤ板に固定できるように準備する。
(13)パラボラを正しい位置に置き、1段目をベニヤ板に固定する長方形を、粘着テー
プで固定する。
注意:両面テープも使う。
(14)1段目を支える長方形をベニヤ板に固定する。
(15)3段目を支える長方形を固定する。こちらは粘着テープを下底の下と上底の下の
2列にする。
3 ゆで玉子づくり
(1)70cmの太い針金2本と細い針金で、図のような形に整えて、ベニヤ板に粘着テ
ープで固定する。
参考:このパラボラの焦点は24cmの高さである。
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(2)玉子をマジックなどで黒く塗り、針金の中に入れて、大陽側半分をアルミホイルで
覆う。
(3)大陽に向けて20〜30分加熱し、玉子を180°回転してさらに20〜30分加
熱する。
備考:この玉子は、ゆで玉子ではなく「ひかり玉子」と名付けたい。

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林 正幸と主万子の始めの
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