06.8.2〜4
科教協神奈川大会化学分科会
林 正幸(アルケミストの会)
原子量とアボガドロ定数を測ろう
〜比例概念の育成を含めて〜
退職して3年あまり、自由な立場から望ましい化学教育を思い、これまでに6つの講座
プランを作成してきた。同時に名古屋市科学館で数名の仲間と先進科学塾を開講し、当初
は高校生を対象に企画したが、残念ながら6日間の講座に応えられる高校生はほとんどい
ないのが現実であった(これは高校生がいかに歪んだ学習環境にあるかを象徴していると、
私は受けとめている)。そこで現在は高校生を含む社会人を対象にした「1日コース」と
して実践している。
私は講座プランをベースに1日コースを担当するように心掛けてきた。例えば
講座プラン 1日コース
「化学的変化はどちらに向かうか」 「蒸気圧が分かる実験1,2,3・・・」
「物質とエネルギーの世界」 「物質に秘められたエネルギーを探る」
「元素と原子の発見」 「自分で元素を取り出してみよう」
そして今回(7月16日)の
「モル単位(物質量)の世界」 「原子量とアボガドロ定数を測ろう」
である。
もちろん講座プランに懸ける思いが、1日コースに100%実現するわけはない。しか
し現在の私にとって貴重の実践の場になっており、かつ仲間から率直な批判を受けられる
機会になっている。
レポートでは、1日コース「原子量とアボガドロ定数を測ろう」の実践を報告すると共
に、講座プラン「モル単位(物質量)の世界」の内容、とりわけ「比例概念の育成」につ
いての私なりの提言を伝え、批判を受けたい。
T 1日コースの実践
[a]テキスト
資料として講座プランの全体を添付する。その中の1〜3節がテキストになっている
(今回はあまり内容を変更していない!)。
A 原子量の測定
[a]原子量とは
[b]実 験
- 1 -
実験1 マグネシウムの原子量
実験2 水素の原子量
実験3 硫黄の原子量
[c]解 説(「プラン」p5の[b]反応量(その1)は除く)
[d]現代の原子量(解説の一部である)
B アボガドロ定数の測定
[a]アボガドロ定数と1mol(モル)
[b]実 験
実験4 単分子膜の面積(「プラン」では実験5)
実験5 結晶構造と1molの体積(「プラン」では実験6)
実験6 面心立方格子モデルの作成(おみやげ)
[c]解 説(「プラン」p8の[b]モル質量 は除く)
実験6は1日コースのために加えたものであり、次のようである。
<テキストの引用>
(1)ペイントで着色したスチロール球(φ35mm)4個を、カッターナイフで半球6
個と8分球8個に切断する。
(2)塩ビ板(48mm四角)6枚を、セロテープで立方体に組み立てる。
(3)半球と8分球を詰めて、封をする。
参考:カットはきれいなカッターを使い、成形のときの赤道や穴を利用し、そして左右の
バランスに注意する。
<以上>
(中略)
実際のテキストやその他の資料は、私のホームページで閲覧できる。
http://www.water.sannet.ne.jp/masasuma/
[b]展 開
参加者は17人で、高校生5人、大学生1人、社会人11人であった。社会人には教員
3人を含み、またリピーターが12人である。これに対して私の他に、スタッフ(仲間)
4名が実験などを支援した(せいたくな企画ですよね)。
- 2 -
午前、午後それぞれ2時間半で、1時間の昼食休憩がある。午前に「原子量の測定」、
午後に「アボガドロ定数の測定」を配置し、それぞれ
@課題提起([a]の講義)
A実験
Bまとめ
の構成にした。
実験は2人1グループで取り組み、実験5の「塩化ナトリウムのへき開」と、実験6は
個人別とした。そして3種の実験を3セットずつ準備して、常に9グループがどれかに取
り組めるようにした。
まとめは結果の発表と質疑を中心にし、テキスト([c]などの部分)は補助的に活用
した。ちなみに、くわしいテキストは後でじっくり考えるときの参考にもなる。
実際には、実験時間のグループ差が大きく、前半が午後に30分はみ出し、終了を1時
間遅らせても、後半の発表時間が不足した。
[c]実験データ
アンケートとして、計算した結果ではなく元のデータを集約した。しかしグループナン
バーを書かなかったり、また指定したデータと異なる数値を書いたりで、グループの判別
や原子量などの計算に苦労した。
・実験1 マグネシウムの原子量
原子量:24.2 26.0 25.1 33.8 32.9
26.7 30.8 ・・・ ・・・
基になる実験であり正確さを期待した。結果が大きいのは「中火で数分加熱し」が難し
く、酸素が十分に化合しなかったためと思われる。
・実験2 水素の原子量
原子量:1.05 1.04 0.98 1.01 1.04
1.10 1.08 1.05 1.04
なお上の原子量の計算では、マグネシウムの原子量は正しい数値を使った。
・実験3 硫黄の原子量
原子量:27.1 27.9 36.4 83.0 30.4
28.7 48.1 ・・・ ・・・
なお上の原子量の計算では、マグネシウムと水素の原子量は正しい数値を使った。
・実験4 単分子膜の面積
ステアリン酸分子の長さ( ×10-7 cm)
3.0 3.8 2.0 ・・・ 2.1
・・・ 3.2 2.0 5.8
アボガドロ定数(分子を立方体として ×1022 個)
1.0 0.51 3.4 ・・・ 3.1
・・・ 0.88 3.4 0.14
- 3 -
アボガドロ定数(分子の断面積の数値を使って ×1023 個)
4.3 3.4 6.3 ・・・ 6.2
・・・ 4.1 6.3 2.2
この実験の途中で水面にマーブリング液が広がりにくくなり、実験できないグループが
生じた。原因ははっきりしないが、バットの洗浄過程で問題があったのであろう。
・実験5 結晶構造と1molの体積
他の部分はよい結果が出ると予想されたので、塩化ナトリウムに関してのみデータを集
約した。
アボガドロ定数( ×1023 個)
6.85 6.39 6.23 6.20 6.38
6.15 6.64 5.36 6.39
集約できたデータ(個人別)がやや少ない。結果がやや大きいのは、きれいにへい開で
きていないためだろうか。
[d]参加者の感想
アンケートとして「感想」を自由に書いてもらった。
@とても楽しい実験、ありがとうございました。(モルの説明のとき)「目に見えない原
子・分子を考える時も、いつもと同じ様に考えればよい」ということばが印象的でした。
実験1のマグネシウムの酸化で、うぐいす色(白ではない)のものが何なのか、考えて
みたい。実験4の希硫酸を作ったビーカー全体の質量が測定中どんどん減少していったの
が不思議であった。
けっこう簡単な実験で原子量やアボガドロ数が出たのでびっくり。定量実験も面白いな
・・・と思いました。
A午前中の原子量は、最初の Mg の値がとても良かったので、その後の計算もうまくい
って良かった。( MgO の加熱不十分で、再加熱したので、近づけられた。)どの実験
も予想を立てて取り組めたので、それに近い値が出ると、とてもうれしかった。
午後の NA は、ステアリン酸を立方体ととらえて計算していく時に少し手間どったが、
徐々に理解を深められた。NaCl から求める方は、へき開がもっとうまくできたらなあ、
と少し残念だったが、ほぼいい値が出てくれたので、ほっとした。
全体的には、ミクロとマクロの橋渡しが、とても良く、楽しく実験を進める中で、理解
できたので良かった。ありがとうございました。
BNaCl を粉砕するのが難しかったです・・・。「ベローゾフ・ジャボチンスキー反
応」をやってみたいです!!
C時間ない。実験はおもしろかった(理科総合Aのふりして化学Tをやっていますが、そ
んでも実験がない)。
D午前中の実験は式もそんなに複雑でなくておもしろかった。
E化学反応のさせ方に注意しないと正確な結果が出にくい事。計算が多いと頭の回転がや
やついて行けない感じがする。
- 4 -
Fむずかしい。何をやろうとしているか自分自身でわかっていない。
G実験4ができなくて、とても残念でしたが、とても楽しかったです。今回もありがとう
ございます。
Hいろいろ楽しかった。
I父の説明が速すぎて、すみませんでした。
J実験5はできませんでした。
良かった:時間終了後も実験できたこと
分かりにくいこと:集合場所
K実験4でずい分手間どったが、よい経験になった(失敗から学べるようにがんばりま
す)。藤田先生の「成功ばかりがいいとは限らない」の一言は身にしみました。
多様な参加者の全体によく適合することは無理である。むしろ毎回がそれぞれ特徴のあ
る内容にしていきたい。今回は自分の実験データを元にして計算して、原子量やアボガド
ロ定数が実感のあるものになることを目指した。
後半は分かりにくいので、質量を書いた色つきボールを皿に盛って1molが同数であ
ることを示したり、角砂糖をラップで包んでその面の面積や体積と1個のそれらから個数
を計算できることを説明したりしたが、指数計算などもあり、混乱した参加者もいた。
U 講座プランの内容
[1]講座プラン「モル単位(物質量)の世界」の目次は
1.原子量を測る
2.原子量と式量
3.モル単位(物質量)
4.モル量
5.現代の化学量論
6.モル濃度
7.物質量と電気量
であり、実験は
実験1 マグネシウムの原子量
実験2 水素の原子量
実験3 硫黄の原子量
実験4 1molの物質
実験5 単分子膜の面積(アボガドロ定数)
実験6 結晶構造と1molの体積(アボガドロ定数)
実験7 金属の比熱
実験8 0.05mol/Lのシュウ酸
実験9 銅が生成する量
- 5 -
である。
[2]このプランのねらい(特色)の1つは「比例概念の育成」であるが、それについて
は下のVにまわす。
ねらい(特色)の2つは、原子量を実感のある量として学習させることである。そのた
めに3つの実験を組み込んだ。原子量の基準には酸素を選んだ。
実験1は化学式 MgO からマグネシウムの原子量を求めるもっとも簡単なものであり、
得られる原子量は続く実験の基になる。実験2は反応式の Mg と H2 の関係から、H
の原子量を求める。実験3も反応式を利用するが、まず硫酸の分子量を求めそれから硫黄
の原子量が得られるので高度になる。
逆に言うと、実験を通して化学式、反応式、分子量などの意味を捉えさせようとするの
である。それだけではない。反応量の計算だってできてしまう。
[3]ねらい(特色)の3つは、アボガドロ定数も実感のある量として学習させることで
ある。実験5はあえてステアリン酸の単分子膜の面積のみから求めようとする(後でミク
ロ情報の分子の断面積を使ってみる)。実験6はアルミニウム、鉄、塩化ナトリウムのモ
ル体積と、格子定数(1辺の長さ)や結晶構造を結びつける。これらを通して、アボガド
ロ定数が莫大な数値であること、1molがすべて同じ個数であることを納得する。なお
原子や分子の個数計算はこの分野でのみ扱うことにした。
[4]ねらい(特色)の4つは、モル量(1molあたりの量)を意識化させることであ
る。物質量を教えるなら、その意義としてモル量を積極的に導入するべきであろう。モル
質量はもちろんのこと、モル体積とモル比熱を取り上げた。気体のモル体積はアボガドロ
の法則の具体例になり、また固体や液体のモル体積は周期律発見における原子容になる。
金属のモル比熱はデュロン・プティの法則になる。実験7はアルミニウム、銅、鉛のモル
比熱を計測する。ちなみにモル量は講座プラン「物質とエネルギーの世界」でも反応熱、
生成熱などが登場する。
[5]ねらい(特色)の5つは、物質量を基にした現代の化学量論を学習させることであ
る。モル質量と気体のモル体積(標準状態)をポイントにし、ある程度パターン化して導
入し、演習問題で応用力を付ける。ちなみに産業に係わって鉄の製錬を取り上げ、化石燃
料に係わってメタンの燃焼を取り上げたつもりである。
[6]ねらい(特色)の6つは、モル濃度(定義)と電気量との関係をこのプランに組み
込んだことである。モル濃度は、現代の化学量論の重要な中身になっている。また1
molの電子の電気量は化学量論の3つめのポイントである。実験9は電気量と銅の析出
量の関係を計測する。なお気体の状態方程式や分圧の法則(水蒸気圧)は割愛した。
[7]最後にプラン作成に係わって工夫した実験を上げておく。
・ナトリウムの原子量
・窒素、炭素の原子量
・水の電解(アボガドロ定数)
V 比例概念の育成
- 6 -
[1]講座プラン「モル単位(物質量)の世界」の本文の最後に次のように書いた。
<引用>
化学では「物質量」でつまずく生徒が多いと言われる。その原因のひとつは、本文でも
触れたように、比例概念の訓練が不足しているためであろう。これを克服すれば、化学だ
けでなく自然科学全体の基礎を身に付けることになる。
<以上>
比例概念は小学校から習い始めるが、高校になっても身に付いていない生徒が驚くほど
多い。それは比例概念がそれほど単純ではなく、いくつもの事例に触れて十分に納得する
必要があるためであると考える。加えて、その場しのぎに「公式主義」で切り抜ける風潮
が輪を掛けている。「引用2」と「引用8」は、それを戒め、進むべき道を示している。
[2]比例概念を数学的に整理すると次のようになる。
@x/x' = y/y'
(x:x' = y:y')
Ay/x = y'/x' = k
(y:x = y':x')
By = kx
Cx = y/k
もちろんさらに、比熱のように2つの変数を持つ場合、(1/x)に比例する場合(反比
例)、x2 に比例する場合など、様々な発展内容がある。
[3]@について
1時間に4km進む人は、3時間では何km進むか、という問に
1[h]:3[h]= 4[km]:x[km]
という比例式を立て(ふつう単位は付けないが)
内項の積は外項の積に等しいという「公式」から
x = 12[km]
と答える。ここで重要なのは小学校では比は単位を揃えて取っている点である。これは多
くの生徒が習得している唯一の比例概念である。
[4]Aについて
2つの量の間に比例関係があるとは、性質が異なる量の比(の値)が一定であることも
意味する。上の例では、距離と時間の比は一定である。こちらを使って解くと
1[h]/4[km] = 3[h]/x[km]
または
4[km]/1[h] = x[km]/3[h]
から答を得る。
そして比(の値)自身に注目すると、「あたり量」(比例定数)が出てくる。下の式か
らは速度という当たり量が出てくる。それは
「1時間あたり、何km進むか」
- 7 -
を表す数値である。単位はkm/h(キロメートル毎時)であり、単位はその数値を理解す
る手がかりになる。
[5]ところが、これを速度は距離を時間で割った数値であると教える。
速度 = 距離/時間
この「公式」を覚えておけば、どんな計算でも対応できるというのである。中学校になる
と方程式を学習するので、式の変形法だけ心得れば、未知数を使って距離でも時間でも平
気である。
もっと要領がよい方法もある。単位に注目しなさい。速度は4[km/h]である。3
[h]で進む距離なら、2つの単位をどうすれば距離の単位の[km]になるか。かけ算
すればよいので、速度と時間を掛けなさい。そして16km進むのに必要な時間なら、距
離を速度でわり算すればよい。km/(km/h) = h だから・・・。
しかしこれらこそが、比例概念の習得から遠ざかっていく道筋である。
[6]BやCについて
私は、その度に「あたり量」の原点に返った教え方を基本にすべきであると主張したい。
「当たり量の引用」と、「引用1」「引用3」「引用5」「引用6」「引用7」「引用
9」などを見てほしい。
あたり量の引用
・(p2 1節の[4])
通常は<気体の密度>は
「体積1Lあたり、質量は何gか」
を表す。その単位はg/L(グラム毎リットル)である。
しかし気体は温度や圧力によって体積が大きく変化してしまう。そこで圧力は1atm
(=1013hPa)の下としよう。
・(p4 2節の[a]の[2])
<パーセント濃度>を勉強する。正確には質量パーセント濃度と言い
「溶液100gあたり、溶質が何g含まれるか」
を表す。その単位は%(パーセント)である。ここで溶質とは溶けている物質、溶媒とは
それを溶かしている物質、そして溶液はその全体を指す用語であることに注意する。ちな
みにパーセント( per-cent )とは「100あたり」という意味である。
・(p8 3節の[b]の[1])
<モル質量>とは
「1molあたり、質量が何gか」
を表す。その単位はg/mol(グラム毎モル)である。これはもう簡単である。その数値
は原子量や式量である。関係式としてまとめると次のようである。
モル質量 =(原子量や式量)[g/mol] (1)
・(p11 4節の[a]の[1])
<モル体積>とは
- 8 -
「1molあたり、体積が何Lか」
を表す。その単位はL/mol(リットル毎モル)である。すでに実験6でも扱った量であ
る。
参考:「1molあたり、体積が何cm3 か」を表すこともある。そのときの単位は
cm3/mol(立方センチメートル毎モル)である。
(中略)
気体のモル体積 = 22.4L/mol(0℃、1atmの下) (2)
・(p12 4節の[b]の[1])
単に比熱と言うと、それはその物質1gの温度を1℃上げるのに必要とする熱エネルギー
の量を表す。物質の質量が大きいほど、また上げる温度幅が大きいほど、必要とする熱エ
ネルギーの量が大きいのである。つまり<比熱>は
「1gあたり、1℃あたり、熱エネルギーの量が何J(ジュール)か」
を表す。エネルギーの単位はJ(ジュール)である。したがって比熱の単位はJ/g・℃(ジ
ュール毎グラム毎度)になる。
参考:温度の単位を絶対温度のK(ケルビン)にして、比熱の単位をJ/g・K(ジュール
毎グラム毎ケルビン)とすることがある。両方の温度幅は同じであるので、数値は
同じになる。
同じ物質でも、比熱の数値は温度が大きく異なると変化する。
<「モル比熱」>は、その物質1molの温度を1℃上げるのに必要とする熱エネルギ
ーの量を表す。つまり
「1molあたり、1℃あたり、熱エネルギーの量が何Jか」
を表す。その単位はJ/mol・℃(ジュール毎モル毎度)である。
参考:化学ではこれをモル熱容量と言うことが多い。
・(p18 6節の[1])
<モル濃度>は化学でよく使う濃度である。これは
「溶液1Lあたり、溶質が何mol含まれるか」
を表す。その単位はmol/L(モル毎リットル)である。パーセント濃度と比べると、溶
液の量は体積で、溶質の量は物質量で表すことが違っている。
・(p20 7節の[2])
ここで<電流>の意味に触れておく。これは
「1sあたり、電気量が何C流れるか」
である。[s]は時間の秒を表し、[C](クーロン)は電気量の単位である。そして電
流の単位は[A](アンペア)である。つまり[A]の中身は[C/s](クーロン毎秒)
である。
引用1(p3 1節の[4])
これから14℃における密度は0.0856g/Lである。
と言うことは、2倍、3倍して考えると
- 9 -
1Lなら、 0.0856g
2Lなら、0.0856×2 = 0.1712g
3Lなら、0.0856×3 = 0.2568g
したがって質量は次の関係式で計算できる!
質量 = 密度×体積
だから発生した水素の質量は
0.0856×0.158 = 0.0135[g]
となる。
引用2(p3 1節の[4])
ここで忠告! 計算するための「公式」を記憶して切り抜けることが流行っている。し
かし、密度の意味から上のように考えて、必ず自分でどのように計算すべきかを見つける
ように努力せよ。意味は単位に注目すると分かりやすいことが多い。
引用3(p4 2節の[a]の[2])
98%の濃硫酸は(2倍、3倍して考えると)
溶液100gなら、硫酸が 98g
溶液200gなら、硫酸が98×2 = 196g
溶液300gなら、硫酸が98×3 = 294g
したがって硫酸の質量は次の関係式で計算できる。
硫酸の質量 = パーセント濃度×(溶液の質量/100)
だから濃硫酸0.905gに含まれる硫酸の質量は
98×(0.905/100)= 0.887[g]
となる。
引用4(p9 3節の[c]の[3])
次に体積と質量を計測して、1molの体積を求めた。あるデータでは
鉄 125cm3 が982g
(中略)
であった。したがって
鉄1mol
125×(55.9/982) = 7.12[cm3 ]
(中略)
ちなみに、このような計算では、2つの量の大小関係を吟味するとよい。たとえば鉄では、
982gが125cm3 である。だから55.9gは125より小さい数値のはずである。
したがって125に掛けるべき数値は1より小さい(55.9/982)であって、その逆
数(982/55.9)ではあり得ない。
引用5(p11 4節の[a])
0℃、1atmの下で水素の密度が0.0899g/Lであることを示した。私たちは
1molつまり2.016gの水素の体積を計算したいわけである(実際の水素は分子とし
て存在する)。今度は視点を変えて密度を捉える。
- 10 -
0.0899gなら、 1L
0.0899×2=0.1798gなら、2L
0.0899×3=0.2697gなら、3L
[2]これは次の2つの理解ができる。
ひとつは、2L、3Lという数値が、左を見てどのように計算できるかを見抜くのであ
る。それは
体積 = 質量/密度
である。したがって2gの体積は
2.016/0.0899 = 22.4
つまり水素のモル体積は22.4L/mol(0℃、1atmの下)となる。
ふたつは、質量と体積の比が一定であることに注目する。その数値(比の値)は
0.0899
である。これは密度そのものであり、密度という量の意味である。そして2.016gが
x[L]とすれば、次の方程式が成り立つ。
2.016/x = 0.0899
したがって
x = 2.016/0.0899 = 22.4
となる。
引用6(p13 4節の[b]の[2])
まずアルミニウムの比熱(モル比熱ではない!)を求めよう。水の比熱は4.2
J/g・℃である。
1gを1℃上げるなら、 4.2J
2gを1℃上げるなら、4.2×2= 8.4J
2gを3℃上げるなら、8.4×3=25.2J
したがって必要な熱エネルギーの量は次の関係式で計算できる。
熱エネルギーの量 = 比熱×質量×温度幅
比熱に質量と温度幅の両方をかけ算することを理解するのがポイントである。だから水が
必要とした熱エネルギーの量は
4.2×100×14.7 = 6174[J]
となる。
引用7(p15の11行から 5節の[a]の[例題2])
それではメタン6gは何molか。関係式(1)から
16gなら、 1mol
16×2=32gなら、2mol
16×3=48gなら、3mol
つまり
物質量 = 質量/モル質量
あるいは
- 11 -
質量と物質量の比は一定であり、方程式を立てる
のどちらかである(4節[2]項を参照)。
前者では
6/16 = 0.375[mol]
となる。
引用8(p16の13行から 5節の[a]の[2])
そしてくり返し注意する。関係してこれまでに、モル質量、モル体積を始め、密度、パ
ーセント濃度、比熱、モル比熱などの量が出てきた。それを計算するための「公式」を覚
えることは止めよ。その都度くどいように説明してきたが、その量の意味について単位も
参考に検討し、それからどのように計算すべきかを考えよ。それはやがて頭の中でできる
ようになる。
このような地道な訓練を続けてこそ脳が発達し、本当の意味で関係式を活用する能力も
生まれるだろう。次節のモル濃度も同じである。
引用9(p18 6節の[1])
実験2では、モル濃度が2mol/Lの塩酸を15mL使った。これに何molの塩酸が
含まれるか。
溶液1Lなら、塩酸が 2mol
溶液2Lなら、塩酸が2×2=4mol
0.015Lでは・・・2×0.015=0.030[mol]
となる。
念のため、上の例では体積の単位が[mL]と[L]のように違っている。目的にかな
う単位にそろえることを忘れてはいけない。幸い、メートル法では単位の換算は1000
倍ずつずれることに留意すればよい。
- 12 -
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