キーワード
化学、高校、実験、(高校化学、化学実験)
酸化物、酸性酸化物、塩基性酸化物、硫黄、亜硫酸、硫酸、二酸化炭素、炭酸、
酸化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム

                                  98.11
                                   林 正幸

   酸化物から酸と塩基をつくる

1.解 説

 酸と塩基に関する実験については、長い間いまひとつおもしろいものがないと悩んでき
た。酸化と還元のような「決定打」ではないが、この実験と「塩から酸と塩基をつくる」
は一応納得のいくものになっている。
 この実験では、水と反応して酸になったり、塩基と反応したりしする「酸性酸化物」と、
水と反応して塩基になったり、酸と反応したりする「塩基性酸化物」があって、非金属の
酸化物のほとんどが前者になり、金属の酸化物の多くが後者になることを確認する。
 またこの実験では、塩の水溶液が完全に中性とは限らず、すこし酸性だったりすこし塩
基性だったりすることも扱っている。ただし塩の加水分解の理論は化学Uの領域なので、
私はこの学習段階では加水分解という用語も使わずに、事実を次のように理解しておくこ
とのみを求める。
    強酸と強塩基からできる塩    完全に中性
    強酸と弱塩基からできる塩    すこし酸性
    弱酸と強塩基からできる塩    すこし塩基性
 硫黄を燃焼させると二酸化硫黄になり、これは次のように水と反応して亜硫酸になる。
    S + O2 ―→ SO2
    SO2 + H2O ―→ H2SO3
このことは水にBTBを加えておけば検出できる。しかしこれに留まらず、過酸化水素と
反応させて硫酸をつくってそれを確認したい。
    H2SO3 + H22 ―→ H2SO4 + H2
これは指示薬では無理なので、塩化バリウム水溶液を加えて硫酸バリウムの白色沈でんが
生じることで確認する。さいわいに亜硫酸バリウムは沈でんしない。以上は、酸性雨の話
に結び付く。
 割りばしのような炭素を含む物質を燃焼させると、二酸化炭素が生成する。これは水に
溶けるとその一部が次のように反応して炭酸になる。

                  - 1 -

    CO2 + H2O ―→ H2CO3
これはかなり弱い酸だが、BTBなら黄色に変色して酸性を示す。
 ところが同じ割りばしでも、その灰は塩基性を示す。植物にはカリウム元素が含まれて
おり、そのことは肥料の三要素が窒素、リン、カリウムであることからも窺える。これは
燃焼により炭酸カリウム(K2CO3)となり、BTBを青色にする。
 生徒は同じ割りばしから、酸と塩基の両方がつくれることに興味をもつ。
 炭酸カルシウム製のチョークをバーナーで焼くと、一部が酸化カルシウムになり、これ
は次のように水と反応して水酸化カルシウムになる。
    CaCO3 ―→ CaO + CO2
    CaO + H2O ―→ Ca(OH)2
水酸化カルシウムは強塩基であるので、ユニバーサル指示薬を加えておくとpH=10の
紫色を示す。これに対して炭酸カルシウムも塩基性だが、これはpH=8の深緑色程度に
留まる。
 フェノールフタレインは時間が経つと同じ結果になってしまうが、ユニバーサル指示薬
を使うと、炭酸カルシウムの結果があとで塩の加水分解に利用できる。
 この実験では、身近なものを材料にしていることも重要である。

2.操作法(生徒向けプリント)

[a]硫黄から硫酸をつくる
(1)50mlビーカーの目盛を利用して、集気びんに水約25mlを入れ、これにBT
B0.5mlを加える。
注意:中性の緑色にならないときは、水洗いし直す。
(2)燃焼さじに硫黄小さじ半分を採り、バーナーの炎に入れて点火し、それを集気びん
に差し入れ、ガラス円板でできるだけふたをして、燃焼させる。
参考:硫黄は液体になり、黒っぽくなったら、見えなくても点火している。
注意:燃焼さじを水に触れないようにする。
(3)白煙がこもったら燃焼さじを取り出し、水をかけて火を消す。
注意:炎が見えなくても燃えている。発生する二酸化硫黄は呼吸器に影響する。
(4)集気びんはガラス円板でふたをしてしっかり振り混ぜ、様子を観察する。

                  - 2 -

(5)さらに反応溶液を、2本の試験管にそれぞれ3、4cmの高さに注ぎ、一方に35
%過酸化水素2滴を加える。
(6)両方の試験管に2%塩化バリウム水溶液2mlを加えて振り混ぜ、様子を観察する。
[b]割りばしから炭酸と水酸化カリウムをつくる
(1)集気びんなどを水洗いして、改めて水約25mlとBTB0.5mlを入れる。また
50mlビーカーにも水約25mlとBTB0.5mlを入れる。
(2)割りばし半ぜんを、その先をバーナーの炎に入れて点火し、その部分を集気びんに
差し入れ、ガラス円板でできるだけふたをして、燃焼させる。
(3)火が消えたら取り出し、ガラス円板でふたをして振り混ぜ、様子を観察する。
(4)割りばしの方はもう一度点火して5cmほどをできるだけ完全に燃焼させ、灰を準
備したビーカーに落とすようにする。
(5)その後、ビーカーを振り混ぜ、様子を観察する。
[c]チョークから水酸化カルシウムをつくる
(1)試験管2本にそれぞれ、水3、4cmとユニバーサル指示薬5滴を入れる。
(2)チョーク(炭酸カルシウムチョーク)を半分に割って一方をそのまま試験管に投入
して振り混ぜ、様子を観察する。
(3)もう半分を銅線の先に固定し、1分間ほどバーナーで強く加熱する。
(4)続いて1分ほど放冷したら、残りの試験管に投入して振り混ぜ、様子を観察する。
参考:ユニバーサル指示薬の変色とpH
   色    赤    橙    黄   黄緑   深緑   青紫    紫
   pH   4    5    6    7    8    9   10 
          >   酸性   >   中性   <   塩基性   <

3.準備・かたづけ

A 4つの実験机に置くもの(3グループにひとつ)
・硫黄
・BTB
・2%塩化バリウム水溶液
B 6つの実験机に置くもの(2グループにひとつ)
 なし

                  - 3 -

C 各実験机に持っていくもの(10〜11こ)
・割りばし半ぜん
・チョーク(3cm)
  (炭酸カルシウム製のもの。表面のコーティングを紙やすりで削っておく。)
・燃焼さじ
・マッチ、燃えがら入れ
・集気びん、ガラス円板
・50mlビーカー
・試験管4本と試験管立て
・銅線(30cm)
D あとで教卓に取りに来させるもの ・ユニバーサル指示薬

4.注意・結果

 なし

                  - 4 -


林 正幸と主万子の始めの ホームページ(to our initial Home Page) にもどる。