キーワード
化学、高校、実験、(高校化学、化学実験)
アルコール、アルデヒド、ケトン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、
1−ブタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、
親水性、水、親油性、ヘキサン、酸化、銀鏡反応、ヨードホルム反応

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                                   林 正幸

   アルコール・アルデヒドなど

1.解 説

 これはアルコール、エーテル、アルデヒド、ケトンに係わる実験だが、エーテルは別の
ところで分子量の測定に使うこともあって外している。取り上げるのは次の3つである。
 「アルコールの溶解性」は、有機化合物では物質を系統的に調べることができる利点を
生かして、次のアルコールが水とヘキサンに溶けやすいか溶けにくいかを実験する。
    (a)メタノール
    (b)エタノール
    (c)1−プロパノール
    (d)1−ブタノール
これは物質を親水性グループと親油性グループおよびその仲立ちとしての界面活性グルー
プに分類してとらえるスタートの実験である。親水性グループの代表はもちろん水である。
このグループはアルコールのようにヒドロキシル基が目立つ物質と、水に溶解するイオン
性物質である。これらは極性が大きいという共通点を持っている。これに対して親油性グ
ループの代表は石油類からヘキサンを選んでいる。このグループは炭化水素基が目立つ物
質と、水に溶解しにくい分子性物質である。これには空気中の窒素や酸素も含まれる。こ
れらは極性が小さいという共通点を持っている。なお油というと油脂を思い浮かべるが、
これも炭化水素基が目立つ物質でその分子内に比較的極性が小さいエステル結合を含んで
いる。そして両者の仲立ちの界面活性グループは、せっけんを始めとする洗剤などと、リ
ン脂質やタンパク質などである。
 親水性グループどうし、親油性グループどうしは、それぞれ互いに馴染みやすく、溶解
し合うことが多い。それは「似たものどうしは溶け合う」という法則で言い表される。し
かし異なるグループは互いに馴染みにくく溶解し合うことは少ない。そして両者の界面で
は物質は不安定な状態になる。これには「水と油」というたとえもある。したがって親油
性は疎水性とも言われる。なお、このような物質のとらえ方は第1次近似で例外も多いこ

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とは承知しておく必要がある。
 さて実験結果は、1−ブタノール以外は水に溶けやすく、メタノール以外はヘキサンに
溶けやすい。これは親水性と親油性をとらえる絶好の手がかりである。
 「メタノールの酸化」は、メタノールが酸化銅(U)によって酸化されてホルムアルデ
ヒドになり、
  CH3OH + CuO ―→ HCHO + H2O + Cu
それがさらにアンモニア性硝酸銀によって酸化されてギ酸になる、よく知られた実験であ
る。後者は銀鏡反応として、アルデヒドの検出に利用される。この反応は、銅のコイルの
変化、ホルムアルデヒドの刺激臭、そして試験管の銀鏡と、面白さが多いので採用してい
る。もちろんこれはアルコール、アルデヒド、カルボン酸が酸化還元反応でつながってい
ることを教える教材でもある。なおこれとは別に、ブドウ糖が酸化される反応を利用して、
本格的な鏡づくりの実験をしている。
 「ヨードホルム反応」は、アセチル基ないし酸化されるとそれになる1−ヒドロキシエ
チル基の検出反応である。これは教科書ではあまり取り上げられないが、有機化合物の構
造を追求していく上では価値ある検出反応と考えている。それにそのサンプルとしてアル
デヒドやケトンを登場させることができる。具体的には次の物質を試験する。
    (a)エタノール
    (b)1−プロパノール
    (c)アセトアルデヒド
    (d)アセトン
実験結果は1−プロパノールを除いて黄色沈でんないし黄白色のにごりを生じる。ちなみ
に酢酸はヨードホルム反応を示さない。
 付け加えると、一般的にはアルコールとナトリウムの反応を取り上げることが多いが、
私はこれをナトリウムのところで実験している。

2.操作法(生徒向けプリント)

[a]アルコールの溶解性
(1)ヘキサン5mlの入った4本の試験管を確認し、別の4本の試験管にピペットでそ
れぞれ水5mlずつを入れる。
(2)次のアルコールを2mlずつを、水とヘキサンに加えて、振り混ぜて溶解性(溶け
やすい・溶けにくい)を調べる。

                  - 2 -

    (a)メタノール        (b)エタノール
    (c)1−プロパノール     (d)1−ブタノール
(3)この実験が終わったら、すぐに8本の試験管はそのまま前に返却する。
[b]アルコールとナトリウムの反応
(1)試験管2本にメタノール、エタノールを5mlずつ入れ、それぞれにナトリウムの
小片を投入して様子を観察する。
[c]メタノールの酸化
(1)200mlビーカーに約70℃の湯を半分くらい準備する。
(2)試験管にメタノール5mlをとり、湯に浸けてその蒸気がこもるようにする。
(3)銅線のコイル部を赤くなるまで加熱し、炎から取り出して黒くなるのを確認し、す
ぐに試験管内のメタノール蒸気に触れさせ、その変化を観察する。
(4)これを数回くり返したら、試験管内にできたホルムアルデヒドの臭いをかいでみる。
注意:ホルムアルデヒドは毒性があるので、強くかがないようにする。
(5)湯から取り出し、指でふたをして振り混ぜ、アンモニア性硝酸銀水溶液5mlを加
えて、室温でしばらく放置して様子を見る。
[d]ヨードホルム反応
参考:この実験は[a]が終わり、その試験管を返却してから始める。
(1)ヨウ素・ヨウ化カリウム水溶液5mlの入った4本の試験管を確認する。
(2)これに次の物質を指定された量だけ加えて振り混ぜる。
    (a)エタノール     1ml
    (b)1−プロパノール  1ml
    (c)アセトアルデヒド  3滴
    (d)アセトン      3滴
(3)続いてそれぞれの試験管に2mol/l水酸化ナトリウム水溶液を、混合物が透明な
黄色になるまで、振り混ぜながら加える。そしてその後の変化を観察し、臭いにも注意を
払う。黄色沈でんないし白黄色にごりという変化が見られないときは、念のため[c]の
湯に浸けてみる。
参考:使用した試験管はすべてそのまま返却する。

3.準備・かたづけ

A 4つの実験机に置くもの(3グループにひとつ)

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・メタノール、エタノール、1−プロパノール、1ーブタノール
・アンモニア性硝酸銀水溶液
  (2%硝酸銀水溶液に、沈でんが生成して再びそれが消失するまで3mol/lアンモ
   ニア水を加えたもの)
・2mol/l水酸化ナトリウム水溶液
・アセトアルデヒド、アセトン
B 6つの実験机に置くもの(2グループにひとつ)
  なし
C 各実験机に持って行かせるもの(10〜11個)
・ヘキサン5mlが入った試験管4本
・5mlペペット、50ml三角フラスコ
・ヨウ素・ヨウ化カリウム水溶液5mlが入った試験管4本
    (実験[a]が終わってから持て行く)
 ヨウ素・ヨウ化カリウム水溶液は
    水400mlに、ヨウ化カリウム30gとヨウ素10gを加えて溶解する。
・試験管7本と試験管立て
・温度計、200mlビーカー
・マッチ、燃えがら入れ、三脚、金網
・先をコイル状にした銅線
D 教卓に準備しておくもの
・湯

4.注意・結果

 アルコールの溶解性については、全体が均一になれば「溶けやすい」、2層に分かれていて
振り混ぜると濁るなら「溶けにくい」と判定する。
 銀鏡になった試験管はあとで準備室において硝酸を使って洗浄する。

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