97.10
林 正幸
マンガン乾電池と鉛蓄電池
1.解 説
これは実験「ダニエル電池とマンガン乾電池」と姉妹関係にある。つまりマンガン乾電
池の他にもうひとつどちらを取り上げるかで、こちらは鉛蓄電池を取り上げている。それ
は、この夏に作文した「酸化と還元」に基づいている。すなわち、高校では「酸化還元電
位」まで踏み込まない方がよい、と考えるようになったからである。
「マンガン乾電池」は実用電池を自分たちで製作する面白さがある。また実験を通して
乾電池のしくみを実感を込めて学習できる。マンガン乾電池は、かっては塩化アンモニウ
ムが中心の電解質であったが、現在は塩化亜鉛を多く含むものが生産されている。その反
応は次のようである。
負極 4Zn ―→ 4Zn2+ + 8e-
4Zn2+ + 8H2O ―→ 4Zn(OH)2 + 8H+
4Zn(OH)2 + ZnCl2 ―→ ZnCl2・4Zn(OH)2
正極 8MnO2 + 8H+ + 8e- ―→ 8MnOOH
参考:塩化アンモニウムは、塩化亜鉛が加水分解して水酸化亜鉛の沈でんを生じない
ように、そしてまた自身の加水分解で水溶液を弱酸性にして正極反応のための
水素イオンを提供するはたらきをしている。
もちろん正確な反応式を記憶する必要はないと思う。なお実験でつくる乾電池のパワーは
いまいちで、生徒にはソーラーモーターや電子おもちゃで楽しませる。
鉛蓄電池(バッテリー)は充電ができる二次電池である。これも実用電池を製作する面
白さがある。
実験では始めに、うすい硫酸に2枚の鉛板を差し込んで、手まわし発電機をつないでハ
ンドルをまわす。これは水の電気分解になり、陽極では次の反応が起こって、鉛板の表面
には茶色の二酸化鉛が生成してくる。
2H2O + Pb ―→ PbO2 + 4H+ + 4e-
しばらくまわしてから手を離すと「発電機」が自分でまわり出す(同じ向きにまわる)。
つまり鉛蓄電池ができて「放電」が起こり、発電機ははたらきをモーターに変えたのであ
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る。陽極は正極となり、陰極は負極となって次の反応が起こる。
負極:
Pb + SO42- ―→ PbSO4 + 2e-
正極:
2e-+4H++SO42-+PbO2 ―→ PbSO4+2H2O
そしてハンドルの回転が止まったら、再び発電機をまわして(同じ向きに)「充電」す
ると、やはり電気分解が起こるが、今度は陽極では正極の逆反応が、陰極では負極の逆反
応が起こる。
充電ができるのは、その反応に必要な硫酸鉛(U)が電極に付着しているからである。
なお反応の説明は電気分解の後がよい。
ハンドルの回転数から効率を計算したり、充電してからマンガン乾電池と同じように遊
ぶことができる。
2.操作法(生徒向けプリント)
[a]マンガン乾電池
(1)50mlビーカーに、25%塩化亜鉛水溶液24mlを採り、これに塩化アンモニ
ウム1.3gを加えて、ガラス棒でかき混ぜる。
(2)100mlビーカーに、二酸化マンガン1gと黒鉛粉末5gを採り、これに(1)
の水溶液12mlをピペットで加えてかき混ぜる。そして脱脂綿を入れて混合物を染み込
ませる。
注意:(1)の水溶液は各実験机に持って行った専属の5mlピペットを使用する。
(3)バットの底に亜鉛板を置き、はみ出すように切ったろ紙2枚をのせ、(1)の水溶
液12mlをピペットで染み込ませる。
(4)これに(2)の脱脂綿を拡げてのせ、黒鉛板を重ねる。
(5)ソーラーモーターをまわしてみよう。また次の鉛蓄電池も含めて、直列にして電子
おもちゃで楽しもう。
(6)終わったら、ろ紙と脱脂綿は教卓のポリ袋に捨てる。
[b]鉛蓄電池
(1)「電池セル」に0.5mol/l硫酸70mlを注ぎ、2枚の鉛板を底で接触しない
ように差し込む。
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(2)手まわし発電機をつないでハンドルをまわす。どちらがプラスになっているか注意
し、セルの中の様子を観察する。
(3)十分にまわしたらハンドルを離す。「発電機」が自分でまわっているとき、鉛板の
クリップを外したり再びかませたりしてみる。
(4)充電と放電のハンドルの回転数を計測して効率を調べてみよう。
(5)最後にプラスの鉛板の表面の色を観察する。
(6)硫酸はセルに入れたまま教卓に返す。
3.準備・かたづけ
A 4つの実験机に置くもの(3グループにひとつ)
・25%塩化亜鉛水溶液(25mlメスシリンダーを付属させる。)
(加水分解するので直前に調製するとよい。少量の塩酸を加えることは乾電池でなくなる
のであえてしない。)
・0.5mol/l硫酸
・塩化アンモニウム、二酸化マンガン、黒鉛粉末
B 6つの実験机に持って行くもの(2グループにひとつ)
なし
C 各実験机に持って行かせるもの(10〜11こ)
・バット(230×320×50mm)
・「電池セル」
・亜鉛板、黒鉛板(170×40×5mm ターミナル付き)
・鉛板(50×150cm) 2枚、サンドペーパー
(前の実験で付着した茶色の二酸化鉛は、予めサンドペーパーで削り落としておく。)
・50mlビーカー、100mlビーカー
・コンパクト天びん、薬包紙3枚
・5mlピペット、ガラス棒
・脱脂綿(13×5cm 0.7g)
・ろ紙(φ110cm) 2枚
・亜鉛板から1.5cmほどはみ出すように切ったろ紙(φ150mm)2枚
・ソーラーモーター、手まわし発電機
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D あとで教卓に取りに来させるもの
・電子おもちゃ
4.注意・結果
回収した硫酸はアルカリで処理する。
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