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                                   林 正幸

   33円電池とボルタの電池

1.解 説

 電池にはゆたかな実験教材があり、そこから何を選ぶかは総合的な判断によることにな
る。ここで取り上げている電池の多くは現行の教科書に沿ったものである。
 「33円電池」は、身近な材料で電池が作れるという面白さから、生徒を電池学習に引
き込むねらいを持っている。
  負極  Al ―→ Al3+ + 3e-
  正極  2e- + 2H+ ―→ H2
10円玉がきれいになることから、正極の反応は次の変化も含んでいる。
      2e- + 2H+ + CuO ―→ H2O + Cu
食塩は水溶液の電導性を高めるはたらきをしている。
 この実験の正否は、メロディテスターに掛かっていると言える。これは光を受けると鳴
り出すオルゴールを改造して作る。そのキット(販売:    )の電池を外してそこに
リード線を付ければよい(光センサーは光が当たる状態で使うのでそのままにする)。正
極負極を赤黒で区別すれば、33円電池のどちらが正極かを調べることもできる。そして
電池としては11円でもよいが、音楽を楽しむには3つを直列にする。
 「ボルタの電池」は、ボルタが発明した史上初の電池ではないのに何故か教科書で幅を
利かせている。この電池は豆電球をつけ続けることができるパワーがあるので、その意味
では評価できる。ただし「分極」とか「減極剤」とかは願い下げにしたいものである。
  負極  Zn ―→ Zn2+ + 2e-
 私は「豆電球がしばらく光って消える」などはこだわりたくない。ボルタの電池そのも
のの正極の反応は次のようである。
      2e- + 2H+ ―→ H2
そしてこの反応速度が小さいのでソーラーモーターくらいしか動かせない。ところが過酸
化水素を加えると次の反応が起こるようになる。

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      2e- + 2H+ + H22 ―→ 2H2
この反応速度は大きいので、豆電球を光らせたり、おもちゃを動かしたりできるのである。
 私は薬品を節約するために下に示すような「電池セル」を設計し、業者にアクリル板で
製作してもらっている。これは汎用性がありイオン化傾向の実験にも利用している。

2.操作法(生徒向けプリント)

[a]33円電池
(1)ろ紙をはさみで10円玉の形に9枚切り取り、10円、ろ紙3枚、1円、さらに
10円、ろ紙3枚、1円・・・、と三重にする。
(2)50mlビーカーに食酢10mlと食塩小さじ1杯を入れてかき混ぜる。
(3)これに(1)のセットをそのまま指で持って浸ける。
(4)取り出してメロディテスターにつないでみる。正極負極が正しければ音楽を楽しむ
ことができる。
注意:リード線の先が「クリップ・クリップ方式」になっている。

<追記(08.2)>
 33円電池は、洗濯ばさみに挟んで扱うとよい。

[b]ボルタの電池
(1)「電池セル」に0.5mol/l硫酸70mlを注ぐ。
(2)端をサンドペーパーで磨いた亜鉛板と銅板を、セル内で接触しないように差し入れ
る(広い枠の方に銅板を入れる)。
(3)ソーラーモーターはまわるが、豆電球はつかないことを確かめる。
(4)銅板を取り出して、36%過酸化水素水10mlを加え、再び銅板を差し入れる。
(5)豆電球をつけてみよう。3つを直列にしてモーターおもちゃを動かしてみよう。
注意1:濃度が高い過酸化水素は皮膚にやけどを引き起こす。
  2:クリップで電極どうしがショートしないようにする。
  3:セル内の反応が激しくなって液があふれそうになったら、中止して流しで水洗い
    する。
(6)廃液は教卓の水そうに入れる。

3.準備・かたづけ

A 4つの実験机に置くもの(3グループにひとつ)
・食酢、食塩

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・0.5mol/l硫酸(100mlメスシリンダーを付属させる。)
・36%過酸化水素水
B 6つの実験机に置くもの(2グループにひとつ)
  なし
C 各実験机に持って行かせるもの(10〜11こ)
・ろ紙(φ110mm)3枚、はさみ
・50mlビーカー
・メロディテスター
(33円は忘れた生徒に貸す)
・「電池セル」(下図を参照)





                   






・亜鉛板、銅板(ともに150×45mm)、サンドペーパー
・豆電球、ソーラーモーター
D あとで教卓に取りに来させるもの
・モーターおもちゃ
 「クリップ・クリップ方式」とは、リード線のみの虫クリップの先にもうひとつ裸のク
リップをかませた状態を指している。こうしておくと先のクリップが薬品でさびても、は
んだ付けをすることなく簡単に取り替えられる。
 実験が終わった亜鉛板には銅が付着するので、うすい酸に浸けてたわしでこすり落とす

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ように洗っておく。

4.注意・結果

 電池の実験は接触不良で失敗することがある。これはばかばかしいことで、教師が事前
にチェックする習慣が望まれる。
 電池では、豆電球をつけるのがもっともパワーを要求される。次が通常のモーターを使
ったおもちゃ、それからソーラーモーターやエレクトロニクスを中心にしたおもちゃであ
る。メロディテスターや普通のテスターはほとんどパワーを必要としない。
 ボルタの電池では、銅板からも亜鉛板からも水素が発生する。
 廃液は炭酸水素ナトリウムなどで中和してから排出する。

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