00.7
林 正幸
電気で字が書ける
1.解 説
ヨウ素を使った電気分解の実験を考える中で浮かんできた実験である。ステンレス板に
ろ紙をのせ、これにヨウ化カリウム水溶液を染み込ませる。ステンレス板を陰極にし、黒
鉛棒を陽極にするとろ紙に赤褐色の字を書くことができる。そして電極を入れ替えるとそ
の字が消せる。電圧は6Vがよいようである。
黒鉛電極では次の反応が起こる。
陽極の場合 2I- ―→ I2 + 2e-
陰極の場合 2e- + I2 ―→ 2I-
正確には、ヨウ素は三ヨウ化物イオンになっている。また黒鉛棒を陰極にすると気体が発
生して次の反応も起こることが分かる。
2e- + 2H+ ―→ H2
また黒鉛が陰極の場合はステンレス板が陽極であり、それに接したろ紙ではヨウ素が生成
するのでろ紙は赤褐色に着色していく。そのためろ紙は4枚使ってその結果が表面まで及
ばないようにする。
この実験は
「電気分解では陽極は電子を奪うはたらきを、陰極は電子を与えるはたらきをする」
ことがはっきりと分かる。と同時に楽しい実験である。
次のような似た実験もできる。硫酸ナトリウム水溶液にフェノールフタレインを加えた
溶液を使う。この場合は、黒鉛棒を陰極にすると鮮やかな赤色の字が書ける。そして電極
を入れ替えるとその字を消すことができる。この反応はこの章5節の「水の電気分解」と
同じである。水の電気分解では水溶液は陰極では塩基性に、陽極では酸性になるためであ
る。
またこの実験では、直流電源に手まわし発電機を使うのも面白い。それから乾電池を使
えれば、ショートに強くて便利である。
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2.操作法(生徒向けプリント)
(1)ステンレス板にろ紙4枚をのせ、これに5%ヨウ化カリウム水溶液15mlを染み
込ませる。
(2)6V直流電源のマイナスをステンレス板につなぎ、プラスを黒鉛棒につなぐ。
注意:ショートしていないことを確認してからプラグを差し込む。
(3)黒鉛棒でろ紙に字を書いてみよう。
(4)ステンレス板と黒鉛棒のプラス、マイナスを入れ替えて、その字をなぞってみよう。
注意 電源をショートさせないようにする。
(5)ステンレス板を水洗いし、新しくろ紙4枚をのせ、2%硫酸ナトリウム水溶液にフ
ェノールフタレインを加えた溶液15mlを染み込ませる。
(6)今度はステンレス板を陽極に、黒鉛棒を陰極してろ紙に字を書いてみよう。
(7)続いて電極を入れ替えてその字を消してみよう。
注意:実験が終わったらまずプラグを抜く。
3.準備・かたづけ
A 4つの実験机に置くもの(3グループにひとつ)
・5%ヨウ化カリウム水溶液
・2%硫酸ナトリウム水溶液にフェノールフタレイン溶液を5%になるように加えた溶液
C 各実験机に持って行かせるもの(10〜11こ)
・ステンレス板(150×150×0.5mm)、黒鉛棒(10cm程度)
・直流電源コード(または乾電池6Vとクリップコード2本)
・ろ紙(φ110mm) ×8
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