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は水よりヘキサンに溶けやすいと説明する。なおヨウ素は、ヨウ化カリウム水溶液には三
ヨウ化物イオンを形成して溶けやすいことも取り上げる。私は(1)で昇華したヨウ素を、
ヨウ化カリウム水溶液を調整して溶解させ、それでヨウ素・デンプン反応を実験している。
(4)ヨウ化カリウム・デンプン紙
実験で使う場合は、そのときろ紙に水溶液を染み込ませてつくることもある。検出する
酸化剤は、オゾンか塩素のことが多い。
塩素の場合 2KI +Cl2 −→ 2KCl + I2
これについては、もうすこし発展した活用をあとで提起したい。
(5)ヨードホルム反応
アセチル基(CH3CO− ただしエステル結合は除く)あるいは1−ヒドロキシエチル
基(CH3CH(OH)−)を検出するヨードホルム反応は、スペクトル分析に踏み込めな
い高校化学においては、生徒を分子構造解析にいざなう価値ある手段である。
私の実験では、ヨウ素・ヨウ化カリウム水溶液にそれぞれ次の物質を入れ、
エタノール、1−プロパノール、アセトアルデヒド、アセトン
混合物が透明な黄色になるまで水酸化ナトリウム水溶液を振り混ぜながら加える。必要な
ら湯浴に浸け、黄色沈でんないし白黄色にごりを確認する。
(6)油脂のヨウ素価
今では受験問題の中で登場するくらいである。一般的に炭化水素に不飽和結合を含むか
どうかは臭素水で検出することが多い。
(7)ヨウ素・デンプン反応
これは中学でも扱われる。ヨウ素分子がデンプン分子のらせんの中に入り込んだ包接化
合物になることや、イソジンがポリビニルピロリドンとヨウ素の包接化合物であることに
触れる場合もある。
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2Al + 6H+ ―→ 2Al3+ + 3H2
金属(水素を含む)は水中で陽イオンになる性質があり、その強さは次のようになってい
る(金属のイオン化列)ことを確認する。
Al > Zn > Fe > Pb > H2 > Cu > Ag
私としてはこれをさらに以下のように発展させたい。金属が陽イオンになるのは「電子
を失う」ことでもある。したがってイオン化列は金属が水中で電子を失いやすい順番であ
り、次のような表にする。
電子得失表
Al ←→ Al3+ + 3e-
Zn ←→ Zn2+ + 2e-
Fe ←→ Fe2+ + 2e-
Pb ←→ Pb2+ + 2e-
H2 ←→ 2H+ + 2e-
Cu ←→ Cu2+ + 2e-
Ag ←→ Ag+ + e-
金属樹の実験では陽イオンが「電子を得る」反応が同時に起こっている。そして陽イオ
ンが電子を得る性質は上の表で下ほど強い。こうして私は上の表を「電子得失表」と名付
ける。
ところで電子を失うのは金属のみであろうか。また電子を得るのは陽イオンのみであろ
うか。これに対して次のような実験をして
2)「塩化鉛の融解塩電解」
試験管に塩化鉛を入れて加熱融解し、黒鉛電極で電気分解すると、陽極から塩素が発生
し、陰極に鉛の玉が生成する。
2Cl- ―→ Cl2 + 2e-
2e- + Pb2+ ―→ Pb (+
PbCl2 ―→ Pb + Cl2
3)「紫色のけむり」
亜鉛粉末にヨウ素を混ぜてすこし水をかけると紫色のけむりが立ち上る。
Zn ―→ Zn2+ + 2e-
2e- + I2 ―→ 2I- (+
Zn +I2 ―→ ZnI2
陰イオンも電子を失う性質を、非金属も電子を得る性質をもつことを確認する。そして電
子得失表に次の4つの反応式を加える。
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電子得失表の追加
4OH- ←→ 2H2O + O2 + 4e-
2I- ←→ I2 + 2e-
2Br- ←→ Br2 + 2e-
2Cl- ←→ Cl2 + 2e-
この概念拡張において3)のようにヨウ素は楽しい教材となる。
なお授業では、酸化数を使って電子のやり取りが酸化還元反応としてまとめられること
を教える。
電池では、電子得失表を利用して
負極で電子を与える反応が
正極で電子を奪う反応が
起こって、電子の流れが発生すると教えたい。そのために次の「ヨウ素電池」は有効な教
材である。つまり電子を奪うものは非金属でもよいし、電子を与えるものは陰イオンでも
よい。
4)「ヨウ素電池」
亜鉛板(45×150mm)にろ紙(φ110mmm)4枚をのせ、約20%の塩化ア
ンモニウム水溶液を染み込ませ、その表面にヨウ素を振りかけて黒鉛板(45×150m
m)を被せ、すき間に水溶液を補って(全部で20mlくらい)馴染ませると豆電球が明
々と点灯する(1.5V、0.4A)。
負極 Zn ―→ Zn2+ + 2e-
正極 2e- + I2 ―→ 2I- (+
Zn +I2 ―→ Zn2++ 2I-
より正確には、亜鉛イオンはテトラアンミン亜鉛イオンになるし、ヨウ化物イオンは三ヨ
ウ化物イオンになる。
5)「ヨウ化物イオン電池」
黒鉛板にろ紙2枚をのせ、1:1の硝酸を染み込ませる。別にろ紙2枚に約10%のヨ
ウ化カリウム水溶液を染み込ませておいて重ねる。これにもう1枚の黒鉛板を被せるとソ
ーラーモーターがよくまわる。
負極 2I- ―→ I2 + 2e-
正極 2e- + 2H+ ―→ H2
( H2 + HNO3 ―→ H2O + HNO2 ) (+
2I- + 2H+ ―→ I2 + H2
( 2I- + 3H+ + NO3 - ―→ I2 + H2O + HNO2 )
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電気分解でも、電子得失表を利用して
陽極で電子を失う反応
陰極で電子を得る反応が
外部の直流電源によってひき起こされると教えたい。そしてヨウ素を使う次の「電解書道」
が有効な教材である。
6)「電解書道」
ステンレス板にろ紙4枚をのせ、5%ヨウ化カリウム水溶液を染み込ませ、ステンレス
板を陰極に、黒鉛棒を陽極にしてろ紙に触れると字が書ける(6V)。そして極を入れ換
えると字を消すこともできる。
黒鉛が陽極の場合 2I- ―→ I2 + 2e-
〃 陰極の場合 2e- + I2 ―→ 2I-
酸化還元に関わって、ヨウ素を還元剤検出試薬として、ヨウ化物イオンを酸化剤検出試
薬として活用することができる。これはヨウ素滴定の手法だが、これを授業に活用するア
イデアは野曽原(千葉県立君津高)から教わった。
7)「還元剤の検出」
うすいヨウ素・ヨウ化カリウム水溶液に次の物質を加えて振り混ぜる。赤褐色が消えれ
ば還元剤である。
亜鉛粉末、硫化水素、チオ硫酸ナトリウム、ビタミンC
亜鉛粉末の場合 Zn ―→ Zn2+ + 2e-
2e- + I2 ―→ 2I-
8)「酸化剤の検出」
5%ヨウ化カリウム水溶液に次の物質を加えて振り混ぜる。赤褐色になれば酸化剤である。
塩素、硝酸、過酸化水素、過マンガン酸カリウム
塩素の場合 2I- ―→ I2 + 2e-
2e- + Cl2 ―→ 2Cl-
これで酸と塩基の指示薬による識別と並んで、酸化剤と還元剤の簡単な識別試薬ができ
るので分かりやすくなる。なお、ヨウ素・ヨウ化カリウム水溶液はもともと着色している
ので、デンプンはとくに必要ではない。それに試験紙よりこのような水溶液の方が便利な
面がある。
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