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高校、化学、教材、自主編成、教科書、(高校化学、化学教材)

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                                   林 正幸

   ウラン加工施設の臨界事故に係わって

1.同位体
 水素、炭素、酸素などすべての原子は、より厳密には数種の混合物であり、それぞれは
同位体と呼ばれる。原子の種類は原子番号つまり陽子数で分類されるが、陽子数が同じで
中性子数が異なる、つまり質量数(陽子数+中性子数)が異なるのが同位体である。
    水素               炭素
  1H 水素1(軽水素)       12C 炭素12
  2H 水素2(重水素)       13C 炭素13
  3H 水素3(三重水素)      14C 炭素14

2.核反応
 同位体の化学的性質は似ており、化学では1種の原子として扱うが、同位体の原子核の
性質は、同種の原子でも大きく異なる。
 原子核はいろいろな反応を起こすが、その中で2つの核反応を紹介する。この他に話題
になるのは、核融合である。
(1)崩壊
 かなり多くの同位体の原子核は不安定で、アルファ線、ベータ線、ガンマ線といった放
射線を放出して違う原子核に変化する。このような同位体は放射性同位体と呼ばれる。崩
壊は温度や圧力の影響を受けず、ある確率でもって時間と共に進行していく。そしてこの
ような同位体の半分が崩壊する時間は決まっていて、半減期と呼ばれる。崩壊による放射
線は天然にもあるレベルで存在するが、放射能漏れ事故で住民が受ける被害も、まき散ら
された放射性同位体による。
(2)核分裂
 広島型原子爆弾や、現在の原子炉(熱中性子炉という)では次の核分裂が起きている。
 ウランの同位体のひとつであるウラン235(235U)の原子核にスピードが遅い中性子
を衝突させると、原子核が分裂して2つの同位体(核分裂生成物)になる、と同時に1〜



                    図(略)




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3個の中性子を発生する。このとき通常の燃焼反応とはけた違い(300万倍)のエネル
ギーを与える。そして生成するいろいろな同位体には放射性のものが含まれる。今回の事
故ではヨウ素131(131I)などという放射性同位体が検出された。

3.臨界を越える核分裂
 さてウラン235の濃度が高くなると、発生した中性子が外に抜ける前に別のウラン2
35の原子核に衝突して再び核分裂を起こすようになる。ひとつの核分裂で発生した中性
子のうち1個が次の核分裂を起こして(連鎖反応)、核分裂が継続するようになった状態
が「臨界」と呼ばれる。
 ウランが臨界を越える濃度(量)になると、核分裂はねずみ算式に拡大して一気に膨大
なエネルギーを与える。これが原子爆弾の原理である。
 原子炉ではウラン235を臨界状態に制御してエネルギーを取り出している。しかし制
御を誤ると、原子炉は臨界を越えて高温になり、破壊されて放射性同位体が噴出したり、
ときには核爆発まで起こしたりする。1986年の旧ソ連のチェルノブイリや1979年
の米国スリーマイル島の原子力発電所事故は有名である。

4.核燃料
 天然に産出するウランに含まれる同位体のほとんどは、核分裂しないウラン238であ
り、ウラン235はわずか(0.7%)である。そこでウランを原子炉の燃料などにするた
めには、ウラン235の濃度を大きくする必要がある。これが「ウランの濃縮」と呼ばれ
る。化学的に似たウランの同位体の一方を濃縮するのは高度な技術であり、六フッ化ウラ
ン(UF6)という化合物にして実現される。このあと燃料として扱いやすい二酸化ウラン
(UO2)に変化させる。
 今回の事故(1999年9月)はこの過程で起こった。ずさんな管理、フェイルセーフ
(fail-safe ミスしても安全な)でない設備、信じられない操作で、大量のウラン235
が「沈でん槽」に集積して、臨界を越えてしまい、国内最悪の事故となった。
 加えて、放射能汚染が広がり一刻を争う状況で、県への報告が50分も遅れた。

5.今回の事故処理
 今回は臨界以下に抑え込むために2つの処理が行われた。
 ひとつは沈でん槽を冷やしている冷却水を抜く。水は発生した中性子を反射しやすくて、
中性子を沈でん槽に閉じ込めるからである。
 もうひとつはホウ酸水(H3BO3)を注入する。ホウ素の原子核は中性子を吸収する
(衝突した中性子を受け入れて2つの同位体になる)からで、これは原子炉の制御にも利
用されている。
 臨界を越える事故ではまわりは中性子という放射線によっても汚染される。中性子は建
物などは貫通してその中の人間に被害をもたらす。中性子爆弾はそれを応用したものであ
る。いずれにしても放射能事故は二次災害の危険が高い。

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